【ヒアルロン酸の製品別特徴:ジュビダーム・レスチレン・テオシアル・ニューラミスを医師が解説】

ヒアルロン酸の製品別特徴:ジュビダーム・レスチレン・テオシアル・ニューラミス
ヒアルロン酸の製品別特徴:ジュビダーム・レスチレン・テオシアル・ニューラミスを医師が解説
最終更新日: 2026-06-15
📋 この記事のポイント
  • ✓ ヒアルロン酸注入は、しわやたるみの改善、ボリュームアップに広く用いられる治療法です。
  • ✓ ジュビダーム、レスチレン、テオシアル、ニューラミスはそれぞれ異なる特性を持ち、目的や部位に応じて使い分けられます。
  • ✓ 医師との十分なカウンセリングを通じて、自身の状態と希望に合った製品を選択することが重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
ヒアルロン酸注入は、顔のしわやたるみの改善、ボリュームアップ、輪郭形成などに広く用いられる美容医療の一つです。体内に元々存在するヒアルロン酸を主成分とする製剤を注入することで、自然な仕上がりを目指します。しかし、一口にヒアルロン酸と言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれに異なる特徴があります。今回は、代表的なヒアルロン酸製剤であるジュビダーム、レスチレン、テオシアル、ニューラミスについて、専門医の視点からその特徴と選び方を詳しく解説します。

ヒアルロン酸注入とは?そのメカニズム

ヒアルロン酸が皮膚内部の水分を保持し、しわを改善する注入メカニズム
ヒアルロン酸注入の作用機序
ヒアルロン酸注入は、加齢による皮膚の変化や、特定の部位のボリューム不足を補うために行われる治療法です。ヒアルロン酸はもともと生体内に存在する成分であり、特に皮膚や結合組織に多く含まれ、水分保持や組織の潤滑性、弾力性の維持に重要な役割を果たしています。 ヒアルロン酸製剤を皮膚に注入すると、その水分保持能力によってボリュームが増し、しわが持ち上げられたり、凹みが改善されたりします。また、注入されたヒアルロン酸は周囲の組織と馴染み、自然な仕上がりをもたらすことが期待されます。注入されたヒアルロン酸は時間とともに体内で分解・吸収されるため、効果は永続的ではありませんが、その分、アレルギー反応のリスクが比較的低いという特徴もあります[1]
ヒアルロン酸
生体内に存在するムコ多糖類の一種で、高い保水能力を持つ。皮膚の弾力性や関節の潤滑性を保つ役割を担う。美容医療では、しわやボリュームの改善に用いられる。

ジュビダームシリーズの特徴とは?

ジュビダームは、アイルランドのアラガン社が製造するヒアルロン酸製剤で、世界中で広く使用されています。その最大の特徴は、独自の「VYCROSS®(バイクロス)技術」によって架橋(かきょう)されたヒアルロン酸が用いられている点にあります。この技術により、ヒアルロン酸分子がより密に結合し、持続性と柔軟性を両立させています[2]
  • 持続性: 一般的に1年から2年程度と比較的長く効果が持続するとされています[3]
  • 馴染みやすさ: なめらかな質感で、注入部位に自然に馴染みやすいと評価されています。特に、表情の動きが多い部位でも、不自然な膨らみが出にくい傾向があります。
  • 豊富なラインナップ: 非常に多くの種類があり、硬さや粘度が異なるため、しわの深さ、ボリュームアップの目的、注入部位に応じて最適な製剤を選択できます。例えば、唇のボリュームアップには柔らかい製剤、顎の形成には硬い製剤が用いられます。
実臨床では、ジュビダームシリーズは特に表情筋の動きが多い口元や目元のしわ、あるいは自然なボリュームアップを希望される患者さんに多く提案しています。例えば、ほうれい線の改善で「注入した部分だけが不自然に盛り上がるのは嫌だ」と相談される方が少なくありませんが、ジュビダームの柔軟性はそういった懸念を軽減するのに役立ちます。

レスチレンシリーズの特性とは?

