- ✓ 発熱は体の防御反応であり、その原因は感染症から非感染性疾患まで多岐にわたります。
- ✓ 急な高熱や長引く微熱では、適切な対処法と医療機関の受診タイミングが重要です。
- ✓ 市販薬の選び方や使用上の注意点を理解し、症状に応じた適切な対応を心がけましょう。
発熱は、体が病原体と戦っているサインであり、体温調節中枢が設定温度を上昇させることで起こる生体防御反応の一つです。この記事では、発熱の原因から適切な対処法、市販薬の選び方、そして医療機関を受診すべきタイミングについて、薬剤師の視点から詳しく解説します。
急な高熱(38度以上)の原因とは?

急な高熱(38度以上)は、体が急速に病原体と戦おうとしている状態を示すことが多く、その原因は多岐にわたります。
急な高熱は、体温調節中枢が設定温度を急激に上昇させることで発生します。これは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入した際に、免疫細胞から放出されるサイトカインなどの発熱物質が脳の視床下部に作用することで引き起こされます。高体温は病原体の増殖を抑制し、免疫反応を活性化させる効果があると考えられています[1]。
主な原因疾患
- 感染症: インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、溶連菌感染症、肺炎、尿路感染症などが代表的です。これらの感染症では、体内で炎症反応が強く起こり、急激な体温上昇を招きます。特にインフルエンザや新型コロナウイルス感染症では、悪寒や関節痛を伴う高熱が特徴的です。
- 熱中症: 高温多湿な環境下での活動により、体温調節機能が破綻し、体温が異常に上昇する状態です。重症化すると意識障害などを引き起こすこともあります[4]。
- 自己免疫疾患の急性増悪: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患では、病状が悪化する際に炎症反応が強まり、高熱が出ることがあります。
- 薬剤熱: 特定の薬剤に対するアレルギー反応や副作用として発熱が生じることがあります。薬局での経験上、抗生物質や一部の精神科薬などで見られることがあります。
特に注意すべき高熱のサイン
急な高熱の場合、特に以下の症状を伴う場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
- 意識障害やけいれん
- 激しい頭痛や嘔吐
- 呼吸困難や胸の痛み
- 皮膚に紫色の斑点や広がる発疹
- 生後3ヶ月未満の乳児の発熱[3]
高熱が続く場合や、上記の危険なサインが見られる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。特に乳幼児の発熱は急速に悪化することがあるため、注意が必要です。
調剤の現場では、お子さんの急な発熱で解熱剤を求めて来局される保護者の方が多いですが、解熱剤はあくまで症状を和らげるものであり、根本的な治療にはなりません。原因を特定し、適切な治療を受けることが重要だとお伝えしています。
長引く微熱(37度台)の原因とは?
長引く微熱(37度台)は、高熱とは異なり、体内で慢性的な炎症や免疫反応が続いているサインであることがあります。日常生活に支障をきたすことは少ないものの、その原因は多岐にわたり、適切な診断が求められます。
微熱が続く場合、体の体温調節機能がわずかに上方修正されている状態と考えられます。これは、感染症が完全に治癒していない場合や、感染症以外の原因で体内で炎症反応が持続している場合に起こりやすいです。
微熱の主な原因
- 慢性感染症: 結核、慢性副鼻腔炎、歯周病など、体内のどこかに持続的な感染源がある場合に微熱が続くことがあります。
- 自己免疫疾患: 関節リウマチ、甲状腺機能亢進症、全身性エリテマトーデスなど、免疫システムが自分の体を攻撃してしまう病気では、慢性的な炎症により微熱が続くことがあります[2]。
- 悪性腫瘍: 白血病やリンパ腫など、一部のがんでは、腫瘍細胞から放出される物質が発熱を引き起こすことがあります。
- 薬剤性発熱: 一部の薬剤の副作用として、微熱が持続することがあります。
- 心因性発熱: ストレスや精神的な要因が原因で、自律神経の乱れにより体温調節がうまくいかず、微熱が続くことがあります。特に若い女性に多く見られる傾向があります。
微熱が続く場合の対処法と受診の目安
長引く微熱の場合、すぐに重篤な状態に陥ることは少ないですが、原因を特定することが重要です。服薬指導の際に「なんとなく体がだるくて微熱が続いている」と質問される患者さんが多くいらっしゃいます。このような場合、まずは基礎体温を記録し、他の症状(体重減少、倦怠感、関節痛、リンパ節の腫れなど)がないか確認することをおすすめしています。
