- ✓ PRP療法は、自身の血液から抽出した多血小板血漿を用いて、肌の若返りや再生を促す治療法です。
- ✓ 成長因子が豊富に含まれるPRPを注入することで、コラーゲンやエラスチンの生成が促進され、肌のハリや弾力改善が期待できます。
- ✓ 自己血液を使用するためアレルギー反応のリスクが低く、自然なエイジングケアとして注目されています。
PRP(多血小板血漿)療法は、自身の血液を利用して肌の自然な再生能力を高める、革新的な美容医療です。近年、エイジングケアや肌トラブルの改善を目的として、その有効性が注目されています。
PRP(多血小板血漿)療法とは?

PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法は、患者さん自身の血液から高濃度の血小板を抽出・濃縮し、それを肌に注入することで、組織の修復や再生を促進する治療法です。血小板には、細胞の成長や増殖を促す「成長因子」が豊富に含まれており、これらが肌のコラーゲンやエラスチンといった成分の生成を刺激し、肌質の改善や若返り効果をもたらします[1]。
この治療は、もともと整形外科や歯科分野で組織再生を促す目的で広く用いられてきましたが、近年ではその再生能力が美容医療に応用され、しわやたるみ、ニキビ跡、肌のハリ不足といった様々な肌悩みに対応できる治療として注目されています[4]。自己由来の成分を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが極めて低い点が大きな特徴です。
- 多血小板血漿(PRP)
- 血液中の血小板を濃縮した血漿のこと。血小板には、組織の修復や細胞の成長を促進する様々な成長因子が豊富に含まれています。
- 成長因子
- 細胞の増殖、分化、組織の修復などを促進する生理活性物質の総称。PRPにはPDGF、TGF-β、VEGF、EGF、FGFなどが含まれます。
PRP療法はどのように肌に作用するのか?そのメカニズムを解説
PRP療法が肌にもたらす効果は、血小板に含まれる多様な成長因子の働きによるものです。これらの成長因子が、肌の細胞に直接働きかけ、自然な再生プロセスを活性化させます。
成長因子の放出と細胞活性化
PRPを肌に注入すると、血小板が活性化し、その中に蓄えられている成長因子が放出されます。主な成長因子とその働きは以下の通りです。
- PDGF(血小板由来成長因子):細胞の増殖やコラーゲン生成を促進します。
- TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β):組織の修復やコラーゲン・エラスチンなどの細胞外マトリックスの生成を促します。
- VEGF(血管内皮細胞増殖因子):新しい血管の形成を促進し、肌への栄養供給を改善します。
- EGF(上皮細胞増殖因子):表皮細胞の成長を促進し、肌のターンオーバーを整えます。
- FGF(線維芽細胞増殖因子):コラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞の増殖を促します。
これらの成長因子が複合的に作用することで、肌の真皮層にある線維芽細胞が活性化され、コラーゲンやエラスチンの生成が促進されます。これにより、肌のハリや弾力が増し、小じわの改善、毛穴の引き締め、肌全体の若返り効果が期待できるのです[3]。
自己治癒力の向上
PRP療法は、肌の自然な治癒プロセスを模倣し、それを強力に後押しする治療とも言えます。肌に微細な傷をつけ、そこにPRPを注入することで、体が本来持っている修復能力が最大限に引き出され、内側から肌を再生させる効果が期待されます。このため、即効性よりも、時間をかけて徐々に肌質が改善していくのが特徴です。
PRP療法で期待できる効果とは?