レスチレンリフト、レスチレンスキンブースターなど、各製品の特性と効果
レスチレンシリーズの各製剤
レスチレンは、スウェーデンのガルデルマ社が開発したヒアルロン酸製剤で、世界で初めて承認された非動物由来の安定化ヒアルロン酸です。独自の「NASHA™(ナシャ)テクノロジー」によって製造され、粒子状のヒアルロン酸が特徴です。
  • 高いリフト力: 粒子状の構造を持つため、組織を持ち上げる力が強く、深いしわの改善や輪郭形成に適しています。
  • 持続性: 一般的に6ヶ月から1年程度の持続期間が報告されていますが、製品の種類や注入部位、個人差によって変動します。
  • 精密な形成: 粒子がしっかりしているため、注入後の形が崩れにくく、鼻筋や顎のライン形成など、よりシャープな仕上がりを求める場合に選択されることがあります。
日常診療では、レスチレンは特に鼻や顎といった骨格に近い部位の形成や、深いしわの改善を希望される患者さんに提案することが多いです。例えば、「鼻筋を通して顔全体の印象を変えたい」という方には、レスチレンの高い形成力が役立つことがあります。ただし、粒子がしっかりしている分、注入技術が重要になるため、医師の経験が問われる製剤とも言えます。

テオシアルシリーズの利点とは?

テオシアルは、スイスのテオキサン社が製造するヒアルロン酸製剤です。独自の「RHA®(Resilient Hyaluronic Acid)テクノロジー」や「DVSテクノロジー」によって、動的な表情に追従する特性を持つ製品や、高い粘弾性を持つ製品など、多様なラインナップが特徴です。
  • 動的な表情への追従性: RHAシリーズは、表情の動きに合わせて伸縮する特性を持つため、口元や目元など、表情筋が活発に動く部位に注入しても自然な仕上がりが期待できます。
  • 高い粘弾性: ボリュームアップ効果と持続性を兼ね備えた製品も多く、深いしわの改善から、頬やこめかみのボリュームアップまで幅広く対応します。
  • 低アレルギー性: 不純物が少ない高純度なヒアルロン酸を使用しているとされており、アレルギー反応のリスクが低いとされています。
外来診療では、「笑った時にほうれい線が深く刻まれるのが気になるけれど、無表情の時も不自然になるのは避けたい」と訴えて受診される患者さんが増えています。テオシアルのRHAシリーズは、このような動的なしわの改善において、非常に有用な選択肢となります。筆者の臨床経験では、注入後も表情が豊かで自然な印象を保ちやすいと感じています。

ニューラミスシリーズの特徴と選択肢

ニューラミスは、韓国のメディトックス社が製造するヒアルロン酸製剤で、コストパフォーマンスの高さと多様なラインナップが特徴です。独自の「SHAPE™テクノロジー」により、高い安全性と持続性を目指して開発されています。
  • 多様な硬さ: 非常に柔らかいものから、しっかりとした硬さを持つものまで、幅広い硬度の製品が揃っています。これにより、目の下の小じわから、鼻や顎の形成まで、様々な部位や目的に対応可能です。
  • コストパフォーマンス: 他の海外製ヒアルロン酸と比較して、比較的安価で提供されることが多く、初めてヒアルロン酸注入を試す方や、定期的なメンテナンスを希望する方にとって魅力的な選択肢となることがあります。
  • 安全性: 製造過程で不純物を最小限に抑える工夫がされており、安全性にも配慮されています。
診察の場では、「ヒアルロン酸に興味があるけれど、費用が心配」と質問される患者さんも多いです。ニューラミスは、そのコストパフォーマンスの高さから、初めてのヒアルロン酸注入や、比較的軽度な修正を希望される方によく提案します。ただし、製品の選択は価格だけでなく、期待する効果や持続期間、注入部位などを総合的に考慮して行うべきです。

各ヒアルロン酸製剤の比較表

ジュビダーム、レスチレン、テオシアル、ニューラミスの製品特性比較表
ヒアルロン酸製剤の比較一覧
主要なヒアルロン酸製剤の特性を以下の表にまとめました。これは一般的な傾向を示すものであり、個々の製品ラインナップや医師の判断によって最適な選択は異なります。
項目ジュビダームレスチレンテオシアルニューラミス
製造元アラガン社 (アイルランド)ガルデルマ社 (スウェーデン)テオキサン社 (スイス)メディトックス社 (韓国)
主な技術VYCROSS®技術NASHA™テクノロジーRHA®/DVSテクノロジーSHAPE™テクノロジー
テクスチャーなめらか、均一粒子状、しっかり柔軟、粘弾性多様(柔らかい~硬い)
持続期間(目安)12〜24ヶ月6〜12ヶ月6〜18ヶ月6〜12ヶ月
適応部位・目的しわ、たるみ、ボリュームアップ、輪郭形成深いしわ、輪郭形成、リフトアップ動的なしわ、ボリュームアップ、唇しわ、ボリュームアップ、輪郭形成(幅広い)

ヒアルロン酸製剤を選ぶ際の注意点とは?