数週間以上にわたって微熱が続く場合は、一度医療機関を受診し、医師に相談することが望ましいでしょう。特に、以下のような症状を伴う場合は、早めの受診を検討してください。
- 体重の減少
- 強い倦怠感や疲労感
- 寝汗
- リンパ節の腫れ
- 関節の痛みや腫れ
- 心因性発熱とは
- 精神的なストレスや緊張が原因で、自律神経のバランスが崩れ、体温調節機能に影響を及ぼすことで生じる発熱です。器質的な病変が見当たらない場合に診断されることがあります。
発熱の応急処置・市販薬・受診先を解説

発熱時の適切な応急処置は、症状の緩和と体力の消耗を防ぐ上で非常に重要です。また、市販薬を適切に選択し、必要に応じて医療機関を受診するタイミングを見極めることも大切です。
発熱時の応急処置の目的は、体の負担を軽減し、快適性を高めることにあります。体温が上昇する過程では悪寒を感じやすく、体温がピークに達すると暑さを感じやすくなります。これらの体の変化に合わせて対処法を変えることがポイントです。
発熱時の応急処置
- 水分補給: 発熱時は汗をかきやすく、脱水状態になりやすいため、こまめな水分補給が不可欠です。水やお茶だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクで電解質も補給しましょう。
- 安静にする: 体力を消耗しないよう、無理せず安静に過ごすことが重要です。
- 体温調節: 悪寒がある場合は体を温め、熱がこもって暑いと感じる場合は、薄着にする、タオルで体を拭く、脇の下や首の付け根、足の付け根などを冷やすなどの工夫をしましょう。
市販の解熱鎮痛薬の選び方と注意点
市販の解熱鎮痛薬には、主にアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。
| 成分名 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 比較的胃への負担が少ない。小児や妊婦にも使用されることがある。 | 肝機能障害のある人は注意。過量摂取に注意。 |
| イブプロフェン | 解熱鎮痛作用が比較的強い。 | 胃腸障害、腎機能障害、喘息のある人は注意。 |
| ロキソプロフェン | 速効性があり、鎮痛作用が強い。 | 胃腸障害、腎機能障害、喘息のある人は注意。 |
薬剤師として、市販薬を選ぶ際には、症状だけでなく、持病や服用中の他の薬(特に風邪薬や鎮痛薬には解熱鎮痛成分が重複して含まれることがあるため)を考慮することが非常に重要だと感じています。不明な点があれば、必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。ジェネリック医薬品も存在し、同等の効果が期待できますが、成分名を確認することが大切です。
医療機関を受診するタイミングと受診先
以下の場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
- 高熱が3日以上続く場合
- 解熱鎮痛薬を使用しても熱が下がらない、または悪化する場合
- 呼吸が苦しい、胸が痛い
- 意識がもうろうとする、けいれんがある
- 激しい頭痛、嘔吐、首の硬直がある
- 持病がある方(糖尿病、心臓病、腎臓病など)や免疫抑制剤を服用している方
- 乳幼児や高齢者で、普段と様子が明らかに異なる場合
受診先は、かかりつけ医があればまずはそちらに相談するのが良いでしょう。夜間や休日でかかりつけ医が受診できない場合は、地域の休日・夜間診療所や救急外来を利用することも検討してください。
症状の掛け合わせ(発熱+〇〇)でわかること
発熱は単独で現れることもありますが、他の症状と組み合わさることで、より具体的な原因疾患を推測する手がかりとなります。これらの組み合わせを理解することは、適切な初期対応や医療機関受診の判断に役立ちます。
発熱と他の症状の組み合わせは、体のどの部位でどのような病原体が活動しているか、あるいはどのような病態が進行しているかを示す重要な情報源となります。特に、感染症の診断においては、発熱のパターンと随伴症状が鍵となることが多いです。
発熱と他の症状の組み合わせ例
- 発熱 + 喉の痛み: 風邪、インフルエンザ、溶連菌感染症、扁桃炎などが考えられます。特に溶連菌感染症では、高熱と強い喉の痛みが特徴的です。
- 発熱 + 咳・鼻水: 一般的な風邪や気管支炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などが疑われます。咳がひどい場合は肺炎の可能性も考慮する必要があります。
- 発熱 + 腹痛・下痢: 胃腸炎(ウイルス性、細菌性)、食中毒などが考えられます。脱水に注意し、水分補給を心がけましょう。
- 発熱 + 頭痛・関節痛: インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、デング熱などのウイルス感染症でよく見られます。髄膜炎の可能性もあるため、激しい頭痛や嘔吐、首の硬直がある場合は注意が必要です。
