【糸リフト(スレッドリフト)とは?医師が種類・効果・注意点を解説】

糸リフト(スレッドリフト)
糸リフト(スレッドリフト)とは?医師が種類・効果・注意点を解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 糸リフトは医療用の特殊な糸を挿入し、たるみを物理的に引き上げる治療法です。
  • ✓ PDO、PCL、PLAなど様々な素材の糸があり、それぞれ特徴と持続期間が異なります。
  • ✓ ダウンタイムや副作用はありますが、適切に管理することでリスクを低減できます。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

糸リフト(スレッドリフト)は、顔や首のたるみを改善するために、医療用の特殊な糸を皮下に挿入して物理的に引き上げる治療法です。メスを使わずにたるみを改善したい、ダウンタイムを抑えたいと考える方にとって、選択肢の一つとして注目されています。しかし、その種類や効果、注意点については十分に理解しておくことが重要です。

糸リフトとは:使用する糸の種類(PDO・PCL・PLA)と特徴

糸リフト施術で用いられるPDO、PCL、PLAの3種類の溶ける糸の特性比較
糸リフトで使われる糸の種類と特徴

糸リフトとは、医療用の特殊な糸を皮膚の下に挿入し、たるんだ皮膚や組織を物理的に引き上げて固定することで、リフトアップ効果や肌のハリ改善を目指す治療法です。使用される糸には様々な種類があり、それぞれ素材や形状、期待できる効果や持続期間が異なります[2]

糸リフトで使用される主な糸の種類とは?

現在、主に用いられている糸の素材は、PDO(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLA(ポリ乳酸)の3種類です。これらの糸は生体内で徐々に分解・吸収されるため、体内に異物として残り続けることはありません。分解される過程でコラーゲン生成を促進する効果も期待されています[1]

PDO(ポリジオキサノン)
医療現場で縫合糸として長年使用されてきた実績のある素材です。比較的硬く、リフトアップ効果に優れるとされます。吸収期間は一般的に6〜8ヶ月程度ですが、その間コラーゲン生成を促し、肌のハリや弾力改善に寄与すると考えられています。多方向のコグ(トゲ)を持つものが多く、強力な引き上げが期待できます[4]
PCL(ポリカプロラクトン)
PDOよりも柔軟性があり、吸収期間が2〜3年と長いのが特徴です。そのため、より自然な仕上がりと長期的な効果が期待できます。生体適合性も高く、アレルギー反応のリスクが低いとされています。柔軟性があるため、表情に合わせた自然な動きを妨げにくいという利点もあります。
PLA(ポリ乳酸)
吸収期間が最も長く、2〜3年程度持続すると言われています。PCLと同様に柔軟性があり、コラーゲン生成促進効果も高いとされています。特に、コーンと呼ばれる円錐状の突起を持つ糸が代表的で、強力なリフトアップと持続性が期待されます。実臨床では、より長期的な効果を求める患者さんに選択されることが多い印象です。

これらの糸は、たるみの程度、希望する持続期間、予算、そして患者さんの皮膚の状態や骨格に合わせて選択されます。日常診療では、患者さんの「自然なリフトアップをしたいけれど、ダウンタイムは短くしたい」という要望に対し、PDO糸とPCL糸を組み合わせるなど、複数の種類の糸を提案することもあります。それぞれの糸にはメリット・デメリットがあるため、医師と十分に相談し、ご自身の状態に最適な糸を選ぶことが重要です。

糸リフトの効果・持続期間・施術回数

糸リフトは、たるみの改善だけでなく、肌質の向上にも寄与する治療法です。具体的にどのような効果が期待でき、どのくらいの期間持続するのか、またどの程度の頻度で施術を受けるのが適切なのかを解説します。

糸リフトで期待できる効果とは?

糸リフトの主な効果は、たるんだ皮膚や脂肪組織を物理的に引き上げ、顔全体の輪郭をシャープにすることです。特に、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスラインのたるみ、二重あごの改善に効果が期待できます[2]。糸に付いたコグ(トゲ)やコーン(円錐状の突起)が皮下組織をしっかりと捉え、リフトアップ効果を発揮します。また、挿入された糸が分解される過程で、周囲の組織に刺激を与え、コラーゲンやエラスチンの生成を促進すると考えられています。これにより、肌のハリや弾力が増し、小じわの改善や肌質の若返り効果も期待できるでしょう[1]

  • たるみ改善: ほうれい線、マリオネットライン、フェイスライン、二重あごの引き上げ。
  • 小顔効果: フェイスラインが引き締まることで、顔全体がシャープに見える。
  • 肌質改善: コラーゲン生成促進によるハリ・ツヤの向上、小じわの軽減。

臨床現場では、特に「フェイスラインがぼやけてきた」「写真に写ると顔が大きく見える」といったお悩みを抱える患者さんに、糸リフトが有効な選択肢となるケースをよく経験します。筆者の臨床経験では、治療開始2〜3ヶ月ほどで肌のハリ感の変化を実感される方が多いです。

