【鼻血の原因と止め方】|医師が解説する完全ガイド

鼻血 原因 止め方
鼻血の原因と止め方|医師が解説する完全ガイド
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 鼻血の多くは鼻の入り口付近からの出血で、乾燥や鼻いじりが主な原因です。
  • ✓ 正しい応急処置は、座って前かがみになり、小鼻をしっかり圧迫することです。
  • ✓ 止まらない鼻血や頻繁な鼻血、全身症状を伴う場合は医療機関の受診を検討しましょう。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

鼻血は多くの人が一度は経験する身近な症状ですが、その原因や適切な対処法については意外と知られていないことも少なくありません。この記事では、専門医の立場から鼻血の主な原因、正しい止め方、そして医療機関を受診すべきケースについて詳しく解説します。

日常的な鼻血の原因とは?

鼻血の主な原因となる鼻の粘膜の乾燥やアレルギー性鼻炎、高血圧の関連性
鼻血の様々な原因

日常的によく見られる鼻血の多くは、鼻の入り口に近い部分からの出血であり、その原因は多岐にわたります。

鼻血のメカニズムと主な出血部位

鼻血(鼻出血、医学用語ではエピスタクシス[1])は、鼻腔内の血管が損傷することで起こります。鼻の粘膜は非常に薄く、毛細血管が豊富に分布しているため、ちょっとした刺激でも出血しやすい構造になっています。特に、鼻の入り口から約1cm奥にある「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる領域は、多くの血管が集まっており、鼻血の約90%がこの部位からの出血とされています[3]。この部位は指が届きやすく、乾燥しやすい環境にあるため、物理的な刺激を受けやすいのです。

キーゼルバッハ部位
鼻中隔(左右の鼻腔を隔てる壁)の前端部にある、毛細血管が網の目のように集中している領域。鼻血の最も一般的な原因部位であり、指で触れやすいため物理的な刺激を受けやすい。

一般的な鼻血の主な原因

日常診療では、「朝起きたら鼻血が出ていた」「鼻をかんだら急に出血した」と相談される方が少なくありません。こうしたケースの多くは、以下のような原因が考えられます。

  • 鼻いじり(外傷): 最も一般的な原因の一つです。特に子供では、指で鼻をほじることで粘膜や血管を傷つけてしまい、鼻血につながることがよくあります。大人でも無意識のうちに鼻をいじることで出血することがあります。
  • 鼻を強くかむ: 鼻を強くかむと、鼻腔内の圧力が急激に上昇し、脆弱な血管が破れて出血することがあります。特にアレルギー性鼻炎や風邪で鼻炎症状が強い時期には、この傾向が顕著です。
  • 鼻腔内の乾燥: 冬場の乾燥した空気やエアコンの効いた室内では、鼻の粘膜が乾燥しやすくなります。乾燥した粘膜はひび割れやすく、血管が露出して出血しやすくなります。
  • アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎: これらの疾患があると、鼻の粘膜が炎症を起こし、充血して脆くなります。そのため、少しの刺激でも出血しやすくなります。また、鼻水が多くなることで鼻をかむ回数が増え、それが刺激となることもあります。
  • 薬剤の影響: アスピリンやワルファリンなどの抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している場合、出血しやすくなることがあります。これらの薬剤は、血液の凝固能力を低下させるため、一度出血すると止まりにくくなる傾向があります[4]

筆者の臨床経験では、乾燥が原因で鼻血を繰り返す患者さんには、鼻腔内の保湿ケアを指導するだけで改善するケースも多く見られます。特に冬場は加湿器の使用や、ワセリンなどの保湿剤を鼻の入り口に塗布することを推奨しています。

注意が必要な鼻血・その他の症状

ほとんどの鼻血は心配のないものですが、中には注意が必要なサインである場合があります。どのような場合に医療機関を受診すべきでしょうか?

止まりにくい鼻血や頻繁な鼻血

通常の鼻血は、適切な応急処置を行えば数分から15分程度で止まることが多いです[1]。しかし、20分以上圧迫しても出血が止まらない場合や、一度止まってもすぐに再出血を繰り返す場合は、医療機関の受診を検討すべきです。特に、出血量が非常に多い場合や、喉の奥に血液が流れ込んで吐き気を催すような場合は、後鼻腔からの出血(後方鼻出血)の可能性も考えられます。後方鼻出血は、キーゼルバッハ部位からの出血に比べて止まりにくく、専門的な処置が必要となることが多いです。

⚠️ 注意点

特に高齢者の方で抗凝固薬を服用されている場合、鼻血が止まりにくくなる傾向があります。出血が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。

鼻血以外の全身症状を伴う場合

鼻血が、以下のような全身症状を伴う場合は、基礎疾患が隠れている可能性があります。外来診療では、「鼻血がよく出るだけでなく、体がだるい」「あざができやすい」といった訴えをされる患者さんが増えています。このような複合的な症状が見られる場合は、より詳細な検査が必要になることがあります。