PRP療法は、その再生能力により、幅広い肌の悩みに対応できる可能性があります。実臨床では、特に以下のような効果を期待して治療を受けられる患者さんが多く見られます。
- 小じわ・たるみの改善:コラーゲンやエラスチンの生成促進により、肌のハリや弾力が高まり、目元や口元の小じわ、顔全体のたるみが目立ちにくくなります。
- 肌質の改善:乾燥肌、くすみ、毛穴の開きなど、肌全体の質感が向上し、なめらかで透明感のある肌へと導きます。
- ニキビ跡・傷跡の修復:成長因子が組織の再生を促すことで、凹凸のあるニキビ跡やその他の傷跡の改善が期待できます。
- 目の下のクマの改善:血行促進や組織のボリュームアップにより、目の下の青クマや影クマの改善に寄与する場合があります。
- 薄毛治療への応用:頭皮に注入することで、毛包の活性化や血行促進を促し、薄毛の改善にも効果が期待されています[3]。
筆者の臨床経験では、治療開始から2〜3ヶ月ほどで肌のハリ感や小じわの改善を実感される方が多いです。特に、肌全体のトーンアップや毛穴の引き締まりは、多くの患者さんから喜びの声が聞かれる効果の一つです。
PRP療法の治療プロセスと注意点
PRP療法は、いくつかのステップを経て行われます。安全かつ効果的な治療のためには、適切なプロセスと事前の注意点の確認が不可欠です。
治療の流れ
- カウンセリング・診察:医師が患者さんの肌の状態や悩みを詳しく伺い、PRP療法が適しているか、期待できる効果やリスクについて説明します。
- 採血:治療部位や範囲に応じて、腕から少量の血液(通常10〜20ml程度)を採取します。日常診療では、採血時に緊張される患者さんも少なくありませんが、一般的な健康診断とほぼ同じ感覚で行われます。
- PRPの抽出:採取した血液を専用の遠心分離機にかけ、血小板が濃縮されたPRP層を分離・抽出します。この工程は、清潔な環境下で行われることが重要です。
- 麻酔:治療部位に局所麻酔クリームを塗布し、痛みを軽減します。
- PRPの注入:細い針を用いて、PRPを目的の部位(顔、首、手の甲など)に少量ずつ注入します。注入方法は、医師の判断や治療目的によって、手打ち、ダーマペン、水光注射など様々です。
- アフターケア:注入後は、クーリングなどで炎症を抑え、注意事項を説明します。
治療後の経過とダウンタイム
注入後は、個人差はありますが、赤み、腫れ、内出血などが数日程度続くことがあります。これらは一時的なもので、徐々に引いていきます。メイクは翌日から可能な場合が多いですが、医師の指示に従ってください。日焼け対策や保湿ケアをしっかり行うことが大切です。
実際の診療では、「いつから効果が出ますか?」「どれくらい腫れますか?」と質問される患者さんも多いです。効果の現れ方やダウンタイムには個人差がありますが、一般的には数週間から数ヶ月かけて徐々に効果を実感し、ダウンタイムは数日程度で落ち着くことが多いと説明しています。
PRP療法は自己血液を使用するためアレルギー反応のリスクは低いですが、採血や注入時の痛み、内出血、腫れなどの一時的な副作用は起こり得ます。また、稀に感染症のリスクも考えられるため、清潔な環境下で経験豊富な医師による施術を受けることが重要です。
PRP療法のメリット・デメリットとは?

PRP療法は多くの利点を持つ一方で、考慮すべき点も存在します。治療を検討する際は、これらのバランスを理解することが重要です。
メリット
- 自己由来成分で安全性が高い:自身の血液を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが極めて低いとされています[2]。
- 自然な仕上がり:肌本来の再生能力を引き出すため、不自然な変化ではなく、自然な若返り効果が期待できます。
- 幅広い肌悩みに対応:小じわ、たるみ、肌質改善、ニキビ跡など、様々な肌トラブルに効果が期待できます。
- 持続性:一度活性化された細胞は、時間をかけてコラーゲンなどを生成し続けるため、効果の持続期間が比較的長い傾向にあります。
デメリット
- 効果発現までの時間:即効性はなく、肌の再生には時間がかかるため、効果を実感するまでに数週間から数ヶ月を要します。
- 個人差がある:効果の程度や持続期間には個人差があり、全ての人に同じ効果が保証されるわけではありません。
- 複数回の施術が必要な場合がある:より高い効果を得るために、複数回の施術が推奨されることがあります。
- 費用:保険適用外の自由診療となるため、費用は比較的高額になる傾向があります。
臨床現場では、患者さんの期待値と実際の効果の間にギャップが生じないよう、デメリットも含めて丁寧に説明することを心がけています。特に「即効性はないが、時間をかけて自然な改善を目指す治療である」という点は、繰り返しお伝えする重要なポイントです。
| 項目 | PRP療法 | ヒアルロン酸注入 |
|---|---|---|
| 主な作用 | 自己組織の再生促進 | ボリュームアップ、しわの充填 |
| 効果発現 | 数週間〜数ヶ月かけて徐々に | 即効性あり |
| 持続期間 | 1〜2年程度(個人差あり) | 半年〜1年程度(製剤による) |
| 安全性 | 自己由来のためアレルギーリスク低い | アレルギーリスクは低いが異物反応の可能性あり |
| 適応 | 肌質改善、小じわ、ニキビ跡など | 深いしわ、ボリュームアップ、輪郭形成など |
PRP療法の費用相場と治療回数は?
