- ✓ 青色LEDはニキビ菌を殺菌し、赤色LEDは炎症を抑え肌の再生を促します。
- ✓ 臨床研究では、単独療法よりも青色と赤色の組み合わせ治療が効果的であることが示されています。
- ✓ 軽度から中等度のニキビに特に有効性が期待でき、副作用が少ない治療法として注目されています。
LED治療とは?ニキビにどう作用するのか

LED治療とは、特定の波長の光(LED: Light Emitting Diode)を皮膚に照射することで、ニキビの症状改善を目指す治療法です。この治療は、主に青色LEDと赤色LEDがニキビ治療に用いられ、それぞれ異なるメカニズムでニキビにアプローチします。
ニキビは、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌(Propionibacterium acnes、現在はCutibacterium acnesと改名)の増殖、そして炎症が複雑に絡み合って発生する皮膚疾患です。LED治療は、これらのニキビ発生要因の一部に直接作用することで、症状の改善を促します。日常診療では、特に炎症性の赤ニキビや、従来の治療法で改善が見られにくい患者さんから「LED治療は効果がありますか?」と相談されることが少なくありません。
- アクネ菌(Cutibacterium acnes)
- ニキビの発生に深く関わる常在菌で、毛穴の中で皮脂を栄養源として増殖します。この菌が産生するポルフィリンという物質が、青色光に反応して活性酸素を発生させ、菌を殺菌する作用が期待されます。
青色LEDのニキビへの効果とは?
青色LEDは、主に400nmから470nmの波長域の光を使用します。この波長の光は、アクネ菌が産生するポルフィリンという物質に吸収されやすいという特性があります。ポルフィリンが青色光を吸収すると、活性酸素を生成し、この活性酸素がアクネ菌を直接殺菌する効果が期待されます[1]。これにより、ニキビの炎症の元となるアクネ菌の数を減少させ、新たなニキビの発生を抑制し、既存のニキビの炎症を鎮める効果が期待できます。
- 殺菌作用: アクネ菌のポルフィリンに反応し、活性酸素を発生させて菌を殺菌。
- 皮脂腺への影響: 一部の研究では、青色光が皮脂腺の活動を抑制する可能性も示唆されていますが、そのメカニズムはまだ完全に解明されていません。
実臨床では、特に炎症性の赤ニキビや膿疱性ニキビに悩む患者さんに対して、青色LED治療を導入することで、アクネ菌の活動を抑え、炎症が落ち着くのを実感される方が多く見られます。
赤色LEDのニキビへの効果とは?
赤色LEDは、主に600nmから700nmの波長域の光を使用します。青色光とは異なり、赤色光は皮膚の深部まで到達しやすいという特徴があります。この光は、細胞内のミトコンドリアに作用し、細胞のエネルギー産生を促進すると考えられています。これにより、以下のような効果が期待されます。
- 抗炎症作用: 炎症性サイトカインの産生を抑制し、ニキビによる赤みや腫れを軽減する効果が期待されます。
- 組織修復・再生促進: コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、ニキビ跡の改善や肌のバリア機能の回復を助ける可能性があります。
- 血行促進: 微小循環を改善し、皮膚の栄養供給を向上させることで、肌全体の健康をサポートします。
筆者の臨床経験では、赤色LEDは特に炎症が強く、赤みが残りがちなニキビや、ニキビ跡のケアを希望される患者さんに有効であると感じています。治療開始から数週間で、肌の赤みが引き、肌全体のトーンが均一になるのを実感される方が多いです。
ニキビ治療におけるLEDの組み合わせ効果とは?