  • あざができやすい、歯茎からの出血など: 血液凝固異常や血小板の異常が考えられます。白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の可能性も否定できません[2]
  • 発熱、体重減少、倦怠感: 全身性の炎症性疾患や悪性腫瘍の一症状として鼻血が見られることもあります。
  • 高血圧: 高血圧自体が直接鼻血の原因となることは稀ですが、高血圧の患者さんでは血管が脆弱になっていることがあり、一度出血すると止まりにくくなることがあります。特に、急激な血圧上昇時や、降圧薬の調整が必要な時期には注意が必要です。
  • 鼻腔内の腫瘍: 稀ではありますが、鼻腔内に良性または悪性の腫瘍ができている場合、鼻血を繰り返すことがあります。片側の鼻からのみ出血が続く、鼻づまりが改善しないなどの症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科での精密検査が推奨されます。

これらの症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

鼻血の応急処置・予防法・受診先

鼻血が出た際の正しい止め方、座って前かがみになる応急処置と予防策
鼻血の応急処置と予防

鼻血が出た際の正しい応急処置を知っておくことは、出血を早く止める上で非常に重要です。また、日頃からの予防も鼻血を減らすために役立ちます。

鼻血が出た時の正しい止め方

鼻血が出た際、多くの人が上を向いたり、鼻にティッシュを詰めたりしがちですが、これらは必ずしも正しい対処法ではありません。正しい応急処置は以下の通りです[1]

  1. 落ち着いて座る: まずは慌てずに、椅子などに座りましょう。横になると、血が喉に流れ込みやすくなります。
  2. やや前かがみになる: 頭を少し前に傾けることで、血液が喉に流れ込むのを防ぎます。流れ込んだ血液を飲み込むと、吐き気を催すことがあるため注意が必要です。
  3. 小鼻をしっかり圧迫する: 親指と人差し指で、小鼻(鼻の軟らかい部分)を強くつまみます。この時、鼻骨(硬い部分)ではなく、軟らかい部分をしっかり圧迫することがポイントです。キーゼルバッハ部位を直接圧迫することで、出血源を抑えることができます。
  4. 10〜15分間圧迫を続ける: 途中で指を離さず、最低でも10分、できれば15分間は圧迫を続けましょう。途中で確認すると、凝固しかけた血栓が剥がれて再出血することがあります。
  5. 冷やす: 可能であれば、首の後ろや鼻の付け根を冷たいタオルや氷嚢で冷やすと、血管が収縮し、止血効果が高まることがあります。

実臨床では、お子さんの鼻血で来院される保護者の方が「上を向かせていた」とおっしゃるケースもよくあります。正しい止血法を実践することで、多くの鼻血は家庭で対処可能です。

鼻血の予防策

鼻血を繰り返さないためには、日頃からの予防が重要です。

  • 鼻いじりを避ける: 特に子供には、鼻をいじる癖をつけさせないよう指導しましょう。
  • 鼻腔の保湿: 乾燥する季節には加湿器を使用したり、鼻の入り口にワセリンなどの保湿剤を塗布したりして、粘膜の乾燥を防ぎましょう。市販の点鼻用保湿スプレーも有効です。
  • 鼻を優しくかむ: 鼻をかむ際は、片方ずつゆっくりと優しくかむようにしましょう。
  • アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎の治療: これらの疾患がある場合は、適切な治療を受けることで鼻粘膜の炎症を抑え、出血しにくくすることができます。
  • 高血圧の管理: 高血圧の持病がある場合は、定期的に血圧を測定し、適切な治療を受けることで血管への負担を軽減できます。

医療機関を受診すべきタイミングと受診先

以下の場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 20分以上圧迫しても止まらない鼻血
  • 頻繁に鼻血を繰り返す
  • 出血量が多く、貧血症状(めまい、ふらつきなど)がある
  • 鼻血以外の全身症状(あざ、発熱、体重減少など)を伴う
  • 抗凝固薬を服用中で鼻血が止まりにくい
  • 頭部外傷後に鼻血が出た

耳鼻咽喉科では、鼻腔内の詳細な観察を行い、出血部位の特定や止血処置(電気凝固、薬剤塗布、ガーゼタンポンなど)を行います。また、必要に応じて血液検査や画像検査を行い、全身疾患の有無を調べることがあります。筆者の臨床経験では、電気凝固術は比較的短時間で確実な止血効果が得られるため、患者さんの負担も少ないと感じています。

症状の掛け合わせ(鼻血・鼻の異常+〇〇)で考えるべきこと

鼻血や鼻の異常は、単独で起こることも多いですが、他の症状と組み合わさることで、より複雑な病態を示唆することがあります。ここでは、鼻血や鼻の異常に加えて、他の症状が見られる場合に考えられる疾患や、医療機関での診療フローについて解説します。

鼻血と頭痛・発熱を伴う場合

鼻血に加えて頭痛や発熱を伴う場合、いくつかの疾患が考えられます。

  • 急性副鼻腔炎(蓄膿症): 副鼻腔の炎症により、鼻づまり、鼻水、顔面痛、頭痛、発熱などが生じることがあります。炎症が強いと、鼻粘膜が脆弱になり、鼻血を伴うことがあります。特に、膿性鼻汁に血が混じる場合は、副鼻腔炎の可能性が高いです。
  • インフルエンザやその他のウイルス感染症: ウイルス感染により、鼻炎症状、発熱、頭痛、全身倦怠感などが現れます。鼻粘膜の炎症が強くなると、鼻血を伴うことがあります。
  • 髄膜炎: 稀ではありますが、細菌性髄膜炎などでは、発熱、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などの症状が見られ、鼻血を伴うこともあります。これは非常に重篤な状態であり、緊急の医療介入が必要です。

