- ✓ 胃の疾患は多岐にわたり、症状や重症度、治療法がそれぞれ異なります。
- ✓ 早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な健康診断や胃内視鏡検査が推奨されます。
- ✓ 胃の不調を感じたら自己判断せず、専門医に相談し正確な診断を受けることが大切です。
胃の疾患は、日本において非常に多くの人が経験する一般的な病気です。胃痛、もたれ、吐き気、食欲不振など、その症状は多岐にわたり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。これらの症状の裏には、胃炎や胃潰瘍といった比較的軽度なものから、胃がんのような重篤な疾患まで、さまざまな病気が隠れている可能性があります。本記事では、胃の主要な疾患について、専門医の立場からその特徴、原因、診断、治療法などを詳しく解説します。
胃がんとは?早期発見の重要性と治療法

胃がんは、胃の粘膜の細胞が異常に増殖することで発生する悪性腫瘍です。日本では比較的罹患率の高いがんであり、早期発見が治療成績を大きく左右します。
胃がんの主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、喫煙、過度の飲酒、塩分の多い食事、遺伝的要因などが挙げられます[1]。特にピロリ菌感染は、胃がん発生リスクを約5倍高めると報告されており、除菌治療が推奨されています[2]。初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、進行すると胃の痛み、不快感、食欲不振、体重減少、吐き気、嘔吐、黒色便などの症状が現れることがあります。しかし、これらの症状は他の胃疾患でも見られるため、症状だけで胃がんと判断することは困難です。
診断には、胃内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要です。内視鏡で胃の粘膜を直接観察し、疑わしい病変があれば組織を採取して病理検査を行います。また、バリウム検査(胃X線検査)もスクリーニングとして用いられます。進行度を評価するためには、CT検査や超音波検査なども行われます。
治療法は、がんの進行度や患者さんの全身状態によって異なります。早期がんでは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という内視鏡を用いた切除術で完治が期待できます。これは開腹手術に比べて身体への負担が少ないのが特徴です。進行がんの場合には、外科手術による胃の切除が主な治療となります。手術の範囲はがんの大きさや位置によって異なり、胃の一部を切除する「幽門側胃切除術」や「噴門側胃切除術」、胃全体を切除する「胃全摘術」などがあります。また、抗がん剤治療や放射線治療が、手術と組み合わせて行われたり、手術が困難な場合に選択されたりすることもあります。筆者の臨床経験では、早期胃がんの段階で発見された患者さんの多くは、内視鏡治療や低侵襲手術で良好な経過を辿られています。定期的な胃内視鏡検査の重要性を痛感する場面は少なくありません。
ピロリ菌感染症とは?その影響と除菌治療
ピロリ菌感染症は、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が胃の粘膜に感染することで引き起こされる疾患です。この菌は、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんの主要な原因となることが明らかになっています[2]。
ピロリ菌は主に幼少期に感染すると考えられており、感染経路は衛生環境が不十分な状況での経口感染が主とされています。一度感染すると、胃の粘膜に住み着き、アンモニアを産生して胃酸を中和し、自身を守りながら炎症を引き起こします。この慢性的な炎症が、胃の粘膜を徐々に傷つけ、さまざまな胃の疾患へと発展していきます。日常診療では、「若い頃から胃の調子が悪かったけれど、まさかピロリ菌が原因だったとは」と驚かれる患者さんが多く見られます。
診断には、いくつかの方法があります。最も一般的なのは、胃内視鏡検査時に胃の組織を採取して行う迅速ウレアーゼ試験や培養検査、組織診断です。内視鏡を使わない方法としては、尿素呼気試験、便中抗原検査、血液・尿中抗体検査などがあります。尿素呼気試験は、検査薬を飲んで呼気を採取するだけで、感度・特異度ともに高く、除菌治療後の効果判定にも用いられます。
ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療が行われます。除菌治療は、通常、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制剤を1週間服用することで行われます。この治療により、約80〜90%の確率でピロリ菌を除去できるとされています[3]。除菌に成功すれば、慢性胃炎の改善、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発予防、そして胃がん発生リスクの低減が期待できます。ただし、除菌治療後も胃がんのリスクがゼロになるわけではないため、定期的な胃内視鏡検査は引き続き重要です。筆者の臨床経験では、除菌治療後に長年悩まされていた胃の不快感が劇的に改善し、「もっと早く受けていればよかった」と喜ばれる患者さんの声を聞くことがよくあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?症状と治療の選択肢
