老人性色素斑の
Qスイッチレーザー
「どの波長が上か」ではなく、病変の診断、色と深さ、肌タイプ、照射後の管理まで含めてQスイッチレーザーを読み解きます。
Qスイッチレーザーは、非常に短い時間に色素へエネルギーを届ける色素レーザーで、診断された老人性色素斑の選択肢です。ルビー、アレキサンドライト、Nd:YAGなどは波長と特性が異なりますが、機種名だけで治療成績は決まりません。照射条件、病変、肌タイプ、術後管理を合わせて判断し、PIHや色素脱失も説明を受けてから治療します。
Qスイッチレーザーの適応をどう判断する?
比較的濃く、境界が明瞭な老人性色素斑は候補になりやすい一方、肝斑・ADM・そばかす・脂漏性角化症・悪性病変では治療計画が異なります。
選択肢になり得る状態
- 医師が老人性色素斑と診断した
- 限局した平坦な褐色斑
- 痂皮やテープ保護を許容できる
先に診断・調整が必要な状態
- 非対称、色むら、急な拡大、出血がある
- 肝斑が重なる可能性がある
- 最近の日焼け、皮膚炎、感染がある

「以前別のクリニックでシミと言われた」という情報だけで照射を決めないようにしています。時間が経って形や色が変わることもあるため、その日の病変を改めて診察し、少しでも非典型なら美容照射を急ぎません。
ルビー・アレキサンドライト・Nd:YAGの違い
Qスイッチはパルス幅の方式、ルビー・アレキサンドライト・Nd:YAGはレーザー媒質や波長の違いです。メラニンへの吸収、届く深さ、表皮への影響が異なります。
| 代表的な波長 | 一般的な特徴 | 選択時の視点 |
|---|---|---|
| 694nm ルビー | メラニンへの吸収が比較的高い | 病変と肌タイプ、色素脱失などのリスクを評価 |
| 755nm アレキサンドライト | 694nmと1064nmの中間的な波長 | 装置、照射条件、病変の反応で判断 |
| 532nm Nd:YAG | 表在性色素へ用いられることがある | 表皮への反応、PIH・熱傷に注意 |
| 1064nm Nd:YAG | より深部へ届きやすい | 低出力反復照射など別目的の用法と区別 |
波長の説明は適応判断の一部です。スポット径・パルス幅・出力・重ね打ち・冷却が違えば、同じ名称でも皮膚反応は変わります。
照射から治療後評価までの流れ
病変を診察し、同じ照明・角度の写真を残します。
肌タイプ、部位、病変の色、過去の反応をもとに設定します。
眼を保護して照射し、必要に応じて冷却や被覆を行います。
こすらず、指示された洗浄・保湿・保護・紫外線対策を行います。
痂皮が取れた直後だけでなく、PIHが出る時期も含めて判定します。

Qスイッチレーザーの副作用と受診目安
痛み、赤み、腫れ、濃色化、痂皮、PIH、色素脱失、色むら。
強まる痛み、水疱、膿、赤みの拡大、出血、治りにくいびらん。
532nm QスイッチNd:YAG後のPIHを扱った2024年の小規模RCTでは、強い術後紅斑と屋外活動がPIHと関連しました。研究対象と条件が限られるため頻度をそのまま全患者に当てはめず、PIHが起こり得ることと対処計画を個別に共有します。[5]
治療後の詳しいガイドかさぶた・PIH・受診目安を確認する比較試験から分かるQスイッチの位置づけ
- 2025年 系統的レビュー
- レーザーを含む複数治療に有効性が報告されていますが、41試験は装置・部位・評価法が多様で、最適治療を一つに決めるには追加研究が必要です。[1]
- Qスイッチ対IPL
- アジア人のそばかす・日光性色素斑を対象にした分割顔RCTがあります。病変タイプや装置条件を超えた一律の優劣は示しません。[2]
- 他レーザーとの比較
- QスイッチNd:YAGとフラクショナルCO2を比べたRCTがあり、治療成績だけでなく副作用や回復過程も比較されています。[3]
- ピーリングとの比較
- 手背の日光性色素斑で532nm QスイッチNd:YAGと35% TCAを比べた分割手RCTがあります。部位が手背のため、顔へそのまま一般化できません。[4]
Qスイッチレーザーでよくある質問
ルビー・アレキサンドライト・YAGはどれが一番ですか?
一律の順位はありません。波長だけでなく病変の色と深さ、肌タイプ、装置仕様、照射条件、術者の判断で適否が変わります。診断と治療後管理を含めて選びます。
Qスイッチレーザーは1回で終わりますか?
1回で改善する例もありますが、反応が不十分な場合やPIHが残る場合があります。追加照射を急がず、設定した評価時期に元の写真と比較します。
照射後のテープは必ず必要ですか?
機器、照射条件、部位、皮膚反応、医療機関の方針で異なります。自己判断で早く外したり長く貼り続けたりせず、洗浄や交換方法を含めて指示を確認してください。
照射後に濃くなったら再照射すべきですか?
PIHの可能性があるため、すぐ再照射するとは限りません。取り残しや再発との区別が必要です。刺激の強い外用も自己判断で追加せず、治療した医療機関へ相談してください。
参考文献
- Mardani G, et al. Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials. J Cosmet Dermatol. 2025. PMID: 40145274
- Wang CC, et al. Q-switched alexandrite laser versus IPL for freckles and lentigines: randomized split-face trial. J Am Acad Dermatol. 2006. PMID: 16635661
- Vachiramon V, et al. Q-switched Nd:YAG versus fractional CO2 laser for solar lentigines in Asians. Lasers Surg Med. 2016. PMID: 27096729
- Iraji F, et al. 532nm Q-switched Nd:YAG versus 35% TCA for dorsal hand solar lentigo: randomized split-hand trial. J Cosmet Dermatol. 2022. PMID: 36102447
- Kang DH, et al. PIH risk after 532nm Q-switched Nd:YAG treatment of solar lentigines: randomized study. J Dermatolog Treat. 2024. PMID: 39265567
- PMDA. Qスイッチルビーレーザー医療機器添付文書.
- 日本皮膚科学会. メラノーマ診療ガイドライン2025.
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