ロタウイルスワクチン
種類・接種期限・腸重積の受診目安
初回は生後2か月を目安に予約しましょう。ワクチンの種類によって、受ける回数と期限が違います。接種後に注意したい泣き方や症状も紹介します。
ロタワクチンは乳児の重いロタウイルス胃腸炎を減らす飲む生ワクチンです。初回は生後2か月~14週6日が標準。ロタリックスは2回を出生24週0日後まで、ロタテックは3回を出生32週0日後までに完了します。接種後に激しく泣く・吐くことを繰り返す場合は、血便を待たず受診してください。[1]
接種後、受診を急ぐのはどんなとき?
接種後の症状でも、ワクチンが原因とは限りません。急な変化は原因の判断より受診を優先します。
呼吸が苦しい、唇が青紫、意識が戻らない、呼びかけへの反応が弱い、けいれんが続く。顔色が非常に悪くぐったりしている場合は、腸重積なども考えて救急対応を優先します。
激しく泣く・不機嫌になることを繰り返す、何度も吐く、血便がある場合は、腸重積を疑い速やかに受診。血便がなくても待たないでください。
軽い症状だけで、呼吸・顔色・反応が普段どおり、水分がとれて、おしっこも出ている場合。悪化や長引く症状は相談してください。
相談時のメモ:ワクチン名、接種日時、症状の開始時刻、水分がとれているか・おしっこが出ているか、使った薬。迷う場合は子ども医療電話相談 #8000も利用できます。緊急時は記録を後回しにしてください。
ひどい下痢や嘔吐、入院を減らすためのワクチンです
ロタウイルス胃腸炎では、嘔吐や下痢によって乳幼児が脱水になることがあります。ワクチンは重い症状や入院を減らすために受けるもので、すべての下痢や嘔吐を防ぐものではありません。ノロウイルスなど別の原因には別の対策が必要です。[1]

注射ではなく口から飲む生ワクチンです。1価と5価という数字は含まれるウイルスの構成の違いで、「数字が大きいほど誰にでも優れている」という意味ではありません。どちらも国内で定期接種に使われます。[1]
2種類のワクチンは、回数と受け終える期限が違います
| 比較項目 | ロタリックス | ロタテック |
|---|---|---|
| 回数 | 計2回 | 計3回 |
| 初回の標準 | 生後2か月~14週6日 | 生後2か月~14週6日 |
| 次の接種まで | 27日以上の間隔 | 各回27日以上の間隔 |
| 完了期限 | 出生24週0日後まで | 出生32週0日後まで |
どちらも出生6週0日後から接種できますが、他の乳児期ワクチンと計画するため生後2か月が標準開始の目安です。原則として同じ種類のワクチンで必要回数を受けます。期限は「生後何か月」ではなく「何週何日」で決まります。予約の際に生年月日を伝え、具体的にいつまで受けられるか確認しましょう。[1][2]
予約に間に合わない・吐き出したときは、医療機関へ
初回を出生15週0日後以降に受けることは、安全性の観点から推奨されません。ロタワクチンには受けられる週齢の上限があるため、後からまとめて受けることが難しい場合があります。期限が迫った、予約日に体調を崩した場合は、早めに接種医へ連絡します。[1]
2回目以降も、最低限必要な間隔とワクチンを受け終える期限の両方を満たす必要があります。予約が遅れたときも、必要な間隔はあけて受けます。残りの予定を医療機関と相談してください。転居・転院時は、ワクチンの名前とそれぞれの接種日を伝えてください。[2]
激しく泣く・吐くことを繰り返したら、血便を待たず受診
腸重積は腸の一部が別の部分へ入り込む病気で、ワクチンを受けなくても起こります。接種後、とくに初回から約1週間はリスクの小さな上昇が知られています。激しい泣き方を繰り返す、繰り返し吐く、顔色が悪い、血便などがあれば速やかに診察が必要です。[1][4]
以前に腸重積になったことがある赤ちゃんや、免疫が十分に働かない病気である「重症複合免疫不全症」の赤ちゃんは接種できません。生まれつきの腸の異常があり、腸重積の危険を高める原因が治療されていない場合も対象外です。下痢・嘔吐、発熱など当日の体調も、受ける前に伝えてください。[1]
予約するときと、帰宅してから確認したいこと
予約時は生年月日、ワクチン名、次回日を確認します。帰宅後に症状が出たら接種から何日後か、泣き方の間隔、嘔吐の回数、顔色、水分がとれているか・おしっこが出ているかを伝えます。おむつ交換後は石けんと流水で手を洗い、便に触れた後の衛生を保ちます。[1]
帰宅前に、夜間に症状が出た際の受診先を確認しておくと相談先に迷いにくくなります。発熱だけでなく、強く泣くことを繰り返す、吐く、顔色が悪いといった変化に注意してください。腸重積が疑われる症状では血便が出るまで待たず、速やかに医療機関を受診します。[1]
公的資料をもとに編集部が整理した相談のヒントです。医師本人の診療経験や発言の引用ではありません。
予防の効果と、まれに起こる腸重積について
複数の比較試験をまとめたCochrane(コクラン)のレビューでは、重いロタウイルス胃腸炎を減らす効果が示されています。実際に広く使われるようになった後の研究でも、胃腸炎による受診が減ったかどうかが調べられています。効果の大きさは、国の流行状況や医療事情によって異なります。[3][5]
一方、まれな症状は、限られた人数の試験だけでは分かりにくいことがあります。接種後の記録を調べた研究をまとめると、初回から1〜7日間は腸重積が少し増えることが示されています。海外の数字が、そのまま一人ひとりの赤ちゃんに当てはまるわけではありません。勧められている時期に受け、接種後の症状に気づいたら早く受診することが大切です。[4]
よくある質問
どちらの種類を選べばよいですか?
どちらも重いロタウイルス胃腸炎の予防に使われます。回数と完了期限が異なるため、医療機関で扱うワクチンと予約日程を確認し、原則同じ種類のワクチンで完了します。
生後15週を過ぎました。初回を受けられますか?
出生15週0日後以降の初回は安全性の観点から推奨されません。まずは予約先へ生年月日を伝え、今からの対応を相談してください。
接種後に吐きました。もう一度飲ませますか?
通常は追加の飲み直しをしません。接種医に状況を伝えてください。嘔吐を繰り返す、激しく泣く、顔色が悪いときは、吐き戻しだけと考えず受診を急ぎます。
腸重積は血便が出たら受診すればよいですか?
血便を待ってはいけません。強く泣くことを繰り返す、嘔吐、顔色不良などでも速やかに受診します。ぐったりして呼びかけへの反応が弱い場合は119番を考えます。
参考文献
- 厚生労働省:ロタウイルスワクチン(回数・週齢上限・腸重積・飲み直し)
- 日本小児科学会:推奨する予防接種スケジュール/キャッチアップスケジュール(国内接種計画)
- Bergman H, et al. Vaccines for preventing rotavirus diarrhoea: vaccines in use. Cochrane Database Syst Rev. 2021. RCTの系統的レビュー. PMID: 34788488
- Koch J, et al. Risk of Intussusception After Rotavirus Vaccination. Dtsch Arztebl Int. 2017. 自己対照ケースシリーズ研究のメタ解析. PMID: 28468712
- Hungerford D, et al. Population effectiveness of the pentavalent and monovalent rotavirus vaccines: a systematic review and meta-analysis of observational studies. BMC Infect Dis. 2017. PMID: 28810833
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