糸リフトの持続期間と施術回数

糸リフトの持続期間は、使用する糸の種類、挿入する本数、患者さんのたるみの程度や体質、生活習慣によって異なります。一般的に、PDO糸は6ヶ月〜1年程度、PCL糸やPLA糸は1年半〜3年程度の持続が期待できるとされています[2]。糸が吸収された後も、糸の刺激によって生成されたコラーゲンが残るため、完全に元の状態に戻るわけではありませんが、時間とともに徐々に効果は薄れていきます。

効果を維持するためには、定期的なメンテナンスが推奨されます。多くの場合は1年〜2年に1回程度のペースで再施術を検討される方が多いですが、これも個人差が大きいです。日常診療では、「前回から1年半経って、また少しフェイスラインが気になり始めた」と相談される方が少なくありません。医師と相談しながら、ご自身の状態や希望に合わせて最適なタイミングで施術を受けることが大切です。

糸の種類主な特徴持続期間(目安)
PDO(ポリジオキサノン)硬く強力な引き上げ、コラーゲン生成6ヶ月〜1年
PCL(ポリカプロラクトン)柔軟性があり自然な仕上がり、長期持続1年半〜2年
PLA(ポリ乳酸)最も長期持続、強力なコラーゲン生成2年〜3年

糸リフトのダウンタイム・痛み・副作用(引きつれ・糸の露出)

糸リフト後の顔の腫れ、内出血、引きつれ感の経過と注意点
糸リフト後のダウンタイムと副作用

糸リフトはメスを使わない施術ですが、ダウンタイムや痛み、いくつかの副作用のリスクがあります。事前にこれらの情報を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

糸リフトのダウンタイムはどのくらい?

糸リフトのダウンタイムは、個人差や施術内容(挿入する糸の本数、種類、範囲)によって異なりますが、一般的には数日〜1週間程度が目安とされています。主な症状としては、腫れ、内出血、痛み、むくみなどが挙げられます。

  • 腫れ・むくみ: 施術直後から数日間がピークで、1週間程度で徐々に引いていきます。
  • 内出血: 針を刺した部位に生じることがあり、数日〜2週間程度で消失します。メイクで隠せる程度であることが多いです。
  • 痛み: 施術中は局所麻酔を使用するため、強い痛みを感じることは少ないですが、術後に鈍い痛みや違和感が生じることがあります。通常は数日〜1週間程度で落ち着きます。必要に応じて痛み止めが処方されます。

多くの患者さんは、施術翌日から仕事や日常生活に戻ることが可能ですが、大事なイベントを控えている場合は、2週間程度の余裕を持っておくことをおすすめします。臨床現場では、施術後の経過観察で「口を開けにくい」「顔を洗うときに少し痛む」といった訴えをよく聞きますが、これらは一時的なもので、時間の経過とともに改善することがほとんどです。

糸リフトの主な副作用と対策とは?

糸リフトには、以下のような副作用のリスクも存在します。これらのリスクを最小限に抑えるためには、経験豊富な医師による適切な施術と、術後の正しいケアが重要です。

  • 引きつれ・凹み: 糸の挿入位置や引き上げが過度な場合、皮膚に引きつれや凹みが生じることがあります。通常は数週間で馴染みますが、改善しない場合は調整が必要になることもあります。
  • 糸の露出・感染: まれに糸の端が皮膚から露出したり、挿入部位が感染を起こしたりするケースがあります[4]。露出した場合は速やかに抜糸が必要です。感染の場合も抗生剤治療や抜糸が検討されます。
  • 神経損傷・血管損傷: 非常にまれですが、神経や血管を損傷するリスクもゼロではありません。経験豊富な医師が解剖学を熟知した上で施術を行うことで、これらのリスクは大幅に低減されます。
  • アレルギー反応: 糸の素材に対するアレルギー反応は非常にまれですが、生じる可能性はあります。
⚠️ 注意点

施術後は、顔のマッサージや強い圧迫を避ける、激しい運動を控えるなど、医師の指示に従うことが重要です。また、万が一、施術後に異常を感じた場合は、速やかに医療機関に連絡してください。診察の場では、「糸が透けて見える気がする」と質問される患者さんも多いですが、多くの場合、むくみが引けば目立たなくなります。しかし、気になる症状は遠慮なくご相談いただくことが大切です。

糸リフト vs HIFU vs 切開リフト:たるみ治療の選び方

たるみ治療には、糸リフト以外にも様々な選択肢があります。HIFU(高密度焦点式超音波)や切開リフトなど、それぞれ特徴が異なるため、ご自身のたるみの状態や希望に合わせて最適な治療法を選ぶことが重要です。

HIFU(高密度焦点式超音波)とは?