- 発熱 + 発疹: 麻疹、風疹、水痘、突発性発疹、手足口病など、様々な感染症で発疹を伴うことがあります。発疹の種類や広がり方によって原因が異なります。
- 発熱 + 排尿時の痛み・頻尿: 尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)が強く疑われます。特に女性に多い症状です。
実際の処方パターンとして、発熱に加えて咳や喉の痛みを訴える患者さんには、解熱鎮痛薬と合わせて鎮咳薬や去痰薬、抗ヒスタミン薬などが処方されることが一般的です。症状の組み合わせに応じて、医師は適切な診断と治療方針を立てます。
症状の組み合わせからわかる重症度の判断
複数の症状が同時に現れる場合、単独の発熱よりも重症度が高い可能性があります。特に、以下のような症状の組み合わせは、速やかな医療機関受診を検討すべきサインです。
- 高熱と意識障害、けいれん
- 高熱と呼吸困難、胸痛
- 高熱と激しい頭痛、嘔吐、首の硬直(髄膜炎の可能性)
- 発熱と全身の倦怠感が強く、食事がとれない
特に乳幼児や高齢者では、症状の訴えが不明瞭な場合が多く、発熱と他の症状の組み合わせから重症度を判断することがより重要になります。普段と異なる様子が見られたら、迷わず医療機関を受診してください。
まとめ

発熱は体の重要な防御反応であり、その原因は感染症から非感染性疾患まで多岐にわたります。急な高熱では、感染症や熱中症などが考えられ、特に危険なサインを伴う場合は速やかな医療機関受診が必要です。一方、長引く微熱は、慢性感染症、自己免疫疾患、心因性発熱など様々な原因が考えられ、他の症状と合わせて原因を特定することが重要です。
発熱時の応急処置としては、十分な水分補給と安静が基本となります。市販の解熱鎮痛薬は症状緩和に役立ちますが、成分ごとの特徴や注意点を理解し、自身の状態に合ったものを選ぶことが大切です。また、発熱に他の症状が組み合わさることで、より具体的な病態を推測する手がかりとなり、重症度判断にも役立ちます。
発熱は体の異常を知らせるサインであり、自己判断で済ませず、適切な対処と必要に応じた医療機関の受診を心がけましょう。
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- Cuiqing Liu, Zubin Yavar, Qinghua Sun. Cardiovascular response to thermoregulatory challenges.. American journal of physiology. Heart and circulatory physiology. 2016. PMID: 26432837. DOI: 10.1152/ajpheart.00199.2015
- Cornelia Cudrici, Natalie Deuitch, Ivona Aksentijevich. Revisiting TNF Receptor-Associated Periodic Syndrome (TRAPS): Current Perspectives.. International journal of molecular sciences. 2021. PMID: 32380704. DOI: 10.3390/ijms21093263
- Nathan Kuppermann, Peter S Dayan, Deborah A Levine et al.. A Clinical Prediction Rule to Identify Febrile Infants 60 Days and Younger at Low Risk for Serious Bacterial Infections.. JAMA pediatrics. 2020. PMID: 30776077. DOI: 10.1001/jamapediatrics.2018.5501
- Douglas J Casa, Julie K DeMartini, Michael F Bergeron et al.. National Athletic Trainers’ Association Position Statement: Exertional Heat Illnesses.. Journal of athletic training. 2016. PMID: 26381473. DOI: 10.4085/1062-6050-50.9.07
- アセトアミノフェン(アセトアミノフェン)添付文書(JAPIC)
- イブプロフェン(イブプロフェン)添付文書(JAPIC)
- ロキソニン(ロキソプロフェン)添付文書(JAPIC)

