【予防接種の基礎知識】種類と効果を医師が解説

予防接種
最終更新日: 2026-04-06
📋 この記事のポイント
  • ✓ 予防接種には法律で定められた定期接種と、個人の判断で受ける任意接種がある。
  • ✓ ワクチンは感染症から身を守るための重要な手段であり、その効果は科学的に確立されている。
  • ✓ 予防接種に関する最新の知見や推奨事項は、常に更新されているため、専門家への相談が不可欠である。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

定期接種とは?種類と対象年齢

定期接種のスケジュールと対象年齢を示すカレンダー、種類を網羅
定期接種の種類と対象年齢

定期接種とは、感染症の発生およびまん延を予防するため、国が国民に接種を強く推奨している予防接種のことです。対象となる病気や接種期間が法律で定められており、原則として公費で受けられます。

実臨床では、お子さまの定期接種について「いつ、どのワクチンを接種すれば良いか分からない」と初診時に相談される患者さんも少なくありません。接種スケジュールは複雑に見えますが、適切な時期に受けることで最大の効果が期待できます。

定期接種の目的と重要性

定期接種の主な目的は、個人を重篤な感染症から守るだけでなく、集団免疫効果によって社会全体の感染症の流行を防ぐことにあります。集団免疫とは、多くの人が免疫を持つことで、免疫を持たない人も感染から間接的に守られる現象を指します。

定期接種の対象となる主な感染症

日本における定期接種の対象疾患は多岐にわたります。主なものとしては、以下のワクチンが挙げられます。

  • 小児: Hib感染症、小児用肺炎球菌感染症、B型肝炎、ロタウイルス感染症、DPT-IPV(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)、BCG、麻しん・風しん、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症(HPV)など
  • 高齢者: インフルエンザ、肺炎球菌感染症(成人用)など

これらのワクチンは、それぞれ異なる感染症に対して特異的な免疫を誘導します。例えば、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)は、麻しんと風しんの両方に対する免疫を同時に獲得できるため、効率的な予防が可能です。

定期接種のスケジュールと接種間隔

定期接種には、病気の種類や年齢に応じて推奨される接種スケジュールがあります。特に乳幼児期は、複数のワクチンを適切な間隔で接種する必要があるため、計画的な管理が重要です。例えば、生後2ヶ月から始まるワクチン接種では、Hib、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなど複数のワクチンを同時期に接種することが推奨されています。これは、早期に免疫を獲得し、感染症のリスクを低減するためです。

⚠️ 注意点

予防接種のスケジュールは、個人の健康状態や居住地域によって異なる場合があります。必ず医師や保健師と相談し、最新の情報を確認することが重要です。

定期接種の費用負担

定期接種は、原則として公費で賄われます。これは、予防接種が個人の健康だけでなく、公衆衛生の維持に貢献するという考えに基づいています。ただし、対象年齢や接種期間を外れて接種する場合は、自己負担となることがあります。また、一部のワクチンでは、自治体によって助成制度が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

任意接種とは?その必要性と選択基準

任意接種の選択肢と必要性を検討する家族、医師と相談する様子
任意接種の選択と重要性

任意接種とは、法律で定められた定期接種とは異なり、個人の判断で希望して受ける予防接種のことです。費用は自己負担が原則ですが、特定の感染症から身を守るために重要な役割を果たします。

臨床の現場では、海外渡航を控えた方や、基礎疾患を持つ方から「どの任意接種を受ければ良いか」という相談をよく経験します。個々のライフスタイルや健康状態に合わせて、最適なワクチンを提案することが重要だと感じています。

任意接種の対象となる主な感染症

任意接種の対象となる感染症も多岐にわたります。代表的なものには以下のようなワクチンがあります。

  • おたふくかぜ(流行性耳下腺炎): 小児期に罹患すると、稀に合併症(髄膜炎、難聴、睾丸炎など)を引き起こすことがあります。
  • A型肝炎: 汚染された水や食品を介して感染し、特に海外渡航者や食品を扱う職業の方に推奨されます。
  • B型肝炎(成人): 定期接種の対象年齢を過ぎた方や、医療従事者、B型肝炎ウイルスキャリアの家族などに推奨されます。
  • 破傷風(成人): 定期接種で受けた免疫が低下している成人や、外傷のリスクが高い方に推奨されます。
  • 帯状疱疹: 加齢とともに発症リスクが高まる帯状疱疹の予防に有効です。50歳以上の方に推奨されます。
  • 狂犬病: 特定の地域への海外渡航者や、動物と接触する機会の多い方に推奨されます。

任意接種を検討すべきケースとは?