ヒアルロン酸製剤の選択は、単に製品の特性だけで決まるものではありません。以下の点を考慮し、医師と十分に相談することが重要です。

治療目的と注入部位

どの部位に、どのような効果を期待するかによって、最適な製剤は異なります。例えば、唇のボリュームアップには柔らかく自然な動きに追従する製剤が適していますが[4]、鼻筋を通す場合は硬さがあり形を保持しやすい製剤が望ましいでしょう。顎のライン形成や深いしわの改善には、リフト力や持続性の高い製剤が選ばれる傾向にあります。

持続期間と予算

ヒアルロン酸の効果は永続的ではなく、製剤の種類によって持続期間が異なります。長期間の効果を望む場合は持続性の高い製剤を、定期的なメンテナンスを前提とする場合は比較的持続期間が短くてもコストパフォーマンスの良い製剤を選ぶことも可能です。予算も考慮しながら、無理なく継続できる選択肢を見つけることが大切です。

医師の経験と技術

どのような優れた製剤であっても、それを注入する医師の技術と経験が最終的な仕上がりを大きく左右します。注入量、注入層、注入方法など、緻密な計画と繊細な手技が求められます。特に、顔の解剖学的構造を熟知し、合併症のリスクを最小限に抑えながら、患者さんの希望に応じた自然な仕上がりを実現できる医師を選ぶことが極めて重要です。 臨床現場では、患者さんの顔立ちや表情の癖、皮膚の厚みなどを総合的に評価し、最適な製剤と注入プランを提案しています。例えば、同じほうれい線の悩みでも、皮膚のたるみが強い方にはリフト力の高い製剤を、表情筋の動きが活発な方には柔軟性の高い製剤を選ぶなど、個人差が大きいと感じています。事前のカウンセリングで、医師がどのような考えで製剤を選び、どのような仕上がりを目指すのかをしっかり確認することをお勧めします。
⚠️ 注意点

ヒアルロン酸注入は比較的安全な治療ですが、内出血、腫れ、感染、アレルギー反応、血管閉塞などのリスクもゼロではありません。特に血管閉塞は重篤な合併症につながる可能性があるため、経験豊富な医師による施術が不可欠です。施術前にリスクについて十分に説明を受け、納得した上で治療を受けるようにしましょう。

まとめ

ヒアルロン酸注入は、しわやたるみの改善、ボリュームアップ、輪郭形成など、幅広い美容の悩みに対応できる有効な治療法です。ジュビダーム、レスチレン、テオシアル、ニューラミスといった主要な製剤には、それぞれ独自の技術と特性があり、注入部位や目的、患者さんの希望に応じて使い分けられます。製剤の選択にあたっては、その特性だけでなく、ご自身の治療目的、予算、そして何よりも医師の経験と技術が重要な要素となります。十分なカウンセリングを通じて、ご自身の状態に最も適した製剤と治療計画を立てることが、安全で満足度の高い結果を得るための鍵となります。

よくある質問(FAQ)

ヒアルロン酸注入の効果はどのくらい持続しますか?
ヒアルロン酸の種類や注入部位、個人の体質によって異なりますが、一般的には6ヶ月から2年程度持続すると言われています。例えば、ジュビダームの一部製品は1年以上の持続が期待されますが、レスチレンやニューラミスは半年から1年程度のことが多いです。効果が薄れてきたと感じたら、再注入を検討することが可能です。
注入後のダウンタイムはありますか?
個人差はありますが、注入部位に軽度の腫れ、赤み、内出血が生じることがあります。これらは通常、数日から1週間程度で自然に治まります。メイクは当日から可能な場合が多いですが、激しい運動や飲酒は控えるよう指示されることがあります。
ヒアルロン酸注入が向いているのはどのような人ですか?
しわやたるみが気になる方、顔のボリュームが減少したと感じる方、鼻や顎のラインを整えたい方、唇のボリュームアップを希望する方などに適しています。メスを使わずに比較的短時間で効果を実感したい方にも良い選択肢となります。ただし、妊娠中・授乳中の方や特定の疾患をお持ちの方は治療を受けられない場合がありますので、必ず医師に相談してください。
注入したヒアルロン酸が気に入らなかった場合、元に戻せますか?
はい、ヒアルロン酸は「ヒアルロニダーゼ」という酵素を注入することで分解し、元に戻すことが可能です。これはヒアルロン酸注入の大きな利点の一つであり、万が一仕上がりに不満があった場合や、合併症が発生した場合にも対応できる安心材料となります。
この記事の監修
👨‍⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医