最終更新日: 2026-04-17
📋 この記事のポイント
- ✓ HIFU治療に伴う痛みは、施術中の工夫や麻酔、事前の準備で軽減が期待できます。
- ✓ 神経損傷や熱傷(やけど)といった副作用は稀ですが、機器の選択と医師の技量に大きく左右されます。
- ✓ 信頼できる医療機関で、十分なカウンセリングを受け、リスクと対策を理解することが重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
📑 目次
HIFUとは?その作用メカニズムと美容医療への応用

- 熱凝固点の形成: 特定の深さに超音波エネルギーを集中させることで、約60~70℃の熱凝固点を形成します。この熱により、ターゲットとなる組織(主にSMAS筋膜や真皮層)が収縮し、即時的な引き締め効果が期待できます。
- コラーゲン生成の促進: 熱損傷を受けた組織は、修復過程で新しいコラーゲンやエラスチンを生成します。これにより、数週間から数ヶ月かけて肌のハリや弾力が増し、長期的なリフトアップ効果や肌質改善が期待されます。
- SMAS筋膜とは
- SMAS(Superficial Musculoaponeurotic System)筋膜は、顔の表情筋と皮下組織をつなぐ薄い膜状の構造です。顔のたるみの主要な原因の一つとされており、HIFUはこのSMAS筋膜に熱エネルギーを作用させることで、リフトアップ効果を狙います。
HIFU治療中の痛みはなぜ生じる?そのメカニズムと個人差
HIFU治療中の痛みは、超音波エネルギーが組織に熱を発生させることに起因します。この痛みは、主に以下の2つの要因によって引き起こされます。熱刺激による痛み
HIFUは、皮膚の深層にあるSMAS筋膜や真皮層に約60~70℃の熱を発生させます。この熱刺激が、神経終末を刺激し、痛みとして感じられます。特に、骨に近い部分や神経が密に分布している箇所では、痛みを強く感じやすい傾向があります。具体的には、顎のラインやこめかみ、額などが挙げられます。筋膜や骨膜への刺激
超音波エネルギーがSMAS筋膜やその下の骨膜に到達すると、これらの組織が収縮したり、振動したりすることで、独特の鈍痛や響くような痛みを感じることがあります。この感覚は「骨に響くような痛み」と表現されることが多く、HIFU特有の痛みの一つです。実臨床では、「歯が浮くような感覚」や「骨にキーンと響く」と表現される患者さんが多く見られます。 痛みの感じ方には個人差が非常に大きく、同じ出力設定でも全く痛みを感じない方もいれば、強い痛みを訴える方もいらっしゃいます。これは、個人の痛覚閾値(痛みを感じ始める最小の刺激量)や、皮膚の厚み、脂肪の量、神経の分布、体調など、様々な要因が影響していると考えられます。また、施術者の技術や使用する機器の種類によっても、痛みの程度は変動し得ます。| 痛みの種類 | 特徴 | 主な発生部位 |
|---|---|---|
| 熱刺激による痛み | チクチク、ピリピリとした熱感、灼熱感 | 顔全体、特に皮膚の薄い部分 |
| 筋膜・骨膜への刺激 | 鈍痛、響くような痛み、歯が浮くような感覚 | 顎のライン、頬骨周辺、こめかみ、額 |
HIFUの痛み対策:施術中にできること、事前の準備

施術中の痛み対策
- 麻酔クリームの使用: 施術前に麻酔クリームを塗布することで、皮膚表面の痛覚を鈍らせ、熱刺激による痛みを軽減できます。塗布後、効果が出るまでに一定の時間が必要なため、予約時間の少し前に来院するよう指示されることが一般的です。
- 笑気麻酔の併用: 笑気麻酔は、吸入することでリラックス効果と鎮痛効果をもたらすガス麻酔です。意識が保たれたまま痛みを和らげることができるため、HIFUのような美容施術で広く用いられています。
- 出力調整と照射スピードの工夫: 施術者は、患者さんの痛みの訴えに応じて、HIFU機器の出力レベルを調整したり、照射スピードを落としたりすることで、痛みをコントロールします。特に痛みに敏感な部位では、出力を下げたり、ショット数を減らしたりするなどの配慮が可能です。
- 冷却装置の活用: 一部のHIFU機器には、皮膚表面を冷却しながら照射する機能が搭載されています。これにより、熱刺激による痛みを軽減し、やけどのリスクも低減できます。
事前の準備と心構え
- 十分なカウンセリング: 施術前に医師や看護師と十分にカウンセリングを行い、痛みの感じ方や不安な点を正直に伝えることが重要です。個人の状況に合わせた痛み対策を提案してもらえるでしょう。
- 体調管理: 睡眠不足や疲労、生理前などは痛みに敏感になりやすい時期です。施術日は体調を整え、リラックスして臨むことが望ましいです。
- 鎮痛剤の服用: 痛みに非常に弱い方や、過去にHIFUで強い痛みを感じた経験がある方は、医師と相談の上、事前に市販の鎮痛剤を服用することも検討できます。
HIFUの稀な副作用:神経損傷・やけどのリスクとは?
