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  • 【埋没法の点数(1点留め〜4点留め)の違いと選び方を医師が解説】

    埋没法の点数(1点留め〜4点留め)の違いと選び方を医師が解説
    最終更新日: 2026-08-15
    📋 この記事のポイント
    • ✓ 埋没法の「点数」とは糸を固定する箇所であり、点数が多いほど強度が上がるが腫れのリスクも高まる
    • ✓ 一般的な適応として2点留め・3点留めが主流であり、まぶたの厚みや希望のデザインで選ばれる
    • ✓ 単純に点数を増やすだけでなく、まぶたの状態を見極めた正しいアプローチが長期持続の鍵となる
    ※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

    埋没法の点数(1点留め〜4点留め)の違いと選び方とは?

    二重整形の中で最も身近な「埋没法」を検討する際、多くの方が直面するのが「何点留めを選べばよいのか」という疑問です。点数の違いは、二重の持続力や仕上がりの美しさ、そして術後のダウンタイム(回復期間)の長さに密接に関わっています。

    実臨床では、「一重まぶたを自然な二重にしたいけれど、何点留めが自分に合っているのかわからない」という相談を非常に多く受けます。診察の場では、単に患者さまのご希望の点数をそのまま適用するだけでなく、まぶたの解剖学的特徴を詳細に分析し、皮膚の厚みや脂肪の量に適したプランを提案することから診療を開始します。本記事では、1点留めから4点留めまでの構造的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして適切な選択基準を専門的な知見から詳しく解説します。

    埋没法の仕組みと「点数」が意味するもの

    埋没法は、医療用の非常に細い糸を用いて、まぶたの裏側から皮膚を留めることで二重のライン(重瞼線)を作る治療法です[3]。この「糸を固定する箇所の数」を「点数」と呼びます。

    日常診療では、他院で「まぶたが厚いから4点留めしか無理」と言われてショックを受け、セカンドオピニオンを求めて来院されるケースをよく経験します。このような場合でも、必ずしも点数を増やすことだけが解決策ではなく、固定の方法や糸の通し方に工夫を凝らすことで、少ない点数でも安定したラインを維持できるケースは少なくありません。埋没法の仕組みを正しく理解するために、まずは基礎となる用語を整理しましょう。

    瞼板法(けんばんほう)
    まぶたのふちにある硬い軟骨のような組織(瞼板)に糸をかけて固定する方法です。術式が比較的シンプルで、腫れが少なく、狙ったラインがしっかりと出やすい特徴があります。
    挙筋法(きょきんほう)
    まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)に糸をかけて固定する方法です。瞼板法に比べてまぶたへの異物感が少なく、より自然なラインが作りやすいですが、医師の高度な技術が必要とされます。
    連続埋没法(連結留め)
    1本の糸をジグザグに通すなどして、複数の点で繋ぐように固定する技法です。個別の独立した点留めに比べ、力が分散されるためラインが取れにくい性質を持ちます。

    一般的に、1点、2点、3点、4点と呼ばれるものは、それぞれまぶたの皮膚と裏側の組織を「結び目」の数、あるいは「糸をかける位置」の数で定義しています。点数が増えるほど、まぶたにかかる張力が分散され、理想的なカーブを描きやすくなるという特徴があります[1]

    1点留めから4点留めの特徴と比較

    ここでは、各点数の具体的な仕組みと適応について分かりやすく解説します。埋没法の留め数は多ければ多いほど良いという単純なものではなく、それぞれの特性を理解することが納得のいく治療につながります。

    臨床経験上、2点留めで十分な強度が得られる方と、3点以上の固定や補強が必要な方には、まぶたの「皮膚の厚み」や「戻ろうとする力(反発力)」において大きな個人差があると感じています。診察時には、医療用の細い器具(プッシャー)を用いて仮の二重幅を作り、その状態がどれだけの張力で維持できるかを慎重に見極めています。

    1点留めの特徴と限界

    1点留めは、まぶたの中央付近など1箇所のみを糸で留める方法です。手術時間が5分程度と非常に短く、まぶたへのダメージが極めて低いため、腫れが数日以内で治まるのが最大のメリットです。

    しかし、1箇所だけで全ての張力を支えるため、強度は最も弱く、早い人では数ヶ月、長くても1〜2年程度で糸が緩んでしまう可能性が高いと言えます。基本的には「もともと二重のラインがあるが、一部が薄くなってきた方の補強」や「埋没法のシミュレーションを一時的に体験してみたい方」に向いている手法です。

    2点留めの特徴(最もスタンダードな選択)

    2点留めは、黒目の上とその両脇付近の2箇所を留める、最も普及している手法です。目頭側と目尻側のバランスを取りながら、自然な扇型の二重(末広型)を美しく描くことができます。

    手術時間、コスト、腫れの引きやすさ、持続性のバランスが非常に優れており、まぶたが極端に厚くない方であれば、第一選択肢となることが多く、多くの美容外科において標準治療に位置づけられています。4年間の追跡調査データでも、適切に施された2点留めは長期的な安定性を示すことが報告されています[1]

    3点留めの特徴(まぶたに厚みがある方向け)

    3点留めは、まぶたを3箇所で均等に固定する方法です。固定点が増えることでラインの連続性が高まり、目頭から目尻までなだらかで、崩れにくいきれいな並行二重を形成しやすくなります。

    まぶたが少し厚い方や、アイプチの長期使用によって皮膚にややたるみが生じている方に選ばれるケースが多いです。腫れの期間は2点留めと大きく変わりませんが、わずかに内出血のリスクが上昇します。

    4点留めの特徴(デザイン重視・高強度)

    4点留めは、4箇所の固定によって非常に強固なラインを作る、あるいは複雑な二重幅(幅の広い平行二重など)をデザインする際に用いられます。

    まぶたが厚く脂肪が多い方でも糸が取れにくいメリットがありますが、その分、組織に加わる負担が大きく、ダウンタイムが長くなる傾向があります。また、糸の結び目が4箇所に分散されるため、目を閉じたときの凹凸がやや目立ちやすくなるリスクも存在します。

    項目1点留め2点留め3点留め4点留め
    持続期間非常に短い(数ヶ月〜1年)普通(3〜5年程度)長い(5年以上期待)非常に長い(強固に持続)
    ダウンタイム1〜2日程度3〜5日程度5〜7日程度1〜2週間程度
    まぶたの厚み適応極めて薄い薄い〜普通普通〜やや厚い厚い(たるみあり)
    ラインの自由度極めて低い高い(末広・平行)極めて高い(幅広い平行)極めて高い(複雑なデザイン)

    点数が増えることのメリットとデメリット

    点数を増やすことには一見メリットしかないように思えますが、実は医学的には明確なリスクの増加も伴います。これらを正しく理解しておくことがトラブルの回避につながります。

    実際の診療では、術後の経過観察において、点数が多い患者さまほど「まぶたのゴロゴロ感が消えない」「目を閉じるとポコポコした結び目が気になる」といった異物感や合併症を訴える傾向を実感しています[2]。そのため、本当に点数を増やすべきメリットがあるのか、それとも適度な点数に留めるべきなのかを天秤にかける必要があります。

    点数が多いことのメリット

    • 持続性の向上:複数の点で支えるため、1点にかかる張力が少なくなり、糸が緩んだり切れたりするリスクを抑えられます[1]
    • カクつきのない滑らかなカーブ:点の結節が多いと、それらをつなぐ多角形が円に近づくように、目を閉じた時や開けた時の二重の曲線がよりスムーズで滑らかなアーチを描きやすくなります。
    • 幅広い平行二重への対応:まぶたの皮膚が強い反発を示す「幅の広いデザイン」でも、複数の固定により強力に押さえ込むことができます。

    点数が多いことのデメリット

    • 腫れや内出血(ダウンタイム)の増加:組織に針を通す回数が増え、残る糸の量が増えるため、どうしても初期の炎症が強く出やすくなります。
    • 合併症のリスク(糸の露出や異物感):結び目が皮膚の表面に小さく透けて見えたり、まぶたの裏側の結膜を刺激して角膜(黒目)を傷つけてしまうリスクが相対的に上昇します[2]
    • 修正や抜糸の難易度上昇:「仕上がりが気に入らない」「糸を戻したい」となった際、点数が多いとすべての糸を見つけて安全に取り除く手術の負担が大きくなります。
    ⚠️ 注意点

    点数が多ければ多いほど良い、というのは大きな誤解です。まぶたに必要以上の糸を入れることは、将来的な目の異物感や違和感の原因となる場合があります。まぶたに余分な負担をかけない「必要最小限かつ最大の効果を発揮する点数」を、カウンセリングを通して専門医に決定してもらうことが最善です。

    自分に合う点数の選び方とは?

