- ✓ ニキビ跡(クレーター)はタイプ別に適切な治療法を選ぶことが重要です。
- ✓ ダーマペン、フラクショナルレーザー、サブシジョン、TCAクロスなど多様な治療法があります。
- ✓ 複数の治療法を組み合わせる複合治療が、より効果的な改善につながる可能性があります。
ニキビ跡、特にクレーター状の凹凸は、一度できてしまうと自然治癒が難しく、多くの方が悩みを抱えています。しかし、現代の美容医療では、これらのニキビ跡を改善するための多様な治療法が開発されています。この記事では、ニキビ跡(クレーター)の主な種類から、それぞれのタイプに合わせた効果的な治療法、そして複数の治療を組み合わせる複合治療まで、専門医の視点から詳しく解説します。
ニキビ跡の種類:アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型の分類とは?

ニキビ跡(クレーター)は、その形状によって大きく3つのタイプに分類され、それぞれに適した治療法が異なります。正確な診断が治療成功の第一歩となります。
アイスピック型ニキビ跡
アイスピック型ニキビ跡とは、皮膚の表面に小さな穴が開いたように深く、V字型に陥没したニキビ跡を指します。まるでアイスピックで刺したような形状であることからこの名がつけられています。毛穴の炎症が真皮深層まで達し、組織が破壊されることで生じます。このタイプは、表面積が小さいものの深さが特徴で、治療が最も難しいとされるタイプの一つです。日常診療では、特に顎や頬に多く見られ、「ファンデーションで隠しきれない」と相談される方が少なくありません。
ボックスカー型ニキビ跡
ボックスカー型ニキビ跡とは、底面が平坦で、垂直な壁を持つ四角い箱のような形状の陥没性ニキビ跡です。水疱瘡の跡に似ていることもあります。炎症が真皮の比較的浅い層に留まり、コラーゲン組織が破壊されることで生じます。アイスピック型よりも深さは浅いことが多いですが、表面積が広いため目立ちやすい傾向があります。臨床現場では、頬骨の高い位置やこめかみ周辺に散在しているケースをよく経験します。
ローリング型ニキビ跡
ローリング型ニキビ跡とは、皮膚の表面がなだらかに波打つように凹凸しているニキビ跡です。底面が平坦ではなく、緩やかなカーブを描いているのが特徴です。これは、真皮の深層にある線維組織が炎症によって瘢痕化し、皮膚を下方へ引っ張ることで生じます。表面積が最も広く、皮膚全体が不均一に見える原因となります。診察の場では、「顔全体がゴワゴワして見える」と訴えられる患者さんも多いです。
- 陥没性ニキビ跡(アトロフィックスカー)
- ニキビの炎症が真皮組織を損傷し、コラーゲンやエラスチンが失われることで皮膚がへこんでしまうタイプのニキビ跡です。アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型などがこれに分類されます。
ダーマペン4によるニキビ跡治療:効果・回数・ダウンタイムとは?
ダーマペン4は、極細の針を用いて皮膚に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を高めることでニキビ跡の改善を目指す治療法です。この治療は、特にボックスカー型やローリング型のニキビ跡に効果が期待できます。
ダーマペン4のメカニズムと効果
ダーマペン4は、1秒間に約1,920個もの微細な穴を皮膚に開けることで、創傷治癒反応を促進します。この過程で、コラーゲンやエラスチンの生成が活発になり、皮膚の再生が促されます。その結果、凹凸のあるニキビ跡の深さが改善され、肌のハリや弾力も向上することが期待されます。また、微細な穴から美容成分(成長因子やヒアルロン酸など)を導入することで、治療効果をさらに高めることも可能です。国際的なレビューでも、ニキビ跡に対するマイクロニードリングの効果が報告されています[4]。筆者の臨床経験では、ダーマペン治療を複数回受けられた患者さんからは、「肌の質感がなめらかになった」「化粧ノリが良くなった」といった声が多く聞かれます。
治療回数とダウンタイム
ニキビ跡の深さや広さ、肌の状態によって個人差はありますが、一般的に3~5回程度の治療を1ヶ月間隔で行うことが推奨されます。より深いニキビ跡の場合、さらに回数が必要となることもあります。ダウンタイムは、治療直後から数日間、赤みや腫れ、ひりつき感が続くことがあります。個人差はありますが、通常は2~3日で落ち着くことが多いです。重要な予定の直前は避けるなど、計画的な治療が大切です。日常診療では、ダウンタイム中の保湿ケアや紫外線対策について、患者さんに丁寧に説明し、適切なスキンケアを指導することが重要になります。
ダーマペン治療後は肌が非常に敏感になるため、紫外線対策と保湿ケアを徹底することが重要です。また、治療直後のメイクは避け、清潔を保つよう心がけてください。
フラクショナルレーザーによるニキビ跡治療:CO2レーザー・エルビウムYAGとは?

