【発熱の原因と下げ方】|医師が解説する対処法と市販薬

発熱 原因 下げ方
発熱の原因と下げ方|医師が解説する対処法と市販薬
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 発熱は体の防御反応であり、原因に応じた適切な対処が重要です。
  • ✓ 急な高熱、長引く微熱、他の症状との組み合わせで考えられる疾患が異なります。
  • ✓ 解熱剤の使用は一時的な症状緩和が目的であり、根本原因の治療には医療機関の受診が必要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

発熱は、体が病原体と戦っているサインであり、体温が平熱よりも高くなる状態を指します。一般的に、体温が37.5℃以上を微熱、38.0℃以上を高熱と判断することが多いですが、平熱には個人差があるため、普段の体温を知っておくことが重要です[2]。この記事では、発熱のメカニズムから、急な高熱や長引く微熱の原因、適切な対処法、市販薬の選び方、そして他の症状との組み合わせで考えられる疾患まで、専門医の視点から詳しく解説します。

発熱とは
発熱は、体温調節中枢が設定温度を上昇させることで、体温が通常よりも高くなる状態です。これは、感染症などに対する体の防御反応の一つであり、免疫細胞の活動を活発化させたり、病原体の増殖を抑えたりする効果があるとされています[3]

急な高熱(38度以上)の原因とは?

急な高熱の原因となるウイルス感染や細菌感染のメカニズムを説明する図解
高熱を引き起こす主な原因

急な高熱(38度以上)は、体が病原体と積極的に戦っている状態を示すことが多く、その原因は多岐にわたります。主な原因は感染症ですが、非感染性の疾患によっても引き起こされることがあります。

感染症による高熱

感染症は、急な高熱の最も一般的な原因です。細菌やウイルスが体内に侵入し、免疫システムがこれらと戦う過程で発熱物質(パイロジェン)が放出され、体温調節中枢の設定温度が上昇します[2]

  • ウイルス感染症: インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、アデノウイルス感染症、ヘルパンギーナ、突発性発疹などが挙げられます。これらの感染症では、しばしば38℃を超える高熱が急激に現れます。特に小児では、ウイルス感染による高熱でけいれんを起こすこともあり、注意が必要です[1]
  • 細菌感染症: 肺炎、扁桃炎、尿路感染症、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、髄膜炎などがあります。細菌感染症の場合、ウイルス感染症と比較して、より持続的な高熱や悪寒を伴うことが多いです。

実臨床では、急な高熱で受診される患者さんの多くが、発熱と同時に倦怠感や関節痛、喉の痛みなどを訴えられます。特に冬場はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の流行期であるため、検査で診断を確定し、適切な治療方針を立てることが重要になります。

非感染性疾患による高熱

感染症以外にも、以下のような疾患が急な高熱を引き起こすことがあります。

  • 自己免疫疾患: 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、成人スティル病などでは、免疫システムの異常により炎症が起こり、発熱が見られることがあります。
  • 悪性腫瘍: 白血病、リンパ腫、腎細胞がんなど、一部のがんでは、がん細胞から放出される物質が発熱を引き起こすことがあります(腫瘍熱)。
  • 薬剤熱: 特定の薬剤に対するアレルギー反応として発熱が生じることがあります。薬の服用開始後、数日から数週間後に発熱が見られるケースが多いです。
  • 熱中症: 高温多湿な環境下での体温調節機能の破綻により、体温が異常に上昇します。これは感染症による発熱とはメカニズムが異なりますが、緊急性の高い状態です。

日常診療では、「熱が出たけれど、風邪の症状がない」と相談される方が少なくありません。そのような場合、感染症以外の原因も視野に入れ、詳細な問診や検査を通じて鑑別診断を進める必要があります。

長引く微熱(37度台)の原因とは?

長引く微熱(37度台)は、高熱とは異なり、原因の特定が難しい場合があります。数週間から数ヶ月にわたって微熱が続く場合、様々な疾患が考えられます。

感染症による微熱

急性期の高熱が治まった後も、体内で感染が持続している場合に微熱が続くことがあります。また、一部の感染症は、最初から微熱として現れることがあります。

  • 慢性感染症: 結核、慢性ウイルス性肝炎(B型、C型)、HIV感染症、EBウイルス感染症などでは、持続的な免疫反応により微熱が続くことがあります。
  • 副鼻腔炎や慢性扁桃炎: 局所的な炎症が持続することで、全身性の微熱を引き起こすことがあります。
  • 尿路感染症(無症候性細菌尿を含む): 特に高齢者や女性では、自覚症状が少ないまま尿路感染が持続し、微熱の原因となることがあります。

診察の場では、「なんとなく体がだるくて、熱っぽい状態が続いている」と質問される患者さんも多いです。このような場合、過去の感染症歴や渡航歴、生活習慣なども含めて詳しく聞き取り、潜伏している感染症がないかを確認することが重要です。

