【糸リフトのダウンタイム・痛み・副作用】|医師が解説

糸リフトのダウンタイム・痛み・副作用(引きつれ・糸の露出)
糸リフトのダウンタイム・痛み・副作用|医師が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 糸リフトのダウンタイムは数日〜2週間程度で、腫れや内出血、痛みが主な症状です。
  • ✓ 引きつれや糸の露出は稀な副作用ですが、適切な施術とアフターケアでリスクを低減できます。
  • ✓ 術後の注意点を守り、異変を感じたら速やかに施術医に相談することが重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
糸リフトは、顔のたるみ改善やリフトアップ効果が期待できる美容医療の一つです。メスを使わずに特殊な医療用の糸を皮下組織に挿入することで、物理的に組織を引き上げ、コラーゲン生成を促進する効果も期待されます[1]。しかし、どのような医療行為にもメリットとデメリットがあり、糸リフトも例外ではありません。施術を検討する際には、ダウンタイムや痛み、起こりうる副作用について十分に理解しておくことが重要です。

糸リフトとは?そのメカニズムと種類

顔のたるみを引き上げる糸リフトのメカニズムと種類ごとの特徴
糸リフトのメカニズムと種類
糸リフトは、たるんだ皮膚や皮下組織を医療用の特殊な糸で引き上げることで、顔全体のリフトアップや輪郭形成を目指す治療法です。このセクションでは、糸リフトの基本的なメカニズムと使用される糸の種類について解説します。

糸リフトの基本的なメカニズム

糸リフトの主なメカニズムは、以下の2つの効果に分けられます。
  • 物理的な引き上げ効果: 糸に付いているコグ(とげ)や突起が皮下組織に引っかかり、たるんだ組織を物理的に持ち上げます。これにより、施術直後からリフトアップ効果を実感できることが多いです。
  • コラーゲン生成促進効果: 挿入された糸は、異物として認識され、その周囲に線維芽細胞が集まり、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。これにより、肌のハリや弾力が向上し、長期的な若返り効果が期待されます[1]

使用される糸の種類と特徴

糸リフトで使用される糸は、素材や形状によって様々な種類があります。主な糸の種類とそれぞれの特徴を以下に示します。
PDO(ポリジオキサノン)
生体内で数ヶ月かけて分解・吸収される医療用の合成ポリマーです。心臓外科手術などでも使用される安全性の高い素材で、コラーゲン生成促進効果も期待されます[2]
PLLA(ポリ乳酸)
PDOと同様に生体吸収性の素材で、分解吸収に時間がかかるため、PDOよりも持続期間が長い傾向があります。コラーゲン生成促進効果も高いとされています[3]
PCL(ポリカプロラクトン)
柔軟性に富み、生体吸収にさらに長い時間を要するため、持続期間が長いのが特徴です。コラーゲン生成効果も期待されます。
これらの糸には、コグと呼ばれる小さなトゲや、円錐状の突起などが付いており、これらが皮下組織に引っかかることでリフトアップ効果を発揮します。糸の種類や本数は、患者さんのたるみの状態や希望に応じて医師が判断します。

糸リフトのダウンタイムはどれくらい?主な症状と期間

糸リフト後のダウンタイムは、施術部位や挿入する糸の本数、個人の体質によって異なりますが、一般的には数日から2週間程度が目安となります。この期間にどのような症状が現れるのか、詳しく見ていきましょう。

ダウンタイム中に現れる主な症状

  • 腫れ: 施術直後から数日間は、顔全体や施術部位に腫れが見られることがあります。これは組織が刺激されたことによる炎症反応であり、通常は時間の経過とともに引いていきます。
  • 内出血: 糸を挿入する際に血管を傷つけることで、内出血が生じることがあります。青紫色から黄色へと変化しながら、1〜2週間程度で吸収されて消えていきます。
  • 痛み: 施術中は麻酔を使用するため痛みはほとんど感じませんが、麻酔が切れた後に鈍い痛みや圧痛を感じることがあります。鎮痛剤でコントロールできる範囲であることがほとんどです。
  • 引きつれ感・違和感: 糸で組織が引き上げられるため、施術直後から数日間は顔の表情を動かした際に引きつれ感や突っ張り感、違和感を感じることがあります。これはリフトアップ効果によるもので、徐々に馴染んでいきます。
  • 凹凸: 糸の挿入部位や引き上げが強い部分に一時的な凹凸が見られることがあります。これも時間の経過とともに馴染むことがほとんどです。