フラクショナルレーザーは、皮膚に微細な熱損傷を与えることで、肌の再生を促し、ニキビ跡の凹凸を改善する治療法です。特にボックスカー型やローリング型のニキビ跡、肌全体の質感改善に効果が期待できます。
フラクショナルレーザーの原理と種類
フラクショナルレーザーは、レーザー光を点状に照射し、皮膚にごく小さな穴を開けることで、周囲の正常な皮膚組織を残しながら、深部のコラーゲン生成を促進します。これにより、皮膚の再生が促され、ニキビ跡の凹凸が徐々に改善されます。主な種類としては、アブレーティブフラクショナルレーザーとノンアブレーティブフラクショナルレーザーがあります。アブレーティブフラクショナルレーザーは、皮膚の表面組織を蒸散させることで、より強力な効果が期待できますが、ダウンタイムも長くなります。
- CO2フラクショナルレーザー: 炭酸ガスレーザーを使用し、皮膚の水分に吸収されることで組織を蒸散させます。深いニキビ跡や瘢痕に効果が期待でき、肌の引き締め効果も報告されています[3]。
- エルビウムYAGフラクショナルレーザー: CO2レーザーと同様に皮膚組織を蒸散させますが、CO2レーザーよりも熱作用が少なく、ダウンタイムが比較的短い傾向があります。
治療効果とダウンタイム
フラクショナルレーザー治療は、ニキビ跡の深さや肌の状態に応じて複数回の治療が必要となることが一般的です。CO2フラクショナルレーザーは、より深いニキビ跡に対して高い効果が期待できる一方で、ダウンタイムとして赤み、腫れ、かさぶたなどが1週間程度続くことがあります。エルビウムYAGレーザーは、CO2レーザーに比べてダウンタイムが短い傾向にありますが、効果もマイルドになることがあります。実臨床では、患者さんのライフスタイルやダウンタイムの許容度を考慮し、最適なレーザーの種類や設定を提案しています。特に、CO2フラクショナルレーザーは、深いボックスカー型やローリング型ニキビ跡の改善に有効な選択肢の一つです。
ピコフラクショナルレーザーによるニキビ跡治療:従来との違いとは?
ピコフラクショナルレーザーは、従来のフラクショナルレーザーとは異なるアプローチでニキビ跡の改善を目指す、比較的新しい治療法です。特に、ダウンタイムを抑えつつ効果を期待したい方に適しています。
ピコフラクショナルレーザーのメカニズム
ピコフラクショナルレーザーは、ピコ秒(1兆分の1秒)という極めて短いパルス幅でレーザーを照射します。これにより、熱ではなく「光音響効果」と呼ばれる衝撃波を発生させ、皮膚の深部に微細な空洞(LIOB: Laser Induced Optical Breakdown)を形成します。このLIOBが、皮膚の創傷治癒反応を活性化させ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進することで、ニキビ跡の凹凸を内側から持ち上げる効果が期待できます。従来のフラクショナルレーザーが熱作用を主体とするのに対し、ピコフラクショナルレーザーは熱ダメージを最小限に抑えるため、ダウンタイムが短いのが大きな特徴です。
従来のフラクショナルレーザーとの比較
ピコフラクショナルレーザーと従来のフラクショナルレーザーの主な違いは、作用機序とダウンタイムにあります。従来のフラクショナルレーザーは熱作用により皮膚組織を蒸散・凝固させるため、効果が高い反面、赤みや腫れ、かさぶたといったダウンタイムが比較的長く、色素沈着のリスクも考慮する必要があります。一方、ピコフラクショナルレーザーは光音響効果を利用するため、熱ダメージが少なく、ダウンタイムが短縮されます。これにより、治療後の日常生活への影響を最小限に抑えながら、ニキビ跡の改善を目指すことが可能です。日々の診療では、「仕事があるのでダウンタイムは短い方が良い」と希望される患者さまも少なくありません。そのような方には、ピコフラクショナルレーザーを積極的に提案しています。
| 項目 | ピコフラクショナルレーザー | 従来のフラクショナルレーザー |
|---|---|---|
| 作用機序 | 光音響効果(衝撃波) | 熱作用(蒸散・凝固) |
| ダウンタイム | 短い(数時間〜1日程度) | 比較的長い(数日〜1週間程度) |
| 痛み | 比較的少ない(麻酔クリームで緩和) | やや強い(麻酔クリーム必須) |
| 適応 | 浅めのニキビ跡、肌質改善、毛穴 | 深いニキビ跡、瘢痕 |
サブシジョン(皮下剥離術)によるニキビ跡治療とは?