非感染性疾患による微熱

感染症以外にも、長引く微熱の原因となる疾患は数多く存在します。

  • 自己免疫疾患・膠原病: 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などでは、免疫の異常による炎症や代謝亢進が微熱を引き起こします。
  • 悪性腫瘍: 悪性リンパ腫や一部の固形がんなどでは、腫瘍熱として微熱が持続することがあります。体重減少や倦怠感などの全身症状を伴うことが多いです。
  • 薬剤熱: 特定の薬剤の副作用として、微熱が続くことがあります。特に抗菌薬や抗精神病薬、抗てんかん薬などで見られることがあります。
  • 心因性発熱: 精神的ストレスや過労が原因で、自律神経のバランスが乱れ、体温調節機能に影響を及ぼし微熱が続くことがあります。特に若い女性に多く見られる傾向があります。
  • 生理的発熱: 女性の月経周期に伴う排卵期や妊娠初期には、ホルモンの影響で基礎体温が上昇し、微熱と感じることがあります。

臨床現場では、特に若い女性で「原因不明の微熱」を訴えるケースに遭遇することがあります。詳細な検査で身体的な異常が見つからない場合、心因性発熱や生理的要因も考慮し、患者さんの生活環境やストレス状況について丁寧にヒアリングすることが、診断の手がかりとなることがあります。

発熱の応急処置・市販薬・受診先は?

発熱時の応急処置として体を冷やす方法や市販薬の選び方を示す案内
発熱時の対処法と市販薬

発熱時の適切な応急処置と市販薬の選び方、そして医療機関を受診するタイミングを知ることは、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。

発熱時の応急処置と対処法

発熱した際は、まず体を安静にし、脱水症状を防ぐために水分補給を心がけることが重要です。

  • 安静にする: 体力を消耗しないよう、無理な活動は避け、十分な休息を取りましょう。
  • 水分補給: 発熱時は汗をかきやすく、脱水状態になりやすいです。水やお茶、経口補水液などでこまめに水分を補給しましょう。特に、嘔吐や下痢を伴う場合は、電解質も補給できる経口補水液が推奨されます。
  • 体温調節: 寒気がする場合は温かくし、暑い場合は薄着にするなど、室温や衣類で快適な状態を保ちましょう。熱を下げるために体を冷やす場合は、首の周りや脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすのが効果的です。
  • 食事: 消化の良いものを選び、少量ずつでも摂取することで体力の維持に努めましょう。

臨床経験上、発熱時に最も重要なのは「脱水予防」です。特に高齢者や小児は脱水になりやすく、意識障害や腎機能障害などの重篤な合併症につながることもあります。日々の診療では、「熱が出たらまず水分を」と繰り返し指導しています。

市販薬(解熱鎮痛剤)の選び方と注意点

市販の解熱鎮痛剤は、発熱による不快感を和らげるために使用されますが、発熱の原因を治療するものではありません。主な成分と注意点を理解して選びましょう。

成分名特徴注意点
アセトアミノフェン比較的副作用が少なく、小児や妊婦にも使用されやすい。胃への負担が少ない。過量服用で肝機能障害のリスク。アルコール摂取時は注意。
イブプロフェン解熱・鎮痛・抗炎症作用が強い。胃腸障害、腎機能障害のリスク。喘息患者は注意。小児への使用は医師に相談。
ロキソプロフェンイブプロフェンと同様に解熱・鎮痛・抗炎症作用が強い。胃腸障害、腎機能障害のリスク。喘息患者は注意。小児への使用は医師に相談。
⚠️ 注意点

解熱剤は一時的な症状緩和が目的であり、発熱の原因を治療するものではありません。症状が改善しない場合や、特定の基礎疾患がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

医療機関を受診するタイミングと受診先

発熱時は、症状や年齢によって受診の目安が異なります。

  • 成人:
    • 38.5℃以上の高熱が2日以上続く場合
    • 解熱剤を服用しても熱が下がらない、または悪化する場合
    • 激しい頭痛、嘔吐、意識障害、呼吸困難、胸痛、腹痛、皮疹などの症状を伴う場合
    • 持病(糖尿病、心疾患、腎疾患、免疫不全など)がある場合
  • 小児:
    • 生後3ヶ月未満で38℃以上の発熱がある場合[4]
    • ぐったりしている、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、けいれんを起こした、水分が摂れないなどの症状がある場合
    • 発熱以外の症状が強く、いつもと様子が明らかに異なる場合

受診先としては、まずはかかりつけ医や内科、小児科が適切です。夜間や休日の急な発熱で、上記の緊急性の高い症状が見られる場合は、救急外来の受診を検討してください。

症状の掛け合わせ(発熱+〇〇)で考えられる疾患は?