任意接種は、個人のリスク要因に基づいて検討されるべきです。以下のような状況では、任意接種の必要性が高まります。

  • 海外渡航: 渡航先の感染症流行状況に応じて、A型肝炎、狂犬病、黄熱病などのワクチンが推奨されることがあります。
  • 特定の職業: 医療従事者、介護士、動物を扱う職業の方などは、B型肝炎、インフルエンザ、破傷風などの追加接種が推奨される場合があります。
  • 基礎疾患の有無: 免疫不全や慢性疾患を持つ方は、重症化リスクが高いため、インフルエンザや肺炎球菌などの追加接種が推奨されることがあります[2]
  • 妊娠を希望する女性: 風しんの抗体がない場合、妊娠中の感染を防ぐためにワクチン接種が推奨されます。

任意接種の費用と助成

任意接種は原則自己負担ですが、一部の自治体では、特定のワクチン(例: おたふくかぜ、帯状疱疹など)に対して助成を行っている場合があります。また、企業によっては、従業員の健康管理の一環として費用を補助することもあります。接種を検討する際は、事前に医療機関や自治体の窓口に確認することをお勧めします。

定期接種と任意接種の比較

定期接種と任意接種の主な違いを以下の表にまとめました。

項目定期接種任意接種
目的公衆衛生の向上、重篤な感染症の予防個人の感染症予防、重症化予防
法的義務あり(努力義務)なし
費用負担原則公費負担原則自己負担
対象疾患Hib、肺炎球菌、B型肝炎、麻しん・風しんなどおたふくかぜ、A型肝炎、帯状疱疹、狂犬病など

予防接種の基礎知識:効果と安全性、副反応について

予防接種とは、特定の病原体に対する免疫を人工的に獲得させることで、その病原体による感染症の発症や重症化を防ぐ医療行為です。ワクチンを接種することで、体内で病原体への抵抗力(抗体など)が作られ、実際に病原体に曝露した際に発症を抑えたり、症状を軽くしたりする効果が期待できます。

実際の診療では、「予防接種は本当に安全なの?」「副反応が心配」という患者さんの声を聞くことがよくあります。ワクチンは厳格な審査を経て承認されており、その効果と安全性は数多くの研究で確認されています。

予防接種の仕組みとは?

予防接種は、病原体そのもの、あるいは病原体の一部を加工して作られたワクチンを体内に投与することで、免疫システムを刺激します。これにより、体が病原体を記憶し、次に同じ病原体が侵入した際に迅速に排除できるように準備します。

ワクチン
病原体の毒性を弱めたり、病原体の一部を利用したりして作られた薬剤で、接種することでその病原体に対する免疫を獲得させます。

予防接種の効果と有効性

予防接種の効果は、感染症の発生を大幅に減少させ、重症化や合併症のリスクを低減することにあります。例えば、麻しん(はしか)はかつて多くの命を奪った病気ですが、ワクチンの普及によりその発生率は劇的に低下しました。多くの研究において、予防接種が感染症の予防に極めて有効であることが示されています[1]

予防接種の安全性と副反応

予防接種は、その効果だけでなく安全性についても厳しく評価されています。しかし、どのような医療行為にも副反応のリスクは存在します。予防接種で起こりうる副反応は、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 局所反応: 接種部位の腫れ、赤み、痛みなど。数日で自然に治まることがほとんどです。
  • 全身反応: 発熱、倦怠感、頭痛など。こちらも数日で軽快することが多いです。稀に、アナフィラキシーなどの重篤な副反応が発生することもありますが、発生頻度は極めて低く、医療機関では適切な対応が可能です。

ワクチン接種後の副反応については、医療機関で十分な説明を受けることが重要です。また、接種後しばらくは体調の変化に注意し、異変があれば速やかに医療機関を受診してください。

予防接種に関する誤解を解消するには?

予防接種に対しては、様々な誤解や不安が存在することが知られています[4]。例えば、「ワクチンは自然免疫を阻害する」「複数のワクチンを同時に接種すると体に負担がかかる」といったものです。しかし、これらの誤解の多くは科学的根拠に基づかないものです。複数のワクチンを同時に接種することは、免疫システムに過度な負担をかけることなく、むしろ早期に複数の感染症から身を守るために有効な手段とされています。

最新コラム(予防接種):COVID-19と妊娠中の接種、薬剤師の役割

COVID-19ワクチン接種を受ける妊婦と薬剤師が説明する場面
妊婦のCOVID-19接種と薬剤師

予防接種に関する知見は日々進化しており、特に近年ではCOVID-19ワクチンの登場により、その重要性が改めて認識されました。また、妊娠中の女性や薬剤師の役割など、予防接種を取り巻く環境も変化しています。

