【全身脱毛の流れ:施術時間・回数・費用相場を医師が解説】

全身脱毛の流れ:施術時間・回数・費用相場
全身脱毛の流れ:施術時間・回数・費用相場を医師が解説
最終更新日: 2026-05-24
📋 この記事のポイント
  • ✓ 全身脱毛は医療レーザー脱毛が主流で、毛周期に合わせて複数回の施術が必要です。
  • ✓ 施術時間は全身で60分から90分程度、回数は5〜8回が目安で、費用相場は20〜40万円程度です。
  • ✓ 事前のカウンセリングで肌質や毛質を評価し、適切な脱毛機を選択することが安全で効果的な脱毛につながります。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

全身脱毛は、ムダ毛の悩みを解消し、自己処理の手間を省くための有効な手段として広く認知されています。医療機関で行われる全身脱毛は、医療レーザーや光脱毛器を用いて毛根のメラニン色素に反応させ、毛の再生能力を抑制することで永久的な減毛を目指します[1]。ここでは、全身脱毛の具体的な流れ、施術時間、必要な回数、そして費用相場について、専門医の視点から詳しく解説します。

全身脱毛とは?医療脱毛のメカニズムと種類

医療全身脱毛のメカニズムと種類を解説するフローチャート
全身脱毛のメカニズムと種類

全身脱毛とは、顔から足先まで、広範囲のムダ毛を対象とした脱毛方法です。特に医療機関で行われる医療脱毛は、高出力のレーザーや光を使用し、毛の成長を司る毛乳頭や毛母細胞を破壊することで、長期的な減毛効果が期待できます[2]

医療レーザー脱毛の仕組み

医療レーザー脱毛は、特定の波長の光を照射し、毛のメラニン色素に吸収させることで熱エネルギーを発生させます。この熱が毛根周囲の組織に伝わり、毛の再生能力を破壊するという仕組みです[3]。主なレーザーの種類には、アレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザー、YAGレーザーなどがあります。それぞれのレーザーには特徴があり、肌の色や毛質、部位によって使い分けられます。

アレキサンドライトレーザー
波長が短く、メラニン色素への吸収率が高いため、太くて濃い毛に高い効果を発揮します。日本人の肌質や毛質に合いやすいとされています。
ダイオードレーザー
アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーの中間の波長を持ち、幅広い肌質や毛質に対応可能です。蓄熱式脱毛にも用いられ、痛みが比較的少ないのが特徴です。
YAGレーザー
波長が長く、肌の深部まで届くため、根深い毛や日焼けした肌にも比較的安全に照射できます。メラニン色素への反応は穏やかですが、深部の毛に効果を発揮します。

これらのレーザーは、毛周期の「成長期」にある毛に最も効果的に作用します。そのため、全身の毛を効率よく脱毛するには、毛周期に合わせて複数回の施術が必要となるのです。

全身脱毛の具体的な流れとは?

全身脱毛の施術は、いくつかの段階を経て行われます。ここでは一般的な医療脱毛の流れを解説します。

1. カウンセリングと診察

まず、医師や看護師によるカウンセリングと診察が行われます。ここでは、脱毛に関する不安や疑問点の解消、肌質や毛質の確認、既往歴や服用中の薬の確認などが行われます。実際の診療では、「アトピー性皮膚炎があるのですが、脱毛できますか?」「ケロイド体質でも大丈夫でしょうか?」といった質問をされる方が少なくありません。肌の状態を詳細に評価し、安全に施術できるかを判断することが非常に重要です。

この段階で、脱毛のメカニズム、期待できる効果、リスク、費用などについて詳しく説明を受け、納得した上で施術の契約に進みます。

2. 事前準備(自己処理)

施術前日または当日に、脱毛部位の自己処理(シェービング)が必要です。レーザーは毛のメラニン色素に反応するため、毛が長すぎると表面で熱エネルギーが分散され、火傷のリスクが高まるだけでなく、効果も低下します。カミソリではなく、電気シェーバーの使用が推奨されます。毛抜きやワックスによる処理は、毛根を抜いてしまうため、レーザーが反応する毛がなくなってしまい、脱毛効果が得られなくなるため避けてください。

