【目の痛み 原因と目薬】|専門医が解説する対処法

目の痛み 原因 目薬
目の痛み 原因と目薬|専門医が解説する対処法
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 目の痛みは、表面的なものから眼球内部の深刻な病気まで多岐にわたるため、自己判断は避け専門医の受診が重要です。
  • ✓ ドライアイや結膜炎など一般的な目の不調には市販の目薬も有効ですが、原因を特定し適切な成分を選ぶ必要があります。
  • ✓ 視力低下や視野異常を伴う目の痛みは、緑内障発作やぶどう膜炎など緊急性の高い疾患の可能性があり、速やかな医療機関受診が必要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

目の痛みや異常は、日常生活に大きな影響を与える不快な症状です。単なる疲れ目から、緊急性の高い重篤な疾患まで、その原因は多岐にわたります。この記事では、目の痛みの主な原因と、それぞれの状況に応じた適切な対処法、そして市販の目薬の選び方について、専門医の視点から詳しく解説します。

目の表面・周辺の痛みとは?一般的な原因と対処法

目の表面や周辺に痛みを感じる一般的な原因と適切な対処法を解説
目の痛みとその原因

目の表面やその周辺に感じる痛みは、結膜や角膜、まぶたなど、眼球の外部組織に原因があることが多いです。異物感、ごろごろ感、チクチクとした痛みなどが特徴です。

結膜炎による目の痛み

結膜炎は、目の表面を覆う結膜に炎症が生じる疾患です。主な原因は細菌、ウイルス、アレルギー物質で、目の充血、目やに、かゆみ、そして痛みを伴います。ウイルス性結膜炎は感染力が非常に強く、アデノウイルスが原因となる流行性角結膜炎(はやり目)では、目のゴロゴロ感や異物感が強く、まぶたの腫れ、涙目、強い目の痛みを訴える患者さんが多く見られます[2]。細菌性結膜炎では黄緑色の粘り気のある目やにが特徴的です。

  • 細菌性結膜炎: 抗菌薬の点眼で治療します。
  • ウイルス性結膜炎: 特効薬はなく、炎症を抑える点眼薬や二次感染予防の抗菌薬点眼を使用し、自然治癒を待ちます。
  • アレルギー性結膜炎: 抗アレルギー薬の点眼や内服薬で症状を緩和します。花粉症などの季節性アレルギーでは、症状が出る前から予防的に点眼を開始することもあります。

ドライアイによる目の痛み

ドライアイは、涙の量や質が低下することで、目の表面が乾燥し、傷つきやすくなる状態です。目の乾燥感、異物感、充血、そして目の痛みや疲れ目といった症状を引き起こします。特に、長時間のパソコンやスマートフォンの使用、エアコンの効いた室内での作業などで悪化しやすい傾向があります。日常診療では、「夕方になると目が開けていられないほど痛い」「コンタクトレンズをしていると目がゴロゴロする」と相談される方が少なくありません。最近では、マイボーム腺機能不全(MGD)と呼ばれる、涙の蒸発を防ぐ油分の分泌が低下するタイプのドライアイも注目されており、このタイプのドライアイには、特定の点眼薬が有効であると報告されています[3]

マイボーム腺機能不全(MGD)
まぶたの縁にあるマイボーム腺という皮脂腺が詰まったり、機能が低下したりすることで、涙の油層が不安定になり、涙が蒸発しやすくなる状態です。ドライアイの原因の多くを占めるとされています。

治療としては、人工涙液やヒアルロン酸点眼薬による保湿、涙の分泌を促進する点眼薬、マイボーム腺の温罨法(おんあんぽう)やマッサージなどがあります。重症例では、涙点プラグ挿入や特殊な点眼薬が検討されます。コンタクトレンズ装用者はドライアイになりやすく、適切なレンズの選択やケアが重要です[4]

角膜炎・角膜潰瘍による目の痛み

角膜は目の表面にある透明な膜で、ここに炎症や傷ができると強い痛みを伴います。異物混入、コンタクトレンズの不適切な使用、外傷、細菌やウイルスの感染などが原因となります。特に、コンタクトレンズを装用したまま寝てしまったり、消毒を怠ったりすることで、角膜に傷がつき、細菌や真菌が感染して角膜潰瘍に至るケースをよく経験します。角膜潰瘍は視力に影響を及ぼす可能性があり、早急な治療が必要です。症状としては、激しい目の痛み、異物感、涙目、まぶしさを感じることが多いです。

