ピコレーザーの
シミ治療
「ピコ秒=必ず低負担」ではありません。パルス幅だけでなく、波長・照射モード・病変の診断を分けて、老人性色素斑への使い方を整理します。
ピコレーザーはピコ秒単位の短いパルスを用いるレーザーの総称です。老人性色素斑へのスポット照射は選択肢ですが、Qスイッチレーザーより常に効果が高い、ダウンタイムがない、PIHが起こらないとはいえません。波長、パルス幅、照射条件、病変、肌タイプをそろえて比較し、スポット・トーニング・フラクショナルを別の目的として理解することが大切です。
ピコレーザーとは?短いパルスの意味
ピコ秒は時間の単位で、1ピコ秒は1兆分の1秒です。短いパルスで色素へエネルギーを与える設計ですが、臨床効果と安全性はパルス幅だけでなく、波長・フルエンス・スポット径・病変・肌タイプに左右されます。

「熱ではなく衝撃波だけ」「周囲に熱影響がない」と単純化する説明は正確ではありません。光エネルギーを用いる以上、皮膚反応・熱傷・PIHなどを考慮します。
Qスイッチレーザーとの違い
| 比較点 | ピコ秒レーザー | Qスイッチレーザー |
|---|---|---|
| パルス幅 | 一般にピコ秒単位 | 一般にナノ秒単位 |
| 波長 | 装置により532/755/730/1064nmなど | 装置により532/694/755/1064nmなど |
| 選択 | 病変・波長・モード・設定で判断 | 病変・波長・設定で判断 |
| 治療後 | 赤み、腫れ、濃色化、痂皮などが起こり得る | 赤み、腫れ、濃色化、痂皮などが起こり得る |
| 主なリスク | PIH、色素脱失、熱傷、瘢痕など | PIH、色素脱失、熱傷、瘢痕など |
532nm同士の分割顔RCTでは、ピコ秒とQスイッチを直接比較した報告があります。ただし小規模で、特定の装置・設定の結果です。すべてのピコ秒機器とQスイッチ機器の優劣には置き換えられません。[2][3]
患者さんから「ピコの方が新しいから安全ですか」とよく聞かれます。診察では、新旧ではなく、病変の診断と過去の炎症後色素沈着、最近の日焼け、希望するダウンタイムを確認します。装置名だけで安全性を約束しません。
スポット・トーニング・フラクショナルは別の治療
スポット照射
限局した色素斑を狙う照射。老人性色素斑では主にこの考え方を用います。
広範囲・分割照射
低出力反復照射や点状照射は目的が異なり、スポット照射の代わりとは限りません。
選択肢になり得る状態
- 医師が老人性色素斑と診断した
- 対象と照射モードが一致している
- 経過観察と紫外線対策を行える
先に診断・調整が必要な状態
- 肝斑・ADM・悪性病変の可能性
- 照射モードの目的が説明されていない
- 日焼け直後や皮膚炎・感染がある

治療の流れ・ダウンタイム・注意点
病変と周囲の皮膚を診察し、照射しない病変を分けます。
波長・モード・照射範囲・出力を治療目的に合わせます。
眼を保護し、皮膚反応を確認しながら行います。
指示された洗浄、保湿、被覆、紫外線対策を続けます。
早すぎる追加照射を避け、PIHを含む経過を確認します。
痛み、赤み、腫れ、点状出血、濃色化、痂皮、乾燥。
PIH、色素脱失、熱傷、水疱、感染、瘢痕、色むら。
ピコレーザーの研究結果をどう読むか
ピコレーザーでよくある質問
ピコレーザーはQスイッチより必ず優れていますか?
必ずではありません。直接比較試験はありますが、装置・波長・設定・病変・評価時期が限られます。診断と治療目的に合う条件を選ぶことが重要です。
ピコスポットとピコトーニングは同じですか?
同じ装置を使う場合でも照射方法と目的が異なります。限局した老人性色素斑を狙うスポット照射と、広い範囲への低出力反復照射を同じ効果として考えません。
ピコレーザーにはダウンタイムがありませんか?
赤み、腫れ、濃色化、痂皮、点状出血などが起こり得ます。照射モードと設定で経過は異なり、PIHや色素脱失の可能性もあります。
何回受ければよいですか?
病変とモードで異なります。回数を先に固定するのではなく、評価日・写真条件・追加照射の基準・総費用を開始前に確認してください。
参考文献
- Mardani G, et al. Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials. J Cosmet Dermatol. 2025. PMID: 40145274
- Kim JY, et al. 532nm picosecond versus 532nm Q-switched Nd:YAG for solar lentigines: randomized split-face trial. Ann Dermatol. 2020. PMID: 33911703
- Vachiramon V, et al. 532nm nanosecond versus picosecond laser for solar lentigines in Asians. Lasers Med Sci. 2018. PMID: 29948457
- Liu L, et al. 730nm, 532nm and 694nm laser for freckles and solar lentigines: randomized clinical trial. Lasers Med Sci. 2025. PMID: 40616673
- PMDA. PicoSure Pro 医療機器添付文書.
- 日本皮膚科学会. メラノーマ診療ガイドライン2025.
TOCグループ
医療法人御照会を中心に、対面診療・オンライン診療・医療情報・医療機関支援を行うグループです。

