気胸(自然気胸)とは|症状・検査・治療、救急受診と再発の目安

診察室で片側の胸痛と気胸の仕組みについて呼吸器内科医に相談する患者
Respiratory medicine / Pneumothorax

気胸(自然気胸)の症状と受診目安

突然の胸痛を放置せず、救急の目安と検査・治療の流れを短時間で確認するための案内です。

更新日 2026.09.20監修日 2026.09.20
緊急強い息苦しさは119番
検査画像で肺の状態を確認
治療大きさだけで決めない
結論から

気胸は、肺から漏れた空気が肺の外側の空間(胸腔)にたまり、肺が広がりにくくなる病気です。突然の片側の胸痛や息切れが代表的ですが、症状だけで確定できません。会話が難しいほどの呼吸困難、冷汗、失神、意識の変化があれば119番を考え、症状が軽くても突然始まった胸痛は当日中の対面評価を検討してください。[1][2]

目的から選ぶ仕組み・リスク・検査・治療の詳しい解説を見る
01

強い息苦しさ・冷汗・失神は緊急対応を優先する

強い息苦しさ・冷汗・意識の変化は119番を考える

突然の胸痛に加えて、会話が難しいほど苦しい、顔色や唇が青紫色、冷汗、ふらつき・失神、意識がはっきりしない場合は、記事を読み続けず救急要請を考えてください。自分で運転しないでください。

緊急時は119番へ

気胸では、空気が急速に増えて心臓や反対側の肺まで圧迫する緊張性気胸になることがあります。胸痛の強さだけで安全性は判断できません。呼吸の速さ、顔色、意識、血圧低下を疑う症状があれば救急対応を優先します。[1][2]

突然の胸痛は肺塞栓症や心筋梗塞などでも起こります。「若いから」「筋肉痛だと思うから」と様子をみ続けず、発症時刻と呼吸の苦しさを医療者へ伝えてください。[1][2]

02

肺を包む空間に空気がたまり、肺が広がりにくくなる

肺の表面と胸壁の間には胸腔という薄い空間があります。肺表面の弱い部分などから空気が漏れると、肺が内側へしぼみ、胸痛や息切れが起こります。明らかな肺疾患がない人に起こる原発性自然気胸と、COPD・間質性肺疾患などを背景に起こる続発性自然気胸では、同じ大きさに見えても体への影響が異なります。[1][2][3]

診察室で片側の胸痛と気胸の仕組みについて呼吸器内科医に相談する患者
図|突然の胸痛では呼吸状態を先に確認 気胸の広がりと全身状態は診察と画像で判断します。
診察室から

呼吸器内科の診察では、痛む側や発症時刻だけでなく、安静時と歩行時の息苦しさ、喫煙歴、過去の気胸、COPDや間質性肺炎などの既往を確認します。同じ画像上の広がりでも呼吸の余力は人によって違うため、症状と全身状態を一緒に判断します。これは診察での観察であり、画像検査に代わるものではありません。

03

知りたいことに合わせて、症状・原因・治療・退院後を選ぶ

いま症状がある場合は、まず救急の目安を確認してください。落ち着いている場合は、原因の違い、検査と治療、退院後の生活の順に読むと判断しやすくなります。

04

まず呼吸状態を確認し、胸部X線を中心に診断する

医療機関では酸素飽和度、呼吸数、脈拍、血圧を確認し、胸部X線で胸腔内の空気と肺の広がりを評価します。原因となる肺疾患、画像で分かりにくい小さな気胸、手術の検討などではCTを追加することがあります。救急では肺超音波が役立つ場合もありますが、検査を組み合わせて判断します。[1][2][4]

診察
発症時刻、息苦しさ、血圧・脈拍・酸素化、左右の呼吸音を確認
胸部X線
胸腔内の空気と肺の広がりを評価
CT・超音波
原因疾患や分かりにくい所見、緊急時の補助として選択

緊張性気胸が疑われ、循環や呼吸が不安定な場合は、画像検査の完了を待たず緊急処置が必要になることがあります。[1][2]

05

症状・呼吸の安定・背景疾患を合わせて治療を選ぶ

症状が軽く全身状態が安定した原発性自然気胸では、観察や外来管理を選べる場合があります。一方、強い症状、呼吸への影響、続発性気胸、空気漏れの持続などでは、針で空気を抜く処置や胸腔ドレナージ、手術を検討します。海外ガイドラインは大きさだけでなく症状と安定性を重視していますが、日本の医療体制や個別の病状を踏まえて決めます。[2][3][5]

「小さい=必ず自宅」「大きい=必ず手術」ではない

画像上の大きさは重要な情報ですが、呼吸の安定、基礎疾患、空気漏れ、再発歴、通院可能性も含めて治療場所と方法を決めます。[2][3]

胸腔ドレーンは胸腔内の空気を外へ逃がし、肺が広がるのを助ける治療です。手術では空気漏れの原因となる部分を処置し、再発を減らす目的の処置を組み合わせることがあります。どの治療でも再発を完全にゼロにはできません。[2][3][6]

06

退院後は再発症状、再診、運動・飛行機の時期を確認する

退院時には、次の胸部X線、再発時の連絡先、仕事・運動・飛行機の再開時期を確認します。胸痛や息切れが再び急に出たら、前回と同じ程度かを自分で見極めようとせず、再評価を受けてください。禁煙は肺の健康に加え、原発性自然気胸の再発を減らす可能性が示されています。[2][7]

未治療の気胸が残る状態では飛行機に乗らないでください。BTSは胸部X線で完全な改善を確認してから7日後以降を目安としていますが、再発リスクや治療内容で個別判断が必要です。ダイビングは飛行機と同じ扱いではなく、原則としてより厳しい制限があるため専門医へ相談します。[2][8]

07

よくある質問

気胸は自然に治ることがありますか?

症状が軽く全身状態が安定した一部の原発性自然気胸では、観察で改善を待つ場合があります。ただし画像と診察による選択が必要で、自己判断の自宅安静とは異なります。

胸痛が軽ければ翌日まで待ってよいですか?

突然始まった胸痛は気胸以外の緊急疾患もあります。息苦しさ、冷汗、ふらつきがあれば119番を考え、軽くても当日中に相談できる医療機関へ連絡してください。

一度治れば再発しませんか?

再発することがあります。再び胸痛や息切れが出た場合は前回と比較して様子をみず、医療機関へ相談してください。

飛行機はいつから乗れますか?

未治療の気胸がある間は搭乗できません。胸部X線で完全な改善を確認した後も、時期を主治医と航空会社へ確認してください。

08

参考文献