前立腺肥大症(BPH)とは|症状・検査・薬・手術を医師が解説

排尿症状について患者が泌尿器科医へ相談する場面
UROLOGY / BENIGN PROSTATIC HYPERPLASIA

前立腺肥大症(BPH)の症状・検査・治療ガイド

前立腺の大きさだけで決めず、症状、残尿、合併症、生活への影響から必要な治療を選ぶための案内です。

最終更新 2026.09.27監修日 2026.09.27
MEANINGBPHは良性前立腺過形成
ASSESS症状と排尿機能を確認
CHOOSE困りごとと進行リスクで選ぶ
結論から

BPHは benign prostatic hyperplasia(良性前立腺過形成)の略で、日本では前立腺肥大症といいます。前立腺が大きいだけで治療が必要とは限りません。尿の出しにくさ、頻尿、残尿、感染・結石・腎機能への影響と、生活で何に困るかを確かめて治療を選びます。

知りたい内容から選ぶ基礎、症状、検査、薬、手術、生活改善を詳しく確認する
01

尿がまったく出ない時は、記事より受診を優先する

救急を検討

尿がまったく出ず下腹部が強く張る、急な脚の脱力や会陰部のしびれ、意識の変化。

当日中に相談

発熱・悪寒と排尿痛、血の塊を伴う血尿、強いわき腹痛、カテーテルが出なくなった。

泌尿器科へ予約

勢い低下、夜間頻尿、残尿感が続き、睡眠・外出・仕事に支障がある。

前立腺肥大症はゆっくり進むことが多い一方、急性尿閉、尿路感染、出血、神経の病気が重なると急いだ対応が必要です。尿が出ない時に大量の水を飲んで様子を見ず、医療機関へ連絡してください。[1][2]

02

前立腺が尿道を圧迫しても、大きさと症状は一致しない

前立腺は膀胱の出口で尿道を囲む臓器です。加齢とともに移行領域の細胞が増え、尿道が通りにくくなることがあります。ただし、大きくても症状が軽い人、小さくても膀胱の働きや尿道の抵抗のため強く困る人がいます。[1][3]

排尿症状について患者が泌尿器科医へ相談する場面
図|症状、検査、薬、手術、生活上の工夫を順に整理し、自分に合う治療を相談します。

「前立腺肥大症」と「前立腺がん」は別の病気です。症状だけでは区別できないため、年齢、診察、PSA(前立腺特異抗原)などを踏まえて、がんを調べる必要があるか相談します。

03

IPSSだけで決めず、尿検査・残尿・生活への影響を合わせて見る

IPSS(国際前立腺症状スコア)は7つの症状と生活への影響を整理する質問票です。点数は診察の共通言語になりますが、前立腺肥大症を確定する検査ではありません。尿検査、排尿後残尿、尿の勢い、前立腺の大きさ、PSAなどを目的に応じて確認します。[1][3][5]

診察室から

日々の泌尿器科診療では、同じIPSSでも「夜に何度も起きてつらい人」と「日中の勢い低下が不安な人」では目標が違います。点数に加え、最初に改善したい場面を一つ伺うと、検査や治療の優先順位を決めやすくなります。

04

知りたい内容を、基礎・症状・検査・薬・手術・生活改善に分けて確認する

すべてを一度に読む必要はありません。いま困っている内容から選び、診察で確認したいことを整理してください。

05

軽症は経過観察、中等症以上は薬、合併症や効果不十分なら手術を検討

経過観察・生活改善
症状が軽く、残尿や合併症が問題にならない時。定期的に症状と排尿機能を確認します。
薬物療法
α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬、PDE5阻害薬などを、前立腺容積、効き方、副作用、持病で選びます。
手術・低侵襲治療
尿閉、感染、結石、腎機能への影響、血尿、薬で不十分な症状などで検討します。

治療名だけで決めず、睡眠、外出、仕事、性機能、服薬負担、入院・回復期間、再治療の可能性のうち何を重視するか共有します。[2][4][6][7]

06

排尿日誌・お薬手帳・改善したい場面を準備する

排尿の記録

3日程度、時刻と量、夜間、尿意、漏れを記録します。できない日があっても受診は延期しません。

薬と持病

処方薬、市販の風邪薬・抗アレルギー薬、サプリ、心臓・血圧・緑内障などを伝えます。

急な変化

出なくなった日、発熱、血尿、痛み、急な悪化の時期をメモします。

治療目標

夜に眠りたい、外出時の不安を減らしたいなど、優先したい生活場面を一つ決めます。

生活改善は治療と組み合わせることで症状軽減に役立つ可能性があります。[8]

次回受診で確認する4点

今の治療を続ける目的、効果を判定する時期、変更する条件、急いで連絡する症状を確認します。薬を使う場合は、どの症状を狙う薬か、立ちくらみ・便秘・性機能など何を記録するかも聞いておくと安心です。

経過観察になっても「何もしない」という意味ではありません。IPSS、排尿日誌、残尿、PSAや腎機能など、どの項目をいつ再確認するかを決めます。受診間隔は症状や検査結果によって異なります。

家族が同席する場合も、本人が最も困ることと望む治療を中心にします。聞きづらい性機能や尿漏れも治療選択に関わるため、問診票やメモで伝えて構いません。

診察で聞いた内容を家で思い出せるよう、検査値と治療候補を書いた説明用紙をもらえるか尋ねてください。家族と相談する場合も、本人の希望を中心に次回の質問を整理します。

治療を選ぶ前に、今すぐ始める必要があるか、数週間考えられるかも確認します。尿閉や感染など急ぐ理由がなければ、利益と負担を書き出し、家族やかかりつけ医と相談して決めることもできます。

通院中に別の医療機関で薬が追加された場合は、次回まで待たずお薬手帳を共有します。血圧、心臓、緑内障、便秘、性機能への影響は、泌尿器科の薬の選び直しに関わります。

症状が軽くても、血尿、痛み、発熱、急な悪化があれば別の病気を確認します。「前立腺肥大症と診断済みだから」と決めつけず、変化した日と新しい症状を伝えてください。

07

よくある質問

BPHとは何の略ですか?

benign prostatic hyperplasia(良性前立腺過形成)の略です。日本では前立腺肥大症と呼びます。

前立腺が大きいと必ず治療が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。症状、残尿、感染・結石・腎機能への影響、生活上の困りごとを合わせて判断します。

前立腺肥大症は前立腺がんになりますか?

別の病気で、前立腺肥大症がそのままがんになるわけではありません。ただし同時に存在することがあるため、年齢やPSAなどから検査の必要性を相談します。

何科を受診しますか?

泌尿器科で相談します。尿がまったく出ない、発熱・悪寒、血の塊を伴う血尿がある時は予定受診を待たず連絡してください。

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参考文献