腎がん(腎細胞がん)とは|症状・検査・治療を泌尿器科医が解説

腎腫瘍が写るCT画像を患者と泌尿器科医が確認する場面
UROLOGY / KIDNEY CANCER

腎がん(腎細胞がん)の症状・検査・治療ガイド

偶然見つかった小さな腎腫瘍から進行腎がんまで、急ぐ症状と検査・治療の考え方を順に整理します。

最終更新 2026.10.07監修日 2026.10.07
DISTINGUISH腎細胞がんと腎盂がんを分ける
STAGE画像で広がりを確認
DECIDEがんと腎機能を両方考える
結論から

腎がんは、主に腎臓の実質から生じるrenal cell carcinoma(腎細胞がん、RCC)を指します。早期は無症状で、健診や別の検査の超音波・CTで偶然見つかることが多い病気です。治療は腫瘍の大きさと広がり、反対側の腎臓、腎機能、年齢・持病、本人の希望を合わせて決めます。

知りたい内容から選ぶ症状・検査・ステージ・治療を詳しく確認する
01

血の塊で尿が出ない、呼吸・意識・神経症状がある時は救急を検討する

救急を検討

血の塊で尿が出ない、息苦しい、意識がおかしい、急な片麻痺、突然の激痛や失神。

当日中に相談

肉眼で分かる血尿、発熱を伴う強い腰痛、急速な症状悪化。泌尿器科または救急へ連絡します。

早めに泌尿器科へ

健診や別の検査で腎腫瘤を指摘された、血尿が一度でも出た、原因不明の腰痛や体重減少が続く。

血尿だけで直ちに腎がんと決まるわけではありませんが、見た目で分かる血尿は泌尿器科で原因を調べる必要があります。血の塊で尿が出ない、息苦しい、急な麻痺や意識の変化がある時は、記事を読み続けず救急へ連絡してください。[3][7]

02

腎がんは腎細胞がんを中心とする病気で、腎盂がんとは治療が異なる

一般に「腎がん」と呼ばれる病気の多くは、尿をつくる腎実質の細胞から生じる腎細胞がんです。淡明細胞型、乳頭状、嫌色素性などの組織型があり、性質と薬物療法の選択が異なることがあります。尿を集める腎盂から生じる腎盂がんは尿路上皮がんで、別の病気として扱います。[1][3][8]

腎腫瘍が写るCT画像を患者と泌尿器科医が確認する場面
図|画像の部位・大きさ・広がりと過去画像の変化を確認し、次の検査と治療を相談します。

腎細胞がんは肺、骨、肝臓、脳などへ転移することがあります。一方、画像で見つかった腎腫瘤のすべてが悪性とは限らず、脂肪を含む良性腫瘍や複雑な嚢胞なども鑑別します。[3][7]

03

早期は無症状が多く、血尿・腰痛・体重減少は評価のきっかけになる

小さい腎がんは症状がなく、健診の超音波や別の病気で撮影したCTで偶然見つかることが多くなっています。腫瘍が大きくなると、血尿、背中・腰の痛み、腹部のしこり、発熱、だるさ、食欲低下、体重減少などが現れることがあります。[3]

診察室から

日々の泌尿器科診療では、画像で腎腫瘤を指摘された方に、いつ・どこで・どの検査で見つかり、過去画像と比べて変化があるかをまず確認します。血尿の色と血の塊、腰痛の側・持続時間、発熱、体重変化、喫煙歴、腎機能、抗凝固薬まで時系列にすると追加検査の優先順位を決めやすくなります。実際の掲載内容は担当監修医の確認後に確定します。

04

知りたいことに合わせて、症状・検査・治療を詳しく確認する

診断前は「検査」、診断後は「ステージと治療」を先に読むと、次の診察で確認する点を整理しやすくなります。

05

造影CTを中心に、腎機能と全身への広がりを確認する

超音波で腎腫瘤を見つけた後は、造影CTで腫瘍の性状、腎血管・腎静脈、リンパ節、肺などを評価します。造影剤を使いにくい場合や所見が不明瞭な場合にMRIを検討します。血液検査では腎機能、貧血、肝機能、カルシウムなどを確認しますが、腎がんを単独で診断できる腫瘍マーカーは確立していません。[4][7]

診断までの流れは、①過去画像を集める、②造影画像で腫瘍の性状と手術に必要な血管情報を確認する、③胸部などで広がりを調べる、④必要な場合だけ生検を行う、という順です。検査を一度に詰め込むのではなく、結果が次の判断を変えるかを確認します。

造影剤アレルギー、腎機能低下、糖尿病薬、喘息、妊娠の可能性、MRI対応が不明な植込み機器がある場合は予約時に伝えてください。薬を自己中断せず、検査施設の指示を確認します。

06

局所では手術が中心で、小さな腫瘍には監視療法や凍結療法も検討する

腎臓内にとどまる腎がんでは、可能であれば腫瘍と周囲だけを切除して腎機能を残す腎部分切除を検討し、腫瘍の大きさ・位置などによって根治的腎摘除を選びます。小さな腎腫瘍では、年齢や持病、増大速度を踏まえて監視療法や凍結療法などを検討することがあります。進行・転移がある場合は、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を組み合わせる薬物療法が中心です。[5][7][9][10][12]

治療説明では「標準治療は何か」「部分切除が難しい理由」「治療しない場合に何を心配するか」「術後または薬物療法中にどの検査を行うか」を確認します。家族の同席やメモを利用し、すぐに決められない場合は決定までの安全な期間も尋ねます。

治療後は再発画像だけでなく、血圧、尿蛋白、eGFR、糖尿病や心血管リスクも管理します。片方の腎臓になっても多くの人は日常生活を続けられますが、脱水や鎮痛薬の使い方を含め、残る腎機能を守る生活を相談します。

受診前にまとめること画像CD・読影レポート、過去画像、血液検査、血尿・痛みの経過、喫煙歴、腎臓病・透析歴、手術歴、服薬・アレルギー、本人が大切にしたい生活を持参します。
07

よくある質問

腎がんと腎盂がんは同じですか?

同じ腎臓にできても別の病気です。腎がんは主に腎実質から生じる腎細胞がん、腎盂がんは尿路上皮から生じ、検査や治療が異なります。

腎がんに有効な血液の腫瘍マーカーはありますか?

診断や再発確認に単独で使える確立した血液腫瘍マーカーはありません。画像、腎機能、必要時の病理検査を組み合わせます。

健診で小さな腎腫瘍を指摘されました。すぐ手術ですか?

すぐ手術とは限りません。造影画像で性状と大きさを確認し、年齢、持病、腎機能、増大速度を踏まえて手術・監視療法・凍結療法などを相談します。

腎臓を一つ取っても生活できますか?

反対側の腎機能が良好なら生活できる人は多いですが、術後は血圧・尿蛋白・腎機能の管理が必要です。可能な場合は腎機能を残す部分切除も検討します。

08

参考文献