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が胃酸によって深く傷つけられ、組織が欠損する病態です。これらを総称して「消化性潰瘍」と呼びます。
主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用です。ピロリ菌は胃の粘膜を弱め、胃酸による攻撃を受けやすくします。NSAIDsは、痛みを抑える効果がある一方で、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑制するため、潰瘍を引き起こすリスクがあります[4]。ストレスや喫煙、過度の飲酒なども潰瘍の発症や悪化に関与すると考えられています。典型的な症状は、みぞおちの痛みです。胃潰瘍では食後に痛みが出やすい傾向があり、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みが出やすく、食事を摂ると軽減することが多いとされます。その他、吐き気、胸やけ、食欲不振、黒色便(タール便)などの症状が見られることもあります。黒色便は、潰瘍からの出血を示唆する重要なサインであり、この場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。
診断は、胃内視鏡検査によって行われます。内視鏡で潰瘍の有無、大きさ、深さ、活動性を確認し、必要に応じて組織を採取してピロリ菌の検査や悪性腫瘍の鑑別を行います。
治療の中心は、胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどの薬物療法です。これにより潰瘍の治癒を促進します。ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌治療も同時に行われます。NSAIDsが原因の場合は、可能であればNSAIDsの服用を中止するか、胃に負担の少ない薬剤への変更が検討されます。出血を伴う潰瘍の場合には、内視鏡的に止血処置を行うこともあります。筆者の臨床経験では、潰瘍によるみぞおちの痛みを訴えて受診される患者さんの中には、市販薬で様子を見て症状が悪化してから来られる方も少なくありません。特に黒色便が見られた場合は、迷わず受診していただきたいと常々感じています。
機能性ディスペプシア(FD)とは?その特徴と対処法

機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia; FD)は、胃の痛みやもたれなどの不快な症状が慢性的に続くにもかかわらず、胃内視鏡検査などで明らかな異常が見つからない病態を指します。以前は「神経性胃炎」などと呼ばれていましたが、現在は「機能性ディスペプシア」という診断名が用いられます[5]。
FDの主な症状は、食後の胃もたれ感、早期飽満感(少量で満腹になる)、みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感などです。これらの症状が週に1回以上、過去3ヶ月以上にわたって続き、かつ6ヶ月以上前から症状がある場合に診断されます。原因は一つではなく、胃の動き(蠕動運動)の異常、胃の知覚過敏、胃酸分泌の異常、ストレス、心理的要因、腸内細菌叢の変化などが複雑に絡み合っていると考えられています。実臨床では、「胃カメラでは異常がないと言われたのに、ずっと胃が重い、食後に気持ち悪くなる」と訴える患者さんが多く見られます。
診断は、症状の経過と胃内視鏡検査で器質的な異常がないことを確認することで行われます。ピロリ菌感染がある場合は、除菌治療によって症状が改善することもあるため、ピロリ菌検査も重要です。
治療は、症状の種類や程度に合わせて薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせます。薬物療法としては、胃の運動機能を改善する薬(消化管運動機能改善薬)、胃酸の分泌を抑える薬(PPI、H2ブロッカー)、胃の知覚過敏を抑える薬、漢方薬などが用いられます。また、ストレスが症状に大きく影響する場合、抗不安薬や抗うつ薬が有効なこともあります。生活習慣の改善も非常に重要で、規則正しい食生活、暴飲暴食を避ける、十分な睡眠、ストレス管理などが挙げられます。臨床経験上、FDの治療には個人差が大きいと感じています。患者さん一人ひとりの症状や生活背景を丁寧に聞き取り、最適な治療法を一緒に見つけていくことが、症状改善への鍵となります。
胃炎とは?急性胃炎と慢性胃炎の違い
胃炎は、胃の粘膜に炎症が起きている状態を指します。原因や経過によって、急激に発症する「急性胃炎」と、長期にわたって炎症が続く「慢性胃炎」に大別されます。
急性胃炎とは?
