5種混合ワクチン
回数・四種混合からの切り替え
2024年4月からの5種混合を中心に、母子健康手帳から5つの成分と過去の四種混合・Hib記録を照合します。
5種混合ワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hib感染症を一つの製剤で予防します。2024年4月から定期接種に導入され、標準的には生後2か月から初回3回、その後に追加1回を行います。四種混合と単独Hibで始めた子どもは、両方の接種日・回数・製品を確認し、原則同じ製剤で完了する方針を基本に医療機関で続きを決めます。[1][2]
まず30秒で接種後の緊急度を確認
ワクチン名が分からなくても、呼吸・顔色・反応・水分と症状が出た時刻で優先度を判断します。
息が苦しい、唇や舌が腫れる、全身のじんましんに呼吸症状や繰り返す嘔吐を伴う、顔色が悪い、意識や反応が乏しい、けいれんが続く。
高熱が続いてぐったりする、水分がとれず尿が減る、繰り返し吐く、接種部位の赤み・腫れ・痛みが急速に広がる、普段と明らかに反応が違う。
接種部位に限られた軽い赤み・腫れ・痛み、短時間の機嫌不良、全身状態がよく水分と尿が保たれている発熱。症状と時刻を記録します。
- 5種混合
- ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hibの5成分を含むワクチン。
- 初回接種
- 短い間隔で免疫の土台を作る最初の3回。
- 追加接種
- 初回接種後に免疫を保つため行う接種。
相談時に伝えるメモ:接種日と時刻、ワクチン名、症状が始まった時刻、体温、接種部位の写真、呼吸・水分・尿・反応。緊急時は記録より受診を優先します。
5種混合は四種混合とHibを一つにしたワクチン
従来の四種混合が含むジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオに、Hib成分を加えた混合ワクチンです。一回の注射で五つの病気に対する免疫を作り、乳児期の接種本数を整理しやすくします。
5種混合を一回受ければ五つの接種がすべて完了するという意味ではありません。初回3回と追加1回のシリーズで免疫を作るため、回数と間隔を母子健康手帳で確認します。日本の乳幼児を対象にした試験でも、混合製剤の免疫原性と安全性が評価されています。[3]
診察室では、母子健康手帳の「五種」「四種」「Hib」の三か所を同時に開きます。四種混合を2回、Hibを3回など回数がずれている時は、五つの成分ごとに接種日を並べ直します。「注射が合計何本」ではなく、各成分の有効な回数から次を決めます。
予防する5疾患は重症化の仕方が異なる
| 疾患 | 主な問題 | 接種後も注意すること |
|---|---|---|
| ジフテリア | 咽頭病変、心筋・神経合併症 | 渡航や流行情報 |
| 百日咳 | 乳児の無呼吸・重いせき | 家庭内の長引くせき |
| 破傷風 | 傷から感染し筋肉が硬直 | 汚れた深い傷は受診 |
| ポリオ | まひを残すことがある | 海外の流行情報 |
| Hib | 髄膜炎・菌血症など | 他原因の重症感染 |
ワクチンは対象疾患の発症や重症化を減らしますが、せき、発熱、髄膜炎などすべての原因を防ぐものではありません。接種歴があっても重い症状があれば診察を受けます。
生後2か月から初回3回と追加1回を行う
定期接種の対象は生後2か月から7歳6か月になる前までです。標準的には生後2か月から初回3回を3〜8週間隔で行い、初回3回終了後6〜18か月あけて追加1回を行います。[1]
開始が遅れた場合、予定より間隔が空いた場合、基礎疾患や治療がある場合は個別に日程を調整します。済んだ有効な接種を生かせることが多いため、自己判断で一回目からやり直さず母子健康手帳を持参します。
四種混合とHibからの切り替えは二つの記録を照合する
原則として、同じ種類のワクチンで接種を完了します。すでに四種混合とHibで始めた場合は、その組み合わせで続けるのが基本です。一方、国は供給事情などで5種混合へ切り替える場合の安全性・有効性を確認し、接種歴を踏まえた対応を案内しています。[2]
接種日、製品、初回・追加の別。
開始年齢、接種日、回数。
切り替え後の回数と製品。
五つの成分を不足・重複なく調整。
供給状況や自治体運用は変わるため、予約時に過去の接種歴を伝え、医療機関が準備できる製品を確認してください。
肺炎球菌・B型肝炎・ロタなどと同時接種できる
5種混合は、年齢と接種歴が合えば小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなどと同じ日に接種できます。それぞれ別の注射器・部位を使い、経口ワクチンは投与経路を分けます。同時接種に関する小児の系統的レビューでも、製品の組み合わせごとに安全性が評価されています。[4]
同時接種を分ける選択をする場合は、年齢上限と次回の来院可能日を確認します。分けたまま次回日が決まらないと、感染症に無防備な期間が長くなるためです。
副反応は接種部位・発症時刻・全身状態で見る
接種部位の赤み、腫れ、痛み、しこり、発熱、機嫌不良などがみられることがあります。複数成分を含むため、症状だけでどの成分による反応か家庭で特定することはできません。海外の無作為化試験でも、5種混合と分けた接種の免疫原性・安全性が比較されています。[5][6]
呼吸困難、唇や舌の腫れ、全身じんましんと嘔吐、顔色不良、反応低下は救急症状です。高熱が続く、飲めない、尿が減る、腫れが急速に広がる場合は当日中に相談します。
五つの成分と次回日を記録する
- 過去の欄を開く
五種・四種・Hibを同時に確認。
- 当日の体調を伝える
発熱、食事・哺乳、治療、過去の反応。
- 製品と部位を残す
日付、ロット、左右も記録。
- 追加まで予約する
初回3回と追加1回を区別。
接種後の発熱相談では、同日に肺炎球菌やロタなどを受けたか、どの腕・脚に何を接種したかを確認します。腫れは写真と時刻を残し、熱だけでなく哺乳量、尿、眠り方、呼吸を聞きます。次回は今回の反応を予診票に具体的に記載して再評価します。
よくある質問
5種混合は何を予防しますか?
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hib感染症の五つです。
四種混合を受けた子は5種混合へ変えますか?
原則は同じ製剤で完了します。供給など事情がある時は四種混合とHibの両方の記録から医師が判断します。
5種混合は一回で完了しますか?
いいえ。標準的には初回3回と追加1回です。開始時期と過去の接種歴により個別に確認します。
同時接種で副反応が強くなりますか?
発熱や局所反応がみられることはありますが、推奨される組み合わせは安全性が評価されています。全身状態を含めて観察します。
参考文献
- 厚生労働省:5種混合ワクチン
- 厚生労働省:5種混合ワクチン導入後の接種方法に関する案内
- Immunogenicity and safety of a DTaP-IPV/Hib pentavalent vaccine in healthy infants and toddlers in Japan. 2020. PMID: 32307307
- Safety of co-administration of injectable vaccines in individuals under 18 years of age: A systematic literature review. 2025. PMID: 41335471
- Immunogenicity and safety of DTPa-IPV/Hib vaccine in infants: phase III randomized study. 2018. PMID: 30431387
- Safety and immunogenicity of a pentavalent vaccine versus separate vaccines: randomized clinical trial. 2009. PMID: 19117896
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