診察の中で、COVID-19ワクチンの接種を迷う妊婦さんや、薬剤師の先生方から「予防接種に関する最新情報を知りたい」という声をよく聞きます。新しい情報が次々と出てくる中で、正確な情報を提供し、患者さんや医療従事者の疑問を解消することが重要だと実感しています。

COVID-19ワクチンと腎臓病患者への影響

COVID-19パンデミックは、予防接種の重要性を世界中に再認識させました。特に、慢性腎臓病(CKD)患者のような基礎疾患を持つ人々にとって、COVID-19ワクチンは重症化を防ぐ上で極めて重要であるとされています。研究によると、CKD患者におけるCOVID-19ワクチンの安全性と有効性は、一般集団と同様に良好であることが報告されています[2]。これらの患者では、感染した場合の重症化リスクが高いため、予防接種による保護が特に重要となります。

妊娠中の予防接種の安全性と推奨

妊娠中の女性に対する予防接種は、母体と胎児の両方を感染症から守るために重要です。特に、インフルエンザワクチンや百日せきワクチン(Tdap)は、妊娠中の接種が推奨されています。近年では、COVID-19ワクチンについても、妊娠中の接種が母体と新生児の転帰に良い影響を与える可能性が示唆されています[5]。妊娠中に予防接種を受ける際は、必ず産婦人科医と相談し、リスクとベネフィットを十分に理解した上で判断することが大切です。

薬剤師の予防接種における役割の拡大

近年、予防接種の実施において薬剤師が果たす役割が世界的に拡大しています。一部の国や地域では、薬剤師がワクチン接種を行うことが許可されており、これにより予防接種へのアクセスが向上し、接種率の向上が期待されています[3]。薬剤師は、薬の専門家として、ワクチンの保管、調剤、患者への情報提供、副反応のモニタリングなど、多岐にわたる業務を通じて予防接種プログラムに貢献しています。日本においても、薬剤師の役割拡大が議論されており、今後の動向が注目されます。

予防接種に関する情報収集の重要性

予防接種に関する情報は日々更新されており、科学的根拠に基づいた正確な情報を得ることが極めて重要です。インターネット上には誤った情報も多く存在するため、厚生労働省、国立感染症研究所、日本医師会などの公的機関や専門家の情報源を参照するようにしましょう。また、疑問や不安がある場合は、かかりつけ医や専門の医療機関に相談し、個別の状況に応じたアドバイスを受けることが最も確実です。

まとめ

予防接種は、感染症から自身と周囲の人々を守るための重要な医療行為です。国が推奨する定期接種と、個人の判断で選択する任意接種があり、それぞれ異なる目的と対象疾患を持っています。ワクチンの効果と安全性は科学的に確立されており、多くの感染症の発生率を劇的に減少させてきました。COVID-19パンデミックや妊娠中の接種、薬剤師の役割拡大など、予防接種を取り巻く環境は常に変化しており、最新の正確な情報を得ることが不可欠です。疑問や不安がある場合は、必ず医療専門家に相談し、適切な予防接種計画を立てることが推奨されます。

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よくある質問(FAQ)

予防接種はなぜ必要なのでしょうか?
予防接種は、特定の感染症に対する免疫を人工的に獲得させ、病気の発症や重症化を防ぐために必要です。また、多くの人が免疫を持つことで集団免疫効果が生まれ、社会全体の感染症の流行を防ぐ役割も果たします。
予防接種の副反応は心配ありませんか?
予防接種には、接種部位の腫れや痛み、発熱などの副反応が起こることがありますが、ほとんどは軽度で数日で治まります。重篤な副反応は極めて稀ですが、医療機関では万が一に備えた体制が整っています。不安な場合は、医師にご相談ください。
定期接種と任意接種の違いは何ですか?
定期接種は、国が接種を強く推奨し、法律で定められた対象疾患と期間があり、原則公費で受けられます。一方、任意接種は個人の判断で希望して受けるもので、費用は原則自己負担となります。どちらも感染症予防に重要です。
妊娠中に予防接種を受けても大丈夫ですか?
妊娠中の予防接種は、母体と胎児を感染症から守るために重要です。インフルエンザワクチンや百日せきワクチンなどは推奨されており、COVID-19ワクチンも安全性と有効性が示唆されています。必ず産婦人科医と相談し、個別の状況に応じて判断してください。
この記事の監修医
👨‍⚕️
清水果歩
小児科医
👨‍⚕️
小柳太一
小児科医