麻疹(はしか)は
受診前に電話で相談を
麻疹は発疹が出る前から感染力が強い病気です。高熱・せき・鼻水・目の充血と発疹が重なるときは、待合室へ直接行かず医療機関に連絡してください。
麻疹は空気感染する非常に感染力の強い全身感染症です。発熱、せき、鼻水、目の充血に続いて発疹が出ることがありますが、修飾麻疹では典型的でない場合もあります。疑うときは公共交通機関や一般待合室で接触を広げないよう、医療機関へ先に電話し、案内された方法で受診してください。治療は支持療法が中心で、予防の基本はMRワクチン2回です。[1][2]
まず30秒で受診の緊急度を確認
発疹の見た目より、呼吸・反応・水分・皮膚の痛みを先に確認します。
呼吸が苦しい、唇が青紫、呼びかけに反応しにくい、けいれん、押しても消えない紫色の斑点と強いぐったり、皮膚が広くむける。
高熱とせき・鼻水・目の充血に発疹が加わる、麻疹患者との接触や流行地への渡航がある、飲めない、呼吸が速い、強い頭痛や繰り返す嘔吐がある。麻疹が疑われる場合は受診前に電話します。
呼吸・顔色・反応が普段どおりで、水分と尿が保たれ、発疹や発熱が全体として改善方向にある。
- 押しても消えない発疹
- 透明なコップなどで軽く押しても色が薄くならない赤紫色の点や斑。
- 粘膜症状
- 口・目・陰部の強い痛み、ただれ、水疱。皮膚がむける場合は急ぎます。
- 脱水の目安
- 飲めない、尿が明らかに減る、口が乾く、涙が出ない、ぐったりする状態。
受診時に伝えるメモ:発熱と発疹が始まった日時、広がった順序、かゆみ・痛み、口や目の症状、飲水と最後の尿、予防接種歴、周囲の流行、直近の薬。緊急時は撮影より受診を優先します。
発熱・カタル症状の後に発疹が広がる
典型例では10〜12日ほどの潜伏期の後、発熱、せき、鼻水、目の充血などが始まり、いったん熱が下がりかけてから再び高熱となり、発疹が顔から体へ広がります。
頬の内側に白い斑点(コプリック斑)がみられることがありますが、家庭で無理に口を開けて確認する必要はありません。ワクチン接種後など免疫が不十分に残る人では、症状が軽く典型的でない修飾麻疹もあります。見た目だけでは風疹、薬疹、他のウイルス性発疹と区別できません。[1][3]
肺炎・脳炎などの合併症に注意する
| 合併症 | 家庭で気づくサイン | 対応 |
|---|---|---|
| 肺炎 | 呼吸が速い・苦しい、胸がへこむ、顔色が悪い | 当日受診。強い呼吸困難は救急 |
| 脳炎 | 強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識の変化、けいれん | 救急受診 |
| 脱水・中耳炎 | 飲めない、尿が減る、耳を強く痛がる | 早めに相談 |
| SSPE | 回復後、数年〜数十年して起こり得るまれな神経疾患 | ワクチンで麻疹感染を防ぐことが重要 |
2026年の国内報告増加を受け、国立健康危機管理研究機構は、予防接種、早期診断、接触者対応の徹底を呼びかけています。[2]
受診前に電話し、検査で確認する
- 医療機関へ電話
麻疹の可能性、発熱・発疹の開始日、接触・渡航歴、MRワクチン接種歴を伝えます。
- 移動方法を確認
公共交通機関の利用を避けるなど、医療機関や保健所の案内に従います。
- 診察と検体検査
PCRなどで確定し、疑い例は感染症法に基づく対応につながります。
自己判断で一般待合室へ行かず、必ず事前連絡をしてください。家族内でも乳児、妊婦、免疫不全者との接触を避け、行政・医療機関の指示を確認します。
特効薬はなく、全身状態を支える
一般的な麻疹に対する特異的な抗ウイルス薬はなく、水分、酸素、解熱などの支持療法と合併症への治療が中心です。抗菌薬は麻疹ウイルスには効かず、細菌性合併症がある場合に限って検討します。自己判断で残り薬を使わないでください。
少量ずつこまめに飲ませ、最後の尿を記録。
安静時の呼吸数、胸のへこみ、顔色を確認。
目が合う、会話できる、起こせるかを確認。
年齢・体重に合う処方のみ使用。
MRワクチン2回で予防する
日本の定期接種ではMRワクチンを1歳と小学校就学前の1年間に2回接種します。Cochraneレビューでは麻疹に対する有効性は1回で約95%、2回で約96%と評価され、MMRワクチンと自閉症との関連を支持する根拠は示されていません。[4][5]
接触後は、年齢、接触からの時間、接種歴、妊娠・免疫状態でワクチンや免疫グロブリンの適応が変わります。自己判断せず、保健所または医療機関へ速やかに相談してください。
解熱後3日を経過するまで出席停止
学校保健安全法施行規則では、麻疹は原則として「解熱した後3日を経過するまで」出席停止です。ただし病状により医師の判断が優先されます。園・学校への連絡と保健所の案内に従い、自己判断で登園・登校しません。[6]
よくある質問
発疹が出るまで麻疹とは分かりませんか?
発疹前は風邪に似ますが、接触・渡航歴、予防接種歴、高熱、せき、鼻水、目の充血が手掛かりになります。流行情報や接触歴があれば発疹を待たず電話で相談してください。
ワクチンを1回受けていれば大丈夫ですか?
1回でも高い予防効果がありますが、免疫がつかない人や時間とともに不十分になる人がいるため2回接種が基本です。母子手帳で確認してください。
きょうだいは登校してよいですか?
接触状況と免疫の有無で対応が異なります。学校へ連絡し、保健所・医療機関の指示を受けてください。
解熱薬で熱が下がった日から3日ですか?
出席停止の数え方は一時的に薬で下がっただけではなく、病状と医師の判断が前提です。登校・登園時期は診断した医師と施設に確認してください。
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構:麻しん
- 国立健康危機管理研究機構:今般の麻疹の届出数増加を踏まえた麻疹対策について(2026)
- 国立健康危機管理研究機構:麻しん(詳細版)
- 日本小児科学会:推奨予防接種スケジュール
- Di Pietrantonj C, et al. Vaccines for measles, mumps, rubella, and varicella in children. Cochrane Database Syst Rev. 2020. PMID: 32309885
- 厚生労働省:学校における麻しん対策ガイドライン(出席停止基準)
- Hungerford D, et al. Effect of time since measles vaccination and age at first dose on vaccine effectiveness. Lancet Infect Dis. 2020. PMID: 31732326
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