    最適な点数を選ぶためには、単に「取れにくさ」だけで判断するのではなく、いくつかの条件をクリアしているかを総合的に判定していく必要があります。ここでは、具体的なセルフチェックを兼ねた選定基準についてまとめました。

    診察の場では、「先生のおすすめは何点ですか?」と尋ねられることも多いですが、実際の診療フローでは、問診票でご希望を伺ったうえで、過去のアイプチ使用による皮膚の硬さや、シミュレーション時にプッシャーを抜いた後のラインの保持力を細かく測定し、最適な点数を個別にお伝えするようにしています。特に近年は東洋人の二重デザインの好みに多様な変化が見られるため、本人の主観的な希望に合わせることがとても大切です[4]

    1. まぶたの厚みで選ぶ

    • 薄いまぶた:まぶたを閉じた時に脂肪や皮膚の戻る力が弱いため、2点留めでも非常に強固で長持ちする二重が完成しやすい傾向にあります。
    • 厚い・脂肪の多いまぶた:戻ろうとする圧力が強いため、3点留め、もしくは4点留めでしっかりと皮膚を引っ張り上げるか、脂肪吸引(マイクロサクション)などと併用することが合理的です[3]

    2. 希望する二重のデザインで選ぶ

    • 自然な末広型二重:目頭から目尻にかけて細いラインから始まるデザインです。これは比較的少ない2点留めでもきれいに作ることができます。
    • 目立つ平行型二重・ハーフ顔風のデザイン:目頭の上部からラインをしっかりと持ち上げる必要があるため、目頭付近を含む3点留め、もしくは4点留めで目頭側に強めの張力をかける必要があります[4]

    3. 年齢と皮膚のたるみ具合で選ぶ

    • 10代〜20代:皮膚のハリがあるため、最小限の固定数でも十分な効果が得られる可能性が高いです。
    • 30代以降〜皮膚のたるみが気になる方:たるんだ皮膚を面として支える必要があるため、2点では余った皮膚が覆いかぶさり不自然になることがあります。この場合は、3点以上でしっかりとした引き上げを作るか、切開法などを視野に入れたほうが良い場合があります[3]

    埋没法の術後の経過と注意点

    施術後は、選んだ点数にかかわらず一定のダウンタイムや注意事項があります。経過の予測を正しく持っておくことで、不安のない回復期を過ごすことができます。

    筆者の臨床経験では、術後3〜4日目の最も腫れが目立つ時期を過ぎると、多くの患者さまが「思ったより早くメイクができて安心した」とおっしゃるなど、精神的な負担が急速に和らいでいく姿を日常的に拝見しています。特に近年は非常にダウンタイムの短い切開併用法や連続式術式も開発されていますが[3]、基本的なケアを徹底することが合併症を防ぐ上で不可欠です。

    1. 術後24〜48時間の冷却:まぶたを保冷剤などで優しく冷やすことで、毛細血管の拡張を防ぎ、初期の腫れを大幅に軽減できます。
    2. 入浴・洗顔・メイクの制限:手術当日の洗顔やメイク、長時間の入浴、サウナ、過度な飲酒は、血流を増加させて腫れや内出血の原因となりますので、各医療機関の指示通りに控えてください。
    3. 目を擦らないこと:これが最も大切です。術後のむずがゆさや違和感から目を強くゴシゴシと擦ってしまうと、固定した糸が組織を破って緩んでしまい、二重ラインの早期消失を引き起こします。

    まとめ

    埋没法の点数は、1点から4点までそれぞれの適応や狙いがあり、決して「数が多ければ絶対的に優れている」というわけではありません。まぶたが薄く自然な末広型を希望するならば「2点留め」が体への負担や費用の面からも理想的であり、まぶたの厚みがある方や幅広いデザイン、強固な維持力を求める場合には「3点留め」や「4点留め」が適しています。ご自身の目の構造や生活様式に最も適した選択を行うために、まずは専門医による丁寧なカウンセリングとシミュレーションを受けることをお勧めします。

    よくある質問(FAQ)

    質問1: 留める点数が多いと、将来抜糸したくなった時に大変ですか?
    はい、一般的に留める点数が多いほど、まぶたの中にある糸の結び目の数が増えるため、すべての糸を見つけて完全に抜去する作業の難易度は高くなります。また、手術から長い年月が経過している場合、糸の周囲に組織が固着して見つけにくくなるため、不要な糸は早期に抜糸を検討することが推奨されます。
    質問2: まぶたがすごく厚いのですが、4点留めなら絶対に一生物ですか?
    いいえ、埋没法はどれほど多くの点数で留めたとしても、「絶対に取れない」というわけではありません。まぶたの厚みが著しい場合は、糸が皮膚や挙筋などの組織に徐々に食い込んでいき、数年で緩んでしまう可能性があります。より永続的な効果を望まれる場合は、まぶたの脂肪を取り除く微小切開や、全切開法など別の治療プランも考慮に入れた方がよいでしょう。
    質問3: 2点留めをした後に部分的に緩んできたら、1点だけ追加することはできますか?
    可能です。ライン全体が完全に消滅しているのではなく、目尻側や目頭側などの一部分だけが弱くなって幅が狭まってきた場合、その気になる部分だけに1〜2点の補強手術を追加することで、きれいな二重ラインを復活させることができます。ただし、元の糸が残っている状態での部分修正は、左右のバランスやラインの形状を合わせるために高い技術を要します。
    この記事の監修
    👨‍⚕️
    新井智博
    美容外科医
    👨‍⚕️
    林一樹
    美容外科医
  • 【埋没法の種類:瞼板法vs挙筋法の違い・メリットデメリット】

    埋没法の種類:瞼板法vs挙筋法の違い・メリットデメリット
    最終更新日: 2026-08-14
    📋 この記事のポイント
    • ✓ 瞼板法は、まぶたの裏の硬い板(瞼板)に糸を通すため、短時間で施術でき初期の腫れを抑えやすい特徴があります。
    • ✓ 挙筋法は、まぶたを引き上げる筋肉(挙筋腱膜)に糸をかけるため、角膜を傷つけにくく自然な仕上がりになります。
    • ✓ それぞれ一長一短があり、個人のまぶたの厚み、骨格、生活習慣(コンタクト使用の有無等)に応じて術式を選択することが大切です。
    ※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

    埋没法の種類:瞼板法 vs 挙筋法の違い・メリットデメリットとは?

    二重整形の中でも、切開を必要とせずダウンタイムが比較的短いことで人気の「埋没法」ですが、糸を留める場所の違いによって「瞼板法(けんばんほう)」と「挙筋法(きょきょきんほう)」という2つの代表的な種類に分けられます。

    これら2つの方法は、まぶたの解剖学的などの組織にアプローチするかという点で根本的に異なります。そのため、二重の持続性、術後の腫れ、さらには眼球への安全性にも違いが生じるのです。

    二重埋没法
    医療用の極細の糸を用いて、まぶたの皮膚と内側の組織(瞼板や挙筋腱膜)を結びつけ、目を開けたときに皮膚が折りたたまれて二重まぶたのライン(重瞼線)を作るプチ整形手術の一種です。
    瞼板(けんばん)
    まぶたの縁にある、軟骨のように硬い膠原線維の板状の組織です。まぶたの形状を一定に保つ役割を持っています。
    上眼瞼挙筋腱膜(じょうがんけんきょきんけんまく)
    脳からの指令を受け、まぶたを持ち上げる役割を果たす「上眼瞼挙筋」の先端にある薄い膜状の組織です。この腱膜が皮膚を引っ張り上げることで、本来の自然な二重が形成されます。

    日々の診療では、「インターネットでいろいろな情報を見て、どちらの手法が良いのか分からなくなってしまった」と困惑しながら相談される患者さんが少なくありません。医療情報には偏った見解も多く、どちらかが完全に優れており一方が劣っているというわけではないことを、まずお伝えしたいです。各個人のまぶたの形状、ライフスタイルに寄り添った選択をサポートするのが私たちの役割です。

    二重埋没法とはどのような手術か?