ダウンタイムの期間と経過

筆者の臨床経験では、施術後2〜3日は腫れや痛みがピークに達し、その後1週間程度で大きな腫れや内出血は落ち着き始める方が多いです。完全に自然な状態になるまでには、2週間から1ヶ月程度かかることもあります。特に、口を開けたり笑ったりする際に感じる引きつれ感は、1ヶ月程度続くことも珍しくありません。日常診療では、「いつになったら思い切り笑えるようになりますか?」と相談される方が少なくありませんが、多くの場合、1ヶ月程度で表情筋の動きに慣れてきます。
⚠️ 注意点

ダウンタイム中に気になる症状が続く場合や、悪化する兆候が見られる場合は、速やかに施術を受けた医療機関に連絡し、診察を受けるようにしてください。

糸リフト施術中の痛みと対策は?

糸リフト施術中に麻酔が効き、痛みが軽減される様子
施術中の痛みと麻酔対策
糸リフトの施術では、痛みを最小限に抑えるための工夫がなされています。施術中の痛みの程度や、具体的な対策について解説します。

施術中の痛みの程度

糸リフトの施術は、局所麻酔を使用して行われることが一般的です。そのため、麻酔が効いている間は、針を刺す痛みや糸を挿入する際の痛みはほとんど感じません。ただし、麻酔注射の際にチクッとした痛みや、麻酔薬が注入される際の圧迫感を感じることはあります。また、糸を挿入する際に、皮下組織を剥離するような感覚や、鈍い圧迫感を感じる方もいらっしゃいますが、強い痛みを感じることは稀です。

痛みを軽減するための対策

痛みを軽減するために、以下のような対策が取られます。
  • 局所麻酔: 施術部位に直接麻酔薬を注射し、痛みをブロックします。
  • 笑気麻酔: 吸入することでリラックス効果と鎮痛効果が得られる麻酔です。局所麻酔と併用することで、さらに痛みを軽減できます。
  • 静脈麻酔: 点滴で麻酔薬を投与し、眠ったような状態で施術を受けることができます。痛みに非常に弱い方や、不安が強い方に選択されることがあります。
  • 極細の針の使用: 麻酔注射の痛みを軽減するために、非常に細い針を使用することがあります。
実臨床では、麻酔が効いてしまえば「思っていたより痛くなかった」とおっしゃる患者さんが多く見られます。しかし、痛みの感じ方には個人差が大きいため、事前に医師と十分に相談し、ご自身に合った麻酔方法を選択することが重要です。

糸リフトで起こりうる副作用と対処法

糸リフトは比較的安全な施術ですが、いくつかの副作用が報告されています。ここでは、特に注意が必要な「引きつれ」と「糸の露出」について詳しく解説し、その他の副作用と対処法についても触れます。

引きつれ(ディンプル)

引きつれは、糸で皮膚が強く引き上げられることで、皮膚表面に一時的な凹みやしわが生じる現象です。特に、糸の挿入部位やコグが皮膚の浅い層に位置する場合に起こりやすくなります。専門用語では「ディンプル」と呼ばれることもあります。
  • 原因: 糸の挿入深度が浅すぎる、過度な引き上げ、皮膚のたるみ具合と糸の選択が不適切などが考えられます。
  • 対処法: 軽度な引きつれであれば、時間の経過とともに自然に馴染むことがほとんどです。筆者の臨床経験では、施術後1ヶ月程度で改善を実感される方が多いです。しかし、改善しない場合や目立つ場合は、マッサージやヒアルロン酸注入で凹みを修正したり、糸の一部を緩める処置が必要になることもあります。

