尿失禁の種類と見分け方|腹圧性・切迫性・溢流性・機能性を解説

咳、急な尿意、尿の出しにくさ、移動の困難による尿漏れの場面
UROLOGY / TYPES & ASSESSMENT

尿失禁の4つの種類と見分け方

漏れる直前の尿意、動作、尿の出しにくさを分けると、必要な検査が見えます。

最終更新 2026.09.20監修日 2026.09.20
TRIGGERきっかけを記録
URGE尿意の有無を確認
EMPTYING残尿を見逃さない
結論から

尿失禁は、漏れるきっかけ、直前の尿意、尿の出しやすさで大きく分類します。咳や運動なら腹圧性、急な強い尿意なら切迫性、尿が多く残って漏れる状態、移動・認知・衣服のため間に合わない機能性があります。複数が重なることもあり、症状だけで確定せず尿検査と残尿測定を組み合わせます。

01

急に尿が出ない・しびれる・発熱する時は分類より受診を優先

救急を検討

尿が出ず下腹部が強く張る、急な両脚の脱力、会陰部のしびれ、意識の変化。

当日中に相談

発熱・悪寒、わき腹痛、血の塊を伴う血尿、手術後に急に尿が出にくくなった。

泌尿器科へ予約

尿漏れが続く、パッドが増えた、外出・仕事・睡眠を避けるようになった。

特に、尿が出ずに漏れる、急な脚の力の入りにくさや会陰部のしびれがある場合は、膀胱や神経への負担を早く評価します。血尿、発熱、強い痛みを伴う場合も「いつもの尿漏れ」と考えないでください。[1][2]

02

腹圧性尿失禁は咳・くしゃみ・運動の瞬間に漏れる

腹圧が上がった時に、尿道を支える組織や括約筋が圧に耐えられず漏れます。女性では妊娠・出産、閉経、肥満、慢性の咳、骨盤臓器脱などが関係し、男性では前立腺手術後に起こることがあります。[1][2]

伝えると役立つ場面軽い咳、強い咳、走る、階段、持ち上げる、立ち上がるなど、どの動作から漏れるかを記録します。尿意が先にある場合は混合性の可能性があります。
03

切迫性尿失禁は、急で我慢しにくい尿意の直後に漏れる

玄関の鍵を開ける、水に触れる、寒い場所へ出るなどをきっかけに急な尿意が出て、トイレまで間に合わないことがあります。過活動膀胱の中心症状の一つですが、膀胱炎、結石、血尿を起こす病気、神経疾患などを先に確認します。[3][4]

排尿時痛、発熱、にごり、急に始まった症状があれば尿路感染症を疑います。尿意が強いからといって水分を極端に減らさず、排尿日誌で時間帯、一回量、飲水との関係を見ます。

04

尿の勢い低下・長い排尿・残尿感と漏れが重なる時は残尿を測る

前立腺肥大症、尿道の狭窄、糖尿病や脊髄疾患による膀胱収縮の低下、薬の影響などで、膀胱に尿が多く残ると少しずつ漏れることがあります。一般に溢流性尿失禁と呼ばれますが、原因と残尿量を具体的に確認します。[1][2]

自己判断で骨盤底筋を締め続けない

尿が出にくく残尿が多い人では、排尿時に力を抜くことや尿を安全に出す対応が必要です。腹圧性と同じ訓練だけを自己流で続けず、残尿測定を受けてください。

05

機能性尿失禁は、膀胱だけでなく移動・認知・環境を評価する

尿意を感じても歩行に時間がかかる、衣服を下ろせない、トイレの場所を認識しにくい、介助を頼めないなどで漏れます。膀胱機能の問題を併発することもあるため、環境だけ・病気だけと決めません。

咳、急な尿意、尿の出しにくさ、移動の困難による尿漏れの場面
図|咳や運動、強い尿意、排尿困難、移動の問題など、尿漏れの起こり方を分けて確認します。

定時の声かけ、移動経路、手すり、照明、衣服、ポータブルトイレ、介助方法、夜間の転倒予防を本人の尊厳に配慮して見直します。腹圧性と切迫性が重なる混合性尿失禁では、どちらが生活上つらいかを決め、優先して治療します。[5]

一つの種類に決められない時咳でも急な尿意でも漏れる場合は、腹圧性と切迫性が重なる混合性尿失禁が考えられます。診察では「どちらが多いか」だけでなく、外出、仕事、運動、睡眠のうち、どの場面を最も改善したいかを伝えます。先に取り組む症状を決めやすくなります。

機能性尿失禁では、本人の膀胱だけを治療しても十分でないことがあります。トイレまでの距離、段差、照明、手すり、衣服の着脱、歩行補助具、声かけの時刻を確認します。本人が間に合わない理由を責めず、家族、看護・介護職、リハビリ担当者と環境を整えることも治療の一部です。

06

3日程度の排尿日誌と尿検査・残尿測定で分類を確かめる

排尿時刻・量、漏れた時刻・きっかけ、尿意、飲水、パッド交換を記録します。診察では腹部・神経・骨盤底などを必要に応じて確認し、尿検査、残尿測定を行います。咳で実際に漏れるかを確認する咳ストレステスト、パッド重量、尿流測定などを目的に応じて追加します。[2][4][6]

診察室から

「気づいたら漏れていた」という表現だけでは分類しにくいため、最後にトイレへ行った時刻、漏れた時の姿勢、直前の尿意、排尿後のすっきり感を順に伺います。答えられない項目があっても問題ありません。分かる範囲をつなぐことが検査選びに役立ちます。

受診前に三日ほど、排尿時刻、だいたいの量、漏れた時刻、直前の尿意、きっかけ、パッド交換を記録すると役立ちます。記録できない日があっても受診を延期する必要はありません。お薬手帳と、出産、骨盤・前立腺手術、脳・脊髄疾患、糖尿病、便秘、歩行状態も分かる範囲で伝えます。

パッドの枚数だけでは漏れの重さを比較できません。吸収量や交換のタイミングが違うためです。少量でも外出を避けている、夜に眠れない、皮膚が荒れるなど、生活への影響をそのまま相談してください。症状が急に変わった日付も大切な手掛かりです。必要なら家族の同伴も役立ちます。

07

よくある質問

腹圧性と切迫性の両方があることはありますか?

あります。混合性尿失禁と呼び、咳の時と強い尿意の時の漏れを分けて記録します。生活上より困る症状から治療することがあります。

寝ている間の尿漏れはどの種類ですか?

夜尿、夜間多尿、睡眠障害、薬、尿閉など複数の原因があります。夜の尿量と起きた時刻を記録し、成人で新たに始まった場合は相談してください。

尿漏れが少量なら受診しなくてよいですか?

量が少なくても、血尿・痛み・排尿困難がある、生活を制限している、急に始まった場合は受診を勧めます。困り方も治療判断の大切な情報です。

尿失禁の検査は痛いですか?

初診の多くは問診、尿検査、超音波による残尿測定など負担の少ない検査です。内診や尿流動態検査などは必要性と方法を説明してから行います。

08

参考文献