ニキビ治療において、青色LEDと赤色LEDを単独で使用するよりも、両者を組み合わせることで相乗効果が期待できることが複数の臨床研究で示されています。これは、それぞれの光が異なるメカニズムでニキビの主要な病態に作用するためです。
青色LEDがアクネ菌の殺菌に特化しているのに対し、赤色LEDは炎症の抑制と皮膚の修復・再生を促進します。この二つの作用を組み合わせることで、ニキビの原因菌を減らしつつ、同時に炎症を鎮め、肌の回復を早めることが可能になります。日常診療では、中等度から重度のニキビで来院される患者さんに対し、このコンビネーション治療を提案することが多く、より包括的なアプローチでニキビの改善を目指します。
青色・赤色LED併用療法の有効性に関するエビデンス
臨床研究では、青色と赤色のLEDを組み合わせた治療が、ニキビの病変数の減少や炎症の改善において、単独療法よりも優れた結果を示すことが報告されています。
- ある研究では、青色と赤色の組み合わせLED光線療法が、皮膚光タイプIVのニキビ患者において、炎症性病変と非炎症性病変の両方を有意に減少させたことが報告されています[2]。
- 別のランダム化比較試験では、青色光単独療法と比較して、青色と赤色の組み合わせ光線療法が、軽度から中等度の尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療において、より高い有効性を示し、特に炎症性病変の減少に優れていたと結論付けられています[1]。
- さらに、中等度から重度の尋常性ざ瘡患者を対象とした研究では、週1回または週2回交互に青色と赤色の光を照射するレジメンが、ニキビ病変の有意な減少をもたらすことが示されています[4]。
これらの研究結果は、青色と赤色のLEDを組み合わせることで、ニキビに対するより効果的なアプローチが可能であることを示唆しています。特に、炎症性のニキビや、広範囲にわたるニキビに対して、この組み合わせ治療は有効な選択肢となり得ます。
LED治療の効果には個人差があります。また、ニキビの重症度や種類によっては、他の治療法との併用や、より積極的な治療が必要となる場合があります。治療を検討する際は、必ず専門医に相談し、ご自身の肌の状態に合った治療計画を立てることが重要です。
LED治療の対象となるニキビの種類と期待できる効果

LED治療は、ニキビの様々な段階や種類に対して効果が期待されますが、特に有効性が高いとされるニキビの種類があります。また、治療によってどのような効果が期待できるのかを理解することは、治療選択において重要です。
臨床現場では、特に軽度から中等度の炎症性ニキビに悩む患者さん、あるいは他の外用薬や内服薬で副作用が出やすい患者さんから、LED治療への関心が高いと感じています。また、ニキビ跡の赤みに悩む方にも、赤色LEDの抗炎症作用や肌再生効果を期待して提案することがあります。
LED治療が特に有効なニキビの種類とは?
- 炎症性ニキビ(赤ニキビ、膿疱): アクネ菌の殺菌作用を持つ青色LEDと、炎症を抑える赤色LEDの組み合わせが特に効果的です。赤みや腫れを伴うニキビの改善に寄与します。
- 軽度から中等度のニキビ: 重度の嚢腫性ニキビや結節性ニキビには単独での効果は限定的かもしれませんが、軽度から中等度のニキビであれば、病変数の減少に有意な効果が期待できます[1]。
- ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑): 赤色LEDの抗炎症作用と血行促進作用により、ニキビが治った後に残る赤みを軽減する効果が期待されます。
一方で、毛穴の詰まりが主な原因である白ニキビや黒ニキビ(面皰)に対しては、LED治療単独での効果は限定的である可能性があります。これらのニキビには、ピーリングやレチノイドなどの角質除去作用のある治療がより効果的です。
LED治療で期待できる具体的な効果
- ニキビ病変の減少: 炎症性および非炎症性ニキビの数が減少することが期待されます[2]。
- 炎症の抑制: 赤みや腫れといった炎症症状が軽減されることが期待されます。
- 肌質の改善: 赤色LEDによるコラーゲン生成促進効果により、肌のハリや弾力の向上が期待できる場合があります。
- ダウンタイムが少ない: 薬剤を使用しないため、肌への負担が少なく、治療後のダウンタイムがほとんどない点が大きなメリットです。
実際の診療では、「肌が敏感で、強い薬は使いたくない」という患者さんや、「ニキビだけでなく、肌全体の調子を整えたい」という希望を持つ患者さんに対して、LED治療は非常に良い選択肢となり得ます。筆者の臨床経験では、治療を継続することで、肌のバリア機能が向上し、ニキビができにくい肌質へと変化していくケースも多く見られます。
LED治療の安全性と副作用は?
