ペースメーカー手術と術後の生活|種類・注意点・定期検査|循環器内科

胸の皮下に植え込むペースメーカーとリードの位置について説明を受ける患者
循環器内科|徐脈の治療

ペースメーカーの種類・植え込み手術と術後の生活

機器を入れることだけでなく、退院後の傷・点検・生活まで見通して準備します。

最終更新 2026.09.25監修日 2026.09.25
種類病気と心機能で選ぶ
術後傷・腕・運転を確認
生活機器手帳を携帯
結論から

ペースメーカーは、心拍が遅すぎるときに必要な電気刺激を送り、めまい・失神・息切れなどを改善する治療です。機器は病気の型と心機能に合わせて選び、術後は傷の異常、定期点検、MRIや強い磁気への対応を確認します。

このページで分かること
  • 手術はどう進む?
  • 退院後に何を避ける?
  • 家電・MRI・旅行は大丈夫?
最初に知っておきたい言葉
ジェネレーター
電池と回路を収めた本体で、多くは胸の皮下に入れます。
リード
本体と心臓をつなぎ、電気信号を感知・刺激する細い電線です。
リードレス
本体を心臓内に留置し、胸のポケットと静脈内リードを使わない方式です。
遠隔モニタリング
自宅の通信機器などから機器情報を医療機関へ送る仕組みです。
01

退院後の息苦しさ・失神・傷の急な変化はすぐ連絡する

救急要請や至急連絡を考える状態

突然の強い息苦しさ、胸痛、失神、意識変化、止まらない出血があるときです。傷の赤み・腫れ・熱感・排膿・発熱は感染の可能性があり、当日中の連絡を考えます。

手術した側の腕が急に大きく腫れる、しゃっくりのような規則的な動きが続く、以前と同じ徐脈症状が戻る場合も植え込み施設へ連絡します。緊急時は機器手帳を持参します。[1][3][4]

02

病気の場所と心臓の働きに合わせて機器を選ぶ

一般的な経静脈ペースメーカーは、胸の皮下に本体を置き、静脈から心臓へ1本または2本のリードを進めます。洞不全症候群、房室ブロック、心房細動の有無で、心房・心室のどこを感知し刺激するかを決めます。

単腔・二腔
一つまたは二つの心腔を感知・刺激します。病気の型に合わせます。
両室ペーシング
心不全と電気的なずれがある人で、左右の心室の収縮を整える目的に用います。
刺激伝導系ペーシング
ヒス束や左脚領域を刺激し、より生理的な伝わり方を目指します。
リードレス
足の付け根の血管から心臓内へ本体を留置します。適応と将来の管理を個別に検討します。

新しい方式が常に最適とは限りません。必要な機能、静脈・感染リスク、心機能、将来の交換方法を比較します。[1][2][4][5]

胸の皮下に植え込むペースメーカーとリードの位置について説明を受ける患者
図|ペースメーカーは遅すぎる脈を検知して必要なときに電気刺激を送る 機器の種類、傷の管理、定期点検、MRIや電気機器への対応を退院前に確認します。
03

検査・抗菌薬・局所麻酔の後に本体とリードを留置する

手術前に心電図、採血、胸部画像、心エコーなどで全身状態を確認し、抗凝固薬・抗血小板薬、アレルギー、過去の感染、透析や静脈の状態を共有します。薬は自己中止せず、具体的な服用指示を受けます。

  1. 本人確認と消毒

    機器、植え込み側、薬、同意内容を確認します。

  2. 局所麻酔

    胸の皮膚を麻酔し、必要に応じて鎮静を行います。

  3. リードを留置

    X線を見ながら静脈から心臓へ進め、電気的な状態を測ります。

  4. 本体を収納

    皮下のポケットに本体を置き、傷を閉じます。

  5. 術後確認

    心電図、胸部画像、機器測定、傷を確認します。

リードレスでは足の付け根からカテーテルで心臓内へ留置し、胸の傷やリードはありません。手術時間や入院期間は機器、全身状態、施設で異なります。[1][4][5]

04

出血・感染・気胸・リードの位置などを確認する

合併症には皮下血腫、感染、気胸、心臓や血管の損傷、リードの移動、機器の不具合などがあります。起こる確率は、再手術、抗凝固薬、体格、感染リスク、使用する機器で変わるため、自分の場合の見込みを説明担当者へ確認します。[4][5]

退院後は毎日傷を見て、清潔の保ち方、入浴、被覆材、抜糸の有無を指示どおりにします。腕をまったく動かさないと肩が固くなる一方、初期に強く上げる・重い物を持つ制限が必要な場合があります。期間と範囲を退院前に具体的に聞きます。

05

多くの家電は使えるが、強い磁石は機器から離す

一般的な家庭生活へ戻れる人が多い一方、強い磁気や電磁場は機器に影響することがあります。スマートフォンや磁石付き製品を植え込み部の真上に置かず、メーカーと医療機関の距離指示を守ります。IH調理器、仕事の機械、溶接機器、盗難防止ゲートなどは個別に確認してください。

MRIは「ペースメーカーがあるから一律に不可」ではありません。機器とリードの組み合わせ、植え込み時期、施設の管理体制を確認し、事前に循環器科と検査施設が情報共有します。歯科、手術、放射線治療では機器があることを必ず伝えます。[4][7]

診察室から

日々の循環器内科診療では、「家電は全部怖い」と生活を狭めないよう、患者さんが実際に使うスマートフォン、IH、仕事道具を一つずつ確認します。機器手帳の写真をスマートフォンにも保存し、旅行先や別の医療機関でも機種とリードを伝えられるようにしてもらいます。

運転、仕事、運動、旅行の再開時期は、植え込み理由、失神歴、傷、職種で変わります。退院時に日付と条件を確認します。

06

定期点検と遠隔モニタリングで、電池・リード・不整脈を確認する

外来の機器点検では、電池残量、リードの状態、刺激の強さ、自己脈、記録された不整脈を確認します。遠隔モニタリングは異常の早期把握や来院回数の調整に役立ちますが、救急通報装置ではありません。具合が悪いときは送信だけで待たず、医療機関へ連絡します。[4][6]

電池が少なくなると、余裕を持って本体交換を計画します。リードは問題がなければ残すことがあります。交換時期、遠隔機器の接続状況、転居・旅行時の連絡先を定期的に確認します。治療後の生活の質は改善することが報告されていますが、心不全や心房細動などの管理は引き続き必要です。[8]

機種ごとの注意は異なります。インターネットの一般論だけでなく、自分の機器手帳と植え込み施設の指示を優先してください。

07

よくある質問

携帯電話は使えますか?

多くは使用できますが、植え込み部の真上の胸ポケットに入れず、メーカーと医療機関が示す距離を守ってください。

空港の保安検査は通れますか?

機器手帳を提示し、係員の案内に従います。検査機器の前で長く立ち止まらず、手持ち検査器を植え込み部へ長時間当てないよう伝えます。

MRI検査は受けられますか?

条件付き対応機器も多く、非対応機器でも専門体制下で検討される場合があります。機器とリードを確認し、必ず事前調整します。

電池が切れたら急に止まりますか?

通常は点検で交換時期を予測し、余裕を持って交換します。定期点検を中断せず、連絡先変更も伝えてください。

08

参考文献