3. 施術

施術当日は、まず肌の状態を最終確認します。日焼けや肌荒れがある場合は、施術を延期することもあります。その後、脱毛部位に冷却ジェルを塗布し、レーザーを照射します。痛みを軽減するために、冷却装置が搭載された脱毛機を使用したり、麻酔クリームを使用したりすることもあります。臨床現場では、「思ったより痛くなかった」「チクチクする程度だった」という感想を話される患者さんもいれば、「部位によっては熱い感覚があった」と訴える方もいらっしゃいます。痛みの感じ方には個人差が大きいと感じています。

4. 施術後のケア

施術後は、肌の炎症を抑えるために冷却したり、保湿剤や炎症止めの軟膏を塗布したりします。日焼け対策も非常に重要です。レーザー照射後の肌はデリケートになっているため、紫外線による刺激は色素沈着のリスクを高めます。日焼け止めを塗る、日傘を使うなど、徹底した紫外線対策が必要です。

⚠️ 注意点

施術後の肌は非常にデリケートです。保湿を怠ると乾燥による肌トラブルを招きやすく、日焼けは色素沈着や火傷のリスクを高めるため、十分なケアを心がけましょう。

全身脱毛の施術時間と必要な回数は?

全身脱毛の施術時間と必要な回数をまとめた表
全身脱毛の施術時間と回数

全身脱毛は一度で完了するものではなく、複数回の施術が必要です。施術時間や回数は、使用する脱毛機、脱毛範囲、毛質、肌質によって異なりますが、一般的な目安があります。

全身脱毛1回あたりの施術時間

全身脱毛の1回あたりの施術時間は、顔やVIOを含むかどうか、使用する脱毛機やクリニックの方針によって変動しますが、一般的には60分から90分程度が目安です。広範囲を効率よく照射できる最新の脱毛機を使用することで、施術時間を短縮できる場合があります。日常診療では、施術時間の短縮を希望される方も多く、スピーディーかつ丁寧な施術を心がけています。

  • 顔・VIOを除く全身: 60分〜80分
  • 顔・VIOを含む全身: 75分〜90分

全身脱毛に必要な回数と期間

脱毛は毛周期に合わせて行う必要があるため、複数回の施術が必要です。毛周期には成長期、退行期、休止期があり、レーザーが効果を発揮するのは成長期の毛のみです[4]。全身の毛が一度に成長期になるわけではないため、期間を空けて繰り返し施術を行うことで、徐々に毛量を減らしていきます。

  • 自己処理が楽になる目安: 3〜5回
  • ツルツルを目指す目安: 5〜8回以上

施術間隔は、部位によって異なりますが、一般的には1ヶ月半から3ヶ月程度です。全身脱毛の場合、全ての部位の毛周期を考慮し、2ヶ月に1回程度のペースで通うのが一般的です。筆者の臨床経験では、治療開始から3〜4ヶ月ほどで自己処理の頻度が減り、6ヶ月〜1年ほどで明らかな減毛を実感される方が多いです。

トータルの期間としては、5回コースで約1年、8回コースで約1年半〜2年程度かかることが多いです。

全身脱毛の費用相場はどれくらい?

全身脱毛の費用は、クリニックやプラン、回数、脱毛範囲によって大きく異なります。医療脱毛は自由診療のため、保険適用外となります。

全身脱毛の費用相場

全身脱毛の費用相場は、回数や範囲によって変動しますが、おおよその目安は以下の通りです。

  • 全身(顔・VIO除く)5回コース: 20万円〜35万円
  • 全身(顔・VIO含む)5回コース: 30万円〜45万円

これらの費用はあくまで目安であり、クリニックの立地、使用する脱毛機、追加オプション(麻酔代、シェービング代、キャンセル料など)によって総額は変わってきます。日々の診療では、「提示された料金以外に追加費用がかかるのではないか」と心配される患者さまも少なくありません。契約前に、追加費用が発生する可能性のある項目について、しっかりと確認することが重要です。

