炎症後色素沈着の原因
ニキビ・湿疹・レーザー後
色の濃さだけでなく、直前に何が起きたか、今も炎症が続くかを確認すると、治療の順番が見えてきます。
PIHの原因は、ニキビ、湿疹・かぶれ、虫刺され、やけど、外傷、こすり過ぎ、レーザーやピーリングなどによる皮膚の炎症です。原因となった変化と同じ場所に平らな茶色〜灰褐色の跡が残るのが手がかりです。治療では、まず新しい炎症を止めます。赤み、凹み、肝斑、老人性色素斑、盛り上がる病変は対応が異なるため、見た目だけでPIHと決めないことが重要です。
炎症がメラニンの産生と分布を変える
皮膚の炎症では、表皮細胞や免疫細胞からのシグナルがメラノサイトに影響し、メラニン産生や周囲への分布が変わります。表皮基底層が傷つくと、メラニンが真皮側にみられることもあります。機序の全てが解明されたわけではありません。[2]

ニキビ後は新しい炎症を減らすことが優先
ニキビ後の茶色い平らな跡はPIHのことがありますが、赤み、凹み、盛り上がりが混在します。日本皮膚科学会のガイドラインでは、急性炎症期の治療と維持療法が整理されており、PIHだけを治療する前に活動性ニキビを抑えることが重要です。[1]
海外の臨床試験では、ニキビ治療と保湿・洗浄・紫外線対策を組み合わせて色素変化も評価した研究がありますが、国内の承認治療や全ての肌質へそのまま当てはめることはできません。[5]
患者さんが「ニキビ跡」と指す場所を一つずつ見ると、新しい赤いニキビ、平らな赤み、茶色いPIH、凹みが並んでいることがあります。色素沈着だけにレーザーを当てる前に、今増えている病変がどれかを一緒に確認します。
ニキビ・ニキビ跡の治療順序で、活動性皮疹と残った跡の違いを確認できます。
湿疹・かぶれ・摩擦後は原因刺激を探す
かゆみのある湿疹、化粧品や外用薬によるかぶれ、マスク・タオル・スクラブなどの摩擦でもPIHは起こり得ます。色を薄くする成分を追加する前に、かゆみ、赤み、皮むけ、ヒリつきが残っていないかを確認します。
まず続けたい対応
- 原因が疑われる製品や摩擦を見直す
- 処方された湿疹治療を指示どおり行う
- 刺激の少ない保湿と遮光を続ける
診断・調整を先に行う状態
- 原因不明の湿疹が繰り返す
- 範囲が広がる、ジュクジュクする
- 外用するたびに赤み・ヒリつきが増す
レーザー・ピーリング後は通常経過と合併症を分ける
レーザー、IPL、ピーリング、マイクロニードルなどの後にもPIHが生じることがあります。レーザー治療の系統的レビューでは、改善を示す報告だけでなく、PIHが改善しない・悪化する報告もあり、機器名だけで予測できません。[6]

強まる痛み、水疱、びらん、膿、広がる赤み、治癒の遅れ、白抜けがある場合は、単なる色素沈着として次回まで待たず相談してください。
シミ取りレーザー後のかさぶたとPIHでは、治療後の時間経過に沿って確認点を整理しています。
PIHかどうかを診察で確かめるポイント
ニキビ、湿疹、傷、施術を受けた場所と色が一致するかを確認します。
炎症が先にあり、その後に茶色い平らな変化が残ったかを確認します。
赤み、熱感、かゆみ、痛み、皮むけが続いていないかを見ます。
凹み、盛り上がり、硬さ、色むら、出血がないか確認します。
発症前後の写真、使用製品、施術名・設定・日付を可能な範囲で照合します。
原因別に治療を始める順番
| 原因 | 最初に行うこと | 色への追加対応 | 避けたい行動 |
|---|---|---|---|
| ニキビ | 活動性ニキビの標準治療 | 刺激に配慮した外用等を検討 | つぶす、こする、治療を頻繁に変更 |
| 湿疹・かぶれ | 原因回避と炎症治療 | 炎症が安定してから検討 | 美白剤を重ねて刺激を増やす |
| 外傷・やけど | 創傷治癒と感染の確認 | 閉創後に遮光と経過観察 | かさぶたを剥がす |
| レーザー・施術 | 通常反応と合併症を区別 | 設定・経過を確認後に判断 | 自己判断ですぐ再照射する |
PIHの原因でよくある質問
ニキビをつぶすと必ず色素沈着になりますか?
必ずではありませんが、圧迫や傷によって炎症が強くなるとPIHや瘢痕のリスクが上がります。触らず、活動性ニキビを早めに治療する方が重要です。
外傷後の黒い跡はすべてPIHですか?
PIHは候補ですが、異物、血腫、瘢痕、感染、腫瘍性病変などもあります。盛り上がり、痛み、出血、治らない傷があれば診察を受けてください。
レーザー後に濃くなったら失敗ですか?
PIH、元の病変の残り、別の色素性病変、熱損傷などで対応が異なります。治療前写真と施術記録を持参し、追加照射の前に診断を確認してください。
色素沈着の深さは写真だけで分かりますか?
写真は経過比較に役立ちますが、深さや原因を正確に決めることはできません。分布、触診、ダーモスコピー、病歴などを合わせて判断します。
参考文献
- 日本皮膚科学会. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023.
- Maghfour J, et al. A Focused review on the pathophysiology of post-inflammatory hyperpigmentation. Pigment Cell Melanoma Res. 2022. PMID: 35306737
- Kashetsky N, et al. Post-inflammatory hyperpigmentation: A systematic review of treatment outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2024. PMID: 37843491
- Mar K, et al. Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review. J Cutan Med Surg. 2024. PMID: 39075672
- Alexis A, et al. Trifarotene with skincare and UV protection for acne-induced hyperpigmentation: phase IV study. Int J Dermatol. 2024. PMID: 38685118
- Agbai O, et al. Laser Treatments for Postinflammatory Hyperpigmentation: A Systematic Review. JAMA Dermatol. 2017. PMID: 27973642
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