PRP療法は自由診療となるため、その費用はクリニックや治療部位、使用するPRPの量、注入方法などによって大きく異なります。また、効果を最大化するためには複数回の治療が推奨されることもあります。
費用相場
顔全体へのPRP注入の場合、1回あたりの費用は10万円〜30万円程度が目安となることが多いです。目の周りや首など、特定の部位のみの治療であれば、もう少し費用が抑えられる場合もあります。使用するPRPの濃縮度や、成長因子を添加するかどうか(高濃度PRP、FGF添加PRPなど)によっても費用は変動します。
推奨される治療回数と間隔
PRP療法は、1回の治療でも効果を実感できる場合がありますが、より確実で持続的な効果を得るためには、複数回の治療が推奨されることが一般的です。通常、3回程度の治療を1クールとし、1ヶ月〜数ヶ月の間隔を空けて施術を行うことが多いです。治療回数や間隔は、患者さんの肌の状態や目標、医師の判断によって調整されます。
日々の診療では、患者さんの予算やライフスタイルも考慮しつつ、最適な治療計画を一緒に立てるようにしています。特に、効果の持続性を考えると、定期的なメンテナンスも視野に入れることが大切です。
まとめ
PRP(多血小板血漿)療法は、自身の血液から抽出した豊富な成長因子を活用し、肌の自然な再生能力を最大限に引き出す肌再生治療です。小じわやたるみ、肌質の改善、ニキビ跡の修復など、幅広いエイジングケアや肌トラブルの改善に効果が期待できます。自己由来の成分を使用するため安全性が高く、自然な仕上がりが魅力ですが、効果発現までに時間がかかることや、費用が高額になる傾向があることも理解しておく必要があります。治療を検討する際は、専門の医師と十分に相談し、ご自身の肌の状態や目指すゴールに合った治療計画を立てることが重要です。
よくある質問(FAQ)
- Jason Emer. Platelet-Rich Plasma (PRP): Current Applications in Dermatology.. Skin therapy letter. 2020. PMID: 31584784
- Catherine Davies, Richard J Miron. Autolougous platelet concentrates in esthetic medicine.. Periodontology 2000. 2025. PMID: 39086171. DOI: 10.1111/prd.12582
- Ebtisam Elghblawi. Platelet-rich plasma, the ultimate secret for youthful skin elixir and hair growth triggering.. Journal of cosmetic dermatology. 2018. PMID: 28887865. DOI: 10.1111/jocd.12404
- Pouria Samadi, Mohsen Sheykhhasan, Hamed Manoochehri Khoshinani. The Use of Platelet-Rich Plasma in Aesthetic and Regenerative Medicine: A Comprehensive Review.. Aesthetic plastic surgery. 2020. PMID: 30552470. DOI: 10.1007/s00266-018-1293-9
- ディフェリン(アダパレン)添付文書(JAPIC)
- ベピオ(過酸化ベンゾイル)添付文書(JAPIC)
- ダラシン(クリンダマイシン)添付文書(JAPIC)