発熱は単独で現れることもありますが、他の症状と組み合わさることで、特定の疾患を強く示唆する場合があります。症状の組み合わせから考えられる主な疾患について解説します。

発熱+喉の痛み

発熱と喉の痛みを伴う場合、咽頭炎や扁桃炎が最も一般的です。ウイルス性であることが多いですが、溶連菌感染症などの細菌性の場合もあります。

  • ウイルス性咽頭炎・扁桃炎: 風邪の症状として最も多く、鼻水や咳を伴うことが多いです。
  • 細菌性扁桃炎(溶連菌感染症など): 喉の痛みが強く、高熱、首のリンパ節の腫れ、体や手足に発疹が見られることもあります。抗菌薬による治療が必要です。
  • 伝染性単核球症: 特に若い世代に見られ、高熱、強い喉の痛み、リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れを伴うことがあります。

日常診療では、「喉が痛くて食事が摂れない」と訴える患者さんが多く、特に細菌性の場合は症状が強く出ることがあります。適切な診断と治療で、症状の早期改善を目指します。

発熱+咳・鼻水

発熱に咳や鼻水が加わる場合、多くの場合は上気道炎、いわゆる「風邪」やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症が考えられます。

  • 普通感冒(風邪): 比較的軽度な発熱と、咳、鼻水、くしゃみなどの症状が中心です。
  • インフルエンザ: 急激な高熱、強い倦怠感、関節痛、筋肉痛を伴い、咳や鼻水も現れます。
  • 新型コロナウイルス感染症: 発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害など、多様な症状を呈します。
  • 気管支炎・肺炎: 咳がひどく、痰が絡む、呼吸が苦しいなどの症状がある場合、下気道感染症の可能性も考慮します。

外来診療では、季節の変わり目や冬場にこれらの症状を訴えて受診される患者さんが増えます。特に高齢者や基礎疾患を持つ方では、肺炎への移行に注意が必要です。

発熱+腹痛・下痢・嘔吐

発熱に消化器症状が伴う場合、胃腸炎が強く疑われます。食中毒やウイルス性胃腸炎が主な原因です。

  • ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど): 発熱、嘔吐、水様性下痢が主な症状です。脱水に注意が必要です。
  • 細菌性胃腸炎(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌など): 激しい腹痛、血便、高熱を伴うことがあります。
  • 急性虫垂炎: 右下腹部の痛みが特徴的ですが、初期にはみぞおちの痛みや発熱、吐き気を伴うことがあります。

臨床現場では、特に小児の胃腸炎で脱水症状が進行しやすく、点滴治療が必要になるケースをよく経験します。嘔吐がひどい場合は、経口補水液も摂取が難しいため、早めの受診が推奨されます。

発熱+頭痛

発熱と頭痛は多くの感染症でみられる一般的な症状ですが、中には重篤な疾患が隠れている場合もあります。

  • ウイルス感染症(風邪、インフルエンザなど): 一般的な原因です。
  • 髄膜炎: 激しい頭痛、高熱、吐き気、項部硬直(首の後ろが硬くなる)などの症状を伴います。細菌性髄膜炎は緊急性が高く、迅速な診断と治療が必要です。
  • 脳炎: 発熱、頭痛に加え、意識障害、けいれん、麻痺などの神経症状が現れることがあります。

筆者の臨床経験では、「いつもの頭痛とは違う、尋常ではない痛み」を訴える患者さんには特に注意を払います。髄膜炎などの重篤な疾患を見逃さないためにも、詳細な神経学的診察が不可欠です。

まとめ

発熱のメカニズムと適切な対処法をまとめたフローチャート
発熱の総合的な対処ガイド

発熱は体の重要な防御反応であり、その原因は多岐にわたります。急な高熱は感染症が主な原因であることが多く、長引く微熱は慢性的な感染症や自己免疫疾患、悪性腫瘍など様々な可能性を考慮する必要があります。発熱時には、安静と水分補給を基本とし、市販の解熱鎮痛剤で症状を和らげることもできますが、根本原因の治療には医療機関の受診が不可欠です。特に、高熱が続く場合、他の重篤な症状を伴う場合、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方は、早めに専門医の診察を受けることが重要です。症状の組み合わせから疾患を推測することも可能ですが、自己判断せずに医療機関で正確な診断と適切な治療を受けるようにしましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 発熱時に解熱剤をすぐに使っても良いですか?
A1: 解熱剤は、発熱による頭痛や関節痛などの不快な症状を和らげるために使用されます。発熱自体は体の防御反応でもあるため、必ずしもすぐに使用する必要はありません。ただし、高熱で体力が消耗している場合や、不快感が強い場合は、用法・用量を守って使用することは問題ありません。特に小児の場合、けいれんのリスクがあるため、医師の指示に従うことが推奨されます。
Q2: 発熱時に冷やす場所はどこが効果的ですか?
A2: 体を冷やすことで熱を下げる場合は、太い血管が体の表面に近い場所を通っている部分を冷やすのが効果的です。具体的には、首の周り、脇の下、足の付け根などが挙げられます。冷やしすぎると体が震えてかえって体温が上がることもあるため、心地よいと感じる程度に調整してください。
Q3: 微熱が長く続く場合、どのような病気が考えられますか?
A3: 微熱が長く続く場合、慢性的な感染症(結核、慢性ウイルス感染症など)、自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)、悪性腫瘍、薬剤熱、甲状腺機能亢進症、さらには精神的ストレスによる心因性発熱など、様々な原因が考えられます。自己判断せずに、医療機関を受診し、詳細な検査を受けることをお勧めします。
この記事の監修
💼
井上祐希
救急科医
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