HIFUは一般的に安全性の高い治療法とされていますが、稀に神経損傷や熱傷(やけど)といった副作用が発生するリスクもゼロではありません。これらの副作用は、主に不適切な機器の使用や、施術者の技術不足によって引き起こされる可能性が考えられます。神経損傷のリスク
神経損傷とは、HIFUの超音波エネルギーが顔面神経などの主要な神経に誤って照射され、一時的または永続的に神経機能が損なわれる状態を指します。顔面神経は、表情筋を動かすための重要な神経であり、損傷すると顔の麻痺や表情の左右差が生じることがあります。- 症状: 口角が上がりにくい、まぶたが閉じにくい、顔の片側が引きつる、感覚の麻痺など。
- 原因: 施術者が顔面神経の走行を正確に把握していない、または神経が浅い層にある部位に高出力で照射してしまうこと。
- 頻度と回復: 非常に稀な合併症であり、ほとんどの場合、一時的なもので数週間から数ヶ月で自然に回復すると報告されています。しかし、ごく稀に永続的な損傷に至るケースも存在します。
熱傷(やけど)のリスク
熱傷は、超音波エネルギーが皮膚表面や浅い層に過度に集中し、組織が熱損傷を受けることで発生します。これは、HIFUの照射深度や出力設定の誤り、または冷却不足などが原因となることがあります。- 症状: 施術部位の発赤、腫れ、水ぶくれ、かさぶた、色素沈着、瘢痕(傷跡)など。
- 原因: 不適切なカートリッジの選択(浅すぎる深度に高出力)、ジェル不足による皮膚との密着不良、同じ部位への過剰な重ね打ち、冷却不足など。
- 頻度と回復: 軽度の発赤や腫れは一時的な反応として比較的多く見られますが、水ぶくれや瘢痕に至る重度の熱傷は稀です。適切な処置により回復が期待できますが、色素沈着や瘢痕が残る可能性も考慮する必要があります。
⚠️ 注意点
HIFU治療を受ける際は、必ず医師の診察を受け、自身の肌の状態や既往歴を正確に伝えることが重要です。また、施術後の異常を感じた場合は、速やかに医療機関に連絡し、指示を仰ぐようにしてください。
HIFU治療後のダウンタイムと注意点

一般的なダウンタイム症状
HIFU治療後に見られる主な症状は以下の通りです。- 赤み・腫れ: 施術直後から数時間~数日間、軽度の赤みや腫れが生じることがあります。これは熱刺激に対する正常な反応であり、通常は自然に治まります。
- むくみ: 施術部位にむくみが生じることがあります。これも数日間で落ち着くことがほとんどです。
- 鈍痛・圧痛: 施術後数日間、触ると鈍い痛みや圧痛を感じることがあります。特に骨に近い部分で感じやすい傾向があります。
- しびれ感: 稀に、一時的なしびれ感や違和感が生じることがありますが、ほとんどの場合、数週間で改善します。
治療後の注意点とケア
HIFU治療後の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを低減するためには、以下の点に注意することが重要です。- 保湿ケアの徹底: 施術後の肌はデリケートになっているため、十分な保湿を心がけましょう。乾燥は肌トラブルの原因となることがあります。
- 紫外線対策: 紫外線は肌にダメージを与え、色素沈着のリスクを高める可能性があります。日焼け止めや帽子などで徹底した紫外線対策を行ってください。
- 過度な刺激を避ける: 施術部位を強く擦ったり、マッサージしたりすることは避けましょう。刺激は炎症を悪化させる可能性があります。
