【ヒアルロン酸注入(シワ・たるみ)】|医師が解説

ヒアルロン酸注入(シワ・たるみ)
ヒアルロン酸注入(シワ・たるみ)|医師が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ ヒアルロン酸注入は、シワやたるみの改善に用いられる非外科的治療法で、その種類は多岐にわたります。
  • ✓ ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、額、こめかみなど、部位ごとに適した製剤選択と注入技術が重要です。
  • ✓ ジュビダーム、レスチレン、テオシアルなど、各メーカーの製品にはそれぞれ特徴があり、目的や部位に応じて使い分けられます。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

ヒアルロン酸注入は、加齢によるシワやたるみ、顔のボリュームロスを改善するために広く用いられる美容医療の一つです。皮膚の構成成分であるヒアルロン酸を直接注入することで、内側から肌をふっくらさせ、若々しい印象を取り戻すことが期待できます。この治療は、メスを使わないためダウンタイムが比較的短く、自然な仕上がりを目指せることから、多くの方に選ばれています。

ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分であり、水分を保持する能力に優れています。注入用のヒアルロン酸は、架橋と呼ばれる処理を施すことで、体内で分解されにくく、持続性を持つように加工されています[1]。その種類は非常に多く、硬さや粘性、持続期間などが異なるため、治療部位や目的に合わせて適切な製剤を選択することが重要です[2]

ヒアルロン酸注入とは
皮膚の真皮層や皮下組織に、人工的に合成されたヒアルロン酸ゲルを注入することで、シワの溝を埋めたり、ボリュームを補ってたるみを改善したりする治療法です。主に顔面のシワやたるみ、輪郭形成などに用いられます。

ほうれい線のヒアルロン酸注入:効果・持続期間・リスク

ほうれい線にヒアルロン酸を注入し、しわが目立たなくなり顔全体が若々しく改善
ほうれい線へのヒアルロン酸注入

ほうれい線へのヒアルロン酸注入は、顔の印象を大きく左右するシワの改善に効果的な治療法です。ほうれい線とは、鼻の脇から口角にかけて伸びる溝のことで、加齢による皮膚のたるみや骨格の変化、表情筋の癖などが複合的に影響して深くなります。

ほうれい線にヒアルロン酸を注入する効果とは?

ほうれい線にヒアルロン酸を注入することで、内側からボリュームを補い、シワの溝を目立たなくする効果が期待できます。注入されたヒアルロン酸は、皮膚を押し上げてふっくらさせるだけでなく、周囲の組織に水分を引き寄せることで、肌のハリや潤いを向上させる可能性も報告されています[3]。筆者の臨床経験では、治療開始後数週間で、多くの患者さんがほうれい線の目立ちにくさとともに、肌全体の若々しさを実感されることが多いです。

持続期間はどのくらい?

ほうれい線へのヒアルロン酸注入の持続期間は、使用する製剤の種類、注入量、個人の代謝、ライフスタイルなどによって異なりますが、一般的には6ヶ月から1年半程度が目安とされています。深いシワには硬めの製剤を、浅いシワには柔らかめの製剤を用いるなど、適切な製剤選択が持続期間にも影響します。日常診療では、「前回は1年くらい持ったけど、今回はもう少し早く効果が薄れた気がする」と相談される方も少なくありません。これは、個人の体質や生活習慣の変化も影響している可能性があります。

考えられるリスクと副作用

ヒアルロン酸注入は比較的安全な治療ですが、いくつかのリスクや副作用が存在します。主なものとしては、注入部位の赤み、腫れ、内出血、痛みなどがあります。これらは一時的なものがほとんどで、数日から1週間程度で治まることが一般的です。稀に、アレルギー反応、感染、血流障害(皮膚の壊死や失明など)、しこり形成などの重篤な合併症が発生する可能性もあります。特に血流障害は、血管内にヒアルロン酸が誤って注入されることで起こるため、解剖学的な知識に基づいた正確な注入技術が不可欠です。実際の診療では、注入前に患者さんのアレルギー歴や既往歴を詳細に確認し、注入中も細心の注意を払うことが重要になります。