    アジア人の一重まぶたと二重まぶたの最大の違いは、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋腱膜)の枝が皮膚の裏側にしっかりと伸びているかどうかにあります[2]。一重まぶたの方はこの結合が欠如している、あるいは極めて弱いため、目を開けても皮膚が一緒に引き上げられません。二重埋没法は、この解剖学的な結合を、細い医療用のナイロン糸で人工的に作り出す方法です。

    埋没法はメスを使用しないため、切開法と比較すると傷跡がほとんど残らず、万が一仕上がりが気に入らなかった場合や、年齢とともにデザインを変更したくなった際に、糸を抜いて元に戻せる(あるいは修正できる)という大きなメリットがあります。

    瞼板法(けんばんほう)の仕組み

    瞼板法は、まぶたの縁にある硬い組織「瞼板」に直接糸を通し、まぶたの表面の皮膚と固定する方法です。硬くて頑丈な瞼板をアンカー(錨)として利用するため、手術自体がシンプルであり、多くのクリニックで広く普及しています。医師にとっても狙った位置に正確に糸をかけやすく、ラインがブレにくいという特徴があります。

    挙筋法(きょきょきんほう)の仕組み

    挙筋法は、まぶたのさらに奥にある「上眼瞼挙筋腱膜」または「上眼瞼挙筋」に糸を通し、皮膚と結びつける方法です。生まれつき二重まぶたの人が、目を開ける際に筋肉が皮膚を引き上げるメカニズムに非常に近い、生理的な再現方法と言えます[1]。挙筋という柔軟な筋肉に糸をかけるため、まぶたの動きに合わせた自然なしなりや、閉眼時の自然な質感が得られやすい設計となっています。

    瞼板法(けんばんほう)の具体的なメリットとデメリットは?

    瞼板法は長年にわたり行われてきた、非常に信頼のおける埋没法の手法です。まぶたの内側を精密に観察し、正確な固定を行うための標準的な術式として確立されています。しかし、その解剖学的な特徴から、メリットとデメリットがはっきりと分かれる側面もあります。

    実臨床では、「ダウンタイムをできるだけ短くしたい」「数日後に迫った大切なイベントまでに少しでも不自然さを減らしたい」という患者さんが多く見られます。このようなお急ぎのケースや、まぶたに余分な腫れを出したくない場合に、瞼板法が有効なアプローチとして選ばれることが多々あります。

    瞼板法のメリット:手術の簡便性と腫れの少なさ

    瞼板法における最大の強みは、そのシンプルな施術ステップと、手術時間の短さです。手術時間は両目でおよそ10分から15分程度と非常にスピーディーに終了します。

    • 腫れが少なくダウンタイムが短い:硬い組織である瞼板に糸をかけるため、周辺の柔らかい組織(脂肪や筋肉)を不必要に締め付けることが少なく、麻酔液の量も最小限に抑えられます。そのため、術後の腫れやむくみが比較的早く引く傾向にあります。
    • 仕上がりの予測性が高い:瞼板は変形しにくい軟骨様組織であるため、糸を結んだ際の二重幅のシミュレーションがそのまま実現しやすく、医師の技術差による左右差や仕上がりのブレが生じにくいです。
    • 抜糸が比較的容易である:もし将来的に幅を狭めたい、あるいは元に戻したいという希望が出た場合、瞼板法で留めた糸は比較的浅い層にあるため見つけやすく、抜糸の手術が短時間で済む傾向にあります。

    瞼板法のデメリット:角膜への影響リスク

    瞼板法において最も注意しなければならないのが、まぶたの裏側(眼球に接する面)に対する物理的な干渉です。

    • 角膜を傷つける懸念:瞼板法では、まぶたの裏側の結膜に糸のループが露出します。糸の結び目が緩んだり、眼球に押し付けられるような力が加わったりすると、硬い結膜面から糸が露出して直接角膜(黒目)を擦り、痛みや角膜炎の原因になることがあります。
    • 目を閉じたときの突っ張り感:柔軟性のない瞼板に皮膚をガッチリと固定するため、施術後しばらくの間、目を閉じた際に「引っ張られているような突っ張り感」を感じることがあります。また、伏し目になったときに埋没糸の結び目が小さなポツポツとして透けて見えやすいこともあります。

    挙筋法(きょきょきんほう)の具体的なメリットとデメリットは?

    挙筋法は、まぶたを持ち上げる筋肉(挙筋腱膜)のしなやかな動きを利用して二重のラインを形成します。角膜を保護しつつ、よりナチュラルな目元を目指したいという方に適した高度な術式です[3]

    実際の診療現場では、コンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)を長年愛用されている患者さんから「眼球に傷がつかないか心配」というご相談を受けるケースが目立ちます。このような方に対し、眼球に触れる面に糸を露出させにくい挙筋法の有用性を詳しく説明し、ご安心いただくプロセスを大切にしています。

    挙筋法のメリット:自然な仕上がりと角膜保護

    挙筋法は、まぶたの裏側の健康を重視し、整形特有の「不自然さ」をできるだけ排除したい方に選ばれる多くのメリットがあります。

    • 角膜への物理的ダメージがほぼ皆無:挙筋法では、糸を結膜側(眼球側)に貫通させない、あるいは瞼板より上方の柔らかい組織(上皮や腱膜内)で糸をコントロールするため、糸が直接角膜を傷つけるトラブルが発生しにくいのが最大の利点です[1]
    • 目を閉じた際のまぶたが平滑で自然:糸をかける組織(筋肉)が非常に柔らかいため、目を開閉する際の伸縮に対応して糸が沈み込みます。そのため、目を閉じた際にも「いかにも整形した」というような糸の結び目のポツポツが浮き出にくく、平らで綺麗なまぶたを維持しやすくなります。
    • 幅の広い並行二重を作りやすい:比較的高い位置にある挙筋腱膜からアプローチをかけるため、まぶたの厚いアジア人であっても、無理に不自然な高さを出すことなく広めの二重幅を設計しやすくなります[2]

    挙筋法のデメリット:高度な技術の必要性と初期の腫れ

    一方で、挙筋法は非常にデリケートな解剖学組織を対象にするため、いくつか特有のデメリットやリスクも伴います。

    • 医師の習熟度が大きく影響する:挙筋は非常に薄く柔らかい筋肉であるため、糸を結ぶ際のテンション(引っ張る強さ)の微調整が非常に困難です。締め付けが強すぎるとまぶたが開かなくなる「眼瞼下垂」に似た状態を一時的に引き起こし、逆に緩すぎると二重のラインが短期間で消失してしまいます。
    • 術後の腫れがやや強めに出る:筋肉や脂肪層に多くの糸を通すため、瞼板法と比較すると術後の腫れや内出血が強く出やすく、ダウンタイムが数日から1週間程度長引くケースがあります。
    • 抜糸が難しい場合がある:挙筋腱膜は時間とともに糸を包み込むように癒着することがあり、数年が経過した後に抜糸を試みても、糸が見つかりにくく組織を傷つけずに取り出すことが困難になる場合があります。

    瞼板法と挙筋法の違いを徹底比較!どちらを選ぶべき?

