逆流性食道炎とは|症状・検査・治療と受診目安を医師が解説

胃内容物が胃から食道へ逆流し、下部食道を刺激する仕組みを示す医療模式図
Gastroenterology / GERD guide

逆流性食道炎の症状・検査・治療ガイド

胸やけや呑酸があるとき、緊急性、検査、治療、症状が続く場合をどの順で確認するか整理します。

最終更新 2026.09.04医学レビュー 2026.09.04
FIRST危険な胸痛と出血を先に確認
DIAGNOSE胃カメラ正常でも否定しない
REASSESS効かないときは診断へ戻る
結論から

GERD(胃食道逆流症)は、胃内容物の逆流によって生活に支障のある症状や合併症が起こる状態です。内視鏡で粘膜障害がある場合が逆流性食道炎で、正常でも症状があるNERDがあります。胸やけ・呑酸が続くときは、胸痛や出血などの緊急性を先に確認し、症状、胃カメラ、必要時の逆流検査を組み合わせて、生活調整と酸分泌抑制薬を選びます。

目的から選ぶ原因・症状・検査・治療の詳しい解説を見る
01

強い胸痛、吐血・黒い便、つかえは、GERDより緊急性を優先

119番を考える

突然の強い胸痛、圧迫感、冷汗、息苦しさ、失神、吐血、黒い便、意識の変化。

早めに対面受診

飲み込みにくい、飲み込むと痛い、反復する嘔吐、貧血、意図しない体重減少。

消化器内科へ予約

胸やけ・呑酸を繰り返す、夜間に目が覚める、市販薬を続けている。

胸部症状は心臓・血管・肺の病気でも起こります。出血や嚥下障害は食道・胃の別疾患を調べる警告症状です。症状が強い場合は記事を読み進めるより受診を優先してください。[1][2][3]

02

GERDは症状・合併症の概念で、逆流性食道炎はその一部

GERDには、胃カメラで食道粘膜のびらんを認める逆流性食道炎と、びらんがなくても胸やけ・呑酸などが続くNERDが含まれます。内視鏡の見た目だけで症状のつらさは決まらず、症状だけで粘膜障害の有無も判断できません。[1][3]

胃内容物が胃から食道へ逆流し、下部食道を刺激する仕組みを示す医療模式図
図|胃と食道の境目を越えて胃内容物が上がり、下部食道を刺激する流れを示しています。図は理解のための模式図です。
逆流性食道炎
胃カメラで食道粘膜のびらんなどを認めます。重症度と合併症を確認します。
NERD
典型症状があっても内視鏡でびらんを認めません。必要に応じて逆流検査を行います。
逆流過敏
酸曝露は正常範囲でも、逆流と症状が時間的に関連する状態です。
機能性胸やけ
検査で逆流との関連を示せない胸やけで、酸を抑える治療以外を検討します。
診察室から

診察では「胃カメラで異常があるか」と「どの症状で生活に困っているか」を分けて聞きます。びらんが軽くても夜間に眠れない方がおり、内視鏡が正常でも症状が続く方がいます。治療目標は写真だけでなく、食事・睡眠・仕事への影響も含めて決めます。

03

胸やけ・呑酸は典型的だが、胸痛や咳だけなら他の原因も確認する

典型症状は胸やけと呑酸です。食後、前かがみ、就寝時に悪化することがあります。みぞおちの不快感、げっぷ、睡眠障害が重なる場合もあります。[1][2]

胸痛、慢性咳嗽、声のかすれ、喉の違和感はGERDと関連することがありますが、GERDだけに特有ではありません。特に咳だけの場合、PPIによる改善は平均として小さく、呼吸器疾患、耳鼻咽喉科疾患、薬剤なども評価します。[5][7]

日々の消化器診療で確認すること胸やけという言葉より、症状の場所、焼ける・圧迫されるなどの性質、食事・運動・姿勢との関係を確認します。食後でも冷汗や息苦しさを伴う胸痛は「胃酸だろう」と決めず、心血管系の評価を優先します。
04

いま知りたい内容から、詳しい解説を選ぶ

原因、症状、検査、治療が効かない場合では、確認する問いが異なります。現在の困りごとに近い解説へ進んでください。

05

緊急性、症状、検査、治療、再評価の順で進める

  1. 危険な症状を除外

    胸痛、出血、嚥下障害、体重減少を先に確認します。

  2. 症状と背景を整理

    胸やけ・呑酸、食事・姿勢、体重、服用薬、咳や喉の症状を分けます。

  3. 必要な検査を選択

    胃カメラで粘膜と別疾患を調べ、必要時はpH・インピーダンス検査を行います。[4]

  4. 薬と生活調整

    PPI・P-CABなどと、本人に再現する生活要因への対策を組み合わせます。[1][6][8]

  5. 症状が続けば診断へ戻る

    服用方法、持続する逆流、逆流過敏、機能性胸やけ、別疾患を再評価します。[5]

06

自己診断、市販薬の長期連用、薬の自己中止を避ける

胸痛

食後でも心疾患を否定できません。強い圧迫感、冷汗、息苦しさは救急評価を優先します。

市販薬

添付文書の期間を超えて必要な状態や、繰り返す症状は受診して原因を確認します。

処方薬

効かないからと自己増量せず、副作用が心配でも急に中止せず、継続理由と最小有効治療を相談します。

生活制限

全食品を一律に禁止せず、症状との再現性を記録して続けられる対策へ絞ります。

妊娠中・授乳中、腎臓や肝臓の病気がある場合使える薬や用量が変わることがあります。市販薬を含め、開始前に医師・薬剤師へ相談してください。

GERDの診断と治療は、症状、内視鏡所見、逆流検査、合併症、本人の希望で変わります。この記事だけで薬や検査を自己決定しないでください。

07

よくある質問

GERDと逆流性食道炎は同じですか?

GERDは胃内容物の逆流で症状や合併症が起こる状態の総称です。逆流性食道炎は、そのうち胃カメラで食道粘膜の障害を認める場合です。

胃カメラが正常でもGERDですか?

GERDの可能性はあります。びらんを認めないNERDがあり、必要に応じて食道pH・インピーダンス検査で逆流と症状の関係を確認します。

胃酸の薬はずっと飲み続けますか?

病型と再発リスクで異なります。重症食道炎などでは維持治療が必要な場合があり、症状が安定すれば医師と最小有効量や服用方法を検討します。

咳や喉の違和感もGERDですか?

GERDと関連する場合はありますが、他の原因も多くあります。胸やけ・呑酸がなく咳だけの場合は、呼吸器疾患などの評価や客観的検査を検討します。

08

参考文献