サブシジョン(皮下剥離術)は、特にローリング型ニキビ跡や、皮膚が線維性の瘢痕組織によって引っ張られて凹んでいるタイプのニキビ跡に効果が期待できる手技です。
サブシジョンとはどのような治療か?
サブシジョンとは、特殊な針やカニューレを用いて、皮膚の表面から真皮深層にある線維性の瘢痕組織を物理的に切断・剥離する治療法です。ローリング型ニキビ跡は、真皮深層の線維組織が皮膚を下方へ引っ張ることで生じるため、この線維組織を解放することで、凹んでいた皮膚が持ち上がり、平坦化が期待できます。剥離された空間には、血液や組織液が貯留し、これが新しいコラーゲン生成を促す足場となることで、さらにニキビ跡の改善につながると考えられています。実際の診療では、患者さんのニキビ跡の状態を触診で確認し、どの深さに線維組織があるかを判断しながら慎重に手技を進めます。
治療のプロセスと期待される効果
サブシジョンは局所麻酔下で行われます。治療部位に針を挿入し、皮膚の下で針を動かしながら線維組織を剥離していきます。治療後は、内出血や腫れが生じることがありますが、通常は数日~1週間程度で落ち着きます。完全に凹凸がなくなるまでには複数回の治療が必要となることが多く、一般的には数ヶ月間隔で2~4回程度の治療が推奨されます。筆者の臨床経験では、特に広範囲にわたるローリング型ニキビ跡で悩んでいた患者さんが、サブシジョンを数回受けたことで、肌全体のなめらかさが大幅に改善し、自信を取り戻されたケースを多く見てきました。サブシジョンは、他の治療法では改善が難しいとされる、深いローリング型ニキビ跡に対して非常に有効な選択肢の一つです。
TCAクロス(TCAピーリング)によるアイスピック型ニキビ跡の治療とは?

TCAクロスは、高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)をニキビ跡の凹みに直接塗布することで、皮膚の再生を促し、アイスピック型ニキビ跡の改善を目指す治療法です。
TCAクロスの作用機序
TCAクロス(TCA CROSS: Trichloroacetic Acid Chemical Reconstruction of Skin Scars)は、高濃度のTCA(一般的に50~100%)を、アイスピック型ニキビ跡の底面にピンポイントで塗布します。TCAは強力なピーリング作用を持ち、塗布された部位の皮膚タンパク質を変性させ、白いフロスト(霜降り状)を形成します。この化学的な損傷が、皮膚の深部に炎症反応と創傷治癒プロセスを引き起こし、コラーゲンの生成を強力に促進します。これにより、凹んでいたニキビ跡の底面が徐々に盛り上がり、周囲の皮膚との段差が目立たなくなる効果が期待できます。この治療は、特に狭く深いアイスピック型ニキビ跡に特化した治療法として確立されています[2]。
治療のプロセスと注意点
TCAクロスは、綿棒の先端や細い針などを用いて、ニキビ跡の一つ一つに慎重にTCAを塗布します。治療中は、塗布部位に軽い痛みや灼熱感を感じることがあります。治療後は、塗布部位が数日間、白いかさぶたになり、その後、自然に剥がれ落ちます。この過程で、新しい皮膚が再生されます。治療回数は、ニキビ跡の深さや反応によって異なりますが、通常は1ヶ月以上の間隔を空けて3~5回程度の治療が推奨されます。臨床経験上、TCAクロスは非常に効果的な治療法ですが、高濃度の酸を使用するため、施術者の熟練度と丁寧なアフターケアが非常に重要になります。色素沈着のリスクを避けるためにも、治療後の紫外線対策は徹底していただくよう、患者さんには強くお伝えしています。
ニキビ跡の複合治療プラン:ダーマペン+レーザー+サブシジョンの組み合わせとは?