急性胃炎は、暴飲暴食、ストレス、特定の薬物(NSAIDsなど)、アルコール、食中毒菌やウイルス感染などが原因で、胃の粘膜に急性の炎症が起こる状態です。突然の激しい胃の痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が特徴です。多くの場合、原因を取り除き、胃を休めることで数日から1週間程度で自然に治癒することが多いです。日常診療では、特に年末年始や連休明けに、食べ過ぎや飲み過ぎによる急性胃炎を訴えて受診される方が少なくありません。
慢性胃炎とは?
慢性胃炎は、胃の粘膜に長期にわたって炎症が続き、粘膜が萎縮したり、腸の粘膜に似た状態に変化したりする病態です。主な原因はヘリコバクター・ピロリ菌感染であり、日本人の慢性胃炎の約8割はピロリ菌が関与しているとされています[6]。ピロリ菌が持続的に胃の粘膜に炎症を起こし、徐々に粘膜が薄くなる「萎縮性胃炎」へと進行します。症状は、胃もたれ、胃の不快感、食欲不振、軽い吐き気など、はっきりしないことが多いですが、無症状の場合もあります。しかし、慢性胃炎、特に萎縮性胃炎は、胃がんのリスクを高めることが知られています。
診断は、胃内視鏡検査によって行われます。粘膜の状態を直接観察し、炎症の程度や萎縮の有無を確認します。必要に応じて組織を採取し、病理検査で炎症細胞の浸潤やピロリ菌の有無を調べます。治療は、原因となっているピロリ菌の除菌が最も重要です。除菌に成功すれば、炎症の進行を止め、粘膜の改善が期待できます。症状がある場合には、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬などが用いられます。実際の診療では、慢性胃炎と診断された患者さんには、ピロリ菌の有無を確認し、陽性であれば除菌治療を強く推奨しています。除菌後も定期的な内視鏡検査で経過を追うことが重要です。
胃ポリープ・粘膜下腫瘍とは?良性・悪性の見分け方
胃ポリープや粘膜下腫瘍は、胃の粘膜や粘膜の下にできる隆起性の病変です。これらは必ずしも悪性とは限らず、多くは良性ですが、中にはがん化のリスクを持つものや、最初から悪性のものも存在するため、適切な診断と経過観察が重要です。
胃ポリープとは?
胃ポリープは、胃の粘膜表面から盛り上がった病変の総称です。主に以下の2種類に分けられます。
- 胃底腺ポリープ
- 最も多く見られる良性ポリープで、がん化のリスクはほとんどありません。ピロリ菌に感染していない胃に発生しやすいとされます。
- 過形成性ポリープ
- 慢性的な炎症が原因で発生し、ピロリ菌感染と関連が深いとされます。一般的には良性ですが、大きさが2cmを超えるものや、増大傾向のあるもの、異型度が高いものの一部は、将来的にがん化するリスクがあるため、切除や定期的な経過観察が必要です[7]。
胃ポリープの多くは無症状ですが、出血して貧血の原因になったり、まれに大きくなって胃の出口を塞いだりすることがあります。
粘膜下腫瘍とは?
