逆流性食道炎の検査と診断の進め方
胃カメラで何が分かるか、正常でも症状が続くときに何を調べるかを整理します。
逆流性食道炎の診断は、症状だけでも胃カメラだけでも決まりません。胃カメラは食道炎、狭窄、バレット食道や別の病気を確認できますが、正常でも非びらん性胃食道逆流症(NERD)は否定できません。診断が未確定なら薬を止めた条件での逆流モニタリング、GERDが確認済みで治療中も症状が続くなら薬を使った条件でのpH・インピーダンス検査などを検討します。
警告症状、年齢、薬、既往で検査の優先度を決める
胸やけ・呑酸が典型的で警告症状がない場合、診療では症状と治療反応を見ながら進めることがあります。一方、飲み込みにくさ、嚥下痛、出血、貧血、体重減少、繰り返す嘔吐がある場合は、内視鏡などによる器質的疾患の評価を優先します。[1][2]
救急を考える
強い胸痛、冷汗、息苦しさ、吐血、黒い便、意識の変化がある。
早めに対面受診
食べ物のつかえ、嚥下痛、反復する嘔吐、貧血、意図しない体重減少がある。
予約して検査を相談
胸やけ・呑酸が繰り返す、市販薬を続けている、治療しても症状が残る。
検査を決める前に、すでに胃酸を抑える薬を使っているか、いつから何時に飲んでいるかを確認します。薬を使ったままか、一定期間止めて調べるかで検査が答える問いが変わるため、自己判断で休薬せず、予約時に服用状況を伝えてください。
胃カメラは食道炎の程度と、別の病気を確認する
上部消化管内視鏡(胃カメラ)では、食道粘膜のびらん、潰瘍、出血、狭窄、バレット食道、食道裂孔ヘルニアの手がかりを確認します。症状が似る食道がん、好酸球性食道炎、感染性食道炎、薬剤性食道障害、胃・十二指腸疾患を調べる役割もあります。必要に応じて生検を行います。[1][2]

胃カメラが正常でも、症状が続く理由を分けて考える
胸やけや呑酸があっても内視鏡でびらんを認めないNERDがあります。一方で、食道への酸曝露は正常でも逆流に敏感な「逆流過敏」や、逆流との関連を示せない「機能性胸やけ」もあります。これらは治療方針が異なるため、内視鏡正常を「異常なし」で終わらせず、症状の性質と必要な追加検査を考えます。[3][4][5]
食道pH・インピーダンス検査は、逆流と症状の関係を調べる
携帯型の装置で食道内の酸曝露時間や逆流回数を測り、症状を記録します。pH・インピーダンス検査は酸性だけでなく弱酸性・非酸性の逆流も評価できます。検査結果は、症状ボタンや記録と合わせて解釈します。[3][4]
検査値には確定的、境界、補助的な所見があり、一つの数値だけで治療を増減しません。[3]
食道内圧検査は、運動障害や手術前評価に用いる
高解像度食道内圧検査は、食道の収縮と下部食道括約筋の働きを測定します。GERDそのものを単独で確定する検査ではありませんが、アカラシアなどの食道運動障害を見分ける、pH検査のカテーテル位置を決める、逆流防止手術の前に蠕動を評価するといった役割があります。[2][4]
飲み込みにくさがある場合や、侵襲的治療を検討する場合は、内視鏡と逆流検査だけでなく食道運動の評価が重要です。手術適応は、客観的GERDの証拠、症状との関連、食道運動、本人の希望とリスクを合わせて決めます。[4]
検査は「何を確認したいか」から選ぶ
- 緊急性と警告症状
胸痛、出血、つかえ、体重減少を先に確認します。
- 症状と薬の使用状況
典型症状か、薬を正しく使っても続くかを整理します。
- 胃カメラ
粘膜障害、合併症、別の食道・胃疾患を確認します。
- 逆流モニタリング
内視鏡だけで確定できない場合や治療抵抗性で、逆流量と症状の関連を調べます。
- 食道内圧検査
嚥下障害の鑑別や侵襲的治療前に食道運動を評価します。
よくある質問
胃カメラが正常ならGERDではありませんか?
いいえ。内視鏡でびらんがないNERDがあります。必要に応じて食道pH・インピーダンス検査で逆流量と症状の関係を調べます。
検査前に胃酸の薬を止めますか?
検査目的で異なります。未確定GERDの確認では休薬することがありますが、確認済みGERDの治療中評価では服用したまま行う場合があります。自己判断で止めないでください。
食道pH検査は全員に必要ですか?
全員には必要ありません。内視鏡だけで診断できない場合、薬が効かない場合、手術などを検討する場合に選択します。
胃カメラと食道内圧検査は同じですか?
異なります。胃カメラは粘膜や形を観察し、内圧検査は食道の収縮や括約筋の働きを測ります。
参考文献
- 日本消化器病学会編.胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版.
- Katz PO, et al. ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022. PMID: 34807007.
- Gyawali CP, et al. Updates to the modern diagnosis of GERD: Lyon consensus 2.0. Gut. 2024. PMID: 37734911.
- Yadlapati R, et al. AGA Clinical Practice Update on the Personalized Approach to GERD. Clin Gastroenterol Hepatol. 2022. PMID: 35123084.
- Yadlapati R, et al. Personalized Approach in the Work-up and Management of GERD. Gastrointest Endosc Clin N Am. 2020. PMID: 32146943.
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