【埋没法とは:手術の仕組み・持続期間・取れるリスクを医師解説】

埋没法とは:手術の仕組み・持続期間・取れるリスクを医師解説
最終更新日: 2026-08-14
📋 この記事のポイント
  • ✓ 埋没法は、メスを使わずに医療用の極細糸で二重の仕組みを再現する、ダウンタイムの短い二重整形術です。
  • ✓ 平均的な持続期間は3〜5年ですが、まぶたの厚みやアイメイクなどの生活習慣によって個人差が生じます。
  • ✓ 糸の緩みや露出による眼合併症のリスクを防ぐため、術後の違和感には早期の医師による診察が重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

埋没法とは:手術の仕組みを詳しく解説

埋没法は、メスを使用せずに二重まぶたを作り出す非常に一般的な美容外科手術です。まぶたの内側に医療用の極細糸を通し、特定の組織を留めることで二重のラインを固定します。この手術の基本は、東洋人に多い一重まぶたの構造を、生まれつき二重まぶたの人が持つ解剖学的構造に近づける点にあります。

生まれつき二重まぶたの人は、まぶたを持ち上げる筋肉である「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」の末端の枝が、まぶたの皮膚の裏側にしっかりと結合しています。そのため、目を開けたときに皮膚が引き込まれて折り込みが生じます。一方で一重まぶたの人は、この筋肉の枝が皮膚まで達していないか、あるいは結合が極めて弱い傾向があります。埋没法はこの結合を、医療用のナイロン糸を用いて人工的に再現する仕組みを採っています[1]

埋没法の基本的な術式(瞼板法と挙筋法)

埋没法には、糸を留める場所の違いによって大きく分けて「瞼板法(けんばんほう)」と「挙筋法(きょきんほう)」の2種類があります。

  • 瞼板法:まぶたの縁にある硬い軟骨のような組織(瞼板)に糸を通し、皮膚と固定する方法です。比較的施術がシンプルで、二重のラインがはっきりと出やすい特徴があります。
  • 挙筋法:瞼板よりさらに上部にある挙筋腱膜、または上眼瞼挙筋に糸を通して皮膚と固定する方法です。糸が眼球に触れにくく、より自然な仕上がりと柔軟な動きを再現しやすいとされています。

近年では、これらの方法を組み合わせたハイブリッドな固定法や、眼輪筋、挙筋、瞼板を多角的に固定して、より長持ちする仕上がりを目指す術式も研究されています[1]。診察の場では、「糸が目の中でゴロゴロしないか不安です」と質問される患者さんも多いですが、挙筋法と瞼板法の違いやまぶたの裏側に露出しない工夫を丁寧に説明すると、多くの方が納得して施術に臨まれます。

瞼板(けんばん)
まぶたの形を保持している、結合組織からなる薄く平らな板状の組織。非常に緻密で弾力性があり、二重の固定点を安定させる足場として機能します。
上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)
上まぶたを引き上げる役割を担う筋肉。この筋肉を収縮させることで目が開き、その際にまぶたの皮膚が折り込まれることで二重が形成されます。

埋没法の二重はどれくらいもつ?持続期間の目安

埋没法の持続期間には個人差があり、糸が一生涯外れないケースもあれば、数ヶ月で緩んでしまうケースもあります。一般的には、平均して3年から5年程度持続することが多いとされています。

埋没法で作られた二重の持続力は、糸を留める「点」の数(2点留め、3点留め、4点留めなど)や、まぶたの解剖学的な特徴、さらには施術後の日常生活における刺激の有無によって大きく変化します。糸の結び目にかかるテンションが分散される多点留めの方が、ラインが消えにくく持続しやすい傾向にありますが、その分まぶたへの負担や異物感が増すという側面も持ち合わせています。

持続期間を左右する個人的要因

術後の経過において、二重の幅やラインの鮮明さは時間とともに少しずつ変化していきます。筆者の臨床経験では、治療開始から数年経ってもきれいな二重を維持されている方がいる一方で、数ヶ月でラインが薄くなってしまうなど、持続期間には個人差が大きいと感じています。特に以下の要素が持続期間に直結します。