    これら二つの術式について、固定する深さ、ダウンタイム、安全性、持続性、それぞれの向き不向きを比較テーブルで明確に整理しました。術式選びに迷われている方は、以下の基準を参考にしてみてください。

    比較項目瞼板法(けんばんほう)挙筋法(きょきょきんほう)
    糸を固定する対象組織瞼板(硬い膠原線維の板)上眼瞼挙筋・挙筋腱膜(柔らかい筋肉)
    術後の主なダウンタイム2〜3日(腫れが引きやすい)5日〜1週間程度(比較的むくみやすい)
    角膜への安全性糸の裏側露出による角膜擦過リスクあり結膜側への糸露出が極めて少なく、安全性が高い
    目を閉じたときの自然さ結び目の凹凸が出やすい結び目が組織に沈み込むため平滑で自然
    ラインの持続性固定が硬いためズレにくいが、戻ることもある皮膚伸縮に連動するため、取れにくい側面を持つ
    後日の抜糸の難易度比較的容易(見つけやすい)時間が経つと組織の奥に埋もれて難易度が高まる

    実際の診療では、コンタクトレンズの装用習慣の有無、普段のメイク、目を開ける力の強さ、さらにはアイプチの使用歴などから、医師が丁寧に「どちらに適性があるか」を見極めます。臨床経験上、まぶたの薄い方であればどちらの方法でも綺麗に仕上がるケースが多いですが、まぶたに厚みがある一重の方や、コンタクトレンズ常用者に対しては、解剖学的限界を十分に説明した上で手術計画を立てることが重要です[4]

    まぶたの厚みと脂肪の量による適応の違い

    一重まぶたの方の多くは、皮膚の下の眼輪筋下脂肪(ROOF)や眼窩脂肪(がんかしぼう)が発達しており、まぶたの皮膚が厚くなっています。このようなタイプの方が無理に高い(広い)二重のラインを瞼板法で作ろうとすると、糸にかかるテンションが強すぎてラインがすぐに緩む、あるいはまぶたが不自然にぷっくりと膨らむ「ハム目」の状態になりやすくなります。この場合は、挙筋腱膜にかかる適切な張力を利用する挙筋法を適用するか、微細な脱脂(脂肪取り)を併用した施術を検討する必要があります[4]

    コンタクトレンズ(ハード・ソフト)を使用している場合

    普段からソフトやハードのコンタクトレンズを使用している方には、まぶたの裏側への干渉が少ない挙筋法、あるいはそのバリエーション(糸が裏側に一切出ない裏留め挙筋法など)を第一選択とすることが、眼球トラブルを避けるために有効です。瞼板法でも角膜に触れないよう極限まで丁寧に糸を処理することは可能ですが、長期的な視点での角膜保護を最優先する場合、解剖学的アプローチとして挙筋法に軍配が上がることが多いです。

    埋没法の施術における注意点とトラブルを防ぐポイント

    プチ整形として定着した埋没法ですが、手軽さの裏にはいくつかの重要な注意点が存在します。どのような手術にもリスクや合併症の可能性が必ず伴うことを、あらかじめ認識しておかなければなりません。

    ⚠️ 注意点

    埋没法を繰り返すこと(再手術)には解剖学的な限界があります。まぶたの中に何本もの古い埋没糸を残したまま何度も手術を重ねると、まぶたがゴロゴロしたり、挙筋の動きが妨げられて「眼瞼下垂」を引き起こしたりする深刻なリスクがあります。無理のない範囲でのアプローチを選びましょう。

    診察の場では、「自分の好みに合わせた平行二重にしてほしい」とSNSの画像を持参される患者さまも少なくありません。しかし、シミュレーション用器具(ブジュー)をまぶたにあてて実際にその幅を作ってみると、かえって目が開きにくくなり、眠たそうな表情になってしまうことがあります。これは、患者さまのまぶたの骨格や挙筋の力を超えた位置に二重の固定点を設定しようとするために起こる現象です。無理なデザインに固執せず、ご自身のまぶたの開き方に合致した自然なラインを見極めることが非常に重要です。

    カウンセリングと術前シミュレーションの重要性

    手術の成功率は、事前のカウンセリング段階でいかに患者さまと医師がイメージを共有できているかにかかっています。単に「瞼板法か挙筋法か」を選ぶだけではなく、目の開きやすさ、蒙古ひだ(目頭の皮膚)の張り出し具合、眉毛と目の距離を計測し、複数の高さでシミュレーションを行います。これにより、「思ったより幅が狭かった」「逆に広すぎて不自然になった」という術後のミスマッチを防ぐことができます。

    万が一のトラブル(糸の露出・感染・ライン消失)への対処法

    術後、極めて稀ではありますが、以下のような初期・後期のトラブルが発生することがあります。

    1. 感染(まぶたの腫れ・膿):糸に付着した雑菌により、まぶたに赤いシコリやニキビのようなできものが生じることがあります。その際は速やかに抗生物質(内服・点眼)による治療を行い、必要に応じて速やかに抜糸・再固定を行います。
    2. 糸の緩み・ライン消失:目をこする癖があったり、体重変化や強いまぶたのむくみがあったりすると、留めていた糸が組織から外れて二重のラインが薄くなる、あるいは消えることがあります。その場合は、適切な期間を置いてから再手術を検討します。

    まとめ

    二重埋没法には、手術時間が短く確実性の高い「瞼板法」と、角膜へのダメージが少なく自然な動きを再現できる「挙筋法」の2種類があり、それぞれ解剖学的なアプローチと適応が大きく異なります。患者さんのまぶたの状態、過去の手術歴、そして普段の生活習慣によって、適する手法は人それぞれです。ネットの情報だけを鵜呑みにせず、信頼できる専門医と綿密な術前シミュレーションを重ねて、安全で最適な施術法を決定しましょう。

    よくある質問(FAQ)

    質問:瞼板法と挙筋法、どちらが元に戻り(取れ)にくいですか?
    回答:どちらが取れにくいかは一概には言えず、まぶたの厚みに大きく左右されます。瞼板法は硬い組織に強固に固定するため、幅が狭く適した二重線であれば取れにくいです。一方、挙筋法は筋肉の自然な動きに連動して糸が伸縮するため、幅が広い二重線を作る場合には、瞼板法よりも糸が切れにくい(緩みにくい)性質があります。それぞれのまぶたの厚みやデザインに応じて決定します。
    質問:埋没法で使用した糸は、一生入れたままで大丈夫でしょうか?
    回答:はい、基本的には体内に残っていてもアレルギー反応や問題を起こしにくい医療用の極細の非吸収糸を使用するため、生涯まぶたの中に残っていても健康上、直接的な害となることは稀です。ただし、糸が緩んで角膜を刺激している、しこり(肉芽腫)ができているなどの異常が認められた場合は、抜糸が必要になります。
    質問:施術後、コンタクトレンズはいつから装着できますか?
    回答:瞼板法の場合は、結膜側に一時的に糸の結び目が馴染むまでの時間を要するため、できれば術後3日〜1週間程度はコンタクトの装着を控えていただくことが推奨されます。挙筋法(特に皮膚側のみで糸を処理する術式)の場合、早いところでは翌日から使用可能となるケースもありますが、角膜保護の観点から、術後の腫れやゴロゴロ感が落ち着くまでは眼鏡を使用されるのが最も安全です。
    📖 参考文献
    1. Ayse Yagci, Sait Egrilmez. Comparison of cosmetic results in frontalis sling operations: the eyelid crease incision versus the supralash stab incision.. Journal of pediatric ophthalmology and strabismus. 2003. PMID: 12908533. DOI: 10.3928/0191-3913-20030701-08 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12908533/
    2. Samuel M Lam. Asian blepharoplasty.. Facial plastic surgery clinics of North America. 2015. PMID: 25049125. DOI: 10.1016/j.fsc.2014.04.002 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25049125/
    3. Joel J Stanek, Jennifer C Fuller, Peter A Hilger. Brassiere Suture Technique in Upper Eyelid Blepharoplasty.. JAMA facial plastic surgery. 2020. PMID: 31343656. DOI: 10.1001/jamafacial.2019.0413 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31343656/
    4. Chih-Chao Chuang, Hsu Ma, Wen-Chieh Liao. Arcade Suture Upper Blepharoplasty Combined With the Forceps Technique.. Annals of plastic surgery. 2022. PMID: 35225850. DOI: 10.1097/SAP.0000000000003066 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35225850/
    この記事の監修
    👨‍⚕️
    新井智博
    美容外科医
    👨‍⚕️
    林一樹
    美容外科医
  • 【埋没法とは:手術の仕組み・持続期間・取れるリスクを医師解説】

    埋没法とは:手術の仕組み・持続期間・取れるリスクを医師解説
    最終更新日: 2026-08-14
    📋 この記事のポイント
    • ✓ 埋没法は、メスを使わずに医療用の極細糸で二重の仕組みを再現する、ダウンタイムの短い二重整形術です。
    • ✓ 平均的な持続期間は3〜5年ですが、まぶたの厚みやアイメイクなどの生活習慣によって個人差が生じます。
    • ✓ 糸の緩みや露出による眼合併症のリスクを防ぐため、術後の違和感には早期の医師による診察が重要です。
    ※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

    埋没法とは:手術の仕組みを詳しく解説

    埋没法は、メスを使用せずに二重まぶたを作り出す非常に一般的な美容外科手術です。まぶたの内側に医療用の極細糸を通し、特定の組織を留めることで二重のラインを固定します。この手術の基本は、東洋人に多い一重まぶたの構造を、生まれつき二重まぶたの人が持つ解剖学的構造に近づける点にあります。