日常診療では、「風邪だと思っていたら、鼻血と強い頭痛が続いて受診した」という患者さんが、実は副鼻腔炎だったというケースをよく経験します。問診では、鼻血の頻度や量だけでなく、頭痛の性質や発熱の有無、他の全身症状について詳しく確認することが重要になります。

鼻の異常と嗅覚障害・味覚障害を伴う場合

鼻血や鼻づまりといった鼻の異常に加えて、嗅覚(におい)や味覚(あじ)の障害を伴う場合、以下のような疾患が考えられます。

  • 慢性副鼻腔炎・鼻茸(鼻ポリープ): 慢性的な炎症により鼻腔や副鼻腔にポリープ(鼻茸)ができると、鼻づまりがひどくなり、嗅覚障害を引き起こします。鼻茸の表面は脆弱なため、鼻血を伴うこともあります。
  • アレルギー性鼻炎: 重症のアレルギー性鼻炎では、鼻づまりがひどく、嗅覚が低下することがあります。鼻をかむ回数が増えることで鼻血も起こりやすくなります。
  • ウイルス感染後嗅覚障害: COVID-19を含むウイルス感染症の後遺症として、嗅覚や味覚の障害が長期にわたって続くことがあります。鼻粘膜の炎症により、鼻血を伴うことも稀ではありません。
  • 鼻腔内腫瘍: 片側の鼻づまりが進行し、嗅覚障害や鼻血を伴う場合は、鼻腔内の腫瘍の可能性も考慮する必要があります。特に、鼻血が特定の部位から繰り返し、かつ進行性の症状が見られる場合は、精密検査が不可欠です。

実際の診療では、「最近、料理の味がよくわからない」「香水の匂いがしない」と嗅覚・味覚障害を訴えて受診される方が増えています。これらの症状と鼻血の有無を合わせて評価することで、より正確な診断に繋がります。臨床現場では、内視鏡で鼻腔内を詳細に観察し、鼻茸の有無や炎症の程度を確認することが診断の重要なステップとなります。

症状の組み合わせ考えられる主な原因受診の目安
鼻血のみ鼻いじり、乾燥、鼻炎、軽度の外傷応急処置で止まれば経過観察、繰り返すなら耳鼻咽喉科
鼻血 + 頭痛・発熱急性副鼻腔炎、ウイルス感染症症状が続くなら内科または耳鼻咽喉科
鼻血 + 嗅覚・味覚障害慢性副鼻腔炎、鼻茸、ウイルス感染後遺症、鼻腔内腫瘍耳鼻咽喉科での精密検査
鼻血 + あざ・全身倦怠感血液疾患、凝固異常内科または血液内科での精密検査

まとめ

鼻血に関する重要な情報をまとめた、原因と適切な対処法を理解する
鼻血のまとめと対処法

鼻血は多くの場合、鼻の入り口付近の血管が傷つくことで発生し、乾燥や鼻いじりなどが主な原因です。正しい応急処置として、座って前かがみになり、小鼻を10〜15分間しっかりと圧迫することが重要です。ほとんどの鼻血は家庭での対処で止まりますが、20分以上止まらない場合や頻繁に繰り返す場合、あるいは頭痛、発熱、嗅覚・味覚障害、あざなどの全身症状を伴う場合は、基礎疾患が隠れている可能性も考えられます。このような場合は、速やかに耳鼻咽喉科などの医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが推奨されます。日頃から鼻腔の保湿を心がけ、鼻を優しく扱うことで、鼻血の予防にもつながります。

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よくある質問(FAQ)

鼻血が出た時に上を向いてはいけないのはなぜですか?
上を向くと、血液が喉の奥に流れ込みやすくなります。血液を飲み込むと吐き気を催したり、気管に入ってむせたりする可能性があります。また、どれくらいの量が出血しているか分かりにくくなるため、前かがみで対処することが推奨されます。
子供の鼻血は大人と何か違いがありますか?
子供の鼻血の多くは、鼻いじりや鼻を強くかむことによるキーゼルバッハ部位からの出血です。大人の鼻血に比べて、比較的簡単に止まることが多いですが、頻繁に繰り返す場合は、鼻炎の治療や鼻腔の保湿指導、場合によっては電気凝固などの処置が必要になることもあります。
鼻血が止まった後、どのようなことに注意すればよいですか?
鼻血が止まった後は、鼻を強くかんだり、鼻をいじったりすることは避けてください。血栓が剥がれて再出血する可能性があります。また、激しい運動や入浴、飲酒なども血行を促進し、再出血のリスクを高めることがあるため、しばらくは安静に過ごすことが望ましいです。
この記事の監修
👨‍⚕️
高口直人
脳神経内科医
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