  1. まぶたの厚み:皮下脂肪や眼窩脂肪(がんかしぼう)が多いまぶたは、元に戻ろうとする圧力が強いため、糸が緩みやすくなります。
  2. 皮膚のたるみ:加齢などによって皮膚のたるみが強い場合、糸が支えきれなくなり、ラインが覆いかぶさって二重が不鮮明になることがあります。
  3. 日常的な摩擦:目元を強くこする、激しいアイメイクを繰り返す、クレンジングで強くマッサージするなどの習慣は、糸の結び目をゆるめる原因になります。

このように、施術を長持ちさせるためには解剖学的な適応を見極めること、そして術後の丁寧なアイケアが非常に重要となります。

埋没法が取れるリスクと原因とは?

多くの患者さんが最も懸念されるのが、「埋没法の糸が取れて元のまぶたに戻ってしまうのではないか」という点です。埋没法が取れるというのは、実際に糸がプツリと切れてしまうことよりも、糸を結んだ組織が緩んだり、糸が組織をすり抜けてしまったりする現象を指します。

日常診療では、「目をこする癖がある」「急激に体重が増減した」といった生活習慣や身体の変化が原因で、せっかく作った二重ラインが緩んでしまったという相談をよく受けます。糸はまぶたの中に残ったままであっても、結合のテンションが低下することで折り込みが作れなくなり、結果として「取れた」状態になります。

二重ラインが緩む・取れるメカニズム

埋没法の糸は、極めて細く、かつしなやかな医療用ナイロンが多用されます。糸が留まっている部分は、時間の経過とともに軽い組織反応(線維化)を起こし、これによってラインが安定します。しかし、何らかの理由でこの線維化した組織が引き裂かれたり、引き伸ばされたりすると、二重を支える力が失われます。

特にアレルギー性結膜炎や花粉症などを患っている方は、無意識のうちに目を強くこすってしまいがちです。まぶたに横方向の強い摩擦が繰り返し加わると、糸が通っている軟部組織を徐々に切り裂き、糸の位置がずれてしまいます。これが埋没法が早期に崩れる代表的な原因です。

⚠️ 注意点

二重のラインが急に浅くなったり、三重(みえ)のように何重にもシワができるようになった場合は、糸がすでに緩んでいるか外れかけているサインです。無理にアイテープなどで固定しようとせず、速やかにクリニックを受診して状態を確認してください。

糸が露出する?埋没法に伴う合併症のリスクと注意点

埋没法は安全性の高い手術として定着していますが、まぶたの裏側や皮膚表面から糸が露出することによる合併症のリスクは皆無ではありません。糸の露出は、放置すると眼球そのものに重篤な障害をもたらす引き金となります。

外来診療では、他院での施術後に「目がチクチクする」「涙が止まらない」と訴えて受診され、検査をするとまぶたの裏側(結膜側)に糸が露出していたというケースを経験することがあります。結膜側に露出した糸の末端や結び目は、まばたきをするたびに眼球の最外層である角膜(黒目)を機械的に擦り続け、角膜擦過傷や難治性の角膜潰瘍、さらには重篤な感染症を誘発する恐れがあります[2]

角膜を傷つける「糸の露出」のリスク

アジア人における埋没法後の糸関連合併症に関する研究によると、糸の露出やそれに伴う感染、肉芽腫(にくげしゅ)の形成は珍しいものではありません[3]。特に結膜側での糸の不適切な埋入や、不十分な結び目の結紮(けっさつ)は、角膜にダイレクトな物理的ダメージを与えます[4]。これらは初期段階では軽微な異物感や充血として自覚されることが多いため、ただのドライアイや疲れ目と見過ごされて誤診を招くケースもあり、注意が必要です[2]

万が一、術後数週間から数年が経過した後に、以下のような症状が現れた場合は速やかに診察を受ける必要があります。

  • 慢性的な目のゴロゴロ感、チクチクとした痛み
  • 原因不明の結膜の充血や目やにの増加
  • まぶたの皮膚表面に生じる小さなニキビのような白い膨らみ(糸感染・膿瘍)