⚠️ 注意点

ヒアルロン酸注入は医療行為であり、必ず医師の診察と適切な診断のもとで行われるべきです。安易な自己判断や無資格者による施術は、重篤な健康被害につながるリスクがあります。

ゴルゴライン・マリオネットラインのヒアルロン酸注入

ゴルゴラインやマリオネットラインにヒアルロン酸を注入し、たるみを改善した顔
ゴルゴ・マリオネットライン注入

ゴルゴラインやマリオネットラインは、顔の疲れや老けた印象を与えるシワ・たるみとして知られています。これらの部位へのヒアルロン酸注入は、顔全体のバランスを整え、若々しい印象を取り戻す上で重要な役割を果たします。

ゴルゴラインとは?原因と注入効果

ゴルゴラインとは、目頭から頬の中央にかけて斜めに走る溝のことで、正式には「ミッドチークライン」や「インディアンライン」とも呼ばれます。このラインは、加齢による頬の脂肪や組織のボリュームロス、骨格の変化、そして表情筋の使いすぎなどが主な原因とされています。ゴルゴラインが目立つと、疲れた印象や老けた印象を与えやすくなります。

ヒアルロン酸をゴルゴラインに注入することで、失われたボリュームを補い、溝を浅くする効果が期待できます。これにより、頬の高さが回復し、顔全体がふっくらと若々しい印象になることが期待されます。日常診療では、「いつも疲れているように見られるのが嫌で」と相談される方が多く、ゴルゴラインの改善によって、表情が明るくなったと喜ばれるケースをよく経験します。

マリオネットラインとは?原因と注入効果

マリオネットラインとは、口角から顎に向かって伸びるシワのことで、人形の口元に似ていることから名付けられました。このラインは、口角下制筋という筋肉の過緊張や、加齢による皮膚のたるみ、顎の骨の吸収などが原因で形成されます。マリオネットラインが深くなると、不機嫌そうな印象や老けた印象を与えやすくなります。

マリオネットラインへのヒアルロン酸注入は、口角の下がった印象を改善し、口元のラインを滑らかにする効果が期待できます。また、口角が引き上がることで、全体的に明るく優しい表情になる可能性もあります。実際の診療では、マリオネットラインと同時に口角のヒアルロン酸注入を希望される患者さんも多く、相乗効果でより自然な若返りを目指すことができます。

注入時の注意点と臨床経験

ゴルゴラインやマリオネットラインへのヒアルロン酸注入は、顔の解剖学を熟知した医師が行うべきです。特にゴルゴライン周辺は血管や神経が多いため、誤った注入は内出血や血流障害のリスクを高める可能性があります。マリオネットラインでは、口の動きに合わせた自然な仕上がりを目指すため、柔らかめのヒアルロン酸を少量ずつ丁寧に注入することが重要です。筆者の臨床経験では、これらの部位への注入は、単にシワを埋めるだけでなく、顔全体のバランスや表情筋の動きを考慮したデザインが非常に重要だと感じています。患者さんからは「口元の不機嫌そうな印象がなくなった」「笑顔が自然になった」といった声をいただくことが多く、細やかな調整が満足度につながると考えています。

額・こめかみのヒアルロン酸注入:ボリュームロスの補填

額やこめかみは、加齢とともに骨や脂肪組織が減少しやすく、顔全体の印象に影響を与える部位です。これらの部位へのヒアルロン酸注入は、ボリュームロスを補填し、顔全体のバランスを整えることで、若々しく滑らかな印象を取り戻すことを目指します。

額のボリュームロスとヒアルロン酸注入

額のボリュームロスは、加齢による皮下脂肪の減少や、前頭骨の吸収によって生じます。額が平坦になったり、凹凸が目立つようになったりすると、疲れた印象や老けた印象を与えることがあります。また、額のボリュームが不足すると、眉毛が下がりやすくなり、眉間のシワや目元のたるみが強調されることもあります。