糸の露出(突出)

糸の露出は、挿入された糸の先端が皮膚から飛び出してしまったり、皮膚が薄い部分で糸が透けて見えたりする稀な副作用です。これは、施術時の糸の処理が不十分であったり、術後の外部からの刺激によって糸が移動したりすることで起こりえます。
  • 原因: 糸の挿入深度が浅すぎる、糸の切断が不十分、術後の過度な表情筋の動きやマッサージなどが考えられます。
  • 対処法: 露出した糸は、感染のリスクがあるため、速やかに医療機関を受診し、除去または適切な処置を受ける必要があります。自己判断で触ったり引っ張ったりすることは絶対に避けてください。
日常診療では、「糸が出てきたかもしれない」と不安そうに受診される方がいらっしゃいますが、多くは一時的な皮膚の凹凸や、糸の先端がわずかに触れる程度の違和感であることがほとんどです。しかし、実際に糸が露出している場合は、感染症などの合併症を防ぐため、迅速な対応が求められます。

その他の副作用

  • 感染: 施術部位が細菌に感染することがごく稀にあります。発赤、腫れ、痛み、熱感などの症状が現れた場合は、抗生剤の投与や糸の除去が必要になることがあります。
  • アレルギー反応: 糸の素材に対してアレルギー反応を起こすことは極めて稀ですが、可能性はゼロではありません。
  • 神経損傷: 非常に稀ですが、施術中に神経を損傷し、顔のしびれや麻痺が生じることがあります。
  • 左右差: 施術直後に左右差が生じることがありますが、腫れやむくみが引くにつれて改善することがほとんどです。
副作用の種類主な症状対処法
引きつれ(ディンプル)皮膚表面の凹み、しわ自然治癒、マッサージ、ヒアルロン酸、糸の調整
糸の露出皮膚からの糸の突出、透け速やかな医療機関受診、糸の除去
感染発赤、腫れ、痛み、熱感抗生剤投与、糸の除去
左右差顔の左右のバランスのずれ時間の経過で改善、追加施術による調整

糸リフト後の注意点と過ごし方

糸リフト後のダウンタイム中の安静な過ごし方と注意点
術後の過ごし方と注意点
糸リフトの効果を最大限に引き出し、ダウンタイムを短縮し、副作用のリスクを低減するためには、術後の適切なケアと過ごし方が非常に重要です。ここでは、施術後に特に注意すべき点について解説します。

術後数日間の過ごし方

  • 冷却: 施術部位を優しく冷却することで、腫れや痛みを軽減できます。冷やしすぎないよう、清潔なタオルで包んだ保冷剤などを使用しましょう。
  • 安静: 術後数日間は、激しい運動や飲酒、長時間の入浴(シャワーは可)を避け、安静に過ごすことが推奨されます。血行が良くなると腫れや内出血が悪化する可能性があります。
  • 洗顔・メイク: 施術部位を強くこすらないよう、優しく洗顔してください。メイクは、針穴が塞がった翌日以降から可能となることが多いですが、医師の指示に従いましょう。
  • 睡眠時の体勢: 仰向けで寝るように心がけ、うつ伏せや横向き寝は避けましょう。顔に圧力がかかると、糸がずれたり、腫れが悪化したりする可能性があります。

避けるべき行動

  • 顔のマッサージ: 術後1ヶ月程度は、顔のマッサージやエステ、歯の治療など、顔に強い刺激が加わる行為は避けてください。糸が定着する前に動いてしまうと、効果が半減したり、副作用の原因となったりする可能性があります。
  • 過度な表情筋の動き: 大きく口を開けたり、強く笑ったりする動作も、術後しばらくは控えることが望ましいです。
  • 喫煙: 喫煙は血行を悪化させ、傷の治りを遅らせる可能性があるため、術後は控えることが推奨されます。
臨床現場では、術後のフォローアップで「ついつい顔を触ってしまった」「うっかりマッサージをしてしまった」という患者さんの声を聞くことがあります。糸が定着するまでの期間は、特に意識して顔への刺激を避けることが、良好な結果に繋がる重要なポイントになります。

糸リフトの効果を長持ちさせるには?