    生まれつき二重まぶたの人は、まぶたを持ち上げる筋肉である「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」の末端の枝が、まぶたの皮膚の裏側にしっかりと結合しています。そのため、目を開けたときに皮膚が引き込まれて折り込みが生じます。一方で一重まぶたの人は、この筋肉の枝が皮膚まで達していないか、あるいは結合が極めて弱い傾向があります。埋没法はこの結合を、医療用のナイロン糸を用いて人工的に再現する仕組みを採っています[1]

    埋没法の基本的な術式(瞼板法と挙筋法)

    埋没法には、糸を留める場所の違いによって大きく分けて「瞼板法(けんばんほう)」と「挙筋法(きょきんほう)」の2種類があります。

    • 瞼板法:まぶたの縁にある硬い軟骨のような組織(瞼板)に糸を通し、皮膚と固定する方法です。比較的施術がシンプルで、二重のラインがはっきりと出やすい特徴があります。
    • 挙筋法:瞼板よりさらに上部にある挙筋腱膜、または上眼瞼挙筋に糸を通して皮膚と固定する方法です。糸が眼球に触れにくく、より自然な仕上がりと柔軟な動きを再現しやすいとされています。

    近年では、これらの方法を組み合わせたハイブリッドな固定法や、眼輪筋、挙筋、瞼板を多角的に固定して、より長持ちする仕上がりを目指す術式も研究されています[1]。診察の場では、「糸が目の中でゴロゴロしないか不安です」と質問される患者さんも多いですが、挙筋法と瞼板法の違いやまぶたの裏側に露出しない工夫を丁寧に説明すると、多くの方が納得して施術に臨まれます。

    瞼板(けんばん)
    まぶたの形を保持している、結合組織からなる薄く平らな板状の組織。非常に緻密で弾力性があり、二重の固定点を安定させる足場として機能します。
    上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)
    上まぶたを引き上げる役割を担う筋肉。この筋肉を収縮させることで目が開き、その際にまぶたの皮膚が折り込まれることで二重が形成されます。

    埋没法の二重はどれくらいもつ?持続期間の目安

    埋没法の持続期間には個人差があり、糸が一生涯外れないケースもあれば、数ヶ月で緩んでしまうケースもあります。一般的には、平均して3年から5年程度持続することが多いとされています。

    埋没法で作られた二重の持続力は、糸を留める「点」の数(2点留め、3点留め、4点留めなど)や、まぶたの解剖学的な特徴、さらには施術後の日常生活における刺激の有無によって大きく変化します。糸の結び目にかかるテンションが分散される多点留めの方が、ラインが消えにくく持続しやすい傾向にありますが、その分まぶたへの負担や異物感が増すという側面も持ち合わせています。

    持続期間を左右する個人的要因

    術後の経過において、二重の幅やラインの鮮明さは時間とともに少しずつ変化していきます。筆者の臨床経験では、治療開始から数年経ってもきれいな二重を維持されている方がいる一方で、数ヶ月でラインが薄くなってしまうなど、持続期間には個人差が大きいと感じています。特に以下の要素が持続期間に直結します。

    1. まぶたの厚み:皮下脂肪や眼窩脂肪(がんかしぼう)が多いまぶたは、元に戻ろうとする圧力が強いため、糸が緩みやすくなります。
    2. 皮膚のたるみ:加齢などによって皮膚のたるみが強い場合、糸が支えきれなくなり、ラインが覆いかぶさって二重が不鮮明になることがあります。
    3. 日常的な摩擦:目元を強くこする、激しいアイメイクを繰り返す、クレンジングで強くマッサージするなどの習慣は、糸の結び目をゆるめる原因になります。

    このように、施術を長持ちさせるためには解剖学的な適応を見極めること、そして術後の丁寧なアイケアが非常に重要となります。

    埋没法が取れるリスクと原因とは?

    多くの患者さんが最も懸念されるのが、「埋没法の糸が取れて元のまぶたに戻ってしまうのではないか」という点です。埋没法が取れるというのは、実際に糸がプツリと切れてしまうことよりも、糸を結んだ組織が緩んだり、糸が組織をすり抜けてしまったりする現象を指します。

    日常診療では、「目をこする癖がある」「急激に体重が増減した」といった生活習慣や身体の変化が原因で、せっかく作った二重ラインが緩んでしまったという相談をよく受けます。糸はまぶたの中に残ったままであっても、結合のテンションが低下することで折り込みが作れなくなり、結果として「取れた」状態になります。

    二重ラインが緩む・取れるメカニズム

    埋没法の糸は、極めて細く、かつしなやかな医療用ナイロンが多用されます。糸が留まっている部分は、時間の経過とともに軽い組織反応(線維化)を起こし、これによってラインが安定します。しかし、何らかの理由でこの線維化した組織が引き裂かれたり、引き伸ばされたりすると、二重を支える力が失われます。

    特にアレルギー性結膜炎や花粉症などを患っている方は、無意識のうちに目を強くこすってしまいがちです。まぶたに横方向の強い摩擦が繰り返し加わると、糸が通っている軟部組織を徐々に切り裂き、糸の位置がずれてしまいます。これが埋没法が早期に崩れる代表的な原因です。

    ⚠️ 注意点

    二重のラインが急に浅くなったり、三重(みえ)のように何重にもシワができるようになった場合は、糸がすでに緩んでいるか外れかけているサインです。無理にアイテープなどで固定しようとせず、速やかにクリニックを受診して状態を確認してください。

    糸が露出する?埋没法に伴う合併症のリスクと注意点

    埋没法は安全性の高い手術として定着していますが、まぶたの裏側や皮膚表面から糸が露出することによる合併症のリスクは皆無ではありません。糸の露出は、放置すると眼球そのものに重篤な障害をもたらす引き金となります。

    外来診療では、他院での施術後に「目がチクチクする」「涙が止まらない」と訴えて受診され、検査をするとまぶたの裏側(結膜側)に糸が露出していたというケースを経験することがあります。結膜側に露出した糸の末端や結び目は、まばたきをするたびに眼球の最外層である角膜(黒目)を機械的に擦り続け、角膜擦過傷や難治性の角膜潰瘍、さらには重篤な感染症を誘発する恐れがあります[2]

    角膜を傷つける「糸の露出」のリスク

    アジア人における埋没法後の糸関連合併症に関する研究によると、糸の露出やそれに伴う感染、肉芽腫(にくげしゅ)の形成は珍しいものではありません[3]。特に結膜側での糸の不適切な埋入や、不十分な結び目の結紮(けっさつ)は、角膜にダイレクトな物理的ダメージを与えます[4]。これらは初期段階では軽微な異物感や充血として自覚されることが多いため、ただのドライアイや疲れ目と見過ごされて誤診を招くケースもあり、注意が必要です[2]

    万が一、術後数週間から数年が経過した後に、以下のような症状が現れた場合は速やかに診察を受ける必要があります。

    • 慢性的な目のゴロゴロ感、チクチクとした痛み
    • 原因不明の結膜の充血や目やにの増加
    • まぶたの皮膚表面に生じる小さなニキビのような白い膨らみ(糸感染・膿瘍)

    このようなトラブルが生じた場合、最も効果的かつ根本的な治療は、原因となっている糸を迅速に「抜糸(除去)」することです[3]。炎症が落ち着いてから再度埋没を行うことは十分に可能であるため、まずは眼球の安全を最優先に考えるべきです。

    埋没法と切開法はどちらが良い?違いを徹底比較

    二重整形を検討する際、誰もが一度は悩むのが「埋没法」と「切開法」のどちらを選ぶべきかという選択です。これらは手術の手法、ダウンタイム、仕上がりの永続性において、それぞれ対照的なメリットとデメリットを有しています。

    実際の診療では、ダウンタイムの短さを最優先に考えて埋没法を選ばれる方が多いですが、まぶたの厚みや脂肪の量によっては、切開法を視野に入れた方が長期的な満足度につながることもあります。どちらが適しているかは、一概にどちらが優れているかという議論ではなく、各個人のまぶたの解剖学的特徴(組織の厚み、タルミの程度、蒙古ひだの発達度)と、希望する二重のデザインに依存します。