額へのヒアルロン酸注入は、失われたボリュームを補い、丸みのある滑らかな額を形成する効果が期待できます。これにより、顔全体の印象が柔らかくなり、若々しい印象を与えることができます。また、額に適切なボリュームが加わることで、眉の位置が自然に上がり、目元がすっきり見える効果も期待できます。日常診療では、「おでこが丸くなって、若返ったと言われる」という患者さんの声を聞くことがよくあります。

こめかみのボリュームロスとヒアルロン酸注入

こめかみもまた、加齢とともにボリュームが失われやすい部位です。こめかみが凹むと、頬骨が強調されて顔がこけて見えたり、目尻のシワが深く見えたりすることがあります。また、顔の輪郭がデコボコになり、全体的に疲れた印象や老けた印象を与えやすくなります。

こめかみへのヒアルロン酸注入は、ボリュームロスを補填し、側頭部の輪郭を滑らかに整える効果が期待できます。これにより、顔全体のラインが自然につながり、若々しくバランスの取れた印象になります。実臨床では、こめかみのボリュームアップによって、リフトアップ効果を実感される患者さんも多く見られます。これは、側頭部のボリュームが回復することで、顔全体のたるみが間接的に改善されるためと考えられます。

注入のポイントと注意点

額やこめかみへのヒアルロン酸注入は、非常に繊細な技術を要します。特に額は、血管や神経が複雑に走行しているため、血流障害のリスクを避けるためにカニューレ(先端が丸い針)を使用するなど、細心の注意が必要です。こめかみも同様に、適切な層に正確に注入することが求められます。臨床現場では、患者さんの骨格や顔全体のバランスを考慮し、注入量を慎重に調整することが重要なポイントになります。また、これらの部位は注入後に腫れが出やすい傾向があるため、術後の経過観察も丁寧に行う必要があります。

ヒアルロン酸のメーカー・製品比較:ジュビダーム・レスチレン・テオシアル

ジュビダーム、レスチレン、テオシアルなど主要ヒアルロン酸製品の比較表
ヒアルロン酸製剤の比較一覧

ヒアルロン酸製剤は多種多様であり、それぞれに異なる特性を持っています。最適な治療結果を得るためには、治療部位や目的に応じて適切な製剤を選択することが極めて重要です。ここでは、代表的なメーカーであるアラガン社のジュビダーム、ガルデルマ社のレスチレン、テオキサン社のテオシアルについて比較します[5]

ジュビダーム(Juvéderm)シリーズ

ジュビダームは、アラガン社が製造するヒアルロン酸製剤で、バイクロス技術という独自の架橋技術により、滑らかな質感と優れた持続性が特徴です[3]。シリーズには、ボリュームアップに適した「ボリューマXC」、深いシワに適した「ボリフトXC」、細かいシワに適した「ボルベラXC」など、様々な硬さの製剤があります。筆者の臨床経験では、ジュビダームシリーズは組織へのなじみが良く、自然な仕上がりを求める患者さんから高い評価を得ています。特に、表情の動きが多い部位でも不自然になりにくい点が強みです。

レスチレン(Restylane)シリーズ

レスチレンは、ガルデルマ社が製造するヒアルロン酸製剤で、NAST(Non-Animal Stabilized Hyaluronic Acid)技術により、非動物由来の安定化ヒアルロン酸を使用しています。粒子が比較的均一で、しっかりとしたリフトアップ効果が期待できるのが特徴です[2]。シリーズには、ボリューム形成に適した「リフト」、シワ改善に適した「リファイン」、目の下のクマに適した「アイライト」などがあります。診察の場では、「しっかりとした効果が欲しいけれど、不自然にはなりたくない」と質問される患者さんも多く、レスチレンはそうしたニーズに応えられる選択肢の一つです。

テオシアル(Teosyal)シリーズ

テオシアルは、テオキサン社が製造するヒアルロン酸製剤で、独自のRHA(Resilient Hyaluronic Acid)技術により、皮膚の動きに柔軟に追従する特性を持っています[3]。特に、表情筋の動きが多い口元や目元など、自然な動きを損なわずにシワを改善したい場合に適しています。シリーズには、深いシワやボリュームアップに適した「ウルトラディープ」、中程度のシワに適した「グローバルアクション」、目の下のクマに適した「レッドエンシティⅡ」などがあります。臨床経験上、テオシアルは、特に口元の動きが多い患者さんや、より自然な表情を重視する方におすすめすることが多いです。