医療脱毛とエステ脱毛の費用比較

医療脱毛とエステ脱毛では、費用だけでなく、効果や安全性にも違いがあります。以下の比較表でご確認ください。

項目医療脱毛エステ脱毛
施術者医師・看護師エステティシャン
使用機器医療用レーザー・光脱毛器美容用光脱毛器
出力高出力低出力
効果永久的な減毛効果が期待できる抑毛・減毛効果(一時的)
痛み比較的強い場合がある(麻酔使用可)比較的少ない
費用相場(全身5回)20万円〜45万円程度5万円〜20万円程度
トラブル時の対応医師による診察・処置提携医療機関への紹介

医療脱毛はエステ脱毛と比較して費用が高くなる傾向がありますが、医療従事者が高出力の機器を使用するため、より高い効果と安全性が期待できます。万が一の肌トラブルが発生した場合でも、医師が迅速に対応できる点は大きなメリットです。

全身脱毛を安全に進めるための注意点は?

全身脱毛を成功させるためには、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。安全かつ効果的に脱毛を進めるためのポイントを解説します。

日焼けに注意する

レーザー脱毛は、毛のメラニン色素に反応する原理を利用しています。日焼けした肌にはメラニン色素が多く含まれるため、レーザーが毛だけでなく肌にも反応し、火傷や色素沈着のリスクが高まります。そのため、施術期間中は徹底した日焼け対策が必要です。日常診療では、夏場に日焼けをしてしまい、施術を延期せざるを得ないケースをよく経験します。施術を計画する際は、日焼けのしやすい季節を考慮することも大切です。

肌の状態を良好に保つ

乾燥肌や肌荒れがある場合、レーザー照射による刺激で症状が悪化したり、火傷のリスクが高まったりすることがあります。施術前後は、保湿ケアをしっかり行い、肌の状態を良好に保つよう心がけましょう。また、アトピー性皮膚炎などの持病がある場合は、カウンセリング時に必ず医師に伝え、肌の状態を診てもらうことが重要です。

自己処理は電気シェーバーで

施術前の自己処理は、電気シェーバーで行うのが最適です。毛抜きやワックス、除毛クリームは、毛根にダメージを与えたり、肌に負担をかけたりするため、脱毛効果の低下や肌トラブルの原因となる可能性があります。特に毛抜きは、レーザーが反応する毛がなくなってしまうため、絶対に避けてください。

生理中のVIO脱毛は避ける

生理中はホルモンバランスの変化により肌が敏感になりやすく、痛みを感じやすくなることがあります。また、衛生面の問題もあるため、VIO(デリケートゾーン)の脱毛は避けるのが一般的です。多くのクリニックでは、生理中のVIO脱毛は行っていません。予約の際には、生理周期を考慮して計画を立てるようにしましょう。

薬の服用や持病の申告

一部の薬(光線過敏症を引き起こすものなど)や持病(てんかん、糖尿病、ケロイド体質など)は、脱毛施術に影響を与える可能性があります。カウンセリング時には、現在服用している薬や持病について、正確に申告することが非常に重要です。安全な施術のために、医師が適切に判断できるよう、必要な情報は全て伝えるようにしてください。

全身脱毛後の経過とアフターケアの重要性

全身脱毛後の肌状態とアフターケアの重要性を示す概念図
脱毛後の経過とアフターケア

全身脱毛は施術を受けて終わりではありません。施術後の適切なケアが、効果の最大化と肌トラブルの予防に直結します。

脱毛後の毛の抜け方

レーザー照射後、すぐに毛が抜け落ちるわけではありません。照射された毛は、数日〜2週間程度で自然に抜け落ちていきます。これを「ポップアップ現象」と呼ぶこともあります。無理に引き抜いたりせず、自然に抜け落ちるのを待ちましょう。抜け落ちた毛の毛穴は目立たなくなり、肌のトーンアップ効果を感じる方もいらっしゃいます。