LED治療は、一般的に安全性が高く、副作用が少ない治療法として知られています。しかし、どのような医療行為にも潜在的なリスクは存在するため、事前に理解しておくことが重要です。
外来診療では、「LED治療は肌に負担がかからないですか?」「痛みはありますか?」と質問される患者さんも多いです。多くの患者さんは、従来のニキビ治療薬による乾燥や刺激感、あるいはレーザー治療のようなダウンタイムを懸念されていますが、LED治療はこれらの心配が少ないため、安心して受けられることが多いと説明しています。
LED治療の主な安全性と副作用
- 安全性: LED光は非熱性であり、皮膚組織に損傷を与えるリスクが非常に低いため、安全性が高いとされています。紫外線を含まないため、日焼けや皮膚がんのリスクもありません。また、特定の波長の光のみを使用するため、周囲の組織への影響も少ないです。
- 副作用: ほとんどの患者さんで副作用は報告されていません。ごく稀に、治療部位に軽度の赤みや乾燥感が生じることがありますが、一時的なもので、数時間から数日で自然に治まることがほとんどです。重篤な副作用の報告は極めて稀です。
- 痛み: 治療中に痛みを感じることはほとんどありません。温かさを感じる程度で、リラックスして治療を受けられる方が多いです。
2008年の研究では、ニキビ治療における手持ち式LEDアレイデバイスが、副作用なくニキビ病変を減少させることが示されており、その安全性と有効性が裏付けられています[3]。
LED治療が受けられないケースや注意すべき点
LED治療は安全性が高いとはいえ、全ての人に適応できるわけではありません。以下のようなケースでは、治療の適応を慎重に判断する必要があります。
- 光過敏症の方: 特定の薬剤や疾患により光過敏症がある場合、治療前に必ず医師に申告してください。
- 妊娠中・授乳中の方: 安全性が確立されていないため、一般的に推奨されません。
- てんかんの既往がある方: 光刺激により発作を誘発する可能性があるため、注意が必要です。
- 重度の皮膚疾患がある方: 治療部位に重度の皮膚炎や感染症がある場合は、症状が悪化する可能性があるため、治療を避けるべきです。
実際の診療では、問診時にこれらの項目を丁寧に確認し、患者さんの既往歴や現在の健康状態を把握した上で、治療の適応を判断しています。また、治療中は必ず目を保護するためのゴーグルを着用してもらうなど、安全対策を徹底しています。
LED治療の一般的な治療期間と頻度、費用

LED治療の効果を最大限に引き出すためには、適切な治療期間と頻度で継続することが重要です。また、治療を検討する上で費用も気になるポイントでしょう。
日々の診療では、「どれくらいの期間で効果が出ますか?」「何回くらい通えばいいですか?」といった質問をよく受けます。ニキビの状態や肌質、他の治療との併用状況によって個人差は大きいですが、一般的な目安を説明し、患者さんが治療計画を立てやすいように心がけています。
治療期間と頻度の目安
LED治療は、1回の治療で劇的な効果が得られるというよりも、複数回の治療を継続することで徐々に効果が実感できる傾向にあります。一般的な治療期間と頻度は以下の通りです。
- 初期治療: 週に1〜2回の頻度で、4〜8週間程度の継続が推奨されることが多いです[4]。この期間で、アクネ菌の減少や炎症の鎮静化が期待されます。
- 維持療法: 症状が改善した後も、月に1回程度の頻度で維持療法を行うことで、ニキビの再発を予防し、肌の状態を良好に保つことが期待できます。
- 効果実感までの期間: 筆者の臨床経験では、治療開始から1〜2ヶ月ほどで、ニキビの数や炎症の度合いに改善を実感される方が多いです。肌質の変化やニキビ跡の改善には、さらに数ヶ月の継続が必要となる場合があります。
治療期間や頻度は、ニキビの重症度、肌質、他の治療との併用状況によって調整されます。診察の場で、患者さんの状態を詳しく確認し、最適な治療計画を提案することが重要です。
LED治療の費用について
LED治療は、保険適用外の自由診療となることがほとんどです。そのため、医療機関によって費用は異なります。一般的には、1回あたりの費用が数千円から1万円程度で設定されていることが多いです。