治療は原因によって異なり、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬の点眼や内服薬が用いられます。重症の場合は入院治療や手術が必要になることもあります。

その他の目の表面・周辺の痛み

  • 眼精疲労: 長時間のVDT作業などによる目の酷使で、目の奥の痛み、肩こり、頭痛などを伴います。休息や適切な眼鏡の使用が重要です。
  • 麦粒腫(ものもらい)・霰粒腫: まぶたの腺の炎症で、まぶたの腫れや痛みを伴います。抗菌薬の点眼や内服、場合によっては切開が必要になります。
  • 眼瞼炎: まぶたの縁に炎症が起きる病気で、かゆみやヒリヒリとした痛みを伴います。清潔を保ち、抗菌薬やステロイドの点眼・軟膏で治療します。

視力低下・視野の異常を伴う目の痛みとは?緊急性の高い疾患

目の痛みとともに視力低下や視野の異常を感じる場合、眼球内部のより深刻な病気が隠れている可能性があります。これらの症状は緊急性が高く、速やかな眼科受診が必要です。

急性緑内障発作による目の痛み

急性緑内障発作は、眼圧が急激に上昇することで、目の激しい痛み、頭痛、吐き気、嘔吐、そして急激な視力低下や視野の異常(光の周りに虹が見えるなど)を引き起こす病態です。眼球が硬く感じられることもあります。この発作は数時間以内に適切な処置をしないと、永続的な視神経の損傷により失明に至る可能性もあるため、非常に緊急性が高いです。筆者の臨床経験では、夜間に急な目の痛みと頭痛、吐き気を訴えて救急搬送されてくる患者さんの中に、急性緑内障発作のケースが散見されます。

治療は、眼圧を下げる点眼薬や内服薬、点滴による薬物治療が緊急で行われます。眼圧が下がった後、再発予防のためにレーザー治療や手術が検討されます。

ぶどう膜炎による目の痛み

ぶどう膜炎は、眼球の中にあるぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症が起きる病気です。目の痛み、充血、まぶしさ、霧視(かすんで見える)、飛蚊症(ひぶんしょう)、視力低下などの症状を伴います。原因は自己免疫疾患、感染症(ウイルス、細菌、真菌)、外傷など多岐にわたりますが、原因不明の特発性の場合も少なくありません[1]。ぶどう膜炎は、全身疾患と関連していることも多く、眼科だけでなく内科的な検査も必要になることがあります。

治療は、炎症を抑えるステロイド点眼薬や内服薬が中心となります。感染症が原因の場合は、抗菌薬や抗ウイルス薬が併用されます。慢性化しやすい疾患であり、長期的な経過観察と治療が必要となることもあります。

網膜剥離による目の痛み

網膜剥離は、眼球の奥にある網膜が剥がれてしまう病気で、放置すると失明に至る可能性があります。初期症状としては、飛蚊症の増加、光視症(目の前で光が走るように見える)、視野の一部が欠ける(カーテンがかかったように見える)などが挙げられます。進行すると視力低下や視野の中心部が欠けるといった症状が現れます。目の痛みは通常は伴いませんが、網膜剥離に伴う炎症や、剥離が広範囲に及ぶ場合に、目の奥に鈍い痛みを感じることがあります。診察の場では、「急に黒い点が増えた」「視界の端が暗くなった」と質問される患者さんも多いです。

治療は手術が必須であり、剥離した網膜を元の位置に戻すことで視機能の回復を目指します。早期発見・早期治療が非常に重要です。

視神経炎による目の痛み

視神経炎は、視神経に炎症が起きる病気で、急激な視力低下と眼球を動かした時の目の痛み(眼窩痛)を特徴とします。多発性硬化症などの自己免疫疾患と関連していることもあります。視神経は光の情報を脳に伝える重要な役割を担っているため、炎症が起きると視力に大きな影響が出ます。