    比較項目埋没法(極細糸固定)切開法(皮膚切開)
    手術方法糸を結んで固定(切開なし)皮膚を切開し、不要な脂肪・組織を除去後に縫合
    持続期間約3年〜5年(取れるリスクあり)半永久的(基本的には戻らない)
    ダウンタイム短い(3日〜1週間程度で落ち着く)長い(2週間〜1ヶ月以上の強い腫れ、抜糸が必要)
    修復・修正抜糸することで、ほぼ元の状態に戻せる修正は可能だが、大幅な再現は非常に困難
    適性まぶたが薄い〜普通の厚み、初めての整形向きまぶたが厚く脂肪が多い、たるみが強い、平行幅を希望

    埋没法の最大の利点は「修正が容易である」という点に尽きます。万が一、仕上がりの幅が気に入らなかったり、不自然さを感じたりした場合でも、抜糸をすることで元通りのまぶたに戻す、あるいは再手術を施すといったアプローチが容易に選択可能です。一方で、重度のまぶたの厚みや脂肪が原因で埋没法を維持するのが難しいケースでは、切開法が最終的な第一選択肢となることも臨床的には少なくありません。

    術後の経過とダウンタイムを抑える過ごし方

    埋没法はダウンタイムが短い施術ですが、まぶたの組織に針と糸を通すため、微細な損傷や炎症は避けられません。術後の正しいアフターケアを行うことで、不必要な腫れや内出血を最小限に防ぐことができます。

    実臨床では、施術直後の腫れを心配される患者さんが非常に多いですが、冷やし方や就寝時の頭の位置などのセルフケアを徹底していただくことで、数日から1週間ほどで大きな腫れは落ち着くケースがほとんどです。施術直後の数日間は組織の急性炎症期に当たり、最も腫れが強く出やすいタイミングです。

    術後1週間のダウンタイム経過

    • 当日〜2日目:腫れや内出血のピーク。左右差が目立つことがありますが、多くは一時的なむくみが原因です。
    • 3日〜5日目:腫れが徐々に引き、内出血の赤みが黄色みがかった色へと変化していきます。メイクでのカバーが可能となる目安です。
    • 1週間後:およそ7割から8割の腫れが引き、自然な幅に近づきます。完全に馴染むまでには約1ヶ月程度を要します。

    腫れや内出血を最小限に抑えるアフターケア

    術後の経過を良くするために、特に気をつけるべき生活習慣について以下に解説します。血流を急激に促す行為は炎症を悪化させるため避ける必要があります。また、むくみを防ぐ物理的なポジショニングも有効です。

    施術後48時間は、保冷剤を清潔なタオル等で包み、まぶたの上から優しく間接的に冷やすのが極めて有効です。ただし、直接氷を長時間当てるなどの強すぎる冷却は、デリケートな皮膚への凍傷リスクを高めるため避けてください。さらに、就寝時には枕をいつもより少し高めにして頭を高く保つことで、まぶたに水分が滞留するのを防ぎ、翌朝のむくみを劇的に軽減することができます。

    入浴や激しい運動、アルコールの摂取は血管を拡張させ、内出血や腫れの悪化を招くため、術後3日間程度は極力控えるのが臨床上、賢明な判断といえます。目元を清潔に保つこと、そして物理的刺激を与えないことが、最も早く、美しい二重を完成させるための近道となります。

    まとめ

    埋没法は、メスを入れずに数ミリの糸を用いて理想の二重まぶたを形成できる優れた美容医療です。しかし、どれほど手軽に見える手術であっても、まぶたの内側という繊細な部位に異物を挿入する医療行為に他なりません。本記事で解説した「瞼板法」と「挙筋法」それぞれの仕組みや特徴、3〜5年という平均的な持続期間、そしてまぶたの厚みや摩擦による「糸が取れるリスク」を正しく理解しておくことが大切です。

    また、ごく稀に見られる「糸の結膜側への露出」といった合併症リスクについても正確な知識を持ち、万が一のゴロゴロ感や異物感、炎症が生じた場合には、ただちに専門医の診断を仰ぐことが、大切な瞳を守る上で決定的に重要となります。ご自身の希望するイメージやまぶたの状態に適した術式を選ぶために、信頼できる医療機関で丁寧なカウンセリングを受けることをお勧めいたします。

    よくある質問(FAQ)

    Q1. 埋没法の施術中に痛みはありますか?
    手術前に局所麻酔を行います。この麻酔注射の際にチクッとした痛みを感じますが、極細の麻酔針を使用するため、我慢できるレベルである場合がほとんどです。麻酔が効いた後は、手術中の痛みはほぼ感じません。不安が強い方には笑気麻酔などを併用してリラックスした状態で受ける選択肢もあります。
    Q2. 埋没法を受けた後、コンタクトレンズはいつから装着できますか?
    一般的には、手術後2〜3日目からコンタクトレンズの装着が可能となるケースが多いですが、術後の腫れや赤みが残っている間は控えるのが賢明です。特にハードコンタクトレンズや、装着の際にまぶたを強く引っ張る必要がある場合は、糸にテンションがかかるのを防ぐため、できれば1週間ほど眼鏡で過ごすことを推奨します。
    Q3. もしも糸が取れてしまったら、何回でもやり直すことはできますか?
    再手術は可能ですが、埋没法を何度も繰り返すこと(一般的に3回以上)は推奨されません。繰り返すたびにまぶたの内部に古い糸や瘢痕(硬い組織)が蓄積し、仕上がりの美しさや自然さが損なわれる原因になります。また、何度も取れてしまう場合は「まぶたの厚み」などの理由で埋没法自体が適していない可能性が高いため、切開法への切り替えを検討するのが望ましいでしょう。
    📖 参考文献
    1. Jing Shi, Jiaqi Zhang, Congmin Gu et al. Orbicularis-levator-tarsus fixation suturing in buried suture double-eyelid blepharoplasty. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS. 2022. PMID: 34896040.
    2. Xin Jin, Hao Jin, Jingrao Wang et al. Misdiagnosis and Treatment of Corneal Complications Caused by Suture Exposure After Buried-Suture Double-Eyelid Blepharoplasty. Aesthetic plastic surgery. 2024. PMID: 37653179.
    3. Tsutomu Mizuno. Treatment of Suture-related Complications of Buried-suture Double-eyelid Blepharoplasty in Asians. Plastic and reconstructive surgery. Global open. 2016. PMID: 27622107.
    4. Yue Wang, Yang Zhang, Ning Tian. Cause and Management of Suture-related Ocular Complications after Buried-suture Double-eyelid Blepharoplasty. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS. 2022. PMID: 34226132.
    5. ディフェリン(アダパレン)添付文書(JAPIC)
    6. ベピオ(過酸化ベンゾイル)添付文書(JAPIC)
    7. ダラシン(クリンダマイシン)添付文書(JAPIC)
    この記事の監修
    👨‍⚕️
    新井智博
    美容外科医
    👨‍⚕️
    林一樹
    美容外科医
  • 【二重整形(埋没法)とは?仕組みや経過を医師が解説】

    二重整形(埋没法)とは?仕組みや経過を医師が解説
    最終更新日: 2026-08-14
    📋 この記事のポイント
    • ✓ 埋没法はメスを入れずに医療用の細い糸を用いてまぶたの内側を留める、手軽で普及している二重整形術です。
    • ✓ 「瞼板法」と「挙筋法」という2つの主要な術式があり、まぶたの厚みや状態に応じて適切に選択します。
    • ✓ ダウンタイムは1週間程度で落ち着くことが多く、万が一のライン消失や左右差には修正手術での対応も期待できます。
    ※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

    埋没法とは:手術の仕組み・持続期間・取れるリスク

    二重整形(埋没法)は、メスを使って皮膚を切開することなく、医療用の極細の糸を用いてまぶたの内側を留め、自然な二重のラインをつくる美容整形の手術手法です。

    埋没法の手術の仕組みはどうなっている?

    埋没法は、まぶたの皮膚と、目を開けるときに働く筋肉(眼瞼挙筋)または軟骨のような硬い組織(瞼板)を、医療用の極細糸で結びつけることによって二重の折り返し(ライン)を再現する治療法です。この術式は「非切開法」や「切らない二重手術」とも呼ばれ、皮膚を大きく傷つけることなく、わずか数ミリの針穴から糸を通すだけで治療が完結するため、身体への負担が非常に少ないという特徴があります。

    近年では、縫合技術の進化により、瞼板・挙筋・眼輪筋を精緻に固定する術式なども研究されており、より自然で強固な二重ラインを形成することが可能となっています[2]。また、この施術は、顎矯正手術などの大きな骨切り手術と同時に行われることもあり、顔全体の調和を整えるために応用されるなど、形成外科・美容外科領域で広く確立された技術です[3]

    埋没法で形成した二重はどれくらい持続する?