粘膜下腫瘍は、胃の粘膜の下にある筋肉層や結合組織などから発生する腫瘍です。粘膜表面から盛り上がって見えますが、ポリープとは異なり、粘膜の下に病変の本体があります。種類としては、GIST(消化管間質腫瘍)、平滑筋腫、神経鞘腫などが挙げられます。GISTは悪性の可能性があり、サイズや増大速度によっては切除が必要です。他の粘膜下腫瘍の多くは良性ですが、鑑別が難しいため、専門的な検査が求められます。
診断は、胃内視鏡検査で病変の形態を確認し、必要に応じて超音波内視鏡検査(EUS)で病変の深さや内部構造を詳しく評価します。EUSは、粘膜下腫瘍の診断において非常に有用な検査です。良性であれば経過観察となることが多いですが、悪性の可能性が否定できない場合や、症状がある場合には内視鏡的切除や外科的切除が検討されます。外来診療では、「胃カメラでポリープが見つかったのですが、がんなのでしょうか?」と質問される患者さんも多いです。多くの場合は良性であることを説明し、必要に応じて精密検査や経過観察の計画を立てます。
最新コラム(胃): 胃の健康を守るための新しい知見

胃の健康に関する研究は日々進歩しており、新しい知見が次々と報告されています。ここでは、胃の健康を守るために注目すべき最新のトピックをいくつかご紹介します。
マイクロバイオームと胃の健康
近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)が全身の健康に大きく影響することが明らかになっていますが、胃にも独自の「胃内細菌叢(胃内マイクロバイオーム)」が存在することが分かってきました。ピロリ菌だけでなく、胃内に生息する様々な細菌が、胃炎や胃がんの発症に影響を与える可能性が示唆されています。例えば、ピロリ菌除菌後も胃がんリスクが残る要因として、除菌後に変化した胃内細菌叢が関与しているのではないかという研究も進められています。将来的には、胃内細菌叢をターゲットとした新たな治療法や予防法が開発されるかもしれません。
AIを活用した内視鏡診断の進化
胃がんの早期発見において、内視鏡検査は非常に重要ですが、微細な病変を見落とさないためには医師の経験と集中力が必要です。最近では、人工知能(AI)が内視鏡画像を解析し、がんの疑いがある病変を自動で検出・強調表示する技術が開発され、実用化され始めています。これにより、医師の診断支援となり、見落としの低減や診断精度の向上が期待されています[8]。筆者の臨床経験でも、AI支援システムが導入された内視鏡検査では、特に経験の浅い医師にとって診断の補助として非常に有用であると感じています。
個別化医療の進展
胃がん治療においても、患者さん一人ひとりの遺伝子情報やがんの特性に合わせた「個別化医療」が進展しています。例えば、特定の遺伝子変異を持つ胃がんに対しては、分子標的薬と呼ばれる薬剤が効果を発揮することがあります。これにより、従来の抗がん剤治療よりも副作用を抑えつつ、高い治療効果が期待できるようになっています。今後も、ゲノム医療の発展により、より効果的で患者さんの負担の少ない治療法が開発されていくでしょう。
胃の不調を感じたら?受診のタイミングと検査の目安
胃の不調は日常生活でよく経験される症状ですが、その裏には様々な疾患が隠れている可能性があります。適切なタイミングで医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。
どのような症状で受診すべき?
以下のような症状がある場合は、消化器内科を受診することを強くお勧めします。
- 持続する胃の痛みや不快感:数日以上続く胃の痛みや、市販薬で改善しない不快感。
- 食欲不振、体重減少:特に理由もなく食欲が落ちたり、体重が減ったりする場合。
- 吐き気、嘔吐:特に繰り返す場合や、血を吐く場合(吐血)。
- 黒色便(タール便):胃や十二指腸からの出血を示唆する重要なサイン。
- 胸やけ、飲み込みにくさ:逆流性食道炎などの可能性も。
- 貧血:胃からの慢性的な出血が原因であることもあります。
特に、40歳以上の方で上記のような症状がある場合や、ご家族に胃がんの既往がある場合は、早期の受診が推奨されます。筆者の臨床経験では、症状が軽微であっても、念のため検査を受けて早期に病気が見つかるケースも少なくありません。気になる症状があれば、まずは相談してください。
どのような検査が行われる?