- 飲酒・激しい運動の制限: 施術後数日間は、血行を促進する飲酒や激しい運動は控えめにすることが推奨されます。これにより、赤みや腫れが長引くのを防ぎます。
- 異常を感じたらすぐに相談: 強い痛み、水ぶくれ、しびれが改善しないなど、異常を感じた場合は、すぐに施術を受けた医療機関に連絡し、指示を仰いでください。
HIFU治療の安全性と医療機関選びのポイント
HIFU治療を安全かつ効果的に受けるためには、医療機関選びが非常に重要です。適切な医療機関を選ぶことで、痛みや副作用のリスクを最小限に抑え、期待される効果を得られる可能性が高まります。医療機関選びの重要性
- 医師の専門性と経験: HIFUは医療行為であり、解剖学的な知識と豊富な臨床経験を持つ医師が施術を行うべきです。顔面神経の走行や血管の位置を正確に把握し、個々の患者さんの状態に応じた適切な照射計画を立てられる医師を選ぶことが重要です。
- カウンセリングの質: 施術前に、期待できる効果、リスク、ダウンタイム、費用などについて、十分に時間をかけた丁寧な説明があるかを確認しましょう。疑問点や不安な点を解消できるまで、納得のいく説明を求めることが大切です。
- 機器の種類とメンテナンス: 医療機関で使用されているHIFU機器の種類や、そのメンテナンス状況も確認ポイントです。信頼性の高い医療機器を使用し、適切に管理されていることが望ましいです。
- アフターケア体制: 施術後に万が一トラブルが発生した場合に、迅速かつ適切に対応してくれるアフターケア体制が整っているかどうかも重要です。
セルフHIFUのリスク
近年、個人で手軽に使えるとされる「セルフHIFU」機器が出回っていますが、これらには重大なリスクが伴います。医療機関で使用されるHIFU機器とは出力や安全性が大きく異なり、専門知識のない方が使用することで、やけどや神経損傷などの重篤な副作用を引き起こす可能性が非常に高いです。- 出力の不安定さ: セルフHIFU機器は、出力が不安定であったり、皮膚の深層に適切にエネルギーを届けられなかったりすることがあります。
- やけどのリスク: 誤った使い方や、皮膚表面に過剰な熱が集中することで、やけどのリスクが高まります。
- 神経損傷のリスク: 顔の解剖学的構造を理解せずに使用すると、神経を損傷する危険性があります。
- 効果の不確実性: 医療機関のHIFUのような効果は期待できず、かえって肌トラブルを招く可能性があります。
まとめ
HIFU治療は、メスを使わずにたるみやしわの改善が期待できる人気の美容医療ですが、痛みや稀な副作用のリスクも存在します。治療中の痛みは、麻酔クリームや笑気麻酔、出力調整などの適切な対策で軽減が可能です。また、神経損傷や熱傷といった重篤な副作用は非常に稀ですが、施術者の技術や経験、使用する機器の質に大きく左右されます。安全かつ効果的なHIFU治療を受けるためには、信頼できる医療機関を選び、十分なカウンセリングを受け、リスクと対策を理解することが何よりも重要です。セルフHIFU機器の使用は避け、必ず専門の医師による施術を受けるようにしてください。よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修
👨⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医