ニキビ跡(クレーター)は、単一の治療法だけでは完全に改善が難しい場合が多く、複数の治療法を組み合わせる「複合治療」がより高い効果をもたらすことが知られています。
なぜ複合治療が必要なのか?
ニキビ跡は、アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型など、様々な形状が混在していることがほとんどです。それぞれのニキビ跡のタイプは、皮膚の異なる深さや組織の損傷によって生じているため、単一の治療法ではすべてのタイプに効果的にアプローチすることが困難です。例えば、サブシジョンはローリング型に有効ですが、アイスピック型にはTCAクロスが適しています。また、ダーマペンやフラクショナルレーザーは、肌全体の質感改善やコラーゲン生成促進に寄与します。このように、それぞれの治療法の得意分野を組み合わせることで、より多角的にニキビ跡にアプローチし、相乗効果によって治療効果の最大化を目指すのが複合治療の考え方です。最近の研究では、幹細胞由来のエクソソームとフラクショナルCO2レーザーの併用がニキビ跡に有効である可能性も示唆されています[1]。
複合治療の具体的な組み合わせ例
複合治療の組み合わせは、患者さんのニキビ跡の種類、深さ、肌質、ダウンタイムの許容度などによって個別にカスタマイズされます。一般的な組み合わせ例としては、以下のようなものがあります。
- サブシジョン + ダーマペン/フラクショナルレーザー: まずサブシジョンでローリング型ニキビ跡の線維組織を剥離し、その後、ダーマペンやフラクショナルレーザーで肌全体の再生とコラーゲン生成を促します。サブシジョンで持ち上がった皮膚を、さらにレーザーやダーマペンで平坦化していくイメージです。
- TCAクロス + ダーマペン/フラクショナルレーザー: アイスピック型ニキビ跡にはTCAクロスでピンポイントにアプローチし、同時にダーマペンやフラクショナルレーザーで肌全体の凹凸や質感を改善します。
- ダーマペン + ピコフラクショナルレーザー: 比較的浅いニキビ跡や肌質改善を目的とする場合に、ダウンタイムを抑えつつ効果を期待できる組み合わせです。
筆者の臨床経験では、特に重度のニキビ跡で悩まれていた患者さんに対して、これらの複合治療を計画的に実施することで、治療開始から数ヶ月ほどで目に見える改善を実感される方が多いです。治療の進捗に合わせて、フォローアップで効果実感や副作用の有無、継続状況などを確認し、最適な治療プランを調整していくことが重要になります。
まとめ
ニキビ跡(クレーター)の治療は、その種類を正確に診断し、それぞれのタイプに合わせた適切な治療法を選択することが成功の鍵となります。アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型といったニキビ跡の種類に応じ、ダーマペン、フラクショナルレーザー(CO2、エルビウムYAG、ピコ)、サブシジョン、TCAクロスなど、多様な治療法が存在します。多くの場合、単一の治療法では限界があり、複数の治療法を組み合わせる複合治療が、より効果的な改善をもたらすことが期待されます。専門医としっかり相談し、ご自身のニキビ跡の状態やライフスタイルに合った最適な治療プランを見つけることが、理想の肌へと近づくための第一歩となるでしょう。
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- Hyuck Hoon Kwon, Steven Hoseong Yang, Joon Lee et al.. Combination Treatment with Human Adipose Tissue Stem Cell-derived Exosomes and Fractional CO2 Laser for Acne Scars: A 12-week Prospective, Double-blind, Randomized, Split-face Study.. Acta dermato-venereologica. 2021. PMID: 33073298. DOI: 10.2340/00015555-3666
- Gabriella Fabbrocini, M C Annunziata, V D’Arco et al.. Acne scars: pathogenesis, classification and treatment.. Dermatology research and practice. 2011. PMID: 20981308. DOI: 10.1155/2010/893080
- Yaqin Xu, Yunhua Deng. Ablative Fractional CO2 Laser for Facial Atrophic Acne Scars.. Facial plastic surgery : FPS. 2018. PMID: 29304516. DOI: 10.1055/s-0037-1606096
- Irma Bernadette S Sitohang, Sondang Aemilia Pandjaitan Sirait, Jose Suryanegara. Microneedling in the treatment of atrophic scars: A systematic review of randomised controlled trials.. International wound journal. 2021. PMID: 33538106. DOI: 10.1111/iwj.13559