糸リフトの効果は永久的なものではなく、時間の経過とともに徐々に薄れていきます。効果をできるだけ長く持続させるためには、いくつかのポイントがあります。

定期的なメンテナンス

挿入された糸は生体内で吸収されるため、リフトアップ効果は平均して1年〜1年半程度持続すると言われています[4]。効果が薄れてきたと感じたら、定期的に追加で糸を挿入するメンテナンスを行うことで、長期的に若々しい状態を保つことが可能です。筆者の臨床経験では、1年〜1年半ごとにメンテナンスを行うことで、常に良好な状態を維持されている患者さんが多くいらっしゃいます。

生活習慣の見直し

  • 紫外線対策: 紫外線は肌の老化を促進し、コラーゲンやエラスチンを破壊します。日焼け止めや帽子などで、日常的に紫外線対策を徹底しましょう。
  • 保湿ケア: 乾燥は肌のバリア機能を低下させ、たるみを悪化させる原因となります。毎日のスキンケアで十分な保湿を心がけましょう。
  • バランスの取れた食事: コラーゲン生成に必要な栄養素(タンパク質、ビタミンCなど)を積極的に摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 禁煙: 喫煙は肌の老化を早める大きな要因です。禁煙することで、肌の健康を保ち、糸リフトの効果持続にも繋がります。

他の美容医療との併用

糸リフトは、単独でも効果を発揮しますが、ヒアルロン酸注入やボトックス注射、HIFU(高密度焦点式超音波)などの他の美容医療と組み合わせることで、より相乗的な効果が期待できます。例えば、糸リフトでたるみを引き上げ、ヒアルロン酸でボリュームを補ったり、ボトックスで表情ジワを改善したりすることで、顔全体のバランスの取れた若返り効果が得られます。実際の診療では、患者さんのたるみの状態や希望に応じて、最適な組み合わせを提案しています。

まとめ

糸リフトは、メスを使わずに顔のたるみを改善し、リフトアップ効果が期待できる人気の美容医療です。ダウンタイムは数日〜2週間程度で、腫れや内出血、痛み、引きつれ感などが主な症状として現れますが、時間の経過とともに落ち着くことがほとんどです。稀に引きつれや糸の露出といった副作用が起こる可能性もありますが、適切な施術と術後のケア、そして異変を感じた際の速やかな医療機関への相談により、リスクを低減できます。施術を検討する際は、これらの情報を十分に理解し、信頼できる医師と相談した上で、ご自身に合った治療計画を立てることが何よりも重要です。

よくある質問(FAQ)

糸リフトのダウンタイム中にメイクはできますか?
施術部位の針穴が塞がれば、翌日以降からメイクが可能な場合が多いです。ただし、施術部位を強くこすったり、刺激を与えたりしないよう注意が必要です。具体的な時期については、施術を受けた医師の指示に従ってください。
糸リフトの効果はどのくらい持続しますか?
使用する糸の種類や本数、個人の体質にもよりますが、一般的には1年〜1年半程度効果が持続すると言われています。糸が吸収された後も、コラーゲン生成促進効果により、肌のハリが維持されることもあります。
糸リフト後に顔のマッサージはしても大丈夫ですか?
術後1ヶ月程度は、糸が皮下組織にしっかりと定着するまでの期間であるため、顔のマッサージは避けるべきです。強い刺激が加わると、糸がずれたり、リフトアップ効果が損なわれたりする可能性があります。
糸リフトは誰でも受けられますか?
妊娠中・授乳中の方、出血傾向のある方、皮膚に炎症がある方、特定の疾患をお持ちの方などは、施術を受けられない場合があります。また、極端に皮膚のたるみが強い方や、皮膚が薄すぎる方など、糸リフトが適さないケースもあります。必ず事前に医師によるカウンセリングを受け、ご自身の状態を正確に診断してもらうことが重要です。
この記事の監修
👨‍⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医