肺血栓塞栓症とは?足の血栓が肺に届く仕組みと危険性・受診目安

足の深い静脈にできた血栓と肺動脈に届いた血栓の関係を示す概念図
Respiratory medicine / Mechanism

肺血栓塞栓症とは?足の血栓と肺の関係

肺の病気のように見えても、始まりは足などの静脈血栓であることがあります。

最終更新 2026.09.18最終医学レビュー 2026.09.18
仕組み血栓が静脈を流れる
症状急な息切れ・胸痛
判断画像検査などで確かめる
結論から

肺血栓塞栓症は、足などの深い静脈でできた血栓がはがれ、右心を通って肺動脈に詰まる病気です。肺へ流れる血液が妨げられると酸素の取り込みや右心の働きに影響し、突然の息切れや胸痛、時に失神が起こります。脚に腫れや痛みが見えなくても否定はできません。

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足などの深い静脈から、右心を通って肺動脈へ流れる

深部静脈血栓症は、ふくらはぎ・太もも・骨盤などの深い静脈に血栓ができる状態です。血栓の一部が流れると、心臓の右側を経由して肺動脈に到達します。これが肺血栓塞栓症です。足の血栓と肺の血栓は別々の病気ではなく、静脈血栓塞栓症という連続した病態として考えます。[1][2]

足の深い静脈にできた血栓と肺動脈に届いた血栓の関係を示す概念図
図|足の静脈血栓と肺の血栓はつながっている 模式図であり、血栓の場所や大きさ、症状は人によって異なります。
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詰まった血管の先の血流が減り、右心にも負担がかかる

肺の一部へ血液が流れにくくなると、空気が入っていても十分に酸素を血液へ渡せません。詰まりが広い場合などには肺血管の抵抗が増え、血液を送り出す右心が急に負担を受け、血圧低下や失神に至ることがあります。血栓の見た目の大きさだけでなく、血圧、酸素化、右心の状態を合わせて重症度を評価します。[1][2]

正常な酸素値だけでは除外できない

酸素値が保たれていても肺塞栓症は起こり得ます。症状の始まり方と背景を確認し、必要な検査を選びます。[1]

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片脚の腫れ・痛みは手掛かりだが、なくても起こる

片脚だけの腫れ、ふくらはぎの痛み、熱感、色の変化は深部静脈血栓症の手掛かりです。ただし、これらがない肺塞栓症もあります。脚の見た目だけで安心したり、自分で強く揉んで確かめたりせず、突然の息苦しさや胸痛があれば救急評価を優先してください。[1][3][4]

診察室から

診察では、脚の左右差だけでなく、最近の安静や手術、以前の血栓症、服用中の薬、息切れの始まり方を一続きの情報として確認します。脚が腫れていないことだけで肺塞栓症を除外せず、必要な検査につなげます。これは診療での確認事項であり、検査結果に代わるものではありません。

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胸痛や息切れには、別の緊急疾患もある

肺炎、気胸、心筋梗塞、心不全などでも胸痛や息切れが起こります。肺塞栓症の胸痛は深呼吸で増えることがありますが、その特徴だけで病名を決められません。心電図、画像、血液検査などは、肺塞栓症を確かめるとともに別の原因を調べる目的で選びます。[1][2][3]

たとえば胸部X線に大きな異常がないことも、肺塞栓症の除外にはなりません。一方、肺炎や気胸の手掛かりが見つかれば検査の進め方が変わります。急な症状がある時は、一つの検査結果だけではなく全身状態と合わせて医師に評価してもらってください。[1][2]

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仕組みを知ったら、確率評価と造影CTなどで確かめる

医師は血圧、脈拍、酸素化、脚の所見、危険因子から可能性を見積もります。可能性が高くない場合にDダイマーで除外を検討し、必要なら造影CTで肺動脈を確認します。腎機能や造影剤への懸念、妊娠などにより別の画像検査や下肢静脈エコーを検討する場合もあります。[1][2][5]

Dダイマー
可能性が高くない人で、除外できるかを考える血液検査
CT肺動脈造影
造影剤を使い、肺動脈の血栓を確認する主な検査
下肢静脈エコー
足の深い静脈にある血栓を調べる検査

血圧が下がるほど重い場合は、診断と治療を並行して進めます。画像の選び方は救急現場の判断となるため、家庭で検査名を決めて予約する必要はありません。[1][2]

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突然の強い症状や失神は119番、軽くても急な変化は対面評価

突然の強い息切れ・胸痛、失神は救急を優先

急に息苦しくなった、強い胸痛が続く、倒れた・意識がはっきりしない、唇が青紫色、会話が難しい場合は、記事を読み続けず119番を考えてください。自分で運転しないでください。

緊急時は119番へ

症状が比較的軽くても、突然の息切れ・胸痛が生じ、特に手術や長期安静の後などであれば、当日中の対面評価を考えてください。オンラインや家庭用酸素計だけで除外しないでください。[1][2]

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よくある質問

足が腫れていなければ肺塞栓症ではありませんか?

いいえ。脚に明らかな症状がない場合もあります。急な息切れや胸痛は、全身状態と危険因子を含めて評価します。

肺に血栓ができるのですか?

多くは足や骨盤などの静脈でできた血栓が移動して肺動脈に詰まります。ただし詳しい原因は検査と背景から考えます。

酸素飽和度が正常なら安心ですか?

正常値だけでは否定できません。急に始まった症状や失神、胸痛などは医療機関で評価を受けてください。

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参考文献