このようなトラブルが生じた場合、最も効果的かつ根本的な治療は、原因となっている糸を迅速に「抜糸(除去)」することです[3]。炎症が落ち着いてから再度埋没を行うことは十分に可能であるため、まずは眼球の安全を最優先に考えるべきです。

埋没法と切開法はどちらが良い?違いを徹底比較

二重整形を検討する際、誰もが一度は悩むのが「埋没法」と「切開法」のどちらを選ぶべきかという選択です。これらは手術の手法、ダウンタイム、仕上がりの永続性において、それぞれ対照的なメリットとデメリットを有しています。

実際の診療では、ダウンタイムの短さを最優先に考えて埋没法を選ばれる方が多いですが、まぶたの厚みや脂肪の量によっては、切開法を視野に入れた方が長期的な満足度につながることもあります。どちらが適しているかは、一概にどちらが優れているかという議論ではなく、各個人のまぶたの解剖学的特徴(組織の厚み、タルミの程度、蒙古ひだの発達度)と、希望する二重のデザインに依存します。

比較項目埋没法(極細糸固定)切開法(皮膚切開)
手術方法糸を結んで固定(切開なし)皮膚を切開し、不要な脂肪・組織を除去後に縫合
持続期間約3年〜5年(取れるリスクあり)半永久的(基本的には戻らない)
ダウンタイム短い(3日〜1週間程度で落ち着く)長い(2週間〜1ヶ月以上の強い腫れ、抜糸が必要)
修復・修正抜糸することで、ほぼ元の状態に戻せる修正は可能だが、大幅な再現は非常に困難
適性まぶたが薄い〜普通の厚み、初めての整形向きまぶたが厚く脂肪が多い、たるみが強い、平行幅を希望

埋没法の最大の利点は「修正が容易である」という点に尽きます。万が一、仕上がりの幅が気に入らなかったり、不自然さを感じたりした場合でも、抜糸をすることで元通りのまぶたに戻す、あるいは再手術を施すといったアプローチが容易に選択可能です。一方で、重度のまぶたの厚みや脂肪が原因で埋没法を維持するのが難しいケースでは、切開法が最終的な第一選択肢となることも臨床的には少なくありません。

術後の経過とダウンタイムを抑える過ごし方

埋没法はダウンタイムが短い施術ですが、まぶたの組織に針と糸を通すため、微細な損傷や炎症は避けられません。術後の正しいアフターケアを行うことで、不必要な腫れや内出血を最小限に防ぐことができます。

実臨床では、施術直後の腫れを心配される患者さんが非常に多いですが、冷やし方や就寝時の頭の位置などのセルフケアを徹底していただくことで、数日から1週間ほどで大きな腫れは落ち着くケースがほとんどです。施術直後の数日間は組織の急性炎症期に当たり、最も腫れが強く出やすいタイミングです。

術後1週間のダウンタイム経過

  • 当日〜2日目:腫れや内出血のピーク。左右差が目立つことがありますが、多くは一時的なむくみが原因です。
  • 3日〜5日目:腫れが徐々に引き、内出血の赤みが黄色みがかった色へと変化していきます。メイクでのカバーが可能となる目安です。
  • 1週間後:およそ7割から8割の腫れが引き、自然な幅に近づきます。完全に馴染むまでには約1ヶ月程度を要します。

腫れや内出血を最小限に抑えるアフターケア

術後の経過を良くするために、特に気をつけるべき生活習慣について以下に解説します。血流を急激に促す行為は炎症を悪化させるため避ける必要があります。また、むくみを防ぐ物理的なポジショニングも有効です。

施術後48時間は、保冷剤を清潔なタオル等で包み、まぶたの上から優しく間接的に冷やすのが極めて有効です。ただし、直接氷を長時間当てるなどの強すぎる冷却は、デリケートな皮膚への凍傷リスクを高めるため避けてください。さらに、就寝時には枕をいつもより少し高めにして頭を高く保つことで、まぶたに水分が滞留するのを防ぎ、翌朝のむくみを劇的に軽減することができます。