| 項目 | LED治療(自由診療) | 一般的なニキビ外用薬(保険診療) |
|---|---|---|
| 保険適用 | なし | あり(3割負担など) |
| 1回あたりの費用目安 | 数千円〜1万円程度 | 数百円〜千円程度 |
| 総額費用 | 治療回数に応じて変動 | 処方薬の種類と期間に応じて変動 |
| 主な副作用 | ほとんどなし(稀に軽度な赤み・乾燥) | 乾燥、刺激感、赤み、皮むけなど |
| ダウンタイム | ほとんどなし | ほとんどなし(一部薬剤で刺激感) |
複数回の治療が必要となるため、総額の費用はそれなりにかかる可能性があります。しかし、副作用が少なく、ダウンタイムがないため、日常生活に支障をきたさずに治療を続けたい方にとっては、費用対効果を考慮する価値のある選択肢と言えるでしょう。治療費用については、事前に医療機関に確認することをお勧めします。
まとめ
LED治療は、ニキビの原因となるアクネ菌の殺菌(青色LED)と、炎症の抑制および肌の再生促進(赤色LED)という異なるアプローチでニキビに効果が期待できる治療法です。特に、青色と赤色のLEDを組み合わせた治療は、単独療法よりも高い有効性を示すことが複数の臨床研究で報告されており、軽度から中等度の炎症性ニキビやニキビ跡の赤みに対して有効な選択肢となり得ます。
安全性も高く、ほとんど副作用がないため、従来のニキビ治療薬で刺激を感じやすい方や、ダウンタイムを避けたい方にも適しています。治療期間は数週間から数ヶ月にわたり、継続することでニキビの改善だけでなく、肌質全体の向上が期待できます。LED治療を検討する際は、ご自身のニキビの状態や肌質を専門医に相談し、最適な治療計画を立てることが重要です。
よくある質問(FAQ)
- Jiahua Li, Jiandan Li, Linglin Zhang et al.. Comparison of red light and blue light therapies for mild-to-moderate acne vulgaris: A randomized controlled clinical study.. Photodermatology, photoimmunology & photomedicine. 2022. PMID: 34981580. DOI: 10.1111/phpp.12769
- Seung Yoon Lee, Chung Eui You, Mi Youn Park. Blue and red light combination LED phototherapy for acne vulgaris in patients with skin phototype IV.. Lasers in surgery and medicine. 2007. PMID: 17111415. DOI: 10.1002/lsm.20412
- Neil S Sadick. Handheld LED array device in the treatment of acne vulgaris.. Journal of drugs in dermatology : JDD. 2008. PMID: 18459515
- Sunatra Nitayavardhana, Woraphong Manuskiatti, Kathryn Anne G Cembrano et al.. A Comparative Study Between Once-Weekly and Alternating Twice-Weekly Regimen Using Blue (470 nm) and Red (640 nm) Light Combination LED Phototherapy for Moderate-to-Severe Acne Vulgaris.. Lasers in surgery and medicine. 2021. PMID: 33538345. DOI: 10.1002/lsm.23388