治療はステロイドの点滴や内服が中心となります。原因疾患がある場合は、その治療も並行して行われます。

目の痛みの応急処置・市販薬(目薬)の選び方

目の痛みを和らげるための応急処置と市販の目薬の選び方を詳しく説明
目の痛みの応急処置と目薬

目の痛みが軽度で、緊急性の低いと考えられる場合、応急処置や市販薬(目薬)で一時的に症状を緩和できることがあります。しかし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、必ず眼科を受診してください。

目の痛みの応急処置

  • 目を休ませる: 長時間のVDT作業などで疲れている場合は、目を閉じて休ませたり、遠くを見たりして目の緊張を和らげます。
  • 温める・冷やす: 疲れ目やドライアイによる目の痛みには、温かいタオルで目を温めることで血行が促進され、症状が和らぐことがあります。アレルギーや炎症によるかゆみや充血が強い場合は、冷たいタオルで冷やすと一時的に不快感が軽減されることがあります。
  • 異物除去: 目にゴミが入った場合は、清潔な水で洗い流すか、瞬きを繰り返して自然に排出されるのを促します。絶対に目をこすらないでください。
  • コンタクトレンズの中止: コンタクトレンズが原因で目の痛みが生じている可能性があれば、すぐに装用を中止し、眼鏡に切り替えてください。

市販の目薬の選び方と注意点

市販の目薬は、症状に応じて様々な種類があります。適切なものを選ぶためには、自分の目の痛みの原因をある程度把握しておくことが大切です。

症状別 市販目薬の選び方

症状適した目薬の種類主な有効成分の例
ドライアイ、目の乾燥感人工涙液、保湿成分配合目薬ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
目の疲れ、かすみ目ピント調節機能改善成分、ビタミン配合目薬ネオスチグミンメチル硫酸塩、ビタミンB12、ビタミンE
結膜炎、目やに、充血抗菌成分配合目薬スルファメトキサゾール、アミノカプロン酸
アレルギー、かゆみ、充血抗アレルギー成分、抗ヒスタミン成分配合目薬クロモグリク酸ナトリウム、クロルフェニラミンマレイン酸塩

市販目薬使用時の注意点

⚠️ 注意点

市販の目薬は一時的な症状緩和には有効ですが、根本的な治療にはなりません。特に、目の痛みが強い、視力低下を伴う、異物感が続く、目やにがひどいなどの場合は、市販薬に頼らず速やかに眼科を受診してください。また、防腐剤フリーの目薬を選ぶなど、成分にも注意が必要です。コンタクトレンズを装着したまま点眼できる目薬かどうかも確認しましょう。

日々の診療では、「市販の目薬を試したけど良くならない」と受診される方が増えています。自己判断で症状を悪化させないためにも、適切な時期に専門医の診察を受けることが重要です。

症状の掛け合わせ(目の異常+〇〇)でわかること

目の痛みや異常は、単独で現れるだけでなく、他の身体症状と組み合わさることで、特定の疾患を示唆する重要な手がかりとなることがあります。これらの複合的な症状に気づくことは、早期診断と適切な治療につながります。

目の痛み+頭痛・吐き気

目の痛みとともに激しい頭痛や吐き気を伴う場合、最も注意すべきは急性緑内障発作です。これは眼圧が急激に上昇することで起こり、放置すると失明に至る可能性のある緊急性の高い状態です。その他、片頭痛の症状として目の奥の痛みが現れることもありますが、緑内障発作のような急激な視力低下や視野異常は伴いません。目の痛みと頭痛、吐き気の組み合わせは、脳の病気(脳腫瘍、くも膜下出血など)の可能性もゼロではないため、速やかに医療機関を受診することが不可欠です。

目の痛み+発熱・体のだるさ

目の痛み、充血、目やにといった目の症状に加えて、発熱や体のだるさ、リンパ節の腫れなど全身症状を伴う場合、ウイルス性結膜炎(特にアデノウイルスによる流行性角結膜炎)や、全身疾患に伴うぶどう膜炎などが考えられます。例えば、ヘルペスウイルスによる角膜炎は、目の痛みに加えて発熱や体調不良を伴うことがあります。また、自己免疫疾患(ベーチェット病、サルコイドーシスなど)が原因でぶどう膜炎を発症している場合、関節痛や皮膚症状など、全身の様々な症状を伴うことがあります。臨床現場では、目の症状だけでなく、全身の問診を丁寧に行うことが診断の重要な鍵となります。