保湿ケアの徹底

施術後の肌は、レーザーの熱によって乾燥しやすくなっています。乾燥は肌のバリア機能を低下させ、かゆみや炎症などの肌トラブルを引き起こす原因となります。そのため、日頃からボディクリームやローションで全身をしっかりと保湿することが非常に重要です。特に、入浴後など肌が清潔な状態の時に保湿を行うと良いでしょう。臨床現場では、保湿をしっかり行うことで、次回の施術時の肌トラブルが軽減されるケースを多く経験しています。

紫外線対策の継続

脱毛期間中は、施術部位だけでなく全身の紫外線対策を継続することが大切です。日焼けは色素沈着のリスクを高めるだけでなく、次回の施術を延期せざるを得なくなる原因にもなります。SPF値の高い日焼け止めを塗る、長袖を着用する、日傘を利用するなど、年間を通して紫外線対策を徹底しましょう。

肌トラブル時の対応

万が一、施術後に赤み、腫れ、かゆみ、水ぶくれなどの肌トラブルが発生した場合は、自己判断せずに速やかに施術を受けた医療機関に連絡し、医師の診察を受けるようにしてください。医療機関であれば、適切な処置や薬の処方が可能です。実際の診療では、施術後に軽度の赤みや腫れを訴えて受診される方が増えています。ほとんどの場合、適切な処置で速やかに改善しますが、早期の対応が重要です。

まとめ

全身脱毛は、計画的に進めることで、ムダ毛の悩みから解放され、自信を持った肌を手に入れることができる有効な方法です。医療機関での脱毛は、専門的な知識と高出力の機器により、高い効果と安全性が期待できます。施術の流れを理解し、施術時間や回数、費用相場を把握した上で、ご自身のライフスタイルや予算に合ったプランを選択することが重要です。また、施術前後の適切なケアや、肌トラブル時の迅速な対応も、安全で効果的な脱毛を実現するために欠かせません。疑問や不安があれば、必ず事前に医療機関の専門医に相談し、納得した上で施術を始めるようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

全身脱毛の痛みはどれくらいですか?
痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には輪ゴムで弾かれるようなチクッとした痛みを感じることが多いです。特に毛が濃いVIOや脇などは痛みを感じやすい傾向があります。多くの医療機関では、痛みを軽減するために冷却装置付きの脱毛機を使用したり、麻酔クリームや笑気麻酔を用意したりしていますので、痛みが心配な場合は事前に相談してください。
全身脱毛で永久脱毛は可能ですか?
「永久脱毛」という言葉は、厳密には「永久的な減毛」を指します。米国電気脱毛協会(AEA)の定義では、「最終脱毛から1ヶ月後の毛の再生率が20%以下である状態」とされています。医療レーザー脱毛は、毛根を破壊することで長期的な減毛効果が期待でき、自己処理がほとんど不要な状態を目指すことが可能です。完全に一本も生えてこない状態を保証するものではありませんが、非常に高い効果が得られます。
全身脱毛は何歳から受けられますか?
一般的に、医療脱毛は成長期を終え、ホルモンバランスが安定した時期から推奨されます。未成年者の場合は、保護者の同意が必要となることがほとんどです。多くの医療機関では、16歳以上から施術を受け付けていますが、個々の成長段階やホルモンバランスによって適応が異なるため、まずはカウンセリングで医師に相談することをお勧めします。
全身脱毛の施術後、毛が濃くなることはありますか?
ごく稀に、「硬毛化(こうもうか)」や「増毛化(ぞうもうか)」と呼ばれる現象が起こることがあります。これは、レーザーの刺激によって、逆に毛が太くなったり増えたりするように見える現象です。原因はまだ完全には解明されていませんが、特に背中や二の腕などの産毛に生じやすいとされています。万が一このような症状が現れた場合は、施術を受けた医療機関に相談し、適切な対処法について検討してもらうことが重要です。
この記事の監修
👨‍⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医