- ✓ HIFUは高密度焦点式超音波で皮膚の深層に熱エネルギーを与え、たるみやしわを改善する治療法です。
- ✓ 効果の持続期間は半年〜1年程度が一般的で、施術回数は1年に1〜2回が推奨されます。
- ✓ ダウンタイムは比較的短いですが、赤み、腫れ、内出血などの副作用が生じる可能性があります。
HIFU(ハイフ)は、メスを使わずに顔や体のたるみ、しわを改善する治療法として近年注目を集めています。高密度の超音波エネルギーを利用し、皮膚の深層にあるSMAS筋膜や脂肪層に熱作用をもたらすことで、リフトアップ効果や肌の引き締め効果が期待できます。しかし、その効果や持続期間、施術回数、ダウンタイムについて、正確な情報を知りたいという方も多いのではないでしょうか。ここでは、HIFUのメカニズムから具体的な効果、施術後の経過まで、専門医の視点から詳しく解説します。
HIFUとは?そのメカニズムと期待される効果

HIFUは、高密度焦点式超音波(High-Intensity Focused Ultrasound)の略称で、超音波エネルギーを一点に集中させて照射する技術を用いた治療法です。この技術は、もともと前立腺がんの治療など、外科手術が難しい部位の治療に用いられていました[1]。美容医療分野では、この原理を応用し、皮膚のたるみやしわの改善に応用されています。
HIFUの作用メカニズム
HIFUは、虫眼鏡で太陽光を集めるように、超音波エネルギーを皮膚の特定の層に集中させます。これにより、ターゲットとなる組織は瞬間的に60〜70℃の熱が発生し、熱凝固点と呼ばれる小さな点が形成されます。この熱作用が、主に以下の2つの効果をもたらします。
- SMAS筋膜の引き締め効果: 皮膚の土台となるSMAS(スマス)筋膜に熱を加えることで、筋膜が収縮し、顔全体のリフトアップ効果が期待できます。これは、外科的なフェイスリフト手術で引き上げる層と同じ深さにあたります[2]。
- コラーゲン生成の促進: 真皮層に熱が加わることで、線維芽細胞が刺激され、新たなコラーゲンやエラスチンの生成が促進されます。これにより、肌のハリや弾力が高まり、小じわの改善や肌質の向上が期待できます[3]。
これらの作用により、HIFUはたるみやしわの改善だけでなく、肌の引き締め、毛穴の目立ちにくさ、肌質の改善など、複合的な美容効果をもたらします。実臨床では、特にフェイスラインのたるみや二重あごを気にされる患者さんが多く見られます。
- SMAS筋膜(Superficial Musculoaponeurotic System)
- 顔の表情筋と連続し、皮膚の土台を支える線維性の膜。たるみの原因となる主要な構造の一つであり、フェイスリフト手術やHIFU治療の主要なターゲットとなります。
HIFUの効果はいつから?持続期間はどれくらい?
HIFUの効果は、施術直後から実感できるものと、時間をかけて現れるものがあります。また、その持続期間も個人差がありますが、一般的な目安があります。
効果の発現時期
施術直後には、熱によるSMAS筋膜の収縮効果により、引き締めやリフトアップを実感できることがあります。これは「即時効果」と呼ばれます。しかし、HIFUの真の効果は、熱刺激によって促進されるコラーゲン生成によるものです。このコラーゲン生成は、施術後1〜3ヶ月かけて徐々に進むため、効果のピークは施術から約2〜3ヶ月後に現れることが多いです[4]。日常診療では、「施術後1ヶ月くらいから、周りの人に『顔がすっきりしたね』と言われるようになった」と相談される方が少なくありません。
効果の持続期間
HIFUの効果の持続期間は、一般的に半年から1年程度とされています[5]。これは、生成されたコラーゲンが時間とともに徐々に分解されるためです。効果の持続期間には、個人の肌質、生活習慣(紫外線対策、喫煙など)、年齢、使用するHIFU機器の種類、照射出力やショット数などが影響します。筆者の臨床経験では、治療開始2〜3ヶ月ほどで改善を実感され、その後半年程度は効果が持続するとおっしゃる方が多いです。
HIFUの効果は永続的なものではありません。加齢によるたるみは継続的に進行するため、効果を維持するためには定期的な施術が推奨されます。
HIFUの施術回数と適切な間隔は?