各製剤の比較表

各メーカーの代表的なヒアルロン酸製剤には、それぞれ異なる特徴があり、治療の目的や部位によって使い分けられます。以下に主要な製剤の特性を比較します。

項目ジュビダームシリーズレスチレンシリーズテオシアルシリーズ
メーカーアラガン社ガルデルマ社テオキサン社
主な特徴バイクロス技術、滑らかな質感、高持続性NAST技術、粒子均一、しっかりとしたリフトアップRHA技術、皮膚の動きに柔軟に追従
適応部位(例)ほうれい線、頬、顎、唇、額ほうれい線、頬、目の下、唇ほうれい線、口角、目元、額
持続期間(目安)約9ヶ月〜2年約6ヶ月〜1年半約6ヶ月〜1年半

どの製剤が最適かは、患者さんの肌の状態、シワの深さ、希望する仕上がり、予算などを総合的に考慮して医師が判断します。筆者の臨床経験では、製品ごとの特性を深く理解し、患者さんのニーズに合わせたオーダーメイドの治療計画を立てることが、満足度の高い結果につながると考えています。

まとめ

ヒアルロン酸注入は、シワやたるみ、ボリュームロスといった加齢による顔の変化に対し、非外科的にアプローチできる有効な美容医療です。ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、額、こめかみなど、様々な部位に適用でき、それぞれに合わせた製剤選びと注入技術が求められます。ジュビダーム、レスチレン、テオシアルといった主要メーカーの製品は、それぞれ異なる特性を持ち、患者さんの状態や希望に応じて使い分けられます。効果の持続期間は製剤や個人差によって異なりますが、一般的には半年から2年程度です。治療には内出血や腫れなどの一時的な副作用や、稀に重篤な合併症のリスクも伴うため、経験豊富な医師による正確な診断と施術が不可欠です。ヒアルロン酸注入を検討する際は、自身の状態や希望を医師に伝え、十分なカウンセリングを受けることが重要です。

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よくある質問(FAQ)

ヒアルロン酸注入は痛いですか?
注入時の痛みは個人差がありますが、多くの製剤には麻酔成分(リドカイン)が配合されており、痛みを軽減する工夫がされています。また、施術前に表面麻酔クリームを使用したり、極細の針やカニューレを使用したりすることで、痛みを最小限に抑えることが可能です。施術中も、患者さんの状態を確認しながら慎重に進めますので、ご安心ください。
注入後のダウンタイムはどのくらいですか?
ダウンタイムは、注入部位や注入量、個人の体質によって異なりますが、一般的には数日から1週間程度です。主な症状としては、赤み、腫れ、内出血、軽い痛みなどがあります。これらは時間の経過とともに自然に治まることがほとんどです。大きな内出血が出た場合でも、1〜2週間程度で吸収されます。施術後すぐにメイクをして隠せる場合も多いですが、重要な予定がある場合は余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
ヒアルロン酸注入の効果は永続的ですか?
ヒアルロン酸は体内に存在する成分であるため、注入されたヒアルロン酸は時間とともに徐々に体内で分解・吸収されていきます。そのため、効果は永続的ではなく、一般的には6ヶ月から2年程度の持続期間とされています。効果を維持するためには、定期的な再注入が必要になります。ただし、完全に元に戻るわけではなく、注入前よりも良い状態が続くことが多いです。
注入後、しこりになることはありますか?
稀に、注入後にしこりができることがあります。これは、ヒアルロン酸が均一に広がらなかった場合や、過剰に注入された場合、あるいは体質的な反応によって生じることがあります。通常は、マッサージによって改善されることもありますが、改善しない場合はヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を注入して溶かすことも可能です。経験豊富な医師が適切な量と層に注入することで、しこりのリスクを最小限に抑えることができます。
この記事の監修
👨‍⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医
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