目の痛み+まぶたの腫れ・かゆみ

まぶたの腫れやかゆみが目の痛みと同時に現れる場合、アレルギー性結膜炎や眼瞼炎、麦粒腫(ものもらい)などが考えられます。アレルギー性結膜炎では、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに反応して、目の痒み、充血、涙目、まぶたの腫れといった症状が現れます。眼瞼炎はまぶたの縁の炎症で、痒みやヒリヒリとした痛み、フケのようなものが付着することが特徴です。麦粒腫はまぶたの脂腺や汗腺の細菌感染で、まぶたの一部が赤く腫れて痛みを伴います。これらの症状は比較的軽度であることが多いですが、炎症が強い場合は眼科での治療が必要です。

目の痛み+鼻水・くしゃみ

目の痛み、かゆみ、充血とともに、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといった鼻の症状を伴う場合は、アレルギー性結膜炎とアレルギー性鼻炎が同時に発症している、いわゆる「目と鼻のアレルギー」であることがほとんどです。特に季節性の花粉症では、これらの症状が同時に現れることが多く、患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させます。この場合、眼科と耳鼻咽喉科の両方で治療を受けるか、アレルギー専門医に相談することが望ましいです。抗アレルギー薬の点眼や内服、鼻炎治療薬などで症状をコントロールします。日々の診療では、「花粉の季節になると、目も鼻もつらくて仕事に集中できない」という訴えをよく聞きます。症状が出る前から予防的な治療を開始することで、症状の軽減が期待できます。

まとめ

目の痛みや異常に関する情報が網羅されたガイドの要点をまとめる
目の痛みガイドのまとめ

目の痛みや異常は、その原因が多岐にわたり、中には緊急性の高い疾患が隠されていることもあります。目の表面的な炎症である結膜炎やドライアイから、眼球内部の深刻な疾患である急性緑内障発作、ぶどう膜炎、網膜剥離まで、症状の現れ方や他の身体症状の有無によって、疑われる病気は大きく異なります。軽度の目の疲れや乾燥には市販の目薬や応急処置が有効な場合もありますが、症状が改善しない場合や、視力低下、視野異常、激しい痛み、頭痛、吐き気などを伴う場合は、自己判断せずに速やかに眼科を受診することが非常に重要です。早期の診断と適切な治療が、目の健康を守り、視機能を維持するために不可欠であることをご理解いただければ幸いです。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 目の痛みが続く場合、どのような症状があればすぐに病院に行くべきですか?
A1: 目の痛みに加えて、急激な視力低下、視野が狭くなる・欠ける、光の周りに虹が見える、激しい頭痛や吐き気、目の充血が非常に強い、目やにが多量に出る、異物感が取れないなどの症状がある場合は、すぐに眼科を受診してください。これらは急性緑内障発作やぶどう膜炎、角膜潰瘍など、緊急性の高い疾患の可能性があります。
Q2: 市販の目薬で目の痛みが治らない場合、どうすれば良いですか?
A2: 市販の目薬を数日使用しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断をせずに眼科を受診してください。市販薬では対応できない目の病気が隠れている可能性や、誤った目薬の使用で症状が悪化する可能性もあります。専門医による正確な診断と適切な治療が必要です。
Q3: コンタクトレンズ使用中に目の痛みを感じたら、どうすれば良いですか?
A3: コンタクトレンズ使用中に目の痛みを感じた場合は、すぐにレンズを外してください。レンズの汚れ、傷、乾燥、不適切な装用、あるいは角膜への傷や感染症が原因である可能性があります。症状が続く場合は、コンタクトレンズの装用を中止し、眼科を受診して原因を特定してもらいましょう。無理に装用を続けると、角膜に重篤なダメージを与える可能性があります。
この記事の監修
👨‍⚕️
高口直人
脳神経内科医
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