子どものとびひ
症状・治療・うつさないための対策
水疱とかさぶたの範囲・痛み・発熱を確認し、洗浄、治療、被覆、手洗いで広がりを抑えます。
とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌により水疱、びらん、黄色いかさぶたが生じ、掻いた手やタオルを介して広がります。基本は石けんと流水でやさしく洗い、爪を短くし、病変を覆い、範囲に応じて外用または内服抗菌薬を使うことです。発熱、強い痛み、急速な拡大、目の周囲、乳児、広範囲では早めに受診します。
まず30秒で緊急度を確認
病名を当てる前に、呼吸・顔色・反応・水分・痛みの強さを確認します。
呼吸が明らかに苦しい、唇が青紫、呼びかけへの反応が乏しい、けいれん、立てないほどぐったり、強い胸痛、急速に悪化する。
発熱やぐったり、急速に広がる赤み・腫れ・強い痛み、目の周囲、広範囲の水疱、乳児、免疫低下がある、治療を始めても拡大する、尿が赤い・むくみが出る。
呼吸が楽で顔色と反応が普段に近く、水分と尿が保たれ、痛みを調整でき、症状が全体として改善方向にある。
- びらん
- 水疱が破れ、皮膚表面が浅くむけた状態。
- 黄色いかさぶた
- 蜂蜜色と表現される痂皮。典型的でも他疾患との鑑別が必要。
- 被覆
- 浸出液が触れないよう、通気性のあるガーゼ等で覆うこと。
受診時に伝えるメモ:発症日、体温の経過、安静時の呼吸、飲水量と最後の尿、痛む場所、周囲の流行、予防接種歴、使用薬と時刻。緊急時は記録より受診を優先します。
水疱性とかさぶた型があり、範囲と全身症状を見る
薄い水疱が破れてじゅくじゅくする型と、黄色いかさぶたをつくる型があります。鼻や口の周囲、手足、虫刺され・湿疹・擦り傷から始まり、掻くことで別の場所へ広がります。
単純ヘルペス、水痘、接触皮膚炎、虫刺され、アトピー性皮膚炎の悪化、蜂窩織炎などと似ることがあります。写真だけで断定せず、広がり方、痛み、発熱、周囲の流行を確認します。
日々の小児科診療では、病変の見た目に加え、昨日から何個増えたか、痛みとかゆみのどちらが強いか、発熱、家族の同様症状、湿疹の有無を確認します。スマートフォンの前日写真は拡大速度の判断に役立ちますが、診察まで強い薬を重ね塗りしません。
発熱・強い痛み・急速な赤みは深い感染を考える
| 目安 | 見え方 | 行動 |
|---|---|---|
| 限局 | 少数で発熱なく、周囲の赤みが弱い | 清潔・被覆し受診を相談 |
| 拡大 | 数が増える、広範囲、水疱が多い | 当日〜早めに受診 |
| 全身・深部 | 発熱、強い痛み、急速な腫れ、目周囲 | 当日中に医療機関へ |
まれに溶血性レンサ球菌感染後の腎炎が起こることがあります。回復期を含め赤褐色の尿、尿量減少、顔や足のむくみがあれば受診します。
やさしく洗い、範囲に応じて外用薬と内服薬を選ぶ
- 石けんと流水で洗う
こすらず、浸出液とかさぶたをふやかして清潔に。
- 処方薬を指示どおり塗る
回数・範囲・日数を守り、家族の薬を共有しない。
- 広範囲・水疱性・全身症状は内服を検討
原因菌、地域の耐性、年齢、アレルギーで選択。
- 浸出部を覆う
通気性のあるガーゼ等で、手や衣類への接触を減らす。
系統的レビューでは、限局した非水疱性膿痂疹で外用抗菌薬が有効で、広範囲では内服が選ばれます。治療選択は病変数、部位、流行、耐性を踏まえます。[1][2]
改善しない時は耐性菌・別の病気・塗り方を再評価する
治療開始後も新しい病変が増える、赤みや痛みが強くなる場合は、薬剤耐性、塗布範囲、服薬状況、湿疹や疥癬など再感染の原因、別診断を見直します。培養検査は反復例、集団発生、治療不応、耐性菌が疑われる場合などに検討します。
ガイドラインの系統的レビューでは推奨薬や期間に地域差があります。市販の消毒薬や手元の抗菌薬を追加するより、治療反応を確認して処方を調整します。[3]
爪・手洗い・タオル・被覆で家庭内の広がりを減らす
爪を短くし、患部後は石けんと流水で手洗い。
共用を避け、洗濯物を清潔に扱う。
じゅくじゅくした部位を覆い、掻き壊しを防ぐ。
かゆみを調整し、皮膚バリアの傷を治療。
病変を覆い治療して登園し、プールは治るまで控える
適切な治療を開始し、病変をガーゼや衣類で覆って他児が直接触れない状態で、全身状態がよければ一律に出席停止としない考え方があります。ただし広範囲で覆えない、浸出液が多い、掻いて触る、発熱がある場合は休ませ、園・学校の運用を確認します。[4]
プールは水そのものより接触やタオル共用で広がるため、病変が乾燥し治癒するまで控えます。日本皮膚科学会も、治るまでプールを休むよう案内しています。[5]
よくある質問
とびひはお風呂に入ってよいですか?
多くの場合、シャワー等でやさしく洗い清潔にします。こすらず、タオルを共用せず、入浴順や浴槽利用は病変範囲と医師の指示で調整します。
消毒液を毎回つけるべきですか?
刺激で悪化することがあります。基本は石けんと流水でやさしく洗い、処方薬を指示どおり使用します。消毒は医師から指示された場合に行います。
登園できますか?
治療を開始し、病変を覆えて全身状態がよければ一律の出席停止ではありません。ただし園の基準を確認し、覆えない・発熱・広範囲なら休ませます。
プールは入れますか?
接触やタオル共用で広がるため、病変が乾燥し治るまで控えます。プール後のシャワーだけで感染を防げるわけではありません。
参考文献
- Koning S, et al. Interventions for impetigo. Cochrane Database Syst Rev. PMID: 15106198
- Topical antibiotics for impetigo: systematic review. 2021. PMID: 33726585
- Guidelines for the treatment of impetigo in children: systematic review. 2021. PMID: 34184743
- 日本皮膚科学会:とびひは学校を休ませる必要がありますか?
- 日本皮膚科学会:とびひのときにプールに入ってもよいですか?
- Treatment and prevention of impetigo in pediatric practice: evidence-based consensus. 2020. PMID: 32550690
- New treatments for impetigo: systematic review. 2021. PMID: 34053699
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