髄膜炎菌ワクチン
子どもの適応・留学前の接種と費用
留学先や寮の条件、持病に合わせて検討する接種です。まず必要なワクチンの種類と接種日の条件を確かめます。
髄膜炎菌ワクチンは、留学・寮生活、流行地域への渡航、特定の持病や治療などに応じて相談する接種です。国内のメンクアッドフィは2歳以上で使うACWYワクチンで、B群には対応しません。学校の必要条件と過去の接種記録を持参し、接種時期・追加接種・費用を確認してください。[1][2][3]
接種後、急いで受診するのはどんなとき?
接種後に起きた症状でも、原因がワクチンとは限りません。呼吸・顔色・反応に急な変化があれば受診を優先します。[2][3][5]
息が苦しい、唇が青紫、呼びかけに反応しない、けいれんが続く。全身のじんましんに息苦しさなどを伴う場合も救急対応が必要です。
高熱と強い頭痛、首の動かしづらさ、繰り返す嘔吐など。髄膜炎菌の患者さんとの接触や、補体阻害薬による治療がある場合は、そのことを伝えて速やかに受診します。
接種部位の軽い痛みなどだけで、呼吸・顔色・反応が普段どおり、水分が取れている場合。悪化する、長引く、判断に迷うときは相談します。
接種日時、ワクチン名、症状が始まった時刻、薬を伝えてください。夜間などに判断に迷う場合は子ども医療電話相談 #8000も利用できます。緊急時は記録や電話相談より119番を優先します。
重い髄膜炎菌感染症を防ぐためのワクチン
髄膜炎菌は、脳や脊髄を包む膜に炎症を起こす髄膜炎や、血液に菌が入り全身に影響する感染症の原因になります。頻度は高くありませんが急速に重くなることがあるため、リスクに応じた予防と、症状が出たときの早い受診が大切です。[4][5]

国内のメンクアッドフィはA・C・W・Yの4群に対する結合型ワクチンです。B群用のワクチンとは別で、Hibや肺炎球菌など別の細菌による髄膜炎をまとめて防ぐものでもありません。[2]
国内製剤は2歳以上。追加接種は条件を確認
| 項目 | 国内製剤の目安 | 個別に確認すること |
|---|---|---|
| 対象年齢 | メンクアッドフィは2歳以上 | 2歳未満の有効性・安全性は確立していないため専門医へ相談 |
| 通常の投与 | 0.5mLを1回、筋肉内に注射 | 持病や治療、過去の製剤と接種日を提示 |
| 追加接種 | 全員に一律の追加予定は置かない | リスクが続く期間、前回接種、渡航先・学校の要件で相談 |
渡航用のワクチンは、出発日が近づく前から計画します。接種証明書に「何歳以降に接種」「何年以内の接種」などの条件がある場合は、過去に受けていても追加が必要か確認してください。米国などの年齢別スケジュールが、そのまま日本の全員の予定になるわけではありません。[1][2]
留学先の条件と、持病による必要性を分けて相談
留学・寮生活では、渡航先の流行状況だけでなく、学校や寮が求めるワクチンの種類と期限を確認します。「ACWY」「MenB」などの記載を省略せず、案内をそのまま接種医へ見せると取り違えを防げます。[1]
補体という免疫の働きを抑える薬で治療している方は、髄膜炎菌感染症のリスクが高くなります。ワクチンを受けても十分には防げないため、主治医が接種時期や予防薬、症状が出たときの対応を含めて計画します。ほかに免疫に関わる持病がある場合も、主治医から接種相談につないでもらいましょう。[3]
副反応を知り、接種後も感染症のサインに注意
接種部位の痛み、筋肉痛、頭痛、だるさ、発熱などが報告されています。重いアレルギー反応や、注射に伴う失神に備え、接種後は医療機関の指示に従って座って観察します。発熱・重い急性の病気、成分でアナフィラキシーを起こしたことがある場合などは接種前に相談が必要です。[2]
患者さんとの濃厚な接触が分かったときは、ワクチンを予約するだけで待たず、医療機関や保健所へ相談してください。予防的な抗菌薬が必要かを判断します。[4]
学校の案内と接種記録を、同じ診察に持参する
予約時には年齢、出発日、滞在先、寮に住む予定、持病と薬を伝えます。接種歴がある場合は製剤名と日付が必要です。証明書の提出期限、英文での発行、文書料、ワクチンの取り寄せ日数も確認すると、出発間際の手続きに追われにくくなります。[1]
重い感染症の予防と、保菌を減らす効果は別
複数の研究をまとめた評価では、ACWYなどのワクチンによる重い髄膜炎菌感染症の減少が評価されています。一方、のどに菌を持つ状態を減らす効果は、ワクチンの種類などによって結果が異なります。接種すれば周囲に絶対にうつさない、とはいえません。[7]
4種類の菌に対応するワクチンを比べた試験をまとめた研究では、主に抗体の増え方と安全性が調べられています。抗体の上昇は予防効果を考える手がかりですが、個々の人が感染しない確率そのものではありません。免疫を抑える特定の治療中には、接種後も注意が必要です。[8][3]
よくある質問
健康な子どもは全員受けるべきですか?
日本で全員が同じ年齢に受ける定期接種ではありません。渡航先、寮生活、学校の条件、持病などに合わせて必要性を相談します。
Hibや肺炎球菌ワクチンを受けていれば代わりになりますか?
代わりにはなりません。髄膜炎を起こす細菌の種類が異なります。またACWYワクチンは髄膜炎菌のB群に対応するものではありません。
留学先からMenBの接種を求められました。
国内のメンクアッドフィはACWY用で、MenBとは別です。学校の案内を渡航外来などへ提示し、必要な種類、国内での対応、証明書の条件を確認してください。
髄膜炎菌の患者と接触しました。今から接種すれば大丈夫ですか?
ワクチンだけで対応を済ませず、速やかに医療機関や保健所へ相談してください。接触状況から予防的な抗菌薬が必要かを判断します。症状がある場合は受診を急いでください。
参考文献
- 厚生労働省検疫所 FORTH:海外渡航のためのワクチン(髄膜炎菌・留学時の確認)
- PMDA:メンクアッドフィ筋注 電子添文(2025年9月改訂)
- CDC:補体阻害薬使用者の髄膜炎菌感染症リスクに関する臨床ガイダンス(2026年)
- CDC:髄膜炎菌感染症の概要・濃厚接触者への対応(2026年)
- CDC:髄膜炎菌感染症の臨床ガイダンス(症状・早期治療、2026年)
- 厚生労働省:薬価基準収載医薬品の保険給付上の取扱い(2026年6月19日・メンクアッドフィの条件)
- McMillan M, et al. Effectiveness of Meningococcal Vaccines at Reducing Invasive Meningococcal Disease and Pharyngeal Neisseria meningitidis Carriage: A Systematic Review and Meta-analysis. Clin Infect Dis. 2021. PMID: 33212510
- Efficacy and Safety of Quadrivalent Conjugate Meningococcal Vaccines: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2023. 免疫応答・安全性の比較. PMID: 36680022
TOCグループ
医療法人御照会を中心に、対面診療・オンライン診療・医療情報・医療機関支援を行うグループです。