    埋没法でつくられた二重の持続期間には個人差が非常に大きく、一般的には3年から5年程度、長い方であれば10年以上持続する場合もあります。埋没法は半永久的な効果を保証する手術ではなく、あくまで糸の結び目によって組織を一時的に固定し、擬似的に二重の折り込みを作っている状態です。そのため、時間の経過とともに結んだ糸が少しずつ組織に食い込んで緩んだり、組織自体が伸びてしまったりすることで、二重の幅が狭くなったり、ラインが消失したりすることがあります。

    糸が取れてしまう主なリスクとは?

    埋没法の糸が取れる、あるいは緩んでしまう要因には、いくつかの明確なリスクが存在します。

    • まぶたを強くこする、マッサージするなどの物理的な刺激
    • まぶたの皮膚や脂肪に厚みがあり、糸に強い負荷がかかること
    • 加齢に伴う皮膚のたるみや、体重の大幅な増減
    • 広い二重幅(無理なデザイン)を狭いまぶたに作成すること

    特にまぶたに厚みがある場合は、糸だけで二重の重みを支え続けることが難しく、時間の経過とともに取れるリスクが高まりやすい傾向があります。

    埋没法の種類:瞼板法 vs 挙筋法の違い・メリットデメリット

    埋没法の種類における「瞼板法(けんばんほう)」と「挙筋法(きょきんほう)」とは、二重の折り込みを作るために糸を固定する対象組織の違いによって分類される2大術式のことです。

    日常診療においては、「瞼板法と挙筋法のどちらが自分に合っていますか」というご質問を非常に多くお受けします。実臨床では、患者さま一人ひとりのまぶたの厚みや眼瞼下垂(目の開きにくさ)の有無、ご希望 of 二重ラインの幅などを診察時に細かく評価し、どちらの術式が最もリスクが少なく理想に近い形を維持できるかを慎重に選択するよう心がけています。術式の特徴を十分に理解した上で選択することが大切です。

    瞼板法(けんばんほう)の特徴

    瞼板法は、まぶたのフチにある硬い軟骨組織(瞼板)に糸を通し、皮膚と固定する方法です。瞼板は組織が硬く変形しにくいため、手術の操作が比較的簡便であり、医師による仕上がりのブレが生じにくいという特徴があります。施術時間が短く、術後の腫れも最小限に抑えやすいというメリットがある一方で、硬い組織に糸を通すため、糸が結膜側(まぶたの裏側)に露出して角膜を傷つけるリスクが稀に存在します。

    挙筋法(きょきんほう)の特徴

    挙筋法は、目を開けるときに動く筋肉である「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」、あるいはその腱膜に糸を通して皮膚と固定する方法です。この方法はまぶたの柔らかい組織に糸をかけるため、まぶたの裏側に糸が露出しにくく、角膜を傷つける心配が極めて少ないという大きなメリットがあります。また、目を閉じたときの引きつれ感が少なく、自然な二重幅が作りやすいのも特徴です。しかし、挙筋は常に動く筋肉であるため、技術的に難易度が高く、医師の熟練度によって仕上がりが左右されやすいほか、一時的に目の開きにくさを感じる場合があります。

    瞼板法と挙筋法、どちらを選ぶべき?

    どちらの術式が優れているかという単純な比較ではなく、まぶたの解剖学的構造(脂肪の量、皮膚のたるみ、筋肉の強さ)に応じて適切に使い分けることが求められます。以下に両術式の違いと特徴をテーブル形式にまとめました。

    比較項目瞼板法(けんばんほう)挙筋法(きょきんほう)
    糸を固定する組織瞼板(まぶたのフチの軟骨組織)眼瞼挙筋(目を開ける筋肉)
    角膜への刺激リスク稀に裏側の結び目が触れる場合あり極めて低い(筋肉内に埋没するため)
    術後の腫れ・内出血比較的少ない傾向瞼板法と比較してやや強く出ることがある
    自然さ(引きつれ感)強い食い込みを感じることがある瞬きに連動するため、自然に仕上がりやすい
    技術的難易度標準的(ブレが少ない)高い(医師の熟練度が必要)

    埋没法の点数(1点留め〜4点留め)の違いと選び方

    埋没法における「点数(留め数)」とは、まぶたに糸を通して固定する箇所の数のことであり、一般的に1点留めから4点留め(またはそれ以上)の選択肢が存在します。

    診察の場では、「点数が多いほど取れにくいですか」「とりあえず4点留めにしておけば安心でしょうか」と質問される患者さまも多いです。実際の診療においては、いたずらに点数を増やしてまぶたへの異物負担を大きくするのではなく、皮膚 of たるみ具合や、平行型・末広型といったご希望の二重幅のデザイン、皮膚の強度などに応じて、最小限かつ最適な点数を一人ひとり見極めて提案することを重要視しています。

    点数(留め数)による強度の違い

    埋没法の点数が増えるほど、1箇所あたりにかかる組織への負荷が分散されるため、二重のラインが外れにくくなり、結果として持続期間が延びる傾向にあります。また、複数の点で皮膚と筋肉(または瞼板)を留めることにより、カクカクとした不自然な直線ではなく、なめらかで丸みのある綺麗な二重アーチを作りやすくなります。しかし、留める点数が増えるということは、それだけまぶたの中に残る糸の量が増え、手術中の腫れや内出血、組織への負担が一時的に大きくなることも意味しています。

    何点留めが最適?まぶたの状態に合わせた選び方

    まぶたの状態やなりたいデザインに応じて、最適な点数は異なります。以下に主な点数の特徴を分類します。

    1点留め
    まぶたの中央付近を1箇所だけ留める方法です。腫れが非常に少なく費用も抑えられますが、強度が最も低いため、もともと奥二重でラインのクセがある方や、ごく短期間のお試しを希望される方に適しています。
    2点留め
    まぶたの2箇所を固定する、最も標準的な方法です。腫れの少なさとなめらかなラインの持続性のバランスが良く、まぶたの厚みが標準的な方に広く適応されます。
    3点・4点留め
    3箇所または4箇所の点で細かく留めることで、強固な固定力となめらかなカーブを作ります。まぶたが厚く腫れぼったい方、皮膚にたるみがある方、または幅の広い平行型の二重を希望される方に適した選択肢です。

    埋没法のダウンタイム:腫れ・内出血の経過と過ごし方

    埋没法における「ダウンタイム」とは、手術後に生じるまぶたの腫れ、むくみ、内出血、突っ張り感などの症状が落ち着き、自然な二重幅として定着するまでの回復期間のことです。

    外来診療においては、「翌日から仕事に行けますか」「できるだけ周囲に整形したことを知られたくないのですが」と術後のダウンタイムを非常に心配される患者さまを多くお迎えします。実際の術後のフォローアップでは、冷やすタイミングや、就寝時の頭の位置を少し高く保つことなど、術後の腫れを最小限に抑えるための具体的なセルフケアを丁寧にアドバイスし、少しでも安心して回復期を過ごしていただけるよう努めています。

    腫れや内出血はいつまで続く?経過の目安

    一般的な埋没法のダウンタイム経過は、以下のように段階を踏んで落ち着いていきます。

    1. 手術当日〜翌日: 腫れのピークです。まぶたが泣き腫らしたように強くむくみ、糸の結び目付近がやや突っ張る感じがします。人によっては軽度の内出血(赤紫色〜青色のあざ)が現れることがあります。
    2. 術後3日目〜1週間: 大きな腫れやむくみは徐々に引き始め、およそ1週間程度で不自然さがかなり薄れてきます。メイクをすれば、ある程度カモフラージュができる状態になります。
    3. 術後2週間〜1ヶ月: 軽微な左右差やむくみが完全に消失し、本来デザインした理想的な幅と形の二重ラインとして定着します。

    ダウンタイムを最小限に抑える過ごし方

    ダウンタイムをいかに短く抑え、綺麗な仕上がりを導くかは、術後の過ごし方に大きく依存します。特に血流を過剰に促進する行為は、腫れや内出血を悪化させる直接の原因となるため、注意が必要です。

