間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは|症状・診断・治療を解説

膀胱に尿がたまると痛みや圧迫感が増す経過を泌尿器科で相談する場面の模式図
UROLOGY / BLADDER PAIN

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の症状・診断・治療

感染を繰り返しているように感じても培養が陰性のとき、膀胱の充満と痛みの関係から診断を組み立てます。

最終更新 2026.09.06医学レビュー 2026.09.06
NOT UTI細菌感染とは別の病態
EXCLUDE感染・結石・腫瘍を確認
PHENOTYPEハンナ病変の有無で分ける
結論から

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群は、膀胱に関連する慢性的な痛み、圧迫感、不快感があり、頻尿や強い尿意を伴い、感染・結石・腫瘍などで説明できない状態です。日本の分類では、膀胱鏡でハンナ病変を認める間質性膀胱炎と、病変を認めない膀胱痛症候群を分けます。単一の検査や薬で全員を診断・治療せず、症状と病型に合わせて進めます。

01

発熱・わき腹痛・尿が出ない・肉眼的血尿は、別の緊急疾患を先に確認

救急を検討

尿が出ず下腹部が強く張る、意識の変化、動けないほどの痛み。

当日中に相談

発熱・悪寒、わき腹痛、嘔吐、血の塊、急に増えた肉眼的血尿。

泌尿器科へ予約

膀胱がたまると痛む、排尿後に軽くなる、頻尿が続き生活へ影響する。

IC/BPSは慢性的な病態ですが、新しい発熱や全身症状を「いつもの痛み」と扱いません。感染、尿閉、結石、出血などを先に評価します。[1][2]

02

尿がたまると増し、排尿で一時的に軽くなる痛みが手がかり

痛み、圧迫感、不快感は下腹部だけでなく、尿道、外陰部、会陰、鼠径部、腰などに感じることがあります。膀胱に尿がたまるにつれて強くなり、排尿後に一時的に軽くなる経過が典型ですが、全員に同じ形で現れるわけではありません。[1][3][4]

膀胱に尿がたまると痛みや圧迫感が増す経過を泌尿器科で相談する場面の模式図
図|膀胱の充満と痛み・圧迫感、排尿後の変化を記録すると、感染症以外の原因を考える手がかりになります。図は症状経過の模式図です。
痛み・圧迫感
膀胱の充満と関係するか、排尿後にどう変わるかを確認します。
頻尿
痛みを避けるため少量で排尿し、日中・夜間とも回数が増えることがあります。
増悪因子
特定の飲食物、月経、ストレス、性行為などとの関連は個人差があります。
併存する痛み
骨盤底筋痛、過敏性腸症候群、外陰部痛などが重なる場合があります。
03

尿培養が陰性なら抗菌薬を重ねず、別の原因へ診断を戻す

細菌性膀胱炎は排尿時痛、頻尿、尿意切迫感を起こし、尿検査・尿培養で感染を評価します。IC/BPSは細菌感染で説明できない慢性症状であり、抗菌薬を繰り返して治す病気ではありません。ただしIC/BPSの人も別途尿路感染症を起こす可能性はあるため、新しい症状では必要に応じて培養します。[1][2][5]

診察室から

日々の泌尿器科診療では、回数の多さだけでなく「何を避けるためにトイレへ行くのか」を聞きます。漏れそうだから急ぐのか、膀胱が痛くなる前に出すのかで、過活動膀胱と膀胱痛症候群の考え方が変わります。排尿前後の痛みを0〜10で記録していただくと、その関係を共有しやすくなります。

04

問診・排尿記録・尿検査で似た病気を除外し、必要時に膀胱鏡を行う

  1. 症状と生活への影響

    痛む場所、充満・排尿との関係、日中と夜間の回数、増悪因子を確認します。

  2. 基本検査

    尿検査・尿培養、残尿測定、診察などで感染、血尿、排尿障害を調べます。

  3. 選択する検査

    症状に応じて超音波、画像検査、細胞診、婦人科的評価などを組み合わせます。

  4. 膀胱鏡

    膀胱がんなどの除外と、ハンナ病変の有無を確認し、病型に合う治療へつなげます。

日本の2024年の定義更新では、ハンナ病変のある間質性膀胱炎と、病変のない膀胱痛症候群を別の病態として扱う考え方が明確になりました。点状出血だけでは診断的意義が低く、症状・除外診断・膀胱鏡所見を合わせます。[1][3][4]

05

一律の順番ではなく、病型・痛み・骨盤底・本人の負担で組み合わせる

FOUNDATION

説明とセルフケア

病態の説明、症状日誌、本人に再現する飲食物・活動の調整、ストレス対処、痛みを悪化させない排尿計画を行います。一律の厳しい除去食は避けます。

PELVIC FLOOR

骨盤底への対応

骨盤底筋の圧痛や過緊張があれば、緩める理学療法を検討します。痛みが強い人へ自己流の骨盤底筋締め運動を一律に勧めません。

MEDICATION

薬・膀胱内注入

鎮痛や神経過敏への内服、膀胱内注入療法などを症状と副作用で選びます。国内ではDMSO膀胱内注入療法が保険適用となっています。[2]

PROCEDURE

内視鏡治療など

ハンナ病変には病変への内視鏡治療を検討します。水圧拡張、ボツリヌス毒素、神経調節などは適応と負担を専門医と比較します。[1][5]

2024年のRCTをまとめたネットワークメタ解析では、一部治療は痛みや尿意を改善しましたが、全ての評価項目で優れる単独治療は示されませんでした。効果判定の時期と中止基準を決め、反応に合わせて組み合わせる必要があります。[6]

06

3日程度の排尿・痛み記録で、充満との関係を見える形にする

排尿時刻と量

可能なら計量し、日中・夜間の回数と一回量を記録します。

痛みの変化

排尿前後の痛み・圧迫感を0〜10で記録します。

飲食物と活動

症状が変わった時だけ、食事、月経、性行為、ストレスなどを添えます。

検査と薬の履歴

尿培養結果、抗菌薬、膀胱鏡歴、効いた・悪化した治療をまとめます。

記録は診断の補助です。痛みを我慢して膀胱を無理にためたり、水分を極端に制限したりしないでください。発熱・肉眼的血尿・尿が出ないなど新しい症状は記録より受診を優先します。

07

よくある質問

間質性膀胱炎は細菌による膀胱炎ですか?

通常の細菌性膀胱炎とは異なり、感染で説明できない慢性の膀胱関連痛と頻尿などを伴う病態です。ただし新しい症状では尿路感染症を併発していないか確認します。

尿検査が正常でも受診してよいですか?

受診できます。症状と膀胱の充満・排尿との関係、排尿記録、似た病気の除外、必要時の膀胱鏡を組み合わせて評価します。

膀胱鏡は全員に必要ですか?

年齢、血尿、症状、これまでの検査で必要性は変わります。日本ではハンナ病変の有無が病型と治療選択に重要なため、専門医が適応を判断します。

食事だけで治せますか?

特定の飲食物で悪化する人はいますが個人差が大きく、食事だけで全員が治るとは言えません。再現性を記録し、厳しい一律制限ではなく治療全体の一部として調整します。

08

参考文献