不妊症の原因と検査
受診の時期と結果の見方
妊娠しにくいと感じたとき、いつ受診し何を調べるかを解説。排卵・子宮・卵管・精液の検査、AMHで分かることと限界、月経周期に合わせた通院、痛みへの不安や初診で伝える内容を整理します。
不妊症の検査は、排卵、子宮・卵管、精液などを男女双方から評価し、必要な治療を考えるために行います。1年以上妊娠しないことが目安ですが、35歳以上では6か月、40歳を超える場合や月経不順・既往歴がある場合はより早い相談が考えられます。AMHだけで妊娠できるかどうかは決まりません。[1][2]
1年を待たずに相談した方がよい場合
不妊症は、妊娠を希望して避妊せず性交しても、1年以上妊娠しない状態が一般的な目安です。検査開始の時期は一律ではありません。ASRMの指針では35歳未満で12か月、35歳以上で6か月を目安とし、40歳を超える場合にはより速やかな評価を検討します。海外指針の目安を受診の資格条件と考えず、国内の医療機関で自分の状況に合わせて相談してください。[1][2]
月経が来ない・間隔が大きく変わる、子宮内膜症や卵管の病気が疑われる、骨盤内の手術や治療歴がある、男性側の問題や性交の困難がある場合は、期間を待たず相談する理由になります。年齢にかかわらず、不安が強い場合も受診できます。[1]
二人目を希望している場合も、以前に妊娠したことだけで今の状態は判断できません。前回の妊娠・出産、授乳、月経が再開した時期を伝えます。過去の検査票があれば持参し、ない場合は受けた施設と時期を分かる範囲で説明すれば十分です。
原因は一つとは限らず、分からないこともある
妊娠には排卵、精子の移動、受精、胚の発育、着床など複数の段階があります。排卵しにくい状態、卵管の閉塞や癒着、子宮内の病変、精液所見などを調べます。いくつかの要因が重なることも、基本検査では明らかな原因が見つからないこともあります。[2]
「原因不明」と説明されても、妊娠しにくいという困りごとが否定されたわけではありません。現時点の検査で捉えられない過程もあるため、年齢、経過、希望を踏まえて方針を検討します。検査を増やせば必ず原因や有効な治療が見つかるとは限りません。[1]
月経不順の背景にはホルモンや体重変化なども関わります。月経の問題そのものを確認したい場合は月経不順・無月経の原因と受診目安も参考になります。個別の病名を自分で当てはめず、症状の経過を伝えましょう。
主な検査で何を確かめるのか
問診・診察では、月経、妊娠歴、手術、感染症、薬、性交に関する困りごとを確認します。答えにくいことは、その旨を伝えて話す場面を相談できます。詳しい診察や検査を行う前に、何のためか説明を受けてください。[1]
超音波と血液検査では、子宮や卵巣の様子、卵胞の発育、必要なホルモンなどを調べます。月経周期で値や見え方が変わるため、測定日と合わせて評価します。すべての人に同じホルモン検査が必要なわけではありません。[3][1]
卵管の検査には、子宮卵管造影などがあります。卵管の通りや子宮の形を調べますが、方法や実施時期は施設で確認します。痛み、感染の既往、造影剤のアレルギー、妊娠の可能性を事前に伝え、鎮痛や検査後の注意も聞いておきましょう。[3]
精液検査は、精液量、精子の数や運動などを調べます。状態により変動するため、再検査を勧められる場合があります。採取方法や禁欲期間は施設の指示に従います。詳しくは男性側の検査と治療の相談へ。[2]
AMHは卵子の質や自然妊娠の保証ではない
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣の中の発育途中の卵胞から出るホルモンで、卵巣予備能を考える指標の一つです。主に、薬で卵巣を刺激したときの反応を見通し、治療方法を相談する補助として使います。[4]
低い値だけで妊娠できないと決めたり、高い値だけで先延ばししてよいと判断したりはできません。年齢、超音波所見、月経の経過、過去の治療への反応と一緒に解釈します。卵子の質や残りの妊娠可能年数を直接測る検査ではありません。[1][4]
検査パックを増やす前に目的を確認
追加検査を勧められたら「結果が変わると治療はどう変わるか」「行わない場合の不利益は何か」を聞きましょう。適応のない検査を一律に追加することは、負担だけを増やす場合があります。[1]
初診と次の検査に向けて準備すること
- 最終月経の開始日と普段の周期、妊娠を希望してきた期間。
- 妊娠・出産、手術、感染症などの既往と、服薬・サプリメント。
- 過去の検査票と治療歴。記録がなくても受診できます。
- 痛みへの不安、診察時の配慮、通院できる曜日と費用の心配。
検査を考える診察では、結果への不安と、検査を受けること自体への不安を分けて確認したい点です。痛みが心配、同伴者がいると話しにくい、仕事で通院日を調整できないといった事情は、検査の順番や説明の仕方に関わります。困っている点を先に共有し、検査値だけで生活や気持ちを判断しないようにします。

一度の受診ですべて終わらない場合は、次に受ける検査の目的、時期、費用、結果を聞く方法を書き留めます。月経が予定とずれたときの連絡先や、検査前に避けることも確認しましょう。説明を十分に理解できなければ、その場で聞き直して構いません。
結果がそろったら「分かった原因」「まだ不明なこと」「治療の候補」「見直す時期」を分けて説明してもらいます。治療全体の比較は不妊治療の選び方で整理できます。検査を受けたことだけで、次の治療への同意が決まるわけではありません。
よくある質問
生理中でも初診を受けられますか?
受診や検査の目的によって異なります。月経中に適した採血もあるため、自分でキャンセルせず、予約先へ月経開始日を伝えて確認してください。
精液検査が一度正常なら、再検査は不要ですか?
常に不要とはいえません。精液所見は変動するため、経過や治療内容によって再確認することがあります。必要性は担当医と相談します。
検査の痛みが怖いときはどうすればよいですか?
予約時や診察の初めに伝えましょう。方法、鎮痛の選択肢、途中でつらくなった場合の合図などを相談できます。説明を受けてから検査を選べます。
参考文献
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