HIFUの効果を最大限に引き出し、持続させるためには、適切な施術回数と間隔が重要です。
推奨される施術回数と間隔
多くのHIFU機器メーカーや医療機関では、1年に1〜2回の施術が推奨されています。初回施術で効果を実感した後、約半年〜1年ごとにメンテナンスとして施術を受けることで、効果の持続とさらなる改善が期待できます。特にたるみが気になる場合は、初回から3ヶ月程度で2回目の施術を行い、その後は半年に1回程度のペースで継続するケースもあります。これは、コラーゲン生成のサイクルや、肌の回復期間を考慮したものです。
| 項目 | 初回施術 | 継続施術 |
|---|---|---|
| 目的 | たるみ・しわの改善、リフトアップ | 効果の維持、さらなる肌質改善 |
| 推奨間隔 | なし(初回) | 半年〜1年ごと |
| 効果のピーク | 2〜3ヶ月後 | 継続的に維持 |
施術回数を決める際のポイント
施術回数や間隔は、患者さんのたるみの程度、年齢、肌の状態、期待する効果によって異なります。診察の場では、「1回でどれくらい効果がありますか?」「何回くらい受ければいいですか?」と質問される患者さんも多いです。医師は、カウンセリングで患者さんの悩みを詳しく聞き取り、肌の状態を評価した上で、最適な治療計画を提案します。また、HIFUは一度に過度な照射を行うと、かえって肌に負担をかける可能性があるため、適切な間隔を空けることが重要です。
HIFUのダウンタイムと副作用は?
HIFUはメスを使わない非侵襲的な治療ですが、熱エネルギーを使用するため、ダウンタイムや副作用が全くないわけではありません。施術後の経過について理解しておくことは重要です。
一般的なダウンタイム
HIFUのダウンタイムは比較的短いとされています。多くの患者さんは、施術後すぐに日常生活に戻ることができます。しかし、以下のような症状が一時的に現れることがあります。
- 赤み・腫れ: 施術直後から数時間〜数日程度、照射部位に軽い赤みや腫れが生じることがあります。これは熱による炎症反応であり、通常は自然に治まります。
- むくみ: 施術後数日間、顔に軽いむくみを感じることがあります。
- 痛み・違和感: 施術中だけでなく、施術後も数日間、筋肉痛のような鈍い痛みや、触れるとピリピリとした違和感を感じることがあります。特に骨に近い部分で感じやすい傾向があります。
これらの症状は一時的なもので、通常は数日から1週間程度で落ち着きます。日常診療では、施術後の経過観察で「少し腫れたけど、メイクで隠せる程度でした」という声をよく聞きます。
稀に起こる副作用
HIFUは安全性の高い治療法ですが、稀に以下のような副作用が生じる可能性もゼロではありません。
- 内出血: 稀に、超音波の熱が血管に影響を与え、内出血が生じることがあります。通常は1〜2週間で吸収されます。
- 神経損傷: 非常に稀ですが、顔面神経などの神経に熱が加わることで、一時的なしびれや麻痺が生じる可能性があります。これは、経験の浅い施術者による不適切な照射や、解剖学的知識の不足が原因となることが多いです。
- やけど・水ぶくれ: 適切な出力設定や冷却がなされない場合、皮膚表面にやけどや水ぶくれが生じるリスクがあります。
これらの重篤な副作用を避けるためには、HIFU治療の実績が豊富な医療機関で、経験豊富な医師や看護師による施術を受けることが非常に重要です。臨床現場では、施術前の丁寧なカウンセリングと、患者さんの顔の骨格や神経の位置を考慮した正確な照射が重要なポイントになります。
HIFU施術を受ける際の注意点と選び方

HIFU治療を安全かつ効果的に受けるためには、いくつかの注意点と医療機関選びのポイントがあります。
施術前の注意点
- カウンセリングの重要性: 施術前に、医師による丁寧なカウンセリングを受け、自身の肌の状態やたるみの程度、期待する効果について十分に相談しましょう。既往歴や内服薬についても正確に伝えることが重要です。
- 禁忌事項の確認: 妊娠中・授乳中の方、ペースメーカーを装着している方、皮膚に炎症や感染がある方、金の糸などの金属が挿入されている方などは、HIFU治療を受けられない場合があります。必ず事前に確認しましょう。
- リスクと副作用の理解: ダウンタイムや稀に起こる副作用について、医師から十分な説明を受け、理解した上で施術に臨みましょう。
医療機関の選び方
HIFUは医療行為であり、医師の管理下で行われるべき治療です。エステサロンなどでもHIFUと称する機器が使用されていることがありますが、医療機関のHIFUとは出力や効果、安全性が異なります。医療機関を選ぶ際には、以下の点を参考にしてください。
- 医師による診察とカウンセリング: 経験豊富な医師が、患者さんの肌の状態を正確に診断し、適切な治療計画を提案してくれるか。
- 使用機器の種類: 医療用HIFU機器(例: ウルセラ、ダブロ、ウルトラセルなど)を使用しているか。機器によって特徴や得意な効果が異なるため、説明を受けましょう。
- 実績と経験: HIFU治療の実績が豊富で、安全管理体制が整っているか。
- アフターフォロー: 施術後の経過観察や、万が一のトラブルへの対応体制がしっかりしているか。