入浴や激しい運動、アルコールの摂取は血管を拡張させ、内出血や腫れの悪化を招くため、術後3日間程度は極力控えるのが臨床上、賢明な判断といえます。目元を清潔に保つこと、そして物理的刺激を与えないことが、最も早く、美しい二重を完成させるための近道となります。

まとめ

埋没法は、メスを入れずに数ミリの糸を用いて理想の二重まぶたを形成できる優れた美容医療です。しかし、どれほど手軽に見える手術であっても、まぶたの内側という繊細な部位に異物を挿入する医療行為に他なりません。本記事で解説した「瞼板法」と「挙筋法」それぞれの仕組みや特徴、3〜5年という平均的な持続期間、そしてまぶたの厚みや摩擦による「糸が取れるリスク」を正しく理解しておくことが大切です。

また、ごく稀に見られる「糸の結膜側への露出」といった合併症リスクについても正確な知識を持ち、万が一のゴロゴロ感や異物感、炎症が生じた場合には、ただちに専門医の診断を仰ぐことが、大切な瞳を守る上で決定的に重要となります。ご自身の希望するイメージやまぶたの状態に適した術式を選ぶために、信頼できる医療機関で丁寧なカウンセリングを受けることをお勧めいたします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 埋没法の施術中に痛みはありますか?
手術前に局所麻酔を行います。この麻酔注射の際にチクッとした痛みを感じますが、極細の麻酔針を使用するため、我慢できるレベルである場合がほとんどです。麻酔が効いた後は、手術中の痛みはほぼ感じません。不安が強い方には笑気麻酔などを併用してリラックスした状態で受ける選択肢もあります。
Q2. 埋没法を受けた後、コンタクトレンズはいつから装着できますか?
一般的には、手術後2〜3日目からコンタクトレンズの装着が可能となるケースが多いですが、術後の腫れや赤みが残っている間は控えるのが賢明です。特にハードコンタクトレンズや、装着の際にまぶたを強く引っ張る必要がある場合は、糸にテンションがかかるのを防ぐため、できれば1週間ほど眼鏡で過ごすことを推奨します。
Q3. もしも糸が取れてしまったら、何回でもやり直すことはできますか?
再手術は可能ですが、埋没法を何度も繰り返すこと(一般的に3回以上)は推奨されません。繰り返すたびにまぶたの内部に古い糸や瘢痕(硬い組織)が蓄積し、仕上がりの美しさや自然さが損なわれる原因になります。また、何度も取れてしまう場合は「まぶたの厚み」などの理由で埋没法自体が適していない可能性が高いため、切開法への切り替えを検討するのが望ましいでしょう。
📖 参考文献
  1. Jing Shi, Jiaqi Zhang, Congmin Gu et al. Orbicularis-levator-tarsus fixation suturing in buried suture double-eyelid blepharoplasty. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS. 2022. PMID: 34896040.
  2. Xin Jin, Hao Jin, Jingrao Wang et al. Misdiagnosis and Treatment of Corneal Complications Caused by Suture Exposure After Buried-Suture Double-Eyelid Blepharoplasty. Aesthetic plastic surgery. 2024. PMID: 37653179.
  3. Tsutomu Mizuno. Treatment of Suture-related Complications of Buried-suture Double-eyelid Blepharoplasty in Asians. Plastic and reconstructive surgery. Global open. 2016. PMID: 27622107.
  4. Yue Wang, Yang Zhang, Ning Tian. Cause and Management of Suture-related Ocular Complications after Buried-suture Double-eyelid Blepharoplasty. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS. 2022. PMID: 34226132.
  5. ディフェリン(アダパレン)添付文書(JAPIC)
  6. ベピオ(過酸化ベンゾイル)添付文書(JAPIC)
  7. ダラシン(クリンダマイシン)添付文書(JAPIC)
この記事の監修
👨‍⚕️
新井智博
美容外科医
👨‍⚕️
林一樹
美容外科医