HIFUは、高密度の超音波エネルギーを皮膚の深層にあるSMAS筋膜(表在性筋腱膜系)に照射することで、熱による組織の収縮とコラーゲン生成を促進し、たるみを引き締める治療法です。メスを使わず、皮膚表面を傷つけずにリフトアップ効果が期待できるため、ダウンタイムがほとんどないのが特徴です。

  • メリット: ダウンタイムが短い、非侵襲的、自然な引き締め効果。
  • デメリット: 物理的な引き上げ効果は糸リフトや切開リフトに劣る、効果の持続期間は半年〜1年程度。

HIFUは、軽度〜中程度のたるみや、肌全体のハリを改善したい方に適しています。糸リフトとHIFUを組み合わせることで、より相乗的な効果が期待できることもあります[3]。日常診療では、「メスを入れるのは抵抗があるけれど、たるみが気になり始めた」という方にHIFUをおすすめすることが多いです。

切開リフト(フェイスリフト)とは?

切開リフトは、耳の周りなどを切開し、皮膚やSMAS筋膜を物理的に引き上げて余分な皮膚を切除する外科手術です。たるみ治療の中では最も強力で、半永久的な効果が期待できる治療法です。

  • メリット: 強力なリフトアップ効果、長期的な持続性、重度のたるみにも対応可能。
  • デメリット: ダウンタイムが長い(数週間〜数ヶ月)、全身麻酔が必要な場合がある、費用が高い、傷跡が残る可能性がある。

切開リフトは、他の治療法では改善が難しい重度のたるみや、一度で大幅な改善を望む方に適しています。しかし、外科手術であるため、リスクやダウンタイムを十分に理解し、慎重に検討する必要があります。実際の診療では、重度のたるみを訴えて受診される患者さんに対して、切開リフトの選択肢も提示し、メリット・デメリットを詳しく説明するようにしています。

たるみ治療の選び方:糸リフト・HIFU・切開リフトの比較

これらの治療法は、それぞれ適応や期待できる効果、ダウンタイムが異なります。ご自身のたるみの状態、希望する効果、ダウンタイムの許容範囲、予算などを考慮して、医師と相談しながら最適な治療法を選択しましょう。

項目糸リフトHIFU切開リフト
治療の侵襲性低〜中(針穴のみ)低(非侵襲的)高(外科手術)
リフトアップ効果中〜高(物理的引き上げ)中(引き締め)高(大幅な改善)
ダウンタイム数日〜1週間ほとんどなし数週間〜数ヶ月
持続期間6ヶ月〜3年半年〜1年5〜10年以上
適応軽度〜中程度のたるみ軽度〜中程度のたるみ、肌のハリ中度〜重度のたるみ

まとめ

糸リフトによるたるみ改善効果と施術のメリット・デメリットをまとめた内容
糸リフト施術の要点と効果のまとめ

糸リフト(スレッドリフト)は、メスを使わずに顔や首のたるみを改善し、肌のハリを向上させる効果が期待できる治療法です。PDO、PCL、PLAといった生体吸収性の糸が使用され、それぞれ持続期間や特徴が異なります。施術後のダウンタイムは数日〜1週間程度で、腫れや内出血、痛みが主な症状として現れることがあります。また、引きつれや糸の露出、感染などの副作用のリスクも考慮し、経験豊富な医師による適切な施術と術後のケアが重要です。

たるみ治療には、糸リフトの他にHIFUや切開リフトといった選択肢もあります。HIFUはダウンタイムが少なく自然な引き締め効果が期待でき、切開リフトは重度のたるみに対応できる強力な外科手術です。ご自身のたるみの状態、希望する効果、ダウンタイムの許容範囲、予算などを総合的に考慮し、医師と十分に相談した上で最適な治療法を選択することが、満足のいく結果を得るための鍵となります。

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よくある質問(FAQ)

糸リフトの施術は痛いですか?
施術中は局所麻酔を使用するため、強い痛みを感じることは少ないでしょう。麻酔が切れた後に鈍い痛みや違和感が生じることがありますが、通常は数日〜1週間程度で落ち着きます。必要に応じて痛み止めが処方されることもあります。
糸リフトの効果はいつから実感できますか?
施術直後から物理的な引き上げ効果を実感できることが多いですが、腫れやむくみが完全に引いて、肌に馴染むまでには数週間かかります。コラーゲン生成による肌質改善効果は、2〜3ヶ月かけて徐々に現れる傾向があります。
糸リフト後、日常生活で気をつけることはありますか?
施術後1ヶ月程度は、顔のマッサージや強い圧迫、激しい運動、飲酒などを避けるよう指示されることが多いです。また、大きく口を開ける動作や、硬いものを食べるのも控えることが推奨されます。メイクや洗顔は翌日から可能な場合が多いですが、優しく行うようにしてください。
糸リフトはどのくらいの頻度で受けるのが理想的ですか?
使用する糸の種類や個人の状態によりますが、効果を維持するためには1年〜2年に1回程度のペースで再施術を検討される方が多いです。完全に効果がなくなる前に施術を受けることで、より良い状態を保ちやすくなります。医師と相談し、ご自身の状態に合わせた最適な頻度を決定しましょう。
この記事の監修
👨‍⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医
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