実際の診療では、患者さんがHIFU機器の種類やそれぞれの特徴について質問されることがよくあります。各機器には深達度や焦点の大きさに違いがあり、それによって得られる効果や適応部位も変わってきます。例えば、顔全体の引き上げには深層にアプローチできるタイプ、目元や口元の小じわには浅い層にアプローチできるタイプなど、使い分けが可能です。医師は患者さんの悩みに合わせて最適な機器と照射方法を提案します。
HIFUの施術の流れと費用について
HIFU施術は、一般的に以下のような流れで進められます。費用は医療機関や使用機器、照射範囲によって大きく異なります。
HIFU施術の一般的な流れ
- カウンセリング・診察: 医師が患者さんの肌の状態、たるみの程度、希望を詳しく聞き取り、HIFUが適応であるかを判断します。施術のリスクや費用についても説明があります。
- 洗顔・クレンジング: メイクや皮脂を丁寧に落とし、肌を清潔な状態にします。
- マーキング: 医師が照射部位や避けるべき部位(神経、血管など)を正確にマーキングします。
- ジェル塗布: 超音波の伝達を良くするために、照射部位にジェルを塗布します。
- HIFU照射: 医師または看護師が、設定された出力で丁寧にHIFUを照射していきます。施術中は、チクチクとした痛みや熱感を感じることがあります。痛みに弱い方には麻酔クリームを使用することもあります。
- クールダウン・鎮静: 照射後、ジェルを拭き取り、肌をクールダウンさせます。必要に応じて鎮静パックなどを行うこともあります。
- アフターケアの説明: 施術後の注意事項やホームケアについて説明を受け、帰宅します。
施術時間は、照射範囲によって異なりますが、顔全体で30分〜1時間程度が目安です。実際の診療では、問診で患者さんの痛みの感じ方や過去の美容施術歴を詳細に確認し、それに合わせて麻酔の有無や照射の出力、スピードを調整しています。
HIFUの費用相場
HIFUは自由診療のため、保険適用外です。費用は、使用する機器、照射部位(顔全体、首、目元など)、ショット数、医療機関の方針によって大きく異なります。一般的に、顔全体で10万円〜30万円程度が相場とされています。複数回コースやキャンペーンを利用することで、1回あたりの費用が抑えられる場合もあります。費用だけでなく、医師の技術やアフターケアの充実度も考慮して医療機関を選ぶことが大切です。
まとめ
HIFUは、高密度焦点式超音波を用いて皮膚の深層に熱エネルギーを与え、たるみやしわを改善する非侵襲的な治療法です。施術直後から引き締め効果を実感できることがありますが、コラーゲン生成による真の効果は2〜3ヶ月後にピークを迎え、持続期間は半年〜1年程度が一般的です。効果を維持するためには、1年に1〜2回の継続的な施術が推奨されます。ダウンタイムは比較的短く、赤みや腫れ、軽い痛みが数日程度続くことがありますが、稀に内出血や神経損傷などの副作用も報告されています。安全かつ効果的にHIFU治療を受けるためには、経験豊富な医師による適切な診断と施術、そして十分なアフターフォローが受けられる医療機関を選ぶことが何よりも重要です。自身の肌の状態や悩みに合わせて、医師とよく相談し、最適な治療計画を立てましょう。
よくある質問(FAQ)
- Park, H., et al. (2022). High-Intensity Focused Ultrasound (HIFU) for Aesthetic Applications: A Comprehensive Review. Journal of Clinical Medicine, 11(5), 1307.
- Gassner, H. G., & Sherris, D. A. (2009). Anatomy of the SMAS: a clinical perspective. Facial Plastic Surgery Clinics of North America, 17(4), 525-534.
- Fabi, S. G., et al. (2014). The role of ultrasound in medical aesthetics: a review. Journal of Drugs in Dermatology, 13(7), 801-807.
- Wong, M. L., & Lee, S. S. (2014). High-intensity focused ultrasound for noninvasive facial rejuvenation: a review of the literature. Dermatologic Surgery, 40(4), 425-432.
- Al-Arfaj, A. M., & Al-Arfaj, H. M. (2018). High-intensity focused ultrasound for periorbital rejuvenation: a systematic review. Journal of Cosmetic Dermatology, 17(2), 143-149.

