狭心症の薬物治療|発作時の薬・抗血小板薬・副作用と安全確認

循環器内科医と患者が狭心症の薬と服薬予定を一つずつ確認する場面
循環器内科|狭心症の薬

狭心症の薬物治療と安全確認

胸痛を抑える薬と、心筋梗塞などを防ぐ薬は役割が異なります。目的と安全確認を一剤ずつ整理します。

最終更新 2026.09.06医学レビュー 2026.09.06
役割を分ける薬の役割を分ける
中止しない抗血栓薬を自己中止しない
連絡する副作用は早めに連絡
結論から

狭心症の薬は、発作を和らげる薬、発作を起こりにくくする薬、心筋梗塞などを防ぐ薬に分けて考えます。薬を使っても胸の圧迫感が改善しない、いつもより長い、冷汗や息苦しさを伴う場合は追加服用を繰り返さず119番を考えてください。抗血小板薬やスタチンは症状がなくても重要で、自己中止しません。

このページで分かること
  • 発作時の薬はどう使う?
  • 症状を抑える薬と再発予防薬の違いは?
  • 副作用や手術前の休薬はどうする?
最初に知っておきたい言葉
硝酸薬
血管を広げて心臓の負担を減らし、狭心症発作を和らげる薬です。
抗血小板薬
血小板が集まるのを抑え、血栓をできにくくする薬です。
スタチン
LDLコレステロールを下げ、動脈硬化に伴う発症を防ぐための薬です。
DAPT
2種類の抗血小板薬を一定期間併用する治療です。
01

薬を使っても治らない胸痛は救急評価を優先する

119番を考える状態

胸の圧迫感が安静でも続く、処方された発作時薬で改善しない、冷汗・息苦しさ・吐き気・失神を伴う場合です。自分で運転しないでください。

発作時薬の具体的な回数と間隔は処方時の指示に従います。過去と同じ症状でも長さや強さが違えば急性冠症候群の可能性があります。[1]

02

症状を取る薬と将来の発症を防ぐ薬を分ける

発作時の薬
舌下・口腔内で使う硝酸薬など。現在の発作を和らげます。
症状予防の薬
β遮断薬、カルシウム拮抗薬、長時間作用型硝酸薬などを、病型・心拍・血圧に合わせます。
血栓を防ぐ薬
抗血小板薬を、冠動脈疾患やPCI歴、出血リスクに応じて使います。
動脈硬化を抑える薬
スタチンなどでLDLコレステロール管理を行います。

冠攣縮性狭心症ではカルシウム拮抗薬が中心となるなど、狭心症の仕組みで薬の選択が変わります。[2][3][4]

03

発作時薬は座って使い、改善しなければ救急へつなぐ

硝酸薬は血圧を下げ、頭痛やふらつきを起こすことがあるため、処方された人が座るか横になり、指示どおり使います。ほかの人の薬を使いません。特定の勃起不全治療薬や肺高血圧症治療薬との併用は危険な血圧低下を起こすため、必ず処方元へ伝えます。[5]

循環器内科医と患者が狭心症の薬と服薬予定を一つずつ確認する場面
図|症状を抑える薬と将来の発症を防ぐ薬を分けて確認する 薬の目的、飲む時刻、副作用、飲み忘れ時の対応をお薬手帳と一緒に整理します。
04

抗血小板薬と脂質管理は、症状がなくても続ける目的がある

冠動脈疾患では、抗血小板薬、脂質低下薬、血圧・糖尿病治療などを、心筋梗塞や脳卒中などを防ぐ目的で使います。PCI後のDAPT期間は、ステント、急性冠症候群、出血リスク、併存疾患で異なります。[2][4][6][7]

05

出血・低血圧・徐脈・筋症状を、薬ごとに確認する

抗血小板薬

黒い便、吐血、止まりにくい出血、強い頭痛・麻痺は早急に相談します。

β遮断薬など

脈が遅い、ふらつき、失神、息苦しさの悪化を確認します。

硝酸薬

頭痛・ほてり・血圧低下と禁忌の併用薬を確認します。

スタチン

強い筋肉痛、脱力、褐色尿、肝機能異常などを相談します。

製品ごとの最新情報はPMDA添付文書と処方時説明を確認します。[5]

06

飲み忘れ・歯科治療・手術前も、自己判断で休薬しない

  1. 薬名と目的を確認

    お薬手帳に市販薬・サプリも含めます。

  2. 飲み忘れ時の指示を確認

    倍量にせず、薬ごとの対応を処方元または薬剤師へ確認します。

  3. 処置予定を早めに共有

    歯科、内視鏡、手術の担当者と処方医で出血と血栓のリスクを調整します。

  4. 症状の変化を記録

    発作の回数、誘因、持続時間、発作時薬の使用を伝えます。

診察室から

日々の循環器内科診療では、お薬手帳を見ながら「この薬は胸痛のため」「こちらはステント血栓や再発を防ぐため」と役割を分けます。副作用が心配なときも、まずどの薬が原因らしいかと中断リスクを整理し、安全に変更できる方法を相談します。

この記事は薬の開始・中止・用量変更を指示するものではありません。妊娠可能性、腎・肝疾患、喘息、低血圧、手術予定がある場合は個別に確認してください。

07

よくある質問

ニトログリセリンを使って治れば心筋梗塞ではありませんか?

治まっても心筋梗塞を否定できません。いつもと違う、長い、冷汗や息苦しさを伴う場合は救急評価を優先します。

症状がないので抗血小板薬をやめてもよいですか?

自己中止しないでください。特にステント後は血栓リスクがあるため、出血が心配でも処方医へ先に相談します。

飲み忘れたら2回分飲みますか?

通常は倍量を避けますが、薬ごとに対応が異なります。処方時の指示か薬剤師へ確認してください。

市販の鎮痛薬と一緒に飲めますか?

出血、腎機能、血圧へ影響する薬があります。商品名を医師・薬剤師へ伝えて確認してください。

08

参考文献