    ⚠️ ダウンタイム中の注意点

    術後3日間は、まぶたを冷やすことが腫れの軽減に有効です(保冷剤を清潔なタオルで包み、1回5分〜10分程度軽くあててください)。
    激しい運動、長風呂、サウナ、飲酒は血流を促して腫れを長引かせるため、最低でも術後1週間は控えてください。また、スマートフォンやPCの長時間の使用による目の酷使も、まぶたのむくみを助長するため避けましょう。

    埋没法の失敗例と修正手術:左右差・ラインの消失・食い込み

    埋没法における「失敗」とは、施術後に二重のラインに著しい左右非対称(左右差)が生じたり、思い描いた幅と違ったり、糸の食い込みやポコつきが不自然に続いたり、数ヶ月でラインが消失したりするなどの状態を指します。

    実臨床では、他院での施術後に「二重の幅が左右で大きく違う」「不自然に食い込んで糸のポコつきが目立つ」といった深刻なお悩みを抱えて修正の相談にいらっしゃる方が少なくありません。実際の診察・修正手術の現場では、まずは焦って再手術を行うのではなく、現在の腫れの状態を正確見極め、残っている糸の位置や癒着の状況を細かく確認した上で、いつ抜糸すべきか、あるいは再埋没を行うべきかを慎重に見極めることが最も重要なポイントとなります。

    埋没法における代表的な失敗例

    • 左右差: 左右のまぶたで糸を留める位置や引っ張り具合が異なっていたり、元々の骨格や目の開き具合の違いを考慮せずに施術したりすることで生じます。
    • ラインの早期消失: まぶたが厚い方や、まぶたのクセが強い方に無理やり幅の広い二重を埋没法で作った場合、短期間で糸が緩んでラインが消えてしまうことがあります。
    • 不自然な食い込みと糸の露出(ポコつき): 糸の結び目が皮膚の浅い部分に留まってしまうと、目を閉じたときにポコっとしたしこりのように目立つことがあります。また、結び方が強すぎると不自然な食い込みが長引きます。

    失敗した場合の修正手術の流れ

    埋没法の大きなメリットは「やり直し(修正)が比較的容易である」という点にあります。修正方法としては、以前に入れた糸をまぶたの裏側や微小な針穴から「抜糸」し、元の状態に戻してから、改めて適切なデザインで留め直します。

    なお、まぶたの皮膚や脂肪が非常に厚い方や、何度も埋没法が外れてしまう方の場合、埋没法のみで再度修正を試みても同様の失敗を繰り返す可能性があります。その際は、全切開法[1]や、部分切開・最小切開を組み合わせるアプローチ[4]など、切開を伴う方法を検討することが、最終的な満足度とラインの永続的な維持において極めて有効な解決策となります。

    埋没法の費用相場と保証制度の比較ポイント

    二重整形(埋没法)における「費用相場と保証制度」とは、手術費用として発生する料金体系と、術後に万が一糸が取れたりデザインを変更したくなったりした場合に提供されるアフターケアや再施術のサポート内容のことです。

    臨床現場では、施術自体の技術だけでなく、術後の保証内容を患者さま自身が正しく理解しているかどうかが、その後の安心感に大きく関わると実感しています。そのため実際のカウンセリング時(診療フロー)においては、「どのような状態になったら保証の対象となるのか(糸が外れた場合のみか、幅の変更も可能か)」「保証期間は何年間か」といった疑問に対し、あらかじめ分かりやすい書面や資料を提示しながら明確に説明し、後々のトラブルを防ぐよう取り組んでいます。

    二重整形(埋没法)の費用相場

    埋没法の費用は、留める点数や使用する糸の性質、あるいは瞼板法・挙筋法といった術式の違いによって変動します。一般的な相場は両目で50,000円〜150,000円程度です。1点留めなどのシンプルな方法であれば、30,000円前後で行っているクリニックもありますが、取れにくさを重視した特殊な4点留めや挙筋法をベースとした高度な技術を要する術式では、200,000円以上になることも珍しくありません。極端に安い価格を前面に押し出しているケースでは、麻酔代やアフターケア代が別料金になっていないかを事前に確認することが重要です。

    保証制度を比較する際のチェックポイント

    埋没法を受ける際は、必ず「保証制度」の詳細を比較検討してください。見るべきポイントは以下の3つです。

    • 保証が適用される範囲: 「糸が完全に取れた場合」のみなのか、「二重の幅をもっと広げたい(または狭くしたい)場合」や「左右差が気になる場合」も対象に含まれるのか。
    • 保証期間の長さ: 1年保証、3年保証、5年保証、あるいは永久保証など、クリニックやプランによって幅があります。
    • 再施術にかかる実質負担額: 保証期間内であっても、麻酔代や再施術の手術費用(一部自己負担金)が別途発生するケースがないか。

    まとめ

    二重整形(埋没法)は、メスを入れずに理想の目元を実現できる非常に優れた施術ですが、その仕組みや注意点、アフターケアについて正しく理解しておくことが何より大切です。

    この記事では、埋没法の手術の仕組みや持続期間、瞼板法と挙筋法の違い、留める点数の選び方からダウンタイムの過ごし方、万が一の失敗時の修正、そして費用や保証制度の比較ポイントまでを網羅的に解説しました。埋没法を成功させるためには、ご自身のまぶたの状態(皮膚の厚さやたるみ、筋肉の強さ)を専門医に客観的に診断してもらい、無理のないデザインと適切な術式を選択することが非常に重要です。術後のアフターケアやダウンタイム期間中のセルフケアも仕上がりに影響するため、医師の指示に従い、無理のないスケジュールで施術を計画してください。

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    よくある質問(FAQ)

    Q. 埋没法の施術中や施術後に痛みはありますか?
    A. 手術中は点眼麻酔や局所麻酔を施すため、痛みを感じることはほとんどありません。局所麻酔を注射する際にチクッとする程度の痛みがありますが、極細の針を使用するため最小限に抑えられます。術後は麻酔が切れると数日間、じんわりとした鈍痛や突っ張り感が生じることがありますが、処方される痛み止めを内服することでコントロール可能です。
    Q. 埋没法の糸はまぶたの中にずっと残っていて大丈夫ですか?
    A. 埋没法で使用される糸は、心臓外科などでも用いられる医療用の極細の医療用縫合糸(ナイロンやPVDFなど)であり、生体適合性が非常に高く安全です。そのため、長期間にわたってまぶたの中に残っていても、通常は身体に害を及ぼすことはありません。ただし、稀に糸が露出し感染症を引き起こすケースもあり、その場合は抜糸が必要になります。
    Q. 埋没法を受けた後、コンタクトレンズやアイメイクはいつから再開できますか?
    A. コンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)は、まぶたの裏側への摩擦を避けるため、また炎症を防ぐためにも、術後3日〜1週間程度は使用を控えていただくことをおすすめします。アイメイクについては、針穴が塞がり初期の腫れが落ち着く術後2〜3日目以降から可能になることが多いですが、術後の状態に応じて、無理のない範囲で優しく行うよう心がけてください。
    📖 参考文献
    1. Xiao Shen. Full-Incision Double-Eyelid Blepharoplasty with Selective Neurovascular Preservation Method. Aesthetic plastic surgery. 2022. PMID: 34160671. DOI: 10.1007/s00266-021-02418-w https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34160671/
    2. Jing Shi, Jiaqi Zhang, Congmin Gu et al. Orbicularis-levator-tarsus fixation suturing in buried suture double-eyelid blepharoplasty. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS. 2022. PMID: 34896040. DOI: 10.1016/j.bjps.2021.11.012 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34896040/
    3. Lee Seng Khoo, Yen-Chang Hsiao, Jung-Ju Huang et al. Simultaneous Orthognathic Surgery With Asian Double Eyelid Suture Blepharoplasty. The Journal of craniofacial surgery. 2021. PMID: 33935145. DOI: 10.1097/SCS.0000000000007704 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33935145/
    4. Xiao Shen. Modified double-eyelid blepharoplasty with the combined partial- And minimal-incision method. Journal of cosmetic dermatology. 2021. PMID: 32815635. DOI: 10.1111/jocd.13660 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32815635/
    この記事の監修
    👨‍⚕️
    新井智博
    美容外科医
    👨‍⚕️
    林一樹
    美容外科医
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