胃の不調で受診した場合、主に以下のような検査が行われます。
- 問診・身体診察:症状の詳細、既往歴、服用中の薬などを確認し、腹部などを診察します。
- 血液検査:貧血の有無、炎症反応、肝機能などを調べます。ピロリ菌抗体検査も行われることがあります。
- 胃内視鏡検査(胃カメラ):最も重要な検査です。食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察し、炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変の有無を確認します。必要に応じて組織を採取し、病理検査やピロリ菌検査を行います。
- バリウム検査(胃X線検査):バリウムを飲んでX線撮影を行い、胃の形や粘膜の状態を間接的に評価します。内視鏡検査に比べて負担が少ないですが、微細な病変の発見には限界があります。
- 腹部超音波検査(エコー):胃の壁の状態や周囲の臓器(肝臓、胆嚢、膵臓など)に異常がないかを確認します。
これらの検査を組み合わせて、症状の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。実際の診療では、患者さんの年齢、症状、リスク因子などを総合的に判断し、最適な検査を選択しています。
胃の症状は、心臓病や膵臓病など、胃以外の重篤な病気が原因である可能性もゼロではありません。自己判断せずに、必ず専門医の診察を受けるようにしてください。
胃の疾患の予防と日常生活でできること
胃の疾患の多くは、生活習慣と密接に関連しています。日々の生活の中で胃に優しい習慣を取り入れることで、疾患の予防や症状の軽減が期待できます。
食生活の改善
- 規則正しい食事:3食を規則正しく摂り、空腹時間が長くなりすぎないようにしましょう。
- 腹八分目:食べ過ぎは胃に大きな負担をかけます。満腹になる前に箸を置く習慣をつけましょう。
- よく噛んで食べる:唾液と食べ物がよく混ざることで消化が助けられます。
- 刺激物を控える:辛いもの、熱すぎるもの、冷たすぎるもの、カフェイン、アルコールなどは胃粘膜を刺激します。
- バランスの取れた食事:野菜や果物、タンパク質をバランス良く摂り、胃粘膜の修復に必要な栄養素を補給しましょう。
ストレス管理
ストレスは胃の働きに大きく影響し、胃酸分泌の増加や胃の運動異常を引き起こすことがあります。適度な運動、十分な睡眠、趣味の時間を持つなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。日常診療では、ストレスが原因で胃の症状が悪化する患者さんを多く診ており、生活習慣の改善指導は治療の重要な一部です。
禁煙・節酒
喫煙は胃粘膜の血流を悪化させ、胃酸分泌を促進するため、胃潰瘍や胃がんのリスクを高めます。過度の飲酒も胃粘膜を直接刺激し、炎症を引き起こします。胃の健康のためには、禁煙し、飲酒は適量を心がけることが重要です。
定期的な健康診断と胃内視鏡検査
特に40歳以上の方は、症状がなくても定期的に胃内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。胃がんは早期に発見できれば治癒する可能性が高い病気です。ピロリ菌感染の有無を確認し、陽性であれば除菌治療を検討することも、胃がん予防の重要なステップです。
| 疾患名 | 主な原因 | 主な症状 | 主な診断法 |
|---|---|---|---|
| 胃がん | ピロリ菌、喫煙、塩分 | 初期無症状、進行すると胃痛、体重減少 | 胃内視鏡検査、生検 |
| ピロリ菌感染症 | ヘリコバクター・ピロリ菌 | 慢性胃炎、潰瘍、無症状 | 尿素呼気試験、内視鏡検査 |
| 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | ピロリ菌、NSAIDs | みぞおちの痛み、黒色便 | 胃内視鏡検査 |
| 機能性ディスペプシア | 胃の運動異常、知覚過敏、ストレス | 胃もたれ、早期飽満感、みぞおちの痛み | 症状、内視鏡で異常なし |
| 胃炎 | ピロリ菌、暴飲暴食、ストレス | 胃痛、胃もたれ、吐き気 | 胃内視鏡検査 |
まとめ
胃の疾患は、胃がん、ピロリ菌感染症、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、胃炎、胃ポリープ・粘膜下腫瘍など多岐にわたります。それぞれの疾患には異なる原因、症状、診断、治療法があり、適切な対応が求められます。特に胃がんは早期発見が非常に重要であり、ピロリ菌感染は多くの胃疾患の主要な原因となるため、除菌治療が推奨されます。胃の不調を感じた場合は、自己判断せずに速やかに消化器内科を受診し、胃内視鏡検査などの精密検査を受けることが、正確な診断と早期治療に繋がります。日々の生活習慣を見直し、ストレスを管理し、定期的な健康診断を受けることで、胃の健康を守り、より質